スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨
縁結 第2章 ~至愛 番外篇 3~
2016-11-30 Wed 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Prince Yunho



『何て言った?!もう一回言って?』



いや、別に怒ってる訳じゃないんだ



俺はもう、今までの手に負えないワガママ殿下じゃない
長い反抗期を終わらせて…自らの悪い所に気づき、直そうと思える様になった



それも全て
俺と共に生きていくと言ってくれたチャンミンのおかげだ



自分に課せられた無理難題の運命にも
その飾らない凛とした態度で正面から当たる
俺の目を覚まさせてくれたのは、そんな彼だった



執務室で公務をしていた俺は、そろそろ夕食の時間だと思い書類を片付けていた
そこに入って来たイ内官が、追加の書類と共に素晴らしい情報を携えてきた



ようやく終わると思っていた公務が増えたショックが吹っ飛ぶくらい、それは素晴らしい内容だった



母上とお祖母様…そこに加えてテミンまで居なくなるって言った気がして
そんな事は滅多にない事だから思わず聞き直してしまったんだ



〈ですから、今日中にサインして頂きたい書類がまだこれだけございました、と申し上げました〉



このやろっ!そっちじゃねーってば!!
俺が生まれた時、父上の眼鏡にかなって俺付きの内官になることが決まったイ内官



実の両親よりも俺の側に居て
俺のことを誰より知っているのも彼だ
そんな彼が最近はこんな感じで分かりやすくボケてくる



っていうか
俺がチャンミンのおかげでありとあらゆる面で変わって来ているのが嬉しいらしく



今まで散々酷い思いをさせられた仕返しに
俺をからかっているんだ



『イ内官…俺のどんなツッコミを待ってんだよ…
俺は公務をやり終えて、さっさと部屋に戻りたいのっ!早くっ!書類寄越せって!』



心臓の病に罹った父上の分まで、俺は公務をやらなければならない
適当にじゃあダメなんだ。父上の代わりなのだから、責任を持ってしっかりやらなければ



イ内官の手から書類を奪い取って、一枚ずつ目を通していく



今までは考えられない会話
イ内官は父上以上に俺に悪態をつかれ、時に俺がドアに向かって投げた本が当たってしまい怪我をした事もあった



両親と俺の間に挟まれていた彼は、きっと誰よりも苦労をしてきた筈で
そんな彼の存在の大きさも、今ようやく気づくことが出来たんだけれど



〈冗談をさらっと流す殿下…感慨深いです。冗談はさておき、予定されております大妃様と王后陛下の釜山行きのご公務ですが、お二人たってのご希望でテミン様も同行される事になりました〉



やっぱり神様は居るんだ
俺がここのところずっと公務がたてこんで、愛しいチャンミンと過ごす時間が少ないのを見ていて下さったんだな



ふらっと東宮殿に来ることがある母上
俺に用がある訳じゃなくて、大抵が母上お気に入りのテミンに会いに来ているんだけれど



俺とチャンミンは床入りの儀は済ませているが
〈互いが学生であるうちは共寝はせぬ様に〉という母上のご命令で、今でも別々の部屋で休んでいるから



夜、チャンミンと二人きりで過ごしたいと思っても
母上の抜き打ちチェックにあいそうで、なかなか実現しなかった



王室での床入りは、次世代にその血筋を伝えて行くために必要な行為とされ
二人の愛を確かめ合う行為ではない



昔は子を授かるために巫女に占わせ、床入りの日時まで決められてたらしい



俺とチャンミンは男同士だから、当然子を授かる訳がない



でも…チャンミンの肌に触れ、その温もりを分かち合い、共に朝の目覚めを迎えたいって思うのは
愛していれば当然の欲求だって思うんだ



『イ内官…相変わらずブランデーが好きか?明後日あたり、時季外れのサンタクロースがくるかもな』



事前に俺にとってナイスな情報を持ってきてくれるのも、イ内官が俺の頑張りを認めてくれているんだって思った



物で御礼なんか出来ないくらい感謝してるけど
それでも、彼の好きなものを贈りたい気分だった



〈では、そのサンタクロースのために東宮殿の人払いをしなければならないですね。それでは、書類をよろしくお願い致します〉



今日もチャンミンと共に食事を摂ることは出来なかったけれど
目の前の公務を懸命にやろうと思えるだけの楽しみが出来た



今夜も…
こっそりチャンミンの寝室に忍び込んで、愛しい人の寝顔を少しだけ眺めてから休む事になりそうだ



それは
誰にも話していない、公務を頑張っている自分への秘密の御褒美なんだ



もしバレても
チャンミン…許してくれるよな?



