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情火《番外編・中》
2015-12-22 Tue 18:00


このお話はフィクションです

軍隊、及び軍内部につきましては実在の物とは一切関係ありません。ご了承ください

一部、性的な表現を含みます
ご注意ください




side a captain Park



新たに入営してきた俳優のチョン・ユンホ…



私が見ても、さすがにいい男だった
背が高いうえ顔が小さいので、おそろしくスタイルが良い



シム准将は、そんなチョン訓練兵よりも更に背が高く、むしろシム准将が俳優だと聞いても大きく頷く様な雰囲気なのだが…



訓練所の責任者であるシム准将と、新規入営組の顔合わせの際に、そのチョン訓練兵がシム准将を鋭い視線で見ている事に気付く



上官であるシム准将に対してその視線を向けるには無遠慮過ぎるため、制止しようと一歩踏み出そうとする



すると、シム准将が
その視線をしっかりと受け止め逆にチョン訓練兵を、どこか挑む様な目線で見つめ返していた



彼の溢れそうに大きい瞳は普段
目が合っていても、どこか遠くを見ている様で
何の感情をも映さないのだが



その時のシム准将は
知り合って以来、初めて見る様な情熱的な目をしていた



それから
事あるごとに、シム准将はチョン訓練兵を意識している様に感じた



今までは、気に入ったと思われる訓練兵は
有無を言わさず、シム准将の思うがままに手篭めにしていたが



が、しかし
私が見ていてもチョン訓練兵は違う感じだった



准将自ら訓練を視察にまで出向き、そこでもまた、お互い視線だけで勝負をしている様に見えた



そんな中、シム准将がチョン訓練兵を司令官室に呼び出したと部下から報告を受ける



おそらくシム准将はチョン訓練兵に手をつけるだろうと推測して、私は部下のトン中尉にいつもの様に指示を出す



彼女は司令官室に誰一人として近づかせないための見張り役をしていた



私が残務を片付けて、軍務室を出ようとした矢先に彼女が戻ってきた



《今日はそのままチョン訓練兵を帰しました》



彼女はそう言って敬礼をして出ていく。その報告に、シム准将にしては珍しいこともあるものだと率直に思った



どこかで、何か変化があったのか?
それとも今回は本当に気にくわないだけで、興味があるわけではなかったのだろうか?



今回ばかりは私の読みが外れたのかと思って苦笑しながら訓練所を後にした



翌日、いつもの様にシム准将の元に定例報告に向かい確認するも今日は訓練にも出向かないという



今回は神経を使わずに済みそうだと、軍務室でほっとしていたのも束の間、シム准将のそばで控えさせていたトン中尉が珍しく慌てて入ってきた



《チョン訓練兵を司令官室に呼び出しました。イ下士に儀仗用の銃も用意させています。何をするおつもりでしょうか?》



〈さあな…儀仗用の銃でも、訓練兵にして見たら銃には変わらん。銃で脅すのかも知れんな…シム准将も趣味が悪いお人だ〉



《左様で…それとパク大尉、もう一つご報告が。チョン訓練兵にやたら馴れ馴れしくしているチェ訓練兵に、嫉妬した様にお見受けしました〉



〈何だと?滅多な事を言うな。シム准将の耳に入ったら何をされるかわからんぞ〉



《これでも女ですから。パク大尉よりはそういう感情に敏感です》



トン中尉は笑いながらそう言って、再び司令官室の見張りに戻っていった



儀仗用の銃には弾倉は入っていないが、万が一の事もある。トン中尉がそばにいるものの不安な気持ちが浮かび、書類作成にも身が入らない



やはり、若干手間取っただけで
シム准将はチョン訓練兵を狙っていたのは間違いなかったんだ



私が見ていて唯一違うと思ったのは
獲物であるチョン訓練兵の、あの眼光



上官であるシム准将に詰め寄られ見つめられても
あの男は怯まなかった
いや、むしろ自らそれ以上に射抜く様に視線を投げかけて…



互いに探り合いをしている様にも見えた



トン中尉が言った《嫉妬》という言葉も、私が今までとは何か違うと思ったことの現れだろうか?



