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渇欲 53
2017-04-16 Sun 21:00


このお話はフィクションです






なんでだよ…



『いい男が台無しだ』



そんな台詞を言って俺の顔を撫でる男は
俺がターゲットにしている男だ



殺人が絡む様な大きな事件の黒幕だと睨んでる
…それなのに



革手袋を外したその男の手が思いの外温かくて
その温もりを味わう様に、自然と首を傾けた



そんな俺の身体を受け止める様に隣に座るチョン・ユンホ
その身体からは嗅ぎ慣れた煙草の匂いがした



『なぜやり返さない?
口喧嘩を好んでする割にケンカは苦手か?』



俺が預けた体重を黙って受け止め、腕をゆっくりと肩に回しながらチョン・ユンホが言う



背の高さは俺の方が高いと思っていたけれど
ヤツという人間の器を物語る様な深い懐に、俺はあっという間に包まれていた



「ケンカは嫌いだ。暴力反対!ってね。
っていうか、見た目で太刀打ち出来ないって判断したのさ」



強がる口調も
チョン・ユンホの温もりの中では全く意味を成していない



痛くなかった筈の傷口が、急にズキズキしてきて
それを引き金に、めちゃくちゃに殴られた事で受けた恐怖が全身に震えとして現れた



「思う存分殴れば、あの男も満足してさっさと仕事に戻るって思ったんだよ。
俺は…この店を監視するという大事な仕事があるからな」



お前を監視しているんだという宣言も
ヤツの腕に抱かれながらでは何の牽制にもなっていない



分かっているのに
そんな自分のちぐはぐさが煩わしい



強がっているのは…俺の上辺だけで
この男の懐に包まれた事で震えが止み、安心している自分が本当の姿なんだろう



子供をあやす様に、ぽんぽんと規則正しく腕を叩いていたヤツが口を開く



『この店を監視していて何か成果はあったのか?
俺も常連として気になるな』



俺が【紫蘭】のオーナーが誰なのかを知っている上でのこんな台詞…
不遜な笑みを浮かべているヤツの瞳をジッと見返す



俺が真実に行き着いたとしても
この男はきっと、顔色一つ変えない気がした



こうして宥められている俺は丸切り子供みたいだけれど、そんな俺を侮っている様には見えない
むしろ、どんな結果を出すのか楽しみにしている様に感じた



それがチョン・ユンホという男の
年の差だけではない人間としての余裕なんだろう



どんなことが起きようとも
それに対処し、きちんとクリア出来るという自信そんなヤツの心がはっきりと見えた



「スムダン電子の元会長と検察庁長官。元会長の愛人であるアイドル。ここが始まりだ。
検察庁長官が紫蘭に来る日に決まって顔を見る男が居てさ」



ヤツの胸に重なる自分の耳に、話している声が籠った様な感じではね返ってくる



「その男は、最大野党の党首が紫蘭に来ている時にもよく見かけたんだ。
…そしてその直後、大統領に汚職の疑惑が湧いて出た。近いうちに答えが導き出せる気がしてるよ」



自分の頭の中を、整理しながら正直に話す
この男には…偽りは決して通用しないから



『いい線をいってるな。さすがによく見ている』



こんな風に褒められるのは、何だか気味が悪い
説明する時に閉じた瞼の裏で、ヤツがどんな表情をしているのか思い浮かべてみた



『この調子ならば、お前のその目に“真実”という物が映し出される日も近いだろうな』



俺の頬を両手で挟み込んだチョン・ユンホがじっと見つめて来る
ヤツの宝石の様な漆黒の目に自分の姿が映って見えた



吸い込まれてしまいそうな錯覚に襲われて、ふと目を逸らしてしまう
でもすぐにヤツの手が俺の顎を掴んで、再び視線を合わさせられた



『この俺から目を逸らす事は許さん。
お前のその目に映る標的は俺だろう?逸らした時点で、お前の敗北だ』



この目だ…
ヤツのこんな目で見つめられると俺は…



吸い込まれそうになるという錯覚が現実になるように、自然とヤツと目を合わせてしまうんだ



ヤツは満足そうに頷くと
俺の頬を親指で一度だけ撫でた



何だよ…そんな事…
いい子だ、って褒められているみたいだ



そんなバカみたいな事を一瞬考えたけれど
目の前に居る男の目は再び、真剣な眼差しを見せた



『いいか?シム・チャンミン。
お前が追い求める“真実”を導き出すその時まで…
決して俺から目を逸らすな』



目の前の男の大きさに圧倒された
狎鴎亭の帝王という称号は、揶揄されてのものではない



全ての者がこの男の前で自ら膝をつく程の圧倒的な力を持っているからこそ、与えられた称号なんだと思った



「俺の目にさ、真実が映ったら…
あんたどうすんの?困るかもしれないよ?」



そんな大きな存在にささやかな抵抗を見せる
チョン・ユンホの口許が再び少し緩んだ



俺が真実に行き着く時
もしかしたらその時は、この男の破滅の始まりかもしれない
俺がヤツを…追い詰めるかもしれないんだ



それが一瞬でも怖く感じたのは



俺という存在が、もう抜け出すことが出来ないくらい奥深くまで
チョン・ユンホの一部に組み込まれてしまったからなんだろうか



そんな考えから逃げるかの様に頭を振って
頰に重なるヤツの手を振り解こうとして手を伸ばす



でも
自分の心のコントロールが効かなくて
血管が浮き出るチョン・ユンホの手の甲に重なり、そのまま止まってしまった



『でもシム・チャンミン、お前は…
その時もきっとこうして俺の腕の中にいる筈だ。