おまえの幸せそうな寝顔が
俺の癒しであり、元気の源だからさ






ランキングに参加しております
応援していただけると嬉しいです

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト
別窓 | 至愛 | ∧top | under∨
縁結 第2章 ~至愛 番外篇 2~
2016-11-29 Tue 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Princess? Changmin



〈あれェ?ラブラブブレックファーストはもう終わったの?〉



食堂から自室に引き上げた僕を
案の定テミンがニヤけた顔で出迎える



「何だよっそれ!おまえ朝からアレをくらいたいのか?!」



僕の得意技、コブラツイストの痛みは
多分テミンが一番知ってるはずだ



〈おやめくださいっ!私はもう韓服を着ておりますゆえ、手荒な真似はなさいませぬようっ〉



自分付きのトン尚宮さんの口真似をしながら、後ずさりをするテミン



〈今夜のために体力は温存なさるのがよろしいですわ!ユンホ殿下はタフらしいですかラァ~〉



???何言ってんだよ



〈私は今夜はおりません!王妃様も大妃様もおりません~!いやぁチャンスだと、きっとユンホ殿下はワクワクなさってますわよぉ~〉



!!!!!
テミナァっ!!!



僕が着るための韓服を持って控えているコ尚宮さんをほったらかしにして、逃げるテミンを追いかけた



全く
何でこいつはこんなにマセてるんだ…
っていうか、そんなことを聞いたらこの後一緒に大殿に行くユンホ殿下のお顔が見れないよ



テミンを捕まえて、いつもより強目のコブラツイストを決めたあと
コ尚宮さんに謝りながら韓服に着替え始めた



ユンホ殿下は僕のこの格好が好きだとおっしゃる
僕が“女”として身につけている唐衣とチマ…
それを好きだと言われるのは何だか複雑な気持ちもする



そんなことを思いながら元々長い髪に付け毛を足して三つ編みをしを、後ろでまとめかんざしを刺してもらう



チョンモリという既婚女性のするこの髪型を完成させると、いよいよ嬪宮である僕の正装が出来上がるんだ



ユンホ殿下のお祖母様、大妃様は
僕がしている頭にさらに太く編んだ付け毛を巻き、昔ながらのカチェをなさっている



僕は結婚式の時にかぶったカツラが重く、首が固まってひどい目にあって以来
カチェは未だにトラウマになっている



僕の支度が遅くなってしまったから、既にスーツ姿のユンホ殿下がホールでお待ちになられていた
今日は明るめのブルーがよくお似合いで、思わず見惚れてしまった



さっきのテミンの言葉もプラスされて
僕の顔は自分でも分かるくらい赤くなるんだ



『どうした?具合でも悪いのか?何だか顔が赤いけど…』



そう言って僕の顔を覗き込み額に手を添えるユンホ殿下



僕は…この方の大きな手が好きだ…



王宮に連れて来られた翌日
初めてこの国の国王陛下と王后陛下にご挨拶に行った時…僕は緊張のあまり手が震えていた



普通に暮らしていたら、会うはずのない雲の上の人達
自分が女ではなく男だという事実を秘めていた事もあって、身体中から血の気が引いていた



その時
僕の手を包み込んでくれたのが、隣に立つユンホ殿下の大きな手だった



同じ男なのに僕より一回りも大きな手
恥ずかしくて離そうとしても、すぐに追いかけてきて更に強い力でぎゅっと握るユンホ殿下



あの時はきっと、僕のことをからかっていただけだったけれど
でも僕の手はユンホ殿下のおかげで震えもおさまり、しっかりと温もりを持つようになっていた



今もまだ、彼の手が触れる度にドキドキして
赤くなった顔はちっとも治まる気配を見せない



「なっ、何でもありませんっ!大丈夫ですっ!」



こんな時、どう対応したらいいのか
恋愛経験の乏しい僕にはちっとも分からなくて
ついあからさまに冷たい態度をとってしまう



お顔にハテナマークが浮かぶユンホ殿下
『そっか?ならいいんだ』と柔らかく微笑んで歩き出した



僕たちが暮らす東宮殿から国王陛下達がお暮らしになる大殿に行くには、長い渡り廊下を歩いて移動する



毎朝こうやって特に急を要する用事がない限り
ユンホ殿下を先頭に僕とテミンが続いて、大殿にご挨拶に向かう



忙しくなった割に
こうして列をなして庭に咲く季節の草花を愛でながら歩く感じは、時が緩やかに流れている錯覚にとらわれる



《皇太子殿下並びに皇太子妃殿下、テミン様のお成りです》



大殿の大広間の前で控える女官が声をかける
〈入りなさい〉と中から声を返すのはいつもユンホ殿下のお祖母様である大妃様だ



『おはようございます。大妃様、本日はいつにも増してお顔の色がよろしいように感じます』



ユンホ殿下が挨拶をしている側からテミンは大妃様の脇に駆け寄り、その隣に陣取る



テミンは元々人懐っこい性格だけれど、僕達は両方のばあちゃんが早くに亡くなったせいで“おばあちゃん”という存在を知らないから、テミンはやたらと大妃様に懐いている



〈今日から可愛いテミンと釜山に行きますからね。久方ぶりの遠出ですし、楽しみなんですよ。ねえ王妃〉


《仰せの通りでございます》



唐衣の中に手を隠し顔を伏せて返す王妃様
色々勉強しているけれど、王妃様がなさる仕草の品の良さは僕のお手本なんだ



〈今夜は大妃様も王妃も居ないから、大殿は随分と静かになるだろう。どうだ?皇太子。久しぶりに碁でも打とうか〉



『父上の暇つぶしのお相手は夕食後の少しの時間にして頂きたく存じます。私には新婚の可愛い妃がおりますゆえ』



ユンホ殿下はにっこり笑いながらそう言って
あの日と同じ様に、みんなの前で僕の手をぎゅっと握ったんだ



穴があったら一番深くまで逃げ込みたいくらい恥ずかしかった



ユンホ殿下ってば……
僕が恥ずかしがり屋だっていう事をもう少しわかって欲しいです……






ランキングに参加しております
応援していただけると嬉しいです

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
別窓 | 至愛 | コメント:8 | ∧top | under∨
渇欲 21
2016-11-28 Mon 21:00