シム准将という人に《嫉妬》などという感情は不似合いな気がした



トン中尉が出ていってから三十分ほど軍務を片付けて、部屋を出る



司令官室の方向に足を向けた時、その方向から歩いてくる男が見えた



チョン・ユンホ訓練兵…



ああ、やはり
シム准将は彼を狙っていた…



私に『忠誠!』と敬礼をするやつの首筋には
くっきりとあの方の刻印が刻まれていた



〈あの方からは逃れられない…運命だったと思うんだな〉



私は思わず彼にそう言ってしまった
なぜそんな言葉を彼に言ってしまったのか、自分でも分からない



が、しかし
おそらくシム准将と性的な関係を持った直後の割に、チョン訓練兵はその事実を受け入れた様に堂々としていた気がして



そんなチョン訓練兵の姿に〈運命〉という言葉が出たのかも知れないと思った





本日、20時半に不定期更新の「追憶」を掲載致します。よろしければ合わせてご覧ください

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情火《番外編・前》
2015-12-21 Mon 18:00


このお話はフィクションです

軍隊、及び軍内部につきましては実在の物とは一切関係ありません。ご了承ください

一部、性的な表現を含みます
ご注意ください




side a captain Park



私の父はかつて
シム准将の父親で、我が軍の最高司令官であるシム元帥の部下であった



二人は士官学校からの同期で、親友でもあった



父は私の幼少期、不慮の事故でこの世を去ったが、シム元帥は運ばれた病院に真っ先に駆けつけて、私達家族と一緒に最期を看取ったと母から聞かされた



私が父と同じ軍人の道を選び、士官学校に進んだ時にもわざわざ会いに来て



《亡きお父上も喜んでおられるだろう。お父上の分まで励むんだ》



と、肩を叩いて励ましてくれた事を今でも鮮明に覚えている



その元帥の御子息もまた、私が士官学校を卒業するのと入れ替わりで同じ軍人の道に進んだ



私に優しく接して下さる元帥から想像出来ないくらいの厳しさで育てられていると噂で聞いた



その御子息が士官学校を卒業される時、すでに陸軍で任務についていた私は元帥から呼ばれた



《ジョンス君。君だからできる私の頼みを聞いて欲しい》


〈私でお役に立てることなら何なりと〉


《息子が君と同じ師団に配属される。私はあれに厳しくしてきたが…どこか脆いところがある。過保護だと思われるだろうが、君が支えてやってくれないだろうか》



元帥はそう言って
私に見せる穏やかな表情とは違った、何処か深い苦悩に満ちた顔を見せた事が印象的だった



初めて会ったその男は



以前お会いして幼心にも胸が躍った、元帥の奥方の美貌をそのまま受け継いだ美しい顔立ちをしていた



シム・チャンミン…



その美しい顔立ちで
最も印象的な鳶色をした瞳は



何の感情をも映していなかった



一目見て、元帥が言った「脆さ」というものが伝わってくる



おそろしくきれる頭脳を持ち
美しすぎる美貌を持ちながら



その男には「生」というものを感じなかった



彼と一緒に仕事をしているうちに
それでも私の仕事を認めてくれるようになり
徐々に会話も増えていったけれど



生活のスタイルや、食の好みがわかる程度で
彼の心の中までを見る事は出来なかった



しかし私は
働き盛りで亡くなった私の父の代わりに、密かに学費の援助をしてくれていた元帥のためにも



シム・チャンミンという男の影に
進んでなったのだ



彼は私よりも早く次々と階級をすすめて
私が大尉に登った時、彼は准将という階級に昇格した



