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情火 第2章 ~扶翼 4~
2016-05-30 Mon 18:00


このお話はフィクションです

軍隊、及び軍内部につきましては実在の物とは一切関係ありません。ご了承ください




side C



訓練が終わった後、私は自分の兵舎に戻る
准尉以上の独身者が寝起きするこの兵舎とは、かれこれ五年の付き合いだ



階級が上がるたびに部屋のグレードも上がり、准将に昇進した時にこの部屋に入った



最奥の角部屋で、小さいがキッチンもついておりチェス以外にこれといって趣味もない私には使い勝手が良い



私が熱を出して倒れた際
トン中尉が余計な気をまわして、この部屋にチョン二等兵を送り込んだ事があった



その時彼に、私への想いを告げられたのだったが…



隣室はパク大尉が入っており、そういった面でも気が休まる



シャワー浴びた後、冷蔵庫からビールを取り出してお気に入りの椅子に腰かける



祖父から贈られたアンティークの一品はベルベット仕立ての生地が滑らかで、深い背もたれが包み込んでくれるような安らぎを得られる



私や父同様に軍を第一に考え家庭を顧みなかった祖父



そのせいで名家の出でお嬢様育ちだった祖母が、心を病んでしまった



“お姫様になりたい”
幼児返りしてしまってそんな願望ばかり口にしていた祖母を憐れんだ祖父は、家の家具を全てロココ調に変えた



そして祖母のために、白い大きなバルコニーが付いた一軒のロココスタイルの別荘も建てる
それが私に譲られて、私が恋人の訓練修了を祝った時に連れて行った別荘なのだが



祖母は祖父に贈られた豪奢な天蓋付きのベッドを喜び、永遠の眠りにつくまでその別荘を愛した



唯一の孫である私が産まれた時は



《目がぱっちりして、こんなに睫毛が長くて…この子は天が私に遣わしてくれた天使だわ》と喜んで
男なのにお姫様の様な格好をさせていたという



私の幼少期の写真は全て、豪華なレースの施された女の子用の服を着させられている
生れながらの軍人であった筈の私の、唯一見せられない過去なのだが…



ビールを飲み干して、ロココ調のサイドボードから最近気に入っているウィスキーを取り出し、今日はダブルでそれを楽しむ



そんな祖母のことを、晩年の祖父はこの椅子に腰かけて見守っていたと母から聞いた



少将になり、また一歩敬愛する祖父に近づいた
金の装飾が施された椅子の手すりを撫でながら、祖父に想いを馳せる



肉親の情が薄かったものの
私を可愛がってくれた祖母への慕情は強い



軍に入って以来がむしゃらに突き進んできた私が
忘れかけていた祖母への想いをこうして思い出すのも



あの男に凍てついた心を溶かされたからであろうか



普通の恋人の様に
電話で声を聞いたり、昨今の若いカップルの様にSNSで繋がることもできない私の想い人



今頃は兵舎で束の間の休息をとっているだろうか…



儀仗隊員が入る兵舎とは大きなホールを通してつながっているが、私の入る兵舎への来訪は出来ない。入り口に一人必ず見張りがいるからだ



トン中尉を呼び出し頼めば、彼女はあっさりとチョン二等兵を連れてくるだろう
が、しかしまだこの場所に来て一週間足らずで自室に恋人を連れ込む真似はしたくない



彼女のことだ
《恋人に会いたくてたまらないというそんな情熱的な少将もいいですね》と冷やかされる事が目に見えている



会いたくてたまらない…それは正直な気持ちだ
恋というのは、想いが通じた後の方がこんな切ない感情を生れさせるものなのだろうか



ウィスキーを置き、私服に着替えた私は気分転換に遊興室に向かうことにした
この時間なら誰かしらいるだろう。久しぶりにビリヤードでもするか



そう思い、施錠して下に降りていった



遊興室に向かう途中で、サイバー知識情報房を通りがかった



ここは兵士たちがパソコンを使って情報等を手にする事が出来る場所だ
チャットなどは出来ないが、比較的自由にインターネットを閲覧出来るようになっている



そこに
パソコンに向かう恋人を見つけた



同じような坊主頭でも分かる愛しい男の横顔
支給されているTシャツを着て、下は通常勤務服姿のチョン二等兵だ



私の足が向かわないはずがない
遊興室へ向かう足を方向変換させた



2台ずつ並べられたパソコン
空いていた隣の席に腰をかける
チョン二等兵は気づいていない様だった



パソコンの画面を見ながら、何やらブツブツ言っている



「何を見ている」



急に声をかけられ驚いた様子のチョン二等兵
少し顔を伏せた後、小声で『芸能界の情報を見ておりました』と答えた



やはり元の居場所が恋しいのだろうか…
少し寂しい気持ちがした



そんな私にはお構い無しにチョン二等兵はパソコンに目を向けたまま続ける



『少将にお会いできて嬉しいです…ここに来て以来なかなかお顔さえ見られませんでしたから。会えずに悲しんでいる私を神が憐れんだのでしょう』



…トン中尉が言っていた
付き合いたての二人にはクサいくらいの台詞が丁度良いと



この男の台詞もそんな感じだ
でも…確かに同じように思っていた私にとってはたまらなく嬉しい言葉だった



私が動く時、影となって私を守ってくれるパク大尉もトン中尉も居ないけれど
私の手は躊躇わずにチョン二等兵のもとに伸びる



どの方向からも死角になる位置で
愛しい男の手を握った



チョン二等兵の…ユノの温もりが伝わってくる
今すぐにでも抱きしめて、その唇を食みたい



いくら願っても、それは叶わない願望だ



分かっていながらも、ほんの少しだけこの愛しい男の温もりを満喫するのだった






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この記事のコメント
ヾ(  ̄▽)ゞオホホホホホ
1拍手Getしましたわぁ♡