このお話はフィクションです






若い男を担いで、自分のホテルのロビーを歩く



今の自分の姿を想像すると何やら笑いが込み上げてくるのは、自分でも珍しく軽口が出るほど酔っているのだろう



スヒョクのやつめ
いい酒を手にしたからと言って、いつもはシングルのところをダブルで飲ませたな



日本のウィスキーは最近、中国の金持ちにも人気があるらしく
原酒が底をつき、生産中止になる銘柄まで出てきていると何かの記事で見た



スヒョクが“いい酒”と言っていただけあり
芳醇なモルトの香りだけで質の良い酔いが回った



スムダン買収の件での検察庁長官への返礼が上手く片付いたことも加わって、心地良いほろ酔い加減で【紫蘭】を出た



店の前で倒れこむあの男を見つけたのは
どんな運命が仕込んだ悪戯だったのだろう…



この時間は宿泊客の殆どは既に部屋に入り、ロビーには俺の様に飲み屋で遅くまで過ごしていたであろう数名の客が居るだけだ



俺の姿を見るなりフロントの人間が飛んでくる
ついて来ているジェウンがフロントに軽く手を挙げ制止した



このホテルには俺だけが使う部屋がある
専用のキーを取り出してジェウンがエレベーターを開ける



もちろん、こんな風に酔った男を連れ込む訳ではなく、【紫蘭】に寄り遅くなった時やホテルの広間でのパーティー等があった時に使っているのだが



〈爆弾酒でも飲み過ぎたんでしょうか。若いっていうのは、こんなバカがやれていいですね〉



この男を拾った時に珍しく言った冗談がジェウンの気も楽にさせたのか、彼にしてはくだけた言い方をした



『十歳程度しか違わないでそう言うか?我々もまだ三十半ば、と言いたいところだがな』



ジェウンの軽い感じに俺も合わせる
スムダン買収の件で、彼も殆ど寝ていない筈だ
少しリラックスして今夜は休んでくれればいいのだが



〈フライトは8時の予定です。明朝予定の時刻にお迎えに上がります。それでは、お休みなさいませ〉



入口でカードキーを通したジェウンは、几帳面に一礼をして帰って行った



自分のホテルの勝手知ったる自分専用の部屋
仄暗い明かりの中で寝室のドアを開ける



俺はアルコールが得意な方ではない
【紫蘭】では嗅いだ事のない様なエタノール系の安いアルコール臭が鼻をつき、男をベッドに放り投げる



フロントに電話をし、いつもの係を部屋に寄越させた



シム・チャンミン…



昨日の今日で、俺に担がれホテルに連れ込まれるとは少しも思っていないだろう
乱暴に放り投げられても、無反応のやつに苦笑した



アルコール臭のする服を全部脱がせ、布団をかけてやる
この男を担いできたせいで、俺の上着まで安い酒の匂いがついてしまった



やって来た係に上着と男の服をクリーニングする様に言う
下着は捨て、新しい物を用意する様に指示した



冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、寝室に戻る



若さゆえの無謀さとでも言うのだろうか
それとも
単純に、馬鹿なんだろうか



あれだけの警告を受けながらも、俺の周囲に居ようとする男の顔を眺める



男のくせに睫毛の長さが目立つ
少し明るく染めた髪が、彼の若さを印象付けていた



疲れが蓄積しているから目を瞑ればすぐに寝てしまいそうなのに
俺のベッドに眠る男の寝顔になぜか見入っていた



ほどなくして気がついたシム・チャンミンは
案の定驚いていたが、訳のわからない勢いで突っかかってきた



この男の妙なテンションが、疲れている俺には鬱陶しい筈なのに
俺が返す言葉に更に返ってくる返事が面白くて少しの間楽しんでしまった



が、しかし
鋭い文章を書く様な男が、脅しにも屈せず俺のテリトリーをうろつくのはいい気がしない



男の顎を掴み、警告をする



