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渇欲 56
2017-04-29 Sat 21:00


このお話はフィクションです






「うわっ!フレア、速いってば!」



週末とはいえ、この寒い時期の乙旺里(仁川広域市にある海水浴場)には人っ子一人いない



車から降りて早速念願の散歩をし始めた俺は
ご機嫌なフレアの全速力での疾走についていけず、砂浜で見事に転んだ



フレアはそんな俺を気にもとめず、リードをぶら下げながら自分の好きなペースで走って行ってしまう



『フレア、Come!』



車を駐車場に停めた後、俺の後ろからついてきていたチョン・ユンホがそう声を掛けると
フレアはヤツの元へとあっさり戻って来る



『ダメだな…若いくせに脚が全くついて行ってなかったぞ』



転んだ俺の手を引っ張って、立たせてくれたヤツが笑いながら言う
ヤツの指が俺の頰に触れた



『砂が……』



どうやら転んだ際についたらしい



俺の顔についたそれを払いながら
その指は顎を掬い取って、柔らかな唇の感触を誘った



冷たい潮風が、重なる唇に潮の香りも届けてくれる



なぜ…
今日の口づけはこんなにも優しいのだろう



足元で大人しく伏せたフレア
彼のリードを持ったチョン・ユンホのもう片方の手が、俺の腰を引き寄せる



官能を呼び起こす様な深いそれではなく
身体の奥に、妙な感情を際立たせる様な優しい口づけ



これじゃ、まるで…
……いや、そんな事があるわけ無い



「もう一回、散歩し直す!」



自分の存在定義を勘違いしてしまいそうで
抱き寄せられたヤツの腕から抜け出した



海岸沿いを、今度はリードを短く持って歩く
フレアは時折俺の顔を見上げながら、歩調を合わせて付いてくる



その後ろを
日差しが眩しいのか、チョン・ユンホが目を細めながら付いてくる



冬空の中でも
周りにはやけに穏やかな空気が流れているようで



それは
時の流れまでもがその針をゆっくり進めている様だった



この男と、こんな風に歩いている自分が信じられないけれど
それでも、今この時間を共有しているという事実



この男は…
この時を、この空間をどう思っているんだろうか…



俺とフレアの数歩後をゆっくり歩くヤツの顔を、少しだけ首を捻り覗いてみる



何だよ…何で微笑んでるんだ…



初めて見るヤツのそんな表情に、いつになく鼓動が早まる
くそッ…俺の体はどうなってんだ!



