FC2ブログ
縁結 第2章 ~至愛 42~
2016-10-25 Tue 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Prince Yunho



《皇太子殿下、おはようございます。朝早くから申し訳ございませんが至急大殿にお出まし願います》



チャンミンの額に貼りついた髪を直しつつ彼の頰や耳にキスを落とし、ゆっくりと自分の息を整える愛の行為の余韻の中



静かなイ内官の声がかかる



恥ずかしがり屋の最愛の人を抱き上げ彼のベッドに戻し、それまで敷いていた掛け布団でチャンミンを覆ってやる



『行ってくる』



チャンミンの額にももう一度キスをしてから、拾い集めた服を着た



何かあったんだろう
余程のことが無ければ、こんな時間から呼ばれる事はない



扉を開けるとイ内官が頭を下げて控えていた
その後ろにはコ尚宮と医女も控えている



『チャンミンの顔色は良いと思う。尚宮、朝食にはチャンミンの好物とテミンの好物を並べるよう伝えておいてくれ』



かしこまりました、と言う二人を残してイ内官と対の間を後にした



《殿下、まだ時間はございます故、シャワーとお着替えをどうぞ》



イ内官が用意していた服を持ち、言われた通りにした



《早朝に広報へ連絡が入りました。今度は先日の妃殿下お披露目のパーティーでの件が週刊誌に掲載されます》



大殿への通路を早歩きで進みながらイ内官が言う



『パーティーでの件?』



《左様です。妃殿下に触れられた圭賢君殿下の手を跳ね除けた際、突き飛ばすようになってしまわれた件でございます》



何だって?
もうだいぶ前の話だし、何よりもあの場にいたのは王族と一部の内閣の人間だけだ
それなのになぜ…



『わかった』
それだけ返し、歩調を更に早めた



父上の執務室ではなく居間に案内されて扉の前で一呼吸おく



『おはようございます。ユンホです』



中から〈入りなさい〉と言う大妃様の声が聞こえた



居間には大妃様と両親が座る
どの顔にも困惑の表情が見てとれた



〈チャンミンはどうだ?〉と問う父上の声に
『落ち着きました。ご心配をお掛け致しました」と頭を下げる



促されて椅子に座る俺の前には、その週刊誌が置かれていた



〈王族の中からこの様な物に話題を提供するという人間が出た事も非常に遺憾だ。しかし、過ぎた事とはいえ、皇太子の非もあったのは事実ゆえ如何ともしがたい〉



【見過ごせない皇太子の暴力性】



あのタブロイド紙に載った密会の文言よりもいたってシンプルだけれど、その分読み手側の受け取り方が広がりそうなタイトルだった



その現場の写真こそないものの、実際に出席していた王族の誰かが事細かに話しただけあって、リアルな場面が想像出来た



“自分の妃に少し触れられただけで怒り狂った皇太子は、圭賢君殿下の手を思い切り跳ね除けた。その際あまりの勢いに爪が当たったのか、圭賢君殿下の頰には血が滲み妃殿下が慌てて駆け寄られた”



一字一句、内容は一切間違っていないから
俺も言葉を失う



“皇太子はその後、チャンミン妃を残したままさっさと会場を後にした。残された妃殿下は心細そうで、圭賢君殿下が一生懸命お慰めあそばしていた”



これも、事実だ…
悔しさのあまり握りしめた手が震えた



『申し上げるべき言葉も見つからず、恥ずかしくてなりません。圭賢君には改めて正式に謝罪したいと思います』



顔を上げられず、俯いたままになってしまう自分が情け無い
自分の愚かさをこんな風に突きつけられると、悔やんでも悔やみきれない思いでいっぱいだった



〈この件で急遽、午前中に王族会議が開催される事になった。そなたは矢面に立たされる事になろう。私が出来る限り盾になるが、覚悟して臨みなさい〉



『当然の事と存じます。むしろ父上の御負担になりたくありません。庇うような事はなさいませんように』



悔しい…
心臓を患われた父上の助けになりたくて一生懸命やってきたのに…結局こんな風に父上の負担になってしまうなんて



〈バカを言うな。お前に非難が集中した時に守ってやれるのは私しかおらんだろう。よいか?重鎮は皆、兄上が亡くなられたことをずっと無念に思っているのだぞ〉



そう声を落とす父上の顔もまた、俺と同じように悔しさを滲ませていた



〈米国からこちらに戻った圭賢君が、亡き兄上に一層似てきたのも重鎮にその無念を晴らそうとさせているんだろう。私達は逆境に立たされているのだと、覚悟を決めねばならない〉



病のせいでやつれが目立つ父上
タイへの訪問を終えたら、どこか空気の良いところで療養して頂こうと思っていたばかりだ



俺のせいだ…



俺が不出来だったばかりにその親である父上もまた、亡き叔父上と比べられてきたはず



チャンミンという支えを得て、こんな俺でもようやく変わる事が出来た
それまで気づかぬ間に父上に掛けていた苦労を、これから少しずつ返していけると思っていたのに



自分が…今までしてきたワガママの代償が
こんな風に返ってくると思わなかった



でも…
うじうじと過去の事を悔やんでばかりじゃ
前と何も変わらない



一つの過ちに対しては二つの成果を上げればいい
そう思ったじゃないか



『父上、私は決して逃げません。父上の盾になれる様に…しっかりと胸を張って会議に出席します』



この週刊誌を読んでからずっと下げていた顔を上げた俺にはもう、迷いは無かった



チャンミンも泣かせない
父上の愚息にもならない



悔しさで震わせていた手を今度は力強く握り締め
俺はしっかりと前を見た






ランキングに参加しております
応援していただけると嬉しいです

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト
別窓 | 至愛 | ∧top | under∨
| HOME |