シム・チャンミンはそんな俺の意思とは反して
特徴的な大きな目に、彼からも大きな意思をこめて見つめ返してきた



いい目だ…
何かに飢え、大きな物に挑もうとしているシム・チャンミンの目



あの時、俺は確かに気まぐれでこの男を抱いた
だが今日は、それが“気まぐれ”だったのかという一瞬の迷いを生んだ



この男は…俺を本気で知ろうとしているのだろうか…



自分の中に生まれた妙な迷いを払うため、軽く頭を振り部屋を出ようとした



「待てよ!こんな高そうなホテル代だって持ってねーって!」



勝手に連れてこられたのに、ホテル代を気にする律儀さに…なんともいえない感情が芽生える



そのまま部屋を出ようとしていた俺は、気づいた時にはシム・チャンミンに口づけていた



それをホテル代の代わりとする
らしくない言い訳をつけたキスを…






ロサンゼルス国際空港を経由してサンノゼ国際空港空港に向かう飛行機の中で、うたた寝していた俺の夢に出てきたのは
あの男の寝顔を見つめている自分の姿だった



どうかしてる…
夢にまで出て来て、俺をどうしようというのだ



“真実”を追求しようというあの男の強い眼差しが、俺を揺さぶってくる



妙な迷い…妙な感情…
俺らしくないワードが出てくるのは、きっと身体の芯から疲れているからだろう



サンノゼに帰るスケジュールを組んでいた事は良いタイミングだった
ここは…俺の全てが置いてある故郷だから



空港に着いた足でセントジョセフ大聖堂に向かう
ここは、重ねていく罪と罰を懺悔する大切な場所だ



懺悔を済ませた後
いつもの花屋で作ってもらった大きなカサブランカの花束を抱え、目的地に向かう



墓地に刻まれた名前を指でなぞり跪く
大理石で作られた墓標に頰を寄せて、目を閉じた



『ただいま。姉さん、ポラ…』



ここは
俺の全てが置いてある…



姉の亡骸と…
そして生を得る事のなかった我が子と共に







次回「渇欲22」は12/1(木)21時に更新致します

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
別窓 | 渇欲 | コメント:8 | ∧top | under∨
縁結 第2章 ~至愛 番外篇 1~
2016-11-28 Mon 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Princess? Changmin



僕の朝は、昔よりもずっと忙しくなった



それなのに
早く起きても、自分で寝室から出ることが出来ない



《嬪宮媽媽(ピングンマーマー、王世子の妻・敬称)お目覚めになられてもよろしゅうございます》



僕専属のお世話役であるコ尚宮(サングン、女官の最高位)さんが扉の向こう側から声をかけて初めて、起きる事が出来る



今朝もコ尚宮さんの声を聞いてから起き上がった僕は、洗顔を済ませ用意されている服に着替えてから寝室を出る



《嬪宮様、おはようございます》



手を胸下で重ねて頭を下げる尚宮さん
僕も「おはようございます」と返す
最初の頃は同じように頭を下げてしまい、何故か怒られてしまった僕



僕の立場は、あくまでも皇太子妃だから…



〈オ~ンニ~、おっはよぉ!〉



手をブンブン振りながら駆け寄ってくる、朝から異常にテンションの高い弟テミンと共に東宮殿の食堂に向かう



『おはよ、チャンミン』



大きなダイニングテーブルの正面に座る僕の最愛の人が微笑む



『テミナ、おはよ。今日も朝からご機嫌だな』



〈殿下ァ!おっはよぉ!そりゃあご機嫌だよ。だって僕、今日から二日間王妃様と大妃様の公務にくっついて、釜山に行くんだよ。初めてKTX(韓国の主要都市間を結ぶ超高速鉄道)に乗るんだもん〉