目が合いそうになるのを、隣を歩くフレアの頭を撫でて誤魔化す



『シム・チャンミン。
この先に俺の持ち物の店がある。そこで一休みしよう』



いつの間にか歩調を早めたチョン・ユンホは
いつの間にか隣に並び、顎で行き先を示す



海岸に大きくせり出す形のテラスを配した小洒落た建物が見えた
入口にはすでに来る事を知らされていたらしい従業員が頭を下げて出迎える



テラスに置かれている大きなテーブルとソファー
その横には暖をとるストーブも置かれていて
チョン・ユンホは俺の腰にスッと手を回し、その席へと座らせた



コの字型のソファーに並んで座る
真冬のテラスは寒々しいけれど、ストーブのおかげで寒さは感じなかった



従業員から水を貰ったフレアはそれを飲んだ後
足元に置かれたラグに優雅に体を横たえる
ここにはよく来るんだろうか?フレアのそんな様子から、来慣れている感じがした



『小さい頃から俺は海を眺めるのが好きでな。時間が出来るとここに来るんだ』



運ばれて来た暖かいスープを口に運びながら、ヤツがぽつりと言った



「あんたアメリカ育ちだよな。スタンフォード大学ってカルフォルニアだったっけ。海の側だもんな」



前に調べた事を言いヤツの話に合わせる



「カルフォルニアは太平洋でこの海は西海だから、海の色も違うんだろうけどな」



いつか写真で見たカルフォルニアの海は鮮やかな碧い海で、明るいイメージだけれど
冬の西海は静かな蒼い色で、ねずみ色の曇り空と似合うという印象だったから



『いいんだ、むしろ違う方がいい。
同じ色の海を見ると思い出したくない記憶も蘇る』



海を眺めるように置かれたソファーの上で、俺の手を握ったチョン・ユンホ
心なしかその手は震えていた気がした



ヤツの頭の中にあるアメリカの記憶は
お姉さんの死もあって辛いものなのかもしれない



俺に打ち明けようとしている訳ではないんだろうけれど、それを隠している様にも見えなかった



理不尽な暴行を受けてショックで震えていた昨日の俺
この男の温もりが傷を癒してくれた



今日は俺が
握られた手を…ヤツの大きな手を握り返す
言葉ではなく、手を握り返すという事で会話をしているみたいだ



『来週は忙しくなりそうだ。青瓦台がもっと慌ただしくなるだろう。
お前もあの事務所で泊り込む事になるかも知れんな…あのボロさでは隙間風が寒そうだ』



余計なお世話だ、そう思ったけれど
俺と同じで、ヤツもあえて憎まれ口を叩いてるのかもしれないって思った



「俺は…これからもあんたを追い続けるよ。
青瓦台の騒ぎの裏側にも…きっとあんたの顔が見え隠れしてくるだろうからな』



『情熱的だな、シム・チャンミン。
お前に追われるのならば、それはそれで悪くない』



握られた手はそのままに
チョン・ユンホは、もう片方の手で俺の顔を引き寄せる



『お前に追われて向かう先がたとえ地獄だったとしても、俺はこの手を離さんぞ。覚悟しておけ』



……それで構わない
俺はチョン・ユンホという監獄へと投じられる事を望んだのだから



今度は俺が
空いている手でヤツの顔を強引に近づけて、柔らかい唇を塞いだ



「望むところだ。あんたの全てを暴いてやる」



全ての事が向かう先にどんな答えがあるのか、それはまだわからない



チョン・ユンホという男の“真実”を知る事は
シム・チャンミンの“渇き”を満たしてくれるんだろうか



二人が進んでいる荊棘の道
その行き先が地獄か、天国か…
その答えは、俺自身が導き出さなければならないんだ



見つめる海に立つ波は、今は静かなままだけれど
いつ雲行きが変わり強い風が吹き大きな波を立て始めるかもわからない



今はただ…
この男と互いの体温を感じ、穏やかな空間を共有していたいんだ



歩き疲れたフレアがこくりこくりと眠たそうに目を細めているのを見ながら



隣の男の温もりを、ただひたすら心地よく感じていた俺だった






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2017-04-29 Sat 22:18 | | # [内容変更]
海&カフェでデート♡
すみを ヾ(✿❛௰❛ฺฺ)ノぉはよぉ~❤

昨日は娘が夕方から熱が出て休日開いてる病院探したり連れて行ったりしてたからバタバタして
来れなかったわ。゚(゚´Д`゚)゚。ミヤネ
今頃インフルエンザよ( TДT)職場で流行ってたらしいのよね。゚(゚´Д`゚)゚。

なんかさ 最初の出逢いから激しかったから
こんな風に穏やかに海をフレアと一緒に
散歩するなんて全然予想出来なかったよ♡

しかもチャンミンの頬についた砂をとりながら
キス💋なんて!!٩(๑>∀<๑)و♡
太陽の写真集みたいじゃないのΣ>―(*´Д`*)→グサリ
それに こんな所にも
ユノのカフェがあるなんて流石だわ(๑•̀ㅂ•́)و✧
海沿いの小洒落たカフェなんて
素敵過ぎるわ( ✧Д✧) カッ!!
あたしを雇ってくれないかしら( ✧Д✧) カッ!!←ヾ(゚Д゚ )ォィォィ

何だかんだ!めっちゃラブラブ󾬌な2人を
見れて くみを感無量よ( ー`дー´)キリッ!!
世間はざわざわしてるけど
2人でサムギョプサルを食べに行ったふ・た・りを
信じるし応援するわ( ✧Д✧) カッ!!( ✧Д✧) カッ!!( ✧Д✧) カッ!!
すみを ファインティン(๑•̀ㅂ•́)و✧
2017-04-30 Sun 10:56 | URL | くみちゃん #- [内容変更]
すみを~♡
コンチャ――ヾ(≧∀≦)ノ――♪

(*´艸`)キャ
ちょっとぉ‼
爽やかカップルじゃないー♡
人気のない冬の海岸に美しいワンちゃんを連れた美しい2人~♡
はぁ♡
絵になるわぁo┤*´Д`*├oポッ

『お前に追われて向かう先がたとえ地獄だったとしても、俺はこの手を離さんぞ。覚悟しておけ』
キャハ━━━━(#゚ロ゚#)━━━━ッ!!
このセリフにババァ撃沈……。
(。_。(゚∀゚(。_。(゚∀゚(。_。(゚∀゚(。_。(゚∀゚ )スペシャルゥンゥン!!!!
離しちゃダメよ‼
地獄も奈落も2人一緒よぉー‼

