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華筏 第2章 ~星鏡 12~
2017-02-11 Sat 18:00


このお話はフィクションです






ユノと久しぶりにゆっくり過ごせた休日
あの日、星鏡の湖へ舟を出した時に言っていた通り



湖は程なくして、そのほとりから薄氷を張り始めた



あと半月もすれば一面が氷で覆われて
いつにも増してひっそりとした静寂に包まれ、ただひたすら春の訪れを待つようになる



「仕事は楽しいか」と問うた事に
『楽しいと言うより嬉しい、かな』と答えたユノ



その真意は聞けないまま
彼は再び仕事に追われる日々に戻っていった



帰宅が深夜になることもしばしばで
僕は、隣に出来ている冷たい空間に触れながら
一人でベッドに横になる毎日が続いた



彼と想いを通わせ、共に暮らし始めたあの頃は
こんな風に一人でいる時間が主になるなんて思っていなかった



でも
現実は現実として受け止めなければならない



僕の家で一緒に暮らすようになったけれど
それはただ、居住空間を共にしただけだ
それ以外のユノは、僕が知らない空間での新しい道を歩み始めた



前の会社が倒産するという悲劇の最中、出会ったユノと僕
その後、僕との交際を父に認めてもらったユノは、父の元で働き始めた



僕の居ない場所で、ユノの新しい生活が始まったという事実
僕の知らない、ユノの時間…



そんな時間が存在することさえも厭わしいと思ってしまう



わかってる
全部僕のワガママだって事も



ユノが好き
好きっていう言葉では言い尽くせないほど



彼を知れば知るほど、僕はのめり込んでしまい
好きになればなるほど、僕だけのものでいて欲しい



僕は、ワガママで欲張りだ



この家にあの人を閉じ込めてしまいたい
そんな事まで脳裏をよぎる自分が恐ろしくなる



こういう時は…決まって筆も走らない



先週から下書きを始めていた新作
キャンバスに向かっても木炭は宙に浮いたままで
僕は溜息をひとつ吐いて用品を片付けた



僕の気持ちを慮ってか、今日は空もどんよりとしている
この感じでは今冬初めての本格的な雪が降るかも知れない



星鏡の湖のあの美しい水面が姿を消してしまうから…僕は冬が嫌いだった



ユノと始めて一緒に迎えた冬は
そんな僕を一転して冬好きにさせた



星鏡が見られない寂しさを彼が消してくれただけでなく
冬の夜の長さというものが、彼の腕に抱かれて過ごす幸せを満喫させてくれたからだ



「冬なんか…嫌いだ…」



どんよりとした空模様を睨みながら呟く
ユノが居ない冬の夜は…今度はその長さが寂しさを増幅させるから



アトリエから出て一階に降り、リビングに入る
気分転換にこの前貰ったハーブティーでも淹れよう



「寒っ……」



人気が無かったリビングは暖房を入れても直ぐには暖まらない
セーターの袖を伸ばしてその中に手を縮こめて
自分の息で、冷たくなったその白白しい手を暖めた



ユノは今頃どうしてるのかな…
仕事場は、どんな感じなんだろう…



頭の中は、やっぱりユノの事だらけで



〈そのうちユノ君についての研究論文でも書きそうだわ〉



そんな事を言って姉さんに笑われた事を思い出した



父さん…
そんな風にまだ呼ぶことは躊躇う間柄だけれど



亡くなった母と、手元に置けず苦労をさせた僕への罪滅ぼしという名目で
父が作った美術館を運営する財団法人



母を失い外国から単身でソウルに戻ってきた僕に、肉親の中で唯一接点を持ってくれた二番目の姉はそこで代表を務め、ユノも当初はそこで働いていた



今年秋の異動で、ユノは父直属の部署に配置されたとだけ姉から聞いていたけれど
詳しい事は誰も何も教えてくれなかった



そこに何か深い理由あるのか
それとも、特段言う必要がないと判断されて教えて貰えないだけなのか…



そういうことを考えてしまうと僕の悩みは一層深くなってしまいそうだから、考えるのはやめていたけれど



この間から
僕の心の中に、うまく言葉で説明出来ない正体不明の闇が作られて



その闇が、気にしない様にしていた事も再び掘り返してきてしまう



姉さんにそれとなく聞いてみようか?
僕にはその程度しか手段もないんだけれど



まさか此の期に及んで
名ばかりの父親を訪ねて行くわけにもいかないだろう…



ユノと出会い彼と恋に落ち
それをきっかけにして父とも初めて会った



初めて会った父は
自分の中に流れる血をその見た目で感じるくらい似ていたけれど



それを嬉しいと思えない事情が僕には根深くある



本家…
父達が暮らしている家にも、もう何度となく呼ばれているけれど足は向くことは無い



二番目の姉が居るとはいえ、本妻の長女であり父の会社で本部長を務めているもう一人の姉と
その母親である父の本妻がいる家に、どうして僕が行けるだろうか



二番目の姉いわく、僕が母のお腹にいた頃に会社の相続者争いで立場が危うかった父も
その争いに打ち勝ち、会社をこの国で一二を争う様な大企業に創り上げた事で



本妻の発言も一切抑えられる様になったらしく、僕を正式にシム家の長男として迎え入れることに同意しているとの事だけれど



僕は……



このまま一人、殻に閉じこもる日々を送っていて良いのだろうか?