そうだった
だからいつも以上にハイテンションだったのか



ウチは貧乏だったから、ソウル市内から出た事はほとんどない



僕は高校の修学旅行で済州島に行ったことがあるけれど、テミンはまだ一年生だし修学旅行にも行っていないから、釜山まで電車で行くのが嬉しいんだと思う



この王宮に二人で来てから…
僕の可愛い弟は急に大人びて、彼の言動に驚かさせられることが増えたけれど
こんな風にはしゃぐ姿はまだまだ子供だ



『そうだったな、お祖母様と母上のエスコートをしっかり頼むな。あ、でもお前はお姫様だからエスコートは無理だな』



テミンはその愛らしい雰囲気で、メルヘンチックな物が大好きな王妃様の着せ替え人形になっていて、今日も王妃様お手製のフリルがたくさんついたワンピースを着ている



テレビでも今回の公務を【三世代の共演、釜山国際大会に皇太子妃殿下妹君もご同行!】という風に紹介していた



忙しい中でも朝食の時間は極力ゆっくりとらせてもらっている
僕の最愛の人と僕の可愛い弟が、こんな風に楽しくやり取りしているのを見るのが好きだから



『チャンミナ、どした?食欲ないのか?』



いつの間にかユンホ殿下が僕の座る傍まで来て、僕の顔を覗き込む



朝っぱらから大好きな人のかっこいい顔が
こんな間近に迫るのはとっても困る
毎日一緒に居ても、まだまだ慣れる事が出来なくて



「いっ、いえ、そんなわけじゃなくて…あぁ!この卵料理美味しいなぁ!テミナっ、ほら食べてみて!」



ドギマギしながら僕が言う
するとユンホ殿下は、卵で野菜を包んだ料理を刺した僕のフォークを、僕の手ごと掴んで口元に運んだ



『うん、美味いな。チャンミンの可愛い手もこのまま食べちゃいたいな!』



!!!!



「なっ!何をっ?ばっ、ばっ、バカなこと言わないでくださいっ!」



ダメだって、もう!
僕はまだ免疫が無いんだってば!
それなのに、テミンの前でそんなこと言うなんて



〈あーあ、朝からごちそうさまァ!僕もうお腹いっぱい!あとは勝手にやって~〉



自分の好きな物を好きなだけ食べ尽くし、テミンはそんな暴言をはいてさっさと出て行ってしまった



だから…イヤなのにっ!



『勝手にやっていいって。はい、チャンミナ、食べさせて?』



真っ赤になって下を向く僕をよそに
ユンホ殿下がわざわざ自分の椅子を持って来て、僕の隣で大きく口を開ける



僕の実家への里帰りに一緒についていらした時から、ユンホ殿下は時々こうやって僕に甘えてくる様になった



テミンは居なくなったけれど
ユンホ殿下のお側付きのイ内官も下を向いて笑いを堪えているし、コ尚宮さんがにやにやしているのも向かい側のガラス戸に映って見えてるし…



たしかに新婚だけどっ!
何だか僕
どうしてもこんな状況に慣れる事が出来ない!!



ユンホ殿下のお口にロールパンを突っ込んで
真っ赤になった顔を手で隠しながらダッシュでその場から逃げ出す僕だった






ランキングに参加しております
応援していただけると嬉しいです

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
別窓 | 至愛 | コメント:8 | ∧top | under∨
渇欲 20
2016-11-25 Fri 21:00