ありを興奮しちゃったわ…
明日、仕事なのに大丈夫かしらぁ(〃艸〃)ムフッ
2017-04-30 Sun 19:24 | URL | Ali #- [内容変更]
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2017-04-30 Sun 23:55 | | # [内容変更]
Re: りょ****様
こんにちは〜
コメントありがとうございます(´∀`*)

そうですよぉ〜
クールな帝王も、案外独占欲が強いんですね
椅子の配置を頭の中で考えてのさり気ないエスコートです♡
こういう洗練されたジェントルマンな感じ、文章にするためには結構苦労します( ノД`)
ウチの旦那とかは絶対にありえないので、身近では見られませんからね...

韓国ドラマで気に入っているシーンを思い描きながら書いたりしています

フレアのモデルは我が家の愛犬なので、フレアの表現には事欠かないんですけど(^▽^;)

身長164cmの私の横にいてちょうど骨盤あたりに犬の頭が来るので、チャンミンだったらやや前かがみ気味になるとそれ位かな?と考えてこっそりユノの表情を見させた風にしました

だいぶ二人の間の空気が変わって来ましたよね!私も最後まで頑張りますヽ(*´∀`)ノ
2017-05-01 Mon 12:19 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
Re: くみちゃん様
こんにちは!
コメントありがとうございます(*´∀`)

お嬢さん、この時期にインフルエンザなんて...
ついてないですね( ノД`)
オンマも忙しい毎日ですから、くれぐれもご自身の体にも注意してくださいませ(∩´∀`)∩

っていうか、日曜日に更新セットしたつもりが土曜だった事を合わせてお詫びします(>_<;)
うっかり者のゆんちゃすみです...

どーですか( ✧Д✧) カッ!!
顔についた砂を払ってからのキスはぁ(//∇//)
すみをの変態妄想でのワンシーンです
すみをが転んで、テミンくんが助けてくれるっていう…(♡ˊ艸ˋ)
いや、多分テミンは「やだーバカじゃん!」って言いながら、倒れたすみをにガシガシと砂をかけると思われます(。-∀-)

手枷足枷を付けられて強引に犯された時から、ようやくここまで来ました
すみをもざわざわしてる気持ちは置いといて、最後まで精一杯頑張ります(`・ ω・´)ゞビシッ!!
2017-05-01 Mon 12:30 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
Re: Ali様
こんにちは
コメントありがとうございます(*´∀`)

キャ───(*ノдノ)───ァ
ありを、そこなのよぉ!
俺様ユノを象徴するっていうか…この世の全てのものを掌握する闇の帝王が、唯一のわがままを通すっていうか...

地獄までも伴うというセリフは、クールでいても実はそれほどにまでもチャンミンへの想いを募らせているっていう事の象徴として書きました!

だからありをがそこに食いついてくれて嬉しいです

私のテンションというかモチベーションの下がる一方ですが…一度私がやってみたいと思って始めたこのブログですから最後まで精一杯やり遂げたいと思っています

ありをの素敵な作品も、私のモチベーションをぎりぎりのところで食い留めてくれています
いつも本当にありがとう
2017-05-01 Mon 12:40 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
Re: ユ****様
こんにちは
コメントありがとうございます(*^_^*)

お久しぶりです♡
あれよあれよという間に、世間はGWへ突入しましたね(^▽^;)
私はサービス業なので、GWはフル出勤の予定です
でも旦那の顔を見ている方が苦痛なので、お金を稼ぎに行った方がよっぽど良いんです(*≧艸≦)ププッ

最初はちょっとした興味から始まった関係ですがチャンミンはもう既に、闇の帝王ユノの掌上でその愛を一身に受けているんですよ〜(♡ˊ艸ˋ)

冬の海は水の色もどこか夏のそれとは違う感じで...
衝撃的な出会いから、今ここで穏やかな時間を共に過ごしているというそんな二人には冬の海の静けさがぴったりだと思いました♡

どさくさに紛れてウチの愛犬を加えてますけど(笑)
私が彼らに並ぶ事は恐れ多く、とてもじゃないが妄想でも無理ですが、私の溺愛する愛犬ならばそのルックスで可能では...と(∀`*ゞ)テヘッ

必死に貯めた私の新羅貯金、北のかりあげクンに攻め入られたら困るので、この情勢ではとても恐ろしくて行けません(>_<;)
2017-05-01 Mon 12:54 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
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