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華筏 第2章 ~星鏡 15~
2017-03-06 Mon 18:00


このお話はフィクションです






久しぶりの大作へと本格的に取り掛かった僕は
一日のうちの半分以上を、アトリエで過ごした



色が分からないからといって妥協はしたくない
迷った時は、夜遅くても愛しい人の帰りを待つ



僕の “色” となってくれるユノの帰りを…



彼が自らの星鏡に映った色彩を再現しようと
パレットに絵の具を合わせているのを見つめる



今日もユノの帰りを玄関で待ち構えていた僕は
スーツの上着だけ脱いだ彼の手を引っ張ってアトリエに急いだ



『こんな色だったんだ。星鏡の湖がさ、ほとりから凍り始めてただろ?
その氷に映った夕焼けが…絶妙の色でね

チャンミンが書いたデッサンも、そこの部分だけが強調されてる様に見えたから』



きっとユノは仕事で疲れてると思う
今夜も終電で帰って来たから



それなのに
真っ白なワイシャツの袖をまくって
僕のために絵の具を何度も合わせては捨てるという作業を繰り返す



「ユノの目にもそう映ったんですね。
僕のモノクロの世界でも、星鏡の湖がその淵から
燃え始めている様な錯覚を覚えたんです」



キッチンへ降りていき、ユノのために作っておいた夕食のスープを運んで来た僕
そう伝えながら、彼の脇に置かれたミニテーブルにスープ皿を乗せた



『いい匂いを嗅がせておいて
お預けさせるつもりだな、チャンミンめ』



そんなつもりはなかったのに…



「ユノ、そんなつもりは…」と言う側から
顔を引き寄せられて、いきなりキスをされる



『こっちの方のお預けは無理だからね』



…んもぅ



僕としては、スープが冷める前に食べて欲しいのに
ユノにキスなんかされたら、僕の方が冷めなくなっちゃう



『さあ、どうかな。
この色は…深くて、その上鮮やかな緋色だ』



きっと
あなたのふっくらとした唇もそんな色なのかな
炎が空気を取り込んで勢いをつけた様な、そんな鮮やかな緋色…



一日を終える時、日は沈んでゆく



でも



きっと、ここに沈んでゆく太陽は
朝、昇ってくる時よりも激しく燃えている感じがしたんだ



次の日、再び同じ姿を見せるために
なお、自らを燃え上がらせてる様な…



僕は、今の自分の気持ちを星鏡の湖に打ち明けた
その湖が、僕の想いを自らの水面に描いてくれた気がする



「ユノ…あなたは僕にとっての星鏡の湖なんです。
この絵は、あなたとの未来を映した作品になると思います」



色が入っていない最後の空白部分に筆をおき、彼に伝える
描くことを諦めていた僕の…新しい作品の完成だ



『おめでとう、チャンミン』



ユノは自分の格好も気にせず、ぎゅっと僕を抱きしめてくれる



いつもかっこよくてシャープな雰囲気の彼と同じように
夜になるまでパリッと型が崩れないワイシャツにたくさんの絵の具を散らして



『俺はね、チャンミン。〈華筏〉というチャンミンの絵を始めて見た時さ。
華筏を作っていた花たちの流れゆく先には…何があるんだろうって思ってた。


…きっとこんな夕陽が、その花たちの終焉を見届けてくれてたんだって、今わかった気がする』



花々の葬送



そう言うと、不吉な意味合いが濃くなるけれど
人もまた、その人生の終焉を迎えた時には
花たちと同じような葬送で送られ後、次の世に生まれるための準備をするのかもしれない