このお話はフィクションです






朝飯が遅かったくせに
いつもの昼食の時間になれば合図を送る俺の腹



記事を書く途中だから、買いに行くのも億劫で
今日はデリバリーのジャージャー麺を食べる



憶測の域を出ない分好き勝手に書くことも出来るが、そう出来ないのは自分の妙に真面目過ぎるところだ



検察庁長官とスムダン電子の前会長の関係
そこに絡んだアイドルの子が死んだ



必要以上に内情を知ってしまったか、あるいは何か見てはいけない物を見るか何かしたんだろう
そうじゃなければ、会長の愛人程度で殺される事はないと思う



警察がろくに捜査もせずに、彼女を自殺と断定した事にも何か裏がありそうだ



そして
あの男は…
チョン・ユンホは、どう絡んでいるのだろう



あの夜
チョン・ユンホが影のオーナーであるクラブで三人が揃っていた



いや
正確に言えば、あの男も居たんだ



そして、アイドルの子は
チョン・ユンホの持ち物であるホテルに向かいチェックインした翌朝、漢江に死体となって浮かんだ



俺が見たこの一連の流れは
何を意味しているのだろう…



ただ一つ言えるのは
彼女の死の裏に、チョン・ユンホがいるという事だ



これは、あくまで俺の勘だけれど
そうでなければ二つの場所にあいつの名前が出てくる筈がない



今回はとりあえず、以前から内容を詰めていたスムダン前会長とアイドルの関係を細かく書こう



俺とミノで必死に動き回って調べて、アイドルが住んでいた高級マンションが前会長の秘書名義だった事は確認済みだ



死人に口なしとはいえ、やっぱり確認済みの内容だけしか載せたくない



と言っても、清純が売りだった彼女が父親以上に年の離れた男の愛人だったと書く事で、十分死者に鞭打つ事をしてる気もするけれど



ダメだな…
こんなこと言ってるようじゃ、ジャーナリストとしては失格だ



事実を書くことが、俺の仕事なんだ
無駄な感傷は捨てた方がいい



そう思い再び自分の頰をばちんと叩き
気合を入れて記事を書き進めた






この数日はとにかく残りの作業を必死にやって、何とか週末に更新する今週号の全容が出来上がった



あの男の事にはまだ触れてはいない
あくまでもスムダン前会長とアイドルの愛人関係の詳細について書いた



検察庁トップの存在は、スムダン前会長にかかったインサイダー取引疑惑を揉み消した事に大きく関わったという点にのみ、その存在を加えたけど



俺は…この検察庁長官は、もっと何か大きなことに関わっていると睨んでいる



それが何なのか
まだ分からないのだけれど…



記事の最終確認を終えいつもの更新時間にセットしてパソコンの電源を落とす
そこにミノからメッセージが届いた



〈ヒョン、今週号は間に合いましたか?!全く動けなくてほんとにすみません!週明けには退院出来ます。ギプスがとれるまでは不自由ですけど、カメラを持つのは何とかなりそうです〉



怪我をしたのはミノのせいじゃないのに…
こいつは本当にこういう所が誰からも好かれてる理由なんだと思う



月曜はミノの好きな店を予約して快気祝いしなきゃいけないな
と言っても、屋台だから席の予約なんかないか…
とにかく店のおじさんに伝えておこう



事務所の鍵を閉め、屋台に向かった



信号待ちをしている所に、黒塗りのベンツが通り過ぎる



記事を作るのに必死だったから、あの日の翌朝以降はヤツの事も浮かばなかったけど
よっぽど俺はあいつの第一印象が衝撃的だったのか、黒いベンツがいると目で追ってしまう



ヤツのベンツは最高級のSクラスでしかもAMGだから、同じ車にお目にかかる事はそうないけれど、黒いベンツは意外と走っている



チョン・ユンホは…
もう韓国に戻ってきているんだろうか
スムダン電子の買収に関してほとぼりが冷めたのか、ニュースでも報道される時間が減ってきた



この国を代表する大企業だったスムダン
その名前は、テソンの名前にあっさりつけ変わる



“スムダン”と背面に入ったスマートフォンの最後のモデルは、コレクターに高値で取引されているらしい



そうだ
ミノの教えてくれたあの掲示板も忙しくて見ていなかったな



屋台のおじさんに快気祝いの件を頼んだ後
俺は地下鉄であのクラブへと向かった



【紫蘭 Hyacinth orchid】



狎鴎亭にあるこのクラブは今夜も
周りの喧騒から不思議とここだけかけ離れた雰囲気の中で、ひっそりと佇んでいた






次回「渇欲21」は11/28(月)21時に更新致します

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
別窓 | 渇欲 | ∧top | under∨
「至愛」番外篇のお知らせ、拍手コメントの御礼
2016-11-25 Fri 18:00



親愛なる皆様


こんにちは
当ブログ管理人のゆんちゃすみでございます


皆様におかれましては、その後お変わりございませんでしょうか


いつも温かい応援を賜り、本当にありがとうございます


さて
先だって「至愛 あとがき」で触れておりました番外篇を、週明け11/28(月)より更新させていただきます


時系列としましては「至愛」後半の追尊の決定が成された後の設定で書かせて頂きました


多少前後する事もあるかと思いますが、その辺りはご容赦頂ければと思います


またしばらくの間、ユンホ殿下とチャンミン妃殿下(プラステミン姫)にお付き合い頂ければ嬉しいです





〈拍手コメントの御礼〉


お返事が遅くなってしまったことを先ずお詫び申し上げます


本当に申し訳ございませんでした


◯「耽溺 第二章 密事~我儘篇~」にコメントをくださったオ***様

お久しぶりです^^
コメントを頂き、嬉しかったです!!
長きに渡りお付き合いを頂けて本当に嬉しいです
どうぞこれからもよろしくお願い致します


◯「縁結 第二章 至愛~あとがき~」にコメントをくださったara****様

コメントを頂きありがとうございました
運命だと仰って頂けたのは、恐縮しつつも泣きそうになるくらい嬉しかったです
またお声を頂戴出来ると嬉しいです


◯「縁結」1話にコメントをくださったハ*様

コメントを頂きありがとうございました
ずっとお付き合い頂き、本当に嬉しいです
リクエスト頂いた件も必ずお応えできる様に致しますので、またこれからもよろしくお願い致します


