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渇欲 37
2017-02-14 Tue 21:00


このお話はフィクションです






「いや、さすがにボーッとしてるよ!さっきも階段を踏み外しちゃってさ」



ミノが何かを指摘してきたわけでもないのに
チョン・ユンホのレクチャー通りに、朝帰りした事を言い訳している俺



言い訳っていうか
むしろ朝帰りをしたと自分から打ち明ける様になってるし



〈ヒョン!一度家に帰って休んで来たらどうですか?無理しちゃダメですって〉



ギプス姿の自分の方が、よっぽど無理をしてここに来ている感じなのに…
俺の嘘を鵜呑みにして心配するミノを直視出来なかった



自分の家のベッドより何百倍もデカくて上等な寝具に包まれて
快楽を貪り尽くした後の気だるい身体を休ませていただなんて…



自分がひどくおぞましいものに見えてしまう



「大丈夫!それよりも、今週号だ。
ミノが戻って来てくれた分だけ記事にも厚みを持たせたいから、もっと頑張らなきゃな」



ミノにではなく自分へそう言い聞かせて、デスクへと足を向けた



パソコンの電源を入れパスワードを入力する
買ってきたコーヒーを口に運びながら、起動するまでの数分間を待つのがいつもの俺の流れで
何故かそれだけでほっとしてしまう



あの男と一緒にいる時に感じる違和感…それは
超一流企業のトップとマイナーなウェブ新聞社トップの、住んでいる世界の差なんだろうか



生きている人間に平等に与えられているはずの空気すら
あの男とは違う物を吸い込んでいる様な気がする



そのくせ、チョン・ユンホに抱かれる度に
ヤツの色へと少しずつ変えられていっているような気がして



ヤツから与えられる快楽に抗う事なく
無様に溺れていっている自分…



起動中の暗い画面に映るそんな自分の姿を否定する様に大きく頭を振った



パソコンが立ち上がったのと同時にリュックから手帳を取り出す
俺だけの…大事な取材ノートだ



携帯電話が更に進化したスマートフォンという万能アイテムがあるにも関わらず
俺には、むしろこのアナログさが丁度いい



真っ白なページに、簡潔にまとめた一行を眺める



“スムダン買収の真実” ……



昨夜夕食を食べていた時
どこか楽しそうなチョン・ユンホが俺にいきなり賭けを持ちだした



高価そうだとしきりに言った俺に対し、そのワインの値段を当てさせたヤツ
俺が正解した時には、聞きたい事を答えてやろうと言った



『なぜスムダン電子がテソンの物になったのか…』



チョン・ユンホは俺にそう言って、俺を煽るようにニヤッと笑っていたっけ



俺が知りたいと思っている事…
それを見抜いているかの様に切りだした一言



『やれるものならやってみろ』
ヤツはそう心の中で言っていたんだろうか



それとも



俺が答えに行き着くことがないと
高を括ったヤツの油断が漏らしたヒントだろうか



いずれにせよ
俺が書いた一行の中に、全てがまとまっているんだと確信した



一人のアイドルの死…この事が
俺が書いた一行の中で大きなネックになってくるんじゃないか



発見後されたその日中に自殺としてあっさり処理された事
所属していた芸能事務所社長が、彼女が悲劇のヒロインになった背景を涙ながらに話していた事



そして、それが全てである様に報じたマスコミ…



警察も彼女の事務所もマスコミも
その裏にいる、とてつもなく大きな何かに
操られていたんじゃないだろうか?



とてつもなく大きな何か…
それがチョン・ユンホであるに違いない



あの男に初めて会った時に受けた衝撃を、今でもはっきりと覚えてる



全てのものがひれ伏す様な圧倒的存在感はきっと
全てが自らの手中に収まっているからこそ、自然と備わってきたんだと感じた



ぶるぶるっと身体が震えたのは
対峙するターゲットの巨大さに怯んだからか



それとも



その男に植え付けられた官能の記憶が体内で疼いたからか



ミノが取材に出かけた事にも気づかないくらい、あの男の記憶と苦戦していた俺は
スクリーンセーバーに設定しているキャラクターが動く画面を、ひたすら見つめていた



ポケットのスマホが震えた事で我に返った俺は、マウスを動かしてパソコンの画面を呼び戻す



スマホの方は新商品を知らせるネットショップののメールだったけれど



パソコンの受信トレイには〈RE: 〉とだけ表記されたメールがあった



それは
広告費という名目で多額の金を振込んできた
“Lucifer”からの返信だったんだ







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