二人は軍隊に入るものを迎える訓練所に異動になって、そこで私は衝撃的な現場に遭遇する



つい先日入営してきた数十名の中で
ひときわ目立つ男がいた



背が高く、目鼻立ちが整っていて
どこか影のあるような雰囲気を持つ訓練兵



その男を
シム准将が抱いていた



世間の常識として、同性同士の恋愛があるということは知っていたが



私と目が合ったシム准将の顔には、愛といった感情は1ミリも感じられないくらい暗い表情が浮かび



抱いた男をそのまま喰ってしまうような
そんな気味の悪さが現れていて



例えが悪いが
美しい柄で雄を誘い、交尾の後捕食してしまう蜘蛛のような…妖魔の行為に見えた



シム准将はその美しく凛とした雰囲気の裏に
恐ろしい闇を抱えているという事実を知った私は



彼のそんな行為を表に知らせないためにシム准将の影のごとく密かに動くようになっていく



私は…
あの時止めに入れば良かったと後悔した
そうすれば、その後の犠牲は防げたはずで…



シム准将の犠牲になったもののなかには
精神を病み強制除隊させられた者も居たし、逆に彼に夢中になってしまい、私が部下と隠密裏に始末した事もあった



それから一年が経とうとしたある日



新たな入営組を受け入れたシム准将が
「気にくわないやつがいた」と言った



私は直感で、シム准将の次の獲物だと思った



そう、その男は
有名な俳優のチョン・ユンホという男だった



新たな犠牲者となる筈だったこの男は



シム准将にとって
彼の運命を大きく変える事になるとは



この時は全く思いもしなかった…





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情火 あとがき
2015-12-19 Sat 18:30



親愛なる皆様


いつもお運び頂き、ありがとうございます


また、温かい励ましのお言葉や拍手、そしてランキングでの応援を頂いて、大変嬉しく思っております


心より御礼申し上げます




この度、無事に「情火」の連載を終了いたしました


軍隊を舞台にするということは、時節柄勇気が必要でした


師匠様をはじめ、先輩ブロガー様や読者様の後押しを頂いて踏み切りましたが、やはりプレッシャーとの闘いとなっていき…


お叱りを受けることもあるかと思っておりましたが温かい励ましのお言葉を多く頂戴し、それが一番の支えでした




「情火」を書くにあたりましては入隊前のチャンミンが大きく影響しました


私の印象で
入隊を控えたチャンミンが、踏ん切りがついて前を見据えている様に見えて


今まで彼を数年間見てきた中で、その姿は一番凛として美しく感じました


逆に強がっている様に見える時もあり…心が痛むこともしばしばで


そんな彼の姿を
このお話の〈シム准将〉というキャラクターに重ねた次第です




お話をミンホ設定で始めたことで、未知の領域故悩む事ばかりでしたし、未熟な自分に課した高すぎるハードルに苦悩しました


何分にも文才が無いもので、お目汚しになった事も多かったと思います


そんな中、最後までお付き合いくださった方々には、感謝しても仕切れないほどの気持ちでいっぱいです




「情火」は基礎訓練の5ヶ月間を描きましたが、皆様にご愛顧を賜れましたら配属後の日々も少しずつ書いていければと思っております


至らない私を、応援してくださって
「情火」の二人を愛してくださって
本当にありがとうございました





ゆんちゃすみ





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情火 36 -最終話-
2015-12-19 Sat 18:00