最愛のユノは今、その父の元に居るのだから
僕もまた、少しずつ新しい世界へと足を踏み出していかなければならないんじゃないか?



僕が父を拒絶しなければ
その側にいるユノにも、更に良い影響をもたらすことができるかもしれない



そんな風に思った僕は
星鏡の湖が見たくなり、コートを羽織った



完全に凍ってしまう前に
僕のそんな小さな決意を、湖の水面に聞いて欲しかったんだ



来年の春
美しい華筏を見せる為、少しずつ硬い蕾を準備する樹木の様に



僕もまた
少しだけでも、何かを芽ぶかせたかった







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この記事のコメント
シムの葛藤(○´艸`)
オチュカレ━(〃´∀`)ノ━ッッ!!!。゜。゜寒(ノ)´Д'(ヾ)寒゜。゜。(〃´u艸u)=ε3=з3(((o゚Д゚))。o◯

って 毎日寒いわ( ✧Д✧) カッ!!

星鏡のチャンミンったら
心の葛藤してるし!!( ✧Д✧) カッ!!

ユノの論文を書けるくらい
どっぷりユノに依存してるし
ハマってるわΣ>―(*´Д`*)→グサリ

勝手に色々グル・グル( ˘•ω•˘ ).。oஇ考えて
ドツボにハマってるし!!( ̄□ ̄;)!!

ユノはチャンミンの為に
チャンミンのお父さんの会社に
入って頑張ってるのにねぇ( ̄∀ ̄;)

チャンミンも生い立ちが 2番目の
奥さんの子供だから
自分で 引け目を感じてるみたいだけど
チャンミンは何も悪くはないから
堂々としてれば 良いのよ( ✧Д✧) カッ!!

すみをも某有名ブロガーさんのあ○さんも
スタポで
🐰ユノで遊んじゃダメよ( ✧Д✧) カッ!!( ✧Д✧) カッ!!

キモカワ過ぎて笑っちゃったじゃないの!( ✧Д✧) カッ!!
あたしも あの衣装欲しいけど
ジェム使いすぎて
買えない……(´;ω;`)ウッ…

(・д・)チッ(・д・)チッ(・д・)チッ(・д・)チッ
あの衣装着せて
キモカワイイ ユノを
見たいわ( ✧Д✧) カッ!!
2017-02-11 Sat 23:17 | URL | くみちゃん #- [内容変更]
こんばんは~♪ヽ(´ー`)ノ

ハニーが遅くなったけど来たわよぉ~♡

チャンミン(´;ω;`)ウッ…
寂しいのね…
今までは静かな色の無い一人の世界の中で過ごす事が平気だったのに、その世界の中にユノが色をつけてくれたから…
チャンミンにとってユノは世界の全てになったのかも知れないね…
でもそんなユノに寄り添いたくて少しずつチャンミンも外の世界へと一歩を踏み出すのかな?
って、、ありをの勝手な解釈でゴメリンコ♪(〃3〃)ゞ

ダーリン(´;ω;`)ウッ…
ハニーったら更新してるの気付かなくって54拍手だったよm(o´・ω・`o)mペコリン


2017-02-11 Sat 23:41 | URL | Ali #- [内容変更]
Re: くみちゃん様
こんにちは〜
お返事が遅くなりましたm(> <*)m

土日めいっぱい働いて、日曜は新しいパートさんが入ったのでいつものペースで働けなかったから違う疲れを感じ...
その後に実家へと長距離異動を敢行したおかげで相当疲れきってた私、今朝は犬のトイレをさせたあと二度寝しちゃってました(-∀-`; )

誰かさんに以前言われたんです…
星鏡のチャンミンにゆ〇ちゃすみを重ねているんじゃないかって…
ユノを好きすぎて辛いという作者の思いを込めているかのような、チャンミンの葛藤(;゚Д゚)!

ち、違うからね!そんなんじゃないもん( ✧Д✧) カッ!!
ずっと恋を知らずに生きてきた華筏のチャンミンが、ユノと恋に落ちて苦しんでいる様子を書きたかっただけだよぉぉ。゚(/□\*)゚。わ~ん
2017-02-13 Mon 15:38 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
Re: Ali様
こんにちは〜
お返事が遅くなりましたm(。>__<。)m

ダーリンってば最近こっそり更新するのが、パターン化してきて...ハニーを振り回すツンデレっぷり(*ˊ艸ˋ)♬*

普段の生活の流れの中で出来た空き時間を繋ぎ合わせてお話を作っているのだけれど
出来上がると早く更新しなくちゃという前のめりな思いで更新してるから...予告もしないでごめんなさい(T_T)

恋というものを知らず、絵を描く事で自分の人生に色を付けていた「チャンミン」
その彼が色を失った後に得たユノという恋人に、新しく色づいた人生を貰った「チャンミン」

華筏と星鏡の二つのお話の中でそんなイメージを頭に浮かべつつ...相変わらず乏しい表現力ではありますが、繊細なチャンミンの「違い」を書ければいいなと思っております(/-\*)
2017-02-13 Mon 15:57 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017-02-16 Thu 16:18 | | # [内容変更]
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