…俺の元からお前が逃げる事はきっとないだろう』



まるで呪文をかけられている様に
その男の言葉が、俺の身体を動けなくしてゆく



そうだよ…



きっと俺は
その“真実”がどんな物だったとしても、この男の温もりからは逃れられないだろう



チョン・ユンホが
俺の身体へと打ち込んだ灼熱の楔は



俺の身体に得体の知れない感情を芽吹かせ
そして棘のある枝を伸ばしながら俺を絡めとっていった



昂ぶる灼熱を受け入れ溢れた涙も
チョン・ユンホに揺らされて流した汗も
身体中に棘が刺さり流れてゆく血も



全て
この男に奪い取られた



そして



最後まで堕ちる筈が無い心までも
あっさりと奪われた



俺は……チョン・ユンホが好きだ…



そんな恐ろしい想いに気づいてしまった俺は
その“事実”から逃れるために



棘だらけである筈のチョン・ユンホの胸へと
再び、自らの身体を投げ出していたんだ



痛みを伴なわない
いや
痛みを伴っても構わないんだ



チョン・ユンホという監獄へ
俺を閉じ込めてくれ







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この記事のコメント
オーマイガッ((유∀유|||))
オーマイガッ(∵)((유∀유|||))

こんな時間に来ちゃって190拍手👏だなんて
……( ̄□ ̄;)!!
すみを ミヤネヨ。゚(゚´Д`゚)゚。


ヤツは満足そうに頷くと
俺の頬を親指で一度だけ撫でた………
きゃあああ( ●≧艸≦)ユノかっけー💕💕💕

もう 口が悪いチャンミンだけど
口とは裏腹に身体はユノの腕の中だし
しかも 自分から心までも奪われて
好きだと気づいちゃったし。:+((*´艸`))+:。

ユノも最初は新しい玩具位のつもりが
チャンミンの虜になって
自分の物にしてるし。:+((*´艸`))+:。

チャンミンが事件の真相を暴けば暴くほど
二人の距離がグッと近づいてるみたいだわ( ✧Д✧) カッ!!( ✧Д✧) カッ!!
結局 真相がわかっても
チャンミンはユノが好きだから
二人は離れられないのよね(๑•̀ㅂ•́)و✧

ってか こんなにかっけーユノを
書けるのに 部活のLINEは
アーミーやらシャヲルやら
ビギストの 『ビ』の字も出て来ないから
不思議よね( ✧Д✧) カッ!!( ✧Д✧) カッ!!( ✧Д✧) カッ!!ちょっと人が仕事で忙しい時に
エセビギ達が煩かったわ(・д・)チッ(・д・)チッ(・д・)チッ(・д・)チッ(・д・)チッ(・д・)チッ

ほんとにyouは ユノペン?( ̄∀ ̄;)
2017-04-17 Mon 16:18 | URL | くみちゃん #- [内容変更]
ォ'`ョ━━━(。・∀・)ノ━━━ゥ

やっとハニーが駆け付けたわ~‼
もう、息子が帰ってくると何だかバタバタしちゃって‼

ちょっとーーー‼‼
チャンミンったらユノのあの綺麗な手にほっぺたスリスリしてるじゃないのぉー(ノ∀\*)キャ
うらやましい~‼
しかもすっかり飼いならされちゃってぇ(〃艸〃)ムフッ
フレアよりもワンコになってるわぁ♡
でも仕方ないわ( ー`дー´)キリッ
こんなにカッコいいユノなんだから( ✧Д✧) カッ!!
ババァもメロメロよ( ✧Д✧) カッ!!
2017-04-18 Tue 08:00 | URL | Ali #- [内容変更]
Re: くみちゃん様
こんにちは!
コメントありがとうございます(*^_^*)

イャ───(*ノдノ)───ン
かっこいい?かっこいいですか?!
嬉しいです((o(*>ω<*)o))

かれこれ一年半ほど、いわゆるホミン小説というものを書かせて頂きましたが...
いつも「かっこいいユノ」という大きく分厚い壁にぶち当たり、苦悩してきました

私が頭の中に描いていた渇欲の世界を、くみをとありをに話した事を覚えてますか?
そのイメージでありをが作ってくれたタイトルのユノを、どれだけ文章で表す事が出来るかと日々悩みながら書いてきました

相変わらず文才は無いですが、くみをにそう言って貰えるのであれば何より嬉しいです

((( ;゚Д゚))エッ!?シャヲル?ARMY?
そうです、私が変なシャヲルおばさんです!( ̄▽ ̄;)
2017-04-18 Tue 15:20 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
Re: Ali様
こんにちは!
コメントありがとうございます(*^_^*)

ありを忙しいね( ノД`)
息子氏に振り回された分は、将来絶対に返して貰わなくちゃね( ✧Д✧) カッ!!
すみをも将来を見越して子供に恩を売ってるわ(笑)

昨日もウチのキモヲタ大学院生が技術面接とかで大阪行くって言ってて。半分は企業が交通費負担してくれるらしく、残りの新幹線代欲しいって言ったらケチ過ぎるクソジジイが自腹で行けよとか言うからさ
すみをが「娘にばっかり金だしてさぁ!彼は今はバイトだって出来ないんだから出してやんなよ!」って言ってやったわ( ✧Д✧) カッ!!

お話の方はだいぶ二人の距離が近くなったでしょお?気づいたらもう50話を越えてたのよ( ̄▽ ̄;)!!
ねえ...どの辺まで続けたらいいのかしら( ノД`)←自分で考えろよ
2017-04-18 Tue 15:29 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
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