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渇欲 26
2016-12-25 Sun 21:00


このお話はフィクションです
性的な描写を含みます
ご注意ください






「んっ……」



眩しさのせいで強制的に意識が元に戻ってくる



「あれ…俺…」



自分の意識が戻ったというのに
その自分がどういう状況に居るのかも分からない



俺が居た空間は
それくらい混迷とする場所だったのだろう



一度見た記憶のある白い天井
初めて味わった上質のベッドリネンの記憶



そんな断片的な記憶と共に、この場所がヤツのホテルだという答えを導き出した



昨夜、あれから俺はどうしたんだろう…



ぼんやりする頭は睡眠時間が足りないせいだろうか?
酒を飲んだ後の不快さは全く残っていない



初めて味わった上質の酒
その美味しさにつられ随分と量を飲んだ気がしていたんだけれど



蒸留酒は身体に残りにくいっていうのは本当なんだと思った



「ッ……!」



身体を起こそうとして走った鈍い痛み
どんよりとしているくせに、鮮烈な記憶を蘇らせる痛みだった



チョン・ユンホ……



酒の余韻はきれいさっぱり消えているのに
ヤツの残したもの全てが昨夜何があったのかを鮮明に教えてくれる



俺の身体を這うヤツの赤い舌
節ばった細い指が身体を辿った記憶



そして
俺の身体に残る痛み…



記憶の中心で大きく残っていたチョン・ユンホは
まるで俺の全てを征服したかのようだ



俺は…どうやってここに来たんだろう
痛む腰をさすりながら、枕を背中に添えてもたれ掛かる



『ここでこのまま続けるとさすがに出入り禁止になるか。俺がこれを下げた時にはもう止められないぞ?…どうする、シム・チャンミン?』



ジーンズのファスナーに手をかけながら、そう言って俺の顔を覗き込んだチョン・ユンホ
自らがオーナーであるという事を俺が知っているかどうか、カマをかけたのかもしれない



最も簡単に乗せられて答えてしまった俺は大馬鹿だ…



出入り禁止になるどころか
ヤツは俺を組み敷き、手慣れた様子で抱いた



ソファーに片膝を立てたチョン・ユンホに揺らされた俺は
男に抱かれ慣れているみたいに男に突かれたまま絶頂へ導かれた



悪夢の続きが、そんな鮮烈すぎる記憶で俺の首を絞めてくる



隠微な笑みを浮かべたヤツの顔…
弄られた事で赤く膨らんだ胸の飾りを、俺が吐き出した白濁を指に纏わせて撫でつける



俺の中で動く灼熱は徐々に勢いを増して
官能に浸る様に眉間に寄せた皺が、チョン・ユンホの整った顔を一層美しいものに見せた



その美しすぎる悪魔が
俺の身体を貪り尽くし、その証を体内に注ぎ込んだ時にはもう



俺の意識はヤツの棲む世界に飲み込まれてしまったんだろう



自分の記憶に吐き気がしてパウダールームに駆け込む



鏡に映る俺は
チョン・ユンホの所有物だと証明するかのように
身体中に深紅の刻印を散らせていた



現実の世界に戻ろう…



前にここへ連れ込まれた時と同じ事を考えて
シャワーも浴びずに、部屋に戻った



一まとめに置かれていた服を急いで着る
以前と同じように、俺のリュックもきちんとテーブルの上に置かれていた



そのリュックを背負い寝室を出るとそこには
椅子に座り腕を組んだ男が居て、思わずギョッとした



〈ようやく起きたのか?お前のせいで無駄な時間を過ごしたぜ〉



ノーネクタイで黒いスーツを着ている男に見覚えがあった
どこか分からない場所に拘束されチョン・ユンホに陵辱された時に会った男だ



〈行くぞ〉



年も大して変わらなそうなのに、やたら偉そうな感じで言うこの男
あの時もいちいちムカついたけど、今日も初っ端から燗に障った



「行くってどこに!ってかお前何なんだよ」



文章を書く事を生業にしている割に
相変わらず喋ることには知的さのかけらもない俺



無表情な男は大げさに肩をすくめて俺を見た



〈あんたの家だよ。送り届けるように上に言われてんだ。つべこべ言わずついて来い〉


「はぁ?送り届けるって…子供じゃないんだから自分で帰るし」



男の横をすり抜けるように動く
誰が送り届ける様に言ったんだよ…全く意味がわからない



〈あんたさ。あれだけされてまだ懲りないの?まあ、俺には関係ないけど…っていうか、送り届けないと俺が怒られるから〉



男はそう言って俺の腕を掴む



背の高さも変わらないし、蹴りの一つでもくれて走り去ればいいんだけど
あいつのせいで腰に鈍い痛みが残っていて、身体が思う様に動かなかった



「お前が誰に怒られても、それこそ俺には関係ないわ」



ぶすっとした顔で言い、大人しく男について部屋を出た



セフンといっただろうか
チンピラ風情のこの男は、ヤツの会社には似つかわしくない気がする



ホテルの駐車場に停めてあった車に乗り、運転席に座った男を観察する
チョン・ユンホと同じ年頃の、いかにもエリート然とした男に使われている様だったけど



「お前さ、何なんだよ」



もう一度同じ質問をしてみる
語彙に乏しそうな言葉だけれど、使い方によって予想外の情報を聞けたりする言葉だ



〈俺は上の指示であんたを家まで送る様に言われてるだけだ。丁重にな。何を言われても手を上げられてもあんたには一切、手を触れるなと言われてる〉



…ますます意味がわからない



この男のが言う“上”というのは、あのエリート然の男だと思うけれど
俺に妙な事に首を突っ込むなという脅しをかけたのも、間違いなくあの男だろうに



今度は
丁重に扱い、手を上げられてもやり返すなと言われているという



自分の存在が
どこにどう動かされようとしているのか
窓から見える景色も、見たことのない物に見えていく



あの男の棲む世界に入ってしまったらしい俺は
自宅へ向かっている道でさえももう、分からなくなってしまったみたいだった







次回「渇欲27」は12/29(木)21時に更新致します

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