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渇欲 39
2017-02-19 Sun 21:00


このお話はフィクションです






光沢のあるワイン色の上品なスーツ
胸元にフリルの施されたシャツはシルクだろうか
その見た目と相まって、王子様の様な風貌の男



俺よりも若いって事は、その肌が艶々してることで分かる
とはいえ俺だってまだ二十代半ばなんだし、彼は二十歳そこそこって感じか



にこにこと微笑む彼の見た目からは
〈Lucifer〉…堕天使を名乗るメールの送信者とは何だか結びつかなくて、思わずまじまじと見つめてしまう



〈シムさん、どうぞかけて下さい。“込み入った話”は、立ったままでは出来ないよ〉



Luciferは彼に送ったメールの文言を引用して俺にそう言うと、幼い笑顔を一転させた



俺を見上げる様に鋭い視線を投げかける
その碧い目は、どこか人工的な不自然さを感じた



そう、まるで人形の様な…生きているそれとは違う違和感



俺、こんな感じをどこかで味わった気がする
…そう、あの男と向き合っている時に感じたんだ



無表情で何の感情も顔に出さないチョン・ユンホに、何処となく似てる気がした



有無を言わせない様な言い方も、どこかヤツとかぶる気がしたけれど
こういう金持ちには共通するものなのかもしれないと思い、促されるがままソファーに座る



さっきの男がワゴンに乗せた紅茶を恭しく運んできて、俺とLuciferの前に置いた



〈じゃ早速、“込み入った話”をしましょうか。
シムさん、あの男をどうしたいと思ってるの?〉



Luciferはメールと同じように、丁寧そうで馴れ馴れしい独特な言い方で切り出した



「え…?というより、先ず先にお話ししたい事があります。名前が分からないからとりあえず、Luciferさん。

あの様な高額の広告費は理由も分からないまま頂くわけにはいきません。お返ししたいと思います」



家の様子だけでも見よう…と思っていた予定と反し
いきなり本題に入ってしまった状況を整理しつつ、俺も大事な事から彼へ返した



〈チッ…〉



品の良い部屋に仕立ての良い服
おとぎ話に出てきそうなその見た目と裏腹な、彼の舌打ちに驚いた



〈あのさぁ、あのやる気に満ちた記事は上辺だけ?あいつと寝たら、もうそっちに夢中なの?

どこの新聞社にも書けない“事実”を書けるって僕は思ったんだけど…〉



!!!



この男…何で俺があいつと寝た事を知ってるんだ!?
俺の顔にはまず間違いなく驚愕の表情が浮かんでいただろう



〈ふーん。やっぱりもう寝てたんだ。
そうかなーと思ってカマをかけてみたんだけど、シムさん分かりやすいなぁ〉



何だって?!
畜生!このヤロウ、舐めやがって…
殴りかかりたい衝動に駆られるも、何とか踏み止まる



Luciferは尚も不敵な笑いを浮かべながら続けた



〈記事を読んで“この人なら”って思ったけど、僕の見込み違いだったみたいだね。
もういいや。どうぞ思う存分、あいつとのベッドを楽しんで〉



Luciferは蔑んだ様に俺を見下ろしながら、そう言った



「ちょっと待てって。俺の話をろくに聞かないうちにそんな結論出すなよ。
そもそもさ。俺の名前も何も知ってるくせに、そっちは名乗りもしないってどうなの?」



頭にきた俺は、立ち上がったLucifer腕を掴み食ってかかる
するとLuciferは目をまん丸にしてジッと俺を見た後、〈ウフフ〉と笑い出した



〈ごめんね、ほんとシムさんの言う通りだ。
僕はイ・テミン、20歳。血液型はB型で、好きな食べ物はお肉…〉



「あのね、ふざけてんの?金持ちだからって人のことバカにすんのも大概にしろよな。
そんな見た目で韓国人?そっか、カラコンしてんだな」



唄う様な言い方が人を小馬鹿にした感じだったから、我慢の限界にとうとう達してしまった俺は思わず語気を強めて言い返す



たかが二十歳そこらのガキにバカにされる覚えはないしな



「外人にでもなりたいの?そんな金髪にしてさ。
カラコンで目まで碧くして念入りだな」



得体の知れない金持ちに身構えていたけれど
あいつとの事を知られてるのであれば、おそらくはチョン・ユンホと近い存在である事は確かだし



そう分ればある程度緊張の糸も解けてきて
俺らしいいつも通りの元気さで相手への嫌味も出てくる



…と言うより、空元気とでも言うのか
あいつとの肉欲に溺れていっている“事実”を見抜かれた事で、必要以上に動揺してるのかもしれない



〈シムさん。人にはそれなりの深い事情っていうのがあるでしょ?
シムさんだってさ、あの大物の男娼っていう深い事情を人に言われたら嫌じゃない?〉



人工的な碧い瞳に怒気を滲ませて俺を見つめる



「誰が男娼だよ!!いい加減にしろよなっ!」



こういう風に最後まで我慢しきれない所が
いつまで経っても大人になりきれない原因で
あいつとの決定的な人間の器の違いなんだろう



大人気なく自分よりも小柄な年下の男に掴みかかった俺は
あっという間に実直そうなスーツの男に取り押さえられた



《お帰りください、シム・チャンミンさん。
この様な状況では主とは話もままならないでしょう》



眼鏡の奥の目が哀れむ様に俺を見る
この男は、Luciferの秘書か執事だろうか…
首根っこを抑える様なやり方はせず、ただひたすら冷たく目で見つめてきた



チョン・ユンホの秘書の様な温厚な見た目のタイプとは違い、きっとこの男は見た目そのもので
冷静に物事を進めていきそうな印象を持った



ちょっとの事でカッとなる俺とは…正反対だ…



目の前のLuciferの方も俺が言った言葉が相当気に障ったらしく
肩を強張らせながら俺よりも先に部屋を出ていこうとする



ドアに怒りをぶつける様にバタンと大きな音を立てて閉めた



会いにきた相手が居なくなってしまっては、これ以上ここにいる意味もなく
俺もさっき入ってきたばかりの玄関へと足を向けた



偵察するどころか
自分の直さなくてはならない悪い部分を痛感するという失態を犯した俺
ほんとガキだよな…



すごすごと屋敷を後にして庭を歩く
門まで来たところで視線を感じ、振り返ると
大きなバルコニーに立つLuciferが俺を見つめていた



どうしてだろう…
間近で見た時は、まるで人形の目みたいで
やたらと人工的な違和感を感じた彼の碧い瞳が
なぜか…哀しそうに見えたんだ



もう一回会いに来なくてはいけない…
そう思いながら、俺はそのまま屋敷を後にした







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