縁結 1

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Royal family



俺はチョン・ユンホ
20歳、彼女…的な存在有り
国営の大学に通う3年生



勉強は嫌いだ
でも幼稚園からエスカレーター式に大学まで上がってきたから、何となくそのまま通っている



いわゆるお坊ちゃんやお嬢様が通うこの学園は
我が国の王族が運営している学園で、王族や金持ちが大卒という学歴を得るために経営していると揶揄されている



それ故、そんな批判を抑えるために他校で優秀な成績を納めた学生を学費免除の特待生として呼び入れているが、当然金持ちと一般庶民の派閥でかたまる傾向がある



俺の周りにいる人間も、財閥の子息や大手企業の御曹司ばかりで、俺の彼女も両班の流れを組む貴族の令嬢だ



そんな俺はというと
この国で王政を敷く鄭王朝の皇太子だったりする



制服を着崩し、靴の踵を踏み抜き、ガムを噛みながら歩く俺の姿を見て大人たちは一斉に溜息をつく



幼少時から付けられている養育係ももうお手上げ状態で、俺の父親…すなわちこの国の王にも「殿下を更生させるなど、私の寿命が尽きたとしても無理です」と開き直って言っている有り様だ



いや、別に不良を気取ってる訳ではない
俺は別にこの国の王になりたいわけじゃないという本音が、そんな風にさせている



俺には夢がある
大好きなダンスを外国で目一杯勉強して、ブロードウェイの様な大きな舞台に立ちたいという夢



だけど現状
父親が王で、母親が王妃で、俺が長男という事は



必然的にこの国で王になるという行き先に向けて敷かれたレール上に抗えず生きている



それが、俺だ



〈ユノ~みんなでクラブにでも行こうって話になってんだけど、お前どうする?〉



皇太子である俺に対しても変な意識をせず普通に接してくれる親友が、授業を終えた俺に言いに来た



〈ユナも行くって言ってる〉



親友ドンヘが顎で示した先には、講堂の入口で小さく手を振る彼女の姿があった



彼女というか、ちゃんと付き合ってくれとか言ったわけじゃないけど、なんとなくいつも側にいて接してくれる子だ



俺と付き合うという事は
交際が深くなり、もし結婚ということに行き着いたとして、その先には皇太子妃になるという重い事実があるから



今まで付き合う(みたいにしていた)女の子には、一度たりとも正式に付き合ってたほしいと告げた事はない



そんなずるい自分がすごく嫌だ…



『ドンへ、悪りぃんだけど今日は大事な用があるんだ。イ内官に絶対に出席しなければならない会議だって散々釘さされてっから、帰るわ。ユナをちゃんと送ってやって』



そう言いながら教科書を鞄にしまって、席を立った



入口に立つユナに軽く手を振って、逆の入口から講堂を出た



講堂を出ると必ず両脇に立つSP達を従えて、大学の入口に横付けされた車に乗り込む



前後に2台ずつの警護の車が付き、王宮までの道の信号が全て青になるという至極大袈裟な俺の帰宅風景が、こうして日々続いているんだ



何で俺は王家なんかに生まれたんだろう…
今まで20年間生きてきて、何度思ったかわからない



生まれた時から、生きてゆく人生が決まっているという事実を幸せだという人もいれば、そうじゃない人もいる



何一つ不自由ない暮らしが出来て、好きな事がいくらでも出来そうで羨ましいと周囲の人間に言われるけれど、周りの人が思うほど俺は自由ではない



朝から晩まで、ありとあらゆる場面に周りに人が付き、排泄はきちんと済んだかまで確認される



立太子礼が済んだ後は、生殖能力がきちんとあるかまで調べられた



気分転換に庭を歩こうと思えばSPがぞろぞろついてきて、友達と映画に行こうとすればその時点で映画館はその日の営業を取りやめて俺たちが来るのを待たなければいけなくなる



どんなことにも、普通に生きられない
そんなことが当たり前だから、今はもうそれを嫌だとは思いもしなくなったけれど、少なくとも王族に生まれて良かったと思った事は一度も無い



そんなことを考えながら、王宮という名の自宅に到着した



普段は自分の住む建物は東宮殿という皇太子が住む棟に帰ってから、父親である王へ帰宅の挨拶に出向かなければならないが、今日はイ内官の出迎えによって王の住む大殿に直接出向いた



普段の挨拶は公務を終えてリビングで寛ぐ時だったり、執務室で公務に取り組む時だったりその日の王のスケジュールに合わせ様々だったが



この日は公式の会議に使われる広い会議室に連れて行かれた



部屋に入ると



両親…ではなく王と王妃が座り
祖母…ではなく大妃が微笑み
王直属のパク大殿尚膳内官や、内閣からは首相までもが顔を揃えていた



それだけで今日は重大な案件だということが理解できる



この部屋での宮中会議は、政務のみならず王室にまつわる議題が話し合われる時だけだから、何か王室の将来に関係する内容が話し合われるんだろう



『ただいま戻りました』と王へ儀礼をして
『大妃様にはご機嫌麗しく』と笑みを送る



家族だけれど、家族ではない
そんな奇妙な関係にも慣れてしまった



自分の席に腰を下ろすと、コ首相が深々と頭を下げ挨拶を始めた



〈それでは始めさせていただきます。世子様におかれましてはめでたく成人を迎えられました。先王の御遺言で、世子様が成人あそばした折に発表せよという事柄がございます〉



緊張しているのか、ハンカチでしきりに出てもいない汗を拭うコ首相
王の御前だからか?それともそんな重大な案件なのだろうか?



〈先王には、先の大戦の折に九死に一生を得た出来事がおありだったそうです。その時に先王を助けてくれた御仁とその後も深くご親交がおありでした


その際に固くお約束なさった事がありました。互いの子供は息子だったため、孫が出来たらその孫同士を婚姻させるというお約束です〉



コ首相は自分の役目は終わったとばかりに一息つき、一礼をした
だが急にそんなことを言われた俺たちは晴天の霹靂とばかりにみんなして目を丸くさせた



〈先王の御遺言で?大妃様はご存知だったのですか?〉



王は隣に座る自分の母親で先王の皇后に問いかける
大妃様は一人優雅にお茶を飲んでから微笑んだ



〈先王はこれ、と決めたらご自分の意志を必ず通すお方でした。よもやこれは決定事項です〉



王の質問への答えにはなっていなさそうでなっている大妃様のお言葉
目上の者を敬う儒教の教えを尊ぶ王室では王の生母である大妃様が実質上の最高位になる



やっぱり俺は普通の人生は送れない…
俺が生まれるずっと前から、俺の結婚相手は決まっていたんだ



虚しさ以上の脱力感に襲われた俺からは
ため息すら出てこなかった





ランキングに参加しております
応援していただけると嬉しいです

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
関連記事