きゃー♡
そのフリフリ着た可愛いシム少将の幼少期のサジン欲しいわぁ(゚ρ゚*)
絶対似合って、超可愛い筈よぉ♡
チョン二等兵が見たら、萌え転がるわよぉ‼

軍に全てを捧げたお爺様もお爺様なりにおばあ様を愛していたんでしょうね(*´ω`*)
もしかしたら、愛を知って人間らしく変わってゆく今のチャンミンの事を嬉しく思っているのかも…

サイバー知識情報房で偶然チョン二等兵と会えて良かったけど、芸能界の情報を見てる姿に、、シム少将、、いつかの別れを感じたのかも(´;ω;`)ウッ…切ないわ(´;ω;`)ウッ…

2016-05-30 Mon 18:22 | URL | Ali #- [内容変更]
長く書いたコメント流れたー川;゚;Д;゚;川
ちーん( ºωº )チーン…
すごーく長いコメント書いたのに
最後の最後で流れたーーーー川;゚;Д;゚;川
…………後でゆっくりコメントします……( ºωº )チーン…
2016-05-30 Mon 18:29 | URL | くみちゃん #- [内容変更]
はいはいはーい󾬆🙋あたしもその写真欲しーい♥
はいはいはーい🙋🙋
シム少将の幼少期のフルリのついた可愛い
女の子みたいな格好をした お宝サジン
あたしも欲しーーーーーーい♥♥😍😍
絶対可愛いわ♥間違いないΣ>―(*´Д`*)→グサリ

亡くなったシム少将のおばぁ様の為に
ロココ調のインテリアでまとめられた
別荘も これまたくみを見てみたいわ( ✧Д✧) カッ!!
アンティークなお祖父様の椅子に
座ってワイン🍷なんか片手に長い脚なんか
組んじゃったりしてたら
くみを鼻血ブーよっ(゚┏Д┓゚;)

それにサイバー知識情報房って
あるんだね(๑•̀ㅂ•́)و✧
本当にリアルに調べてるわぁ〜♡(๑¯ ³¯๑)
勉強になるわ〜φ(`д´)メモメモ...っと!!
そこに 愛しの恋人チョン二等兵が
いたから すぐ見つけたシム少将♥♥(*´∀`)
みんなに見えない死角を利用して
久しぶりに会ってるなんて ドキドキ💕
するよね(≧∇≦)

夕飯作る前に めっちゃ長いコメント書いて
さぁ流すぞーって時に
ほんとにコメント流れたーーー((유∀유|||))
今日はそんなNGワードは入れてなかったのに
WHY?WHY?WHY?
ゆんちゃすみさん 少しは元気になったかしら?
ゆんちゃすみさんにこの歌を
『人生楽ありゃ苦もあるさ』……………( ゚д゚)ハッ!
これって 水戸黄門じゃん!!((((;゚Д゚))))
2016-05-30 Mon 21:23 | URL | くみちゃん #- [内容変更]
Re: Ali様
こんにちは
いつもコメントありがとうございます(o^^o)

ぜったい可愛いですよ!
シムさんの幼少期のサジン...あのどこぞの両班のご子息の様なあのサジンを見ながら、ルイ15世頃フランス貴族の子供が着ていた服をイメージして着せてみました
脳内では完璧な天使の完成でしたね(//∇//)

リアルに彼が生まれた時のご両親を思うと羨ましい限りです!あんな可愛い子ですよ?!見るからに育ちの良さそうな...本当に素晴らしいo( >ω<)o

シム少将のそのサジンをこっそり見てしまって、ひとりでジタバタするチョン二等兵が見たいです(笑)
2016-05-31 Tue 14:40 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
Re: くみちゃん様
こんにちは
いつもコメントありがとうございます(o^^o)

コメントをせっかく書いたのに消えちゃったりする事があるんですよね(><。)私もありましたよーすごく悲しくなりますよね...あれ(TT)

リアル天使だと思うんですよ、私も!
フリルとかレースとかに囲まれたシム少将の幼少期♡
リアルなあの方の赤ちゃんの時のサジンも、どこぞの両班のご子息みたいな気品がありますからね!あんな可愛い子が生まれてきちゃったら...どうしましょう!
でもたくさん食べる子はちょっと困るかな...(。-∀-)

あくまでもフィクションですが、軍を舞台にした以上は出来る限り実際の物に近づけたく色々調べて書いています
おかげでハングルの軍隊用語も覚えちゃいました...無駄にしないよう天使ちゃんが入隊する時は私が軍隊に潜んで良からぬ輩から守りたいと思います(笑)

2016-05-31 Tue 14:50 | URL | ゆんちゃすみ #- [内容変更]
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