僕が描いた花たちは
次に生まれ来る時も花でありたいだろうか



僕は
次に生を受ける時もまた、この人と出逢いたい…



そう思いながら
いつものスペースへと自分の名前を刻んだ






〈今までの事を許して欲しいとは言いません。
世の道理に反していたのは、不倫という道を歩いていたあなたの母親の方だからです〉



僕は今日、初めて父親の家に足を踏み入れている
そこで迎えた父の本妻…姉さんの実の母親から、そう言われた



「分かっています。それが当然のことです。
むしろ、母が生きていたら僕は一緒に頭を下げていたと思います」



父親のたっての願いで、僕はシム姓を名乗る様になったけれど
いわゆる妾の子であることは紛れも無い事実で



母がこの人から夫の心を奪った事も事実で
その証として、僕がこの世に生を受けたんだから



〈でも、あなたはこの家の人間です。
シム・ミョンミンの長男であることを忘れずに生きていくように〉



僕を最初から弟として迎え接してくれた次姉が
自分の母親の言葉を聞いて、向かい合わせに座っている僕へと頷いた



「はい。決して忘れません。二人の姉も、僕には大切な姉弟です」



今まであまり接点のなかった長姉はどこか所在なさげだったけれど、そう言った僕に微笑んでくれる



元から父の会社で働いている長姉
ユノが財団法人から本社に移動して働く様になってからは、時折僕へと土産を持たせてくれていた



僕はそんな長姉にも、次姉へと同じように畏敬の思いを持っている



血が繋がってるんだ
全部じゃなくても、それは何より大きな事実



母が亡くなってから、ずっと一人ぼっちだと思っていた



でも
ユノに出会って…かけがえのない存在を得た事が
僕にこうして“家族”をも、もたらしてくれた



〈ここは、あなたの家です。時折帰って来るように〉



書面上は、義理の母になっている父の本妻
そう言ってくれるだけでも…僕にとっては、十分すぎると思う



「はい…そうします…」



肺を病み、療養生活を送っている義母は
席を立ちお辞儀をする僕へ
〈ゆっくりしていきなさい〉と言ってから部屋へ戻っていった



いつかはしなければならないと思っていた事が、こうして出来たのも
僕の隣に座るこの人が居てくれたからだろう



『チャンミナ、頑張ったね』



小声でそう言ってから
テーブルの下で、そっと僕の手を握ってくれる
ユノが居たから…



〈待たせて済まなかったね。
急ぎの用事が出来てしまったのでな〉



義母と入れ違いに入ってきた父が
僕とユノを交互に見て、自分の席へとついた



〈チャンミン。おかえり〉



ここはあなたの家です、と義母が言ってくれた様に
父もまた、そんな風に僕に声をかけた



「ただいま…父さん…」



ユノが握ってくれた手にぎゅっと力を込めて
僕は初めて、そう言ったんだ







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2017-03-06 Mon 20:13 | | # [内容変更]
チャンミン良かったねぇ。゚(゚´Д`゚)゚。
チャンミン良かったねぇ。゚(゚´Д`゚)゚。

今まで足が向かなかった敷居が高かった
家に やっと行く事ができたねぇ。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。
やっぱり ずっと妾の子って言う
重荷があったから この先も行く事が
なかったんだろうけど ユノと言う
大切な人が出来て
背中を押してくれたから 行けたんだよね(*´∇`*)

ちゃんと 一緒に寄り添ってついて
行ってるしね(○´艸`)

本妻も 結構良い人だったね。・:・(*´ー`*人)

あたしなら もし浮気相手の女の子供が
出来たら そんなに優しく出来ないわ( ✧Д✧) カッ!!( ✧Д✧) カッ!!( ✧Д✧) カッ!!

この本妻さんも ずっと苦しんでいた筈だよね…

って くみを めっちゃ真面目にコメントしてるし!!
( ̄□ ̄;)!!

ちょっと華筏を読み返してたら
コメント欄が めっちゃ豪華で
びっくりしたわ( ✧Д✧) カッ!!

すみをの師匠のあゆさんや紫苑さん
カプリコさんに ありをに
部長もいて 暴れてた( ・ิ౪・ิ)( ・ิ౪・ิ)( ・ิ౪・ิ)( ・ิ౪・ิ)
なんか懐かしいわ。・:・(*´ー`*人)
2017-03-06 Mon 21:44 | URL | くみちゃん #- [内容変更]
ダーリン♡
ハニーがきたわよぉ(〃艸〃)ムフッ

チャンミン良かったね(இдஇ; )
ユノが隣で手を握ってくれてたから、すごく支えられたよね(இдஇ; )

本妻さんはきっと色んな葛藤があって、悔しい気持ちも悲しい気持ちも沢山あったと思うけど、ちゃんとチャンミンを認めてくれて、すごく出来た人だと思うわ╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ !

ここで大暴露
実はオッサン、お妾さんの子供です…

言い逃げしちゃえε=ε=ε= ヘ( `Д´)ノ
2017-03-06 Mon 23:11 | URL | Ali #- [内容変更]
Re: りょ****様
おはようございます!
コメントありがとうございます(o^^o)

そうなんですよ( ノД`)
…ユノのね、あのぷるぷるの唇の色を見させてあげたい
お話の中とはいえ、チャンミンに障害を負わせている事に未だに罪悪感を覚えます(T_T)

彼の記憶の中に元々ある対象物は、今でもその記憶を辿りながら色をつけて見えているはずですが
色を失ってから出会ったユノは、モノクロの記憶しかありませんから...

(´º∀º`)ハッ
何だかしんみりしてしまった!
りょ****さんは、このお返事読んでもしんみりしないでくださいね(^▽^;)
2017-03-07 Tue 08:36 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
Re: くみちゃん様
こんにちは!
コメントありがとうございます(*^_^*)

いやー、懐かしいですね(^▽^;)華筏!
星鏡を書くにあたり、私も自分で華筏を読み返したんですけれど、ちょっと恥ずかしいですわ(((^^;)

至って真面目に書いてますから、余計に(笑)
コメント欄はアレですけどね( ✧Д✧) カッ!!

でもやっぱり、ベストオブコメント欄は師匠の所での雪山行きでしょう!
よくもまあ、師匠の書かれるあんな素敵なお話のコメントで、大暴れ出来たもんだと( ̄▽ ̄;)
((( ;゚Д゚))エッ!?お前だよ!!って!?
...m(。≧ _ ≦。)mス、スイマセーン

せっかく華筏の続編という形でお話を書く事になりましたので、星鏡ではチャンミンの新しい一歩を書きたくて。
こんな風に、本当は一人じゃなくて家族という場所があるというシーンを入れました(∩´∀`)∩
2017-03-07 Tue 15:26 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
Re: Ali様
こんにちは!
コメントありがとうございます(o^^o)

ハニー♡おいでやすヾ(〃^∇^)ノ
すみをのミスに気づいてくれてコマウォ♡
いつもは4、5回読み返して誤字脱字を確認するんだけど...最近は、何とかお話を仕上げてすぐ更新してるからダメね(T_T)

予測変換で時々変な日本語になるのよ!
LINEとかでユノをいじってたりすると、文章の中にいつの間にかユノ子とか入ってる時があるの(^▽^;)

っていうか、サラッと衝撃発言してたけど!
オッサンの時代で二号さんってびっくりだわぁ

じゃあすみをも暴露
中学の卒業アルバムで「男子が選ぶ〇〇な人」と「女子が選ぶ〇〇な人」っていうコーナーがあったんだけど
「政治家の愛人になりそうな人」で栄えある1位を獲得したわ( ✧Д✧) カッ!!
どういう中学生なのよ( ✧Д✧) カッ!!嬉しくないわ!!
2017-03-07 Tue 15:42 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
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