そして最後に


不甲斐ない弟子を気遣ってくださり、いきなり拍手コメントから予測不可能な突撃をしてくださった師匠様

ゆんちゃすみのブログのスタートである「起点」から皆勤賞をして下さるくみちゃん様


いつもいつも、本当にありがとうございます
御礼の言葉をどう申し上げればいいのか…相応しい言葉が見つからないくらい感謝しております

年とともに涙腺が緩み、少しのことで泣く様になってしまったババアをあまり泣かせない様にお願いします(笑)





それでは…
「至愛~番外篇~」でお待ちしております
最後までお読み下さり、ありがとうございました






にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
別窓 | お知らせ | ∧top | under∨
渇欲 19
2016-11-22 Tue 21:00


このお話はフィクションです






大きな窓から差し込む朝陽の眩しさで目が醒める



でも
あの日から始まった悪夢からは醒めていない様で
自分の腹の上に残る違和感に顔をしかめる



自分の吐き出した悪夢の残骸を流すためにシャワーを浴びた



部屋のドアを開けると、あいつが言ってた様にクリーニング済みの洋服が袋に入っていた
ご丁寧に新品の下着まで入っている



やりきれない自分を持て余す様なため息をつき
服を着る



『朝になったら気をつけて帰れよ。カードキーはフロントに返すんだぞ』



子供に言い聞かす様に言ったあいつの顔がよぎり頭を振った



意味がわからない…
俺を介抱したあの男にも
ヤツにされたキスの熱を辿って自慰に耽った俺も



とにかくここを出よう
ヤツのテリトリーから一刻も早く立ち退いて自分の場所に戻ろうと思った



取材用に持ち歩いているリュックも、ちゃんとテーブルの上に置かれている
中を見られたら俺が何を調べているか分かったかも知れない



でも
ヤツはそんな事をしないって思った



泥酔した俺をどうこうする様なやつにも見えなかったし、人の物を勝手に見るとも思えなかった



妙なところで俺にそんな絶対の信頼を持たせるチョン・ユンホ…そんなバカなことを考えて苦笑する



リュックを背負い、あいつに言われた通り一緒に置いてあったカードキーを持って部屋を出た



案内図を見ないとエレベーターが何処にあるかも分からず、やっとのことで見つけたエレベーターも同乗する人との自分の相違に変な汗が出る



いかにも上流階級に暮らしてそうな品の良い夫婦が、こんな場所には明らかに相応しくない俺を訝しげに見ていた



自分の居た部屋が上層階だった事で、こんな身の置き場のない思いを長く味わうなんて…全部あの男のせいだっ!下の階にしてくれればいいのに!