このお話はフィクションです

軍隊、及び軍内部につきましては実在の物とは一切関係ありません。ご了承ください

R18表現を含みます
ご注意ください



side C



私が…



最上級の獲物を自分のものにしたと
悦に入っていた事は



全て虚無の世界での出来事だった気がした



チョン・ユンホの指を自分の中に埋めて



その指を
私の中に眠る禁断の快楽への場所へ自ら導く



そう私に命令した筈の彼の指は
私の中で我が物顔で動き回る



自分の動きと彼の指の動きに耐え切れないように
私のものからは卑猥な液が溢れ始めて



後ろから私を抱え込んでいた彼が
その液が滴り落ちていることに気づく



チョン・ユンホは
埋め込んでいた指を抜き去り、私の身体を再び反転させた



向かい合う彼の顔は…
先程までの情慾にまみれた雰囲気を一切消していた



『チャンミン…これからはもう、自分に虚勢をはるのはやめるんだ。強がる必要はない。俺が…側にいるから』



私を見つめながらそう言った彼は、私の両足をゆっくりと自身の身体で割って



指で溶かされていた私のその場所に
彼の象徴を沈めた



体内に伝わるこの男の思いが
今まで逆のことをしていた自分への戒めのように突き刺さる



快楽のそれとは比べ物にならない満足感



私の身体が
チョン・ユンホの思いの全てで包まれているような充実感



彼を離したくない
私の脚は、無意識のうちに彼の身体をしっかりと抱え込む



『チャンミン…お前は俺のものだ…』



私の頬を優しく撫でながら、彼の唇が降りてくる
そして私も、彼の綺麗な形をした頭を両手で抱きしめた



「愛している」



私のその言葉を聞いたからか
チョン・ユンホは私に沈めたままだった身体を揺らしはじめた…



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



『軍法書だけの殺伐とした雰囲気の部屋で、あそこだけ全く別の世界になってるな』



私のことを右腕でしっかり抱き抱えながら
チョン・ユンホは香り高く咲き誇る百合を顎で指した



「あの花は…身の回りの世話をかって出ている貴様の同期の訓練兵が置いていったんだ。私の雰囲気そのものだというおべっかを言ってな」



チョン・ユンホの腕にもたれながら苦笑した



『軍服を纏って凛と立っているチャンミンの姿は、確かに百合の花のようだな』



彼はそう言ってから、急に左手で私の顔を掴む



『〈貴様〉はやめろよ…俺は、もうお前の恋人なんだからな』



百合よりも甘い香りを醸し出す彼の言葉



私にとっては羞恥の言葉でしかないような台詞を言いながら、彼の甘い口づけが降ってきた



チョン・ユンホ…
ユノ…



私はもう
ユノのものだ



愛している
ユノ



貴方を愛している



兵役を終えた後どうなるのかは
今はまだ見えない未来でしかないけれど



私のこの想いは
貴様…いや、ユノ…貴方の義務の期間以上に



永遠に続いていくと信じている



激しく窓に打ち付けていた雨は
二人の瞳に燃えていた情火をも鎮めさせて



代わりに
互いを愛おしむ光を燈した



雨がやんだ空には
その光と同じように美しい
星達が輝き始めていた






情火 –完–





最後までご愛読いただき
ありがとうございました


この後、あとがきを掲載させていただきます
合わせてご覧頂けると嬉しいです


ゆんちゃすみ





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情火 34
2015-12-18 Fri 18:00


このお話はフィクションです

軍隊、及び軍内部につきましては実在の物とは一切関係ありません。ご了承ください

性的表現を含みます
ご注意ください



side C



完敗だった



私の攻めは
この男に負けるための攻撃に過ぎなかった



今まで手にしてきた獲物たちと違ったのは
きっとこのチェスの勝負に表されているのだろう



チョン・ユンホは
初めから自身を差し出しておいて
最後には全てを手にするつもりだったのだろうか



軽々とその腕に抱き上げられ
ベッドに投げ出された



こわい、と正直に思った



この男の節ばった長い指が…私の身体をどの様に支配していくのか想像するだけで



私の身体が恐怖と期待で粟立つ



ああ
この目だ



夢に出てきた美しい黒豹の様な
チョン・ユンホの漆黒の瞳



その鋭い眼光に
背中にぞくりと震えが走った



『シム・チャンミン。約束通り、今日からお前は俺のものだ』



チョン・ユンホはそう言うと
ほくろが目立つ口角を上げてみせ



私を放り出したその体勢のまま
厭らしく、隠微に笑う



『でも俺はお前とは違う。俺は…チャンミン、お前を愛しているんだ。だから抱く。わかるか?』



自身の衣服を全て脱ぎ捨てて、私が横たわるベッドに片膝を乗せた



私の目には、既に血管を浮き立たせ形を作りはじめる彼のものが映る



この男の思いが、血管に巡る血潮の色になっている気がして



彼が言った『愛しているから抱く』ということの意味がわかった気がした



私も
この男のことを愛しているから
彼の全てが欲しいと思うのだ



そう気付くと
もう私は言われてもいないのに、這ったまま近づいて彼のものを咥えた



劣情を鎮める一環で、男のものを含んだ事もあるし、この男にも同じように口淫をしたけれど



今は違う



愛おしい男の、その象徴を愛する行為だと感じた



この私が、夢中になって奉仕をする姿が
壁にかかる鏡に映る



膝立ちする男に頭を掴まれながら
その男のものを口一杯に頬張って顔を上下する自分…



その姿を見て
不思議な気持ちになった



この男が勝利したのは間違いない
しかし私が敗北した、とも思わなかった



歪んでいた私の〈死〉
そして新しい私の〈生〉を得た思いだった



全てはこの男がもたらしてくれた運命だ



神よ…



今までの過ちを赦して欲しいとは言わない
償いは、必ずする



今は、この男と共に愛を育むことを
どうか赦して欲しい



愛を知らずに生きてきた
シム・チャンミンという男を憐れむのなら



この男がくれる愛というものを



味あわせて欲しい…



彼が私の顔を両手で挟み
自分の良い加減で動かしたのち



口内で精液を吐き出したのは



私が神への懺悔を終えた瞬間だった






本日、20時半に不定期更新の「追憶」を掲載致します。よろしければ合わせてご覧ください

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