エレベーターがロビー階に着くや否や、ダッシュでロビーに向かったのは言うまでもない



あの男が言ったように会計は済んでいるらしく
カードキーを渡したフロントはそれを一瞥しただけで俺に頭を下げる



そして辺りを見渡して、ここがどこだかようやく分かったんだ



あの日…
俺がクラブ紫蘭から出て来たアイドルを追いかけて、辿り着いたホテルだった



あの日あいつもここに来ていたから、ヤツの後をつけさせたミノともここで合流したんだったな



あのアイドルの死の“真実”を突きとめるのには
自ずとチョン・ユンホに近づいてしまうんだろうか…



『俺のものになりたいのか?』



耳元で言ったヤツの声が頭の中で反響している気がして、俺は一目散に地下鉄の駅へ走った







事務所に着きパソコンを立ち上げる
週末までに何とか記事を形にしたい



【トップアイドルの見た闇の向こう】



そんな見出しで、文章を打ち込んで行く



自分のテリトリーに居ると心から安心できる
いつものカフェで買ったクロックムッシュで遅めの朝食を取り、コーヒーを飲むと頭もスッキリしてくる



あとはミノが無事に戻って来て、いつもみたいにくだらないあいつの冗談で笑いたい
今週はさすがに無理だろうから、とにかく一人で頑張ろう



テソンの名前もヤツの名前も出さずに
架空の人物を置き換えて資料をまとめていく
憶測の域を出る前では、さすがに実名は出しづらい



そう言いながらも
俺が書くような記事であの男が潰れるなんて、これっぽっちも思っていない自分もいる



あの男は…俺とは住む世界が違う
頭のてっぺんからつま先まで、きっと何もかもが違う空気に包まれている気がするんだ



超一流企業の頂点に立つだけではない、もっと大きな何かを支配している様な感じがするのは



ヤツを初めて見た時の、あの絶対的な圧倒感が鮮明に残っているからかもしれない



俺の身体を抱えた時に鼻を掠めた煙草の匂い
俺の股の間に揺れたあいつの髪が内腿をくすぐる感覚



記事とは全く関係ない事ばかり頭に浮かぶ



俺は…知ってはならない世界に足を踏み入れてしまったんだろうか



チョン・ユンホという男の生きる領域に…



あの男の掌の上で
足掻いている自分の姿が見えた気がした



そんな馬鹿な事を考える自分の頰を大袈裟に叩き、再びパソコンの画面に目を落とす



シリコンバレー に行くって言ってたな
資料を作る名目の元、財界人の動向を載せている最大手経済新聞のサイトを開く



“テソングループ代表チョン・ユンホ”
その名前がやはり載っていた



“米国カルフォルニア州 私的訪問”
ふーん…シリコンバレーっていうから、てっきりスムダン電子買収の件で行ったと思ってたけど私用なんだ



パソコンに“シリコンバレー”と打ち込む



あ…
確か前にあいつの事を調べた時、出身大学がスタンフォード大学ってなってた気がした



スタンフォード大学はシリコンバレーにあった筈だから、そんな事で行ったのかもしれないな



俺は…



既にあの男の事を
記事に関係するターゲットという視点ではない目で見ている事に、まだ気づいていなかった…






次回「渇欲20」は11/25(金)21時に更新致します

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
別窓 | 渇欲 | コメント:6 | ∧top | under∨
渇欲 18
2016-11-19 Sat 21:00


このお話はフィクションです
性的な描写を含みます
ご注意ください






『いい目をしている…大いにそそられるが今夜はここまでだ』



俺に馬乗りになったチョン・ユンホは
ゆっくりと顔を近づけ俺の唇をぺろりと舐めた後、そう言って俺の上から動いた



『朝一でシリコンバレーに発たなければならんのでな。すまないが一眠りしておきたいんだ』



……すまないとか言われる筋合いは全然ないんだけど



やつはサイドテーブルに置いてあったスマホを取り、部屋を出て行こうとする



「おいっ!ちょっと待てってば!俺を置いていくのかよっ?」



『なんだ、連れて行って欲しいのか?案外積極的だな。シム・チャンミン』



やつは、くくっと笑いながら言う
凄みのある目つきだって思ってたけど、こうして笑うと三日月の様になるんだ



って、そうじゃなくて!



「バカ言うなよっ!裸の俺がどうやってここから帰るんだ、って言いたかったんだ!こんな高そうなホテル代だって持ってねーって!」



チョン・ユンホは
三日月の様にしてた目を今度は真ん丸に見開き、笑い出した



『可愛いな、お前のその必死な感じが。服はさっきも言ったようにクリーニング出している。朝には出来上がって入口に置いてあるはずだ』



そう言うと、やつは再び俺の元に戻ってくる



「!!!」



次の瞬間
俺はあっという間にチョン・ユンホの肉厚な唇に口を塞がれていた



口を塞がれただけではなく
前と同じ様に空気を求めて開けた空間を逃さず、侵入してきたやつの舌に俺の舌まで捉えられてしまった



なんなんだよっ!
その身体を突き飛ばそうとした腕が止まってしまう



絡まるやつの舌には、何かの毒でも仕込まれているのだろうか
身体中が痺れるような感覚に襲われて、身動きが取れなくなるんだ



『俺のホテルだからな、支払いは今のキスで帳消しにしておこう。朝になったら気をつけて帰れよ。カードキーはフロントに返すんだぞ』



チョン・ユンホはまるで子供に言うかの様に言いながら俺から離れ、今度は黙ってそのまま部屋を出て行った



ちくしょー!!
あーー!腹立つ!!
何から何まで腹が立つ!!



いちいちかっこいいのも腹が立つし
いちいち金持ちそうなワードが出るのも腹が立つ



それに
俺が今までしてたものが丸っきり子供のキスだったと教えているみたいな…眩暈のする様なあいつのキスにも腹が立つんだ



それにしても情けない
酒には強いはずの俺が、爆弾酒ごときで泥酔して
よりによってターゲットであるヤツに介抱されてしまった



俺は…おそらく地下鉄に乗ろうとして駅に向かい、クラブ【紫蘭】の前で倒れたんだろう
そこにたまたまヤツが出てきて、俺を見つけたんだと思う



でもあいつは何で俺を介抱したんだろう…
意識のない時間の自分を想像する



酔った俺をどうこうしようとしていたとは思えない
あの男がそんなつまらない事をするとは到底思えなかった



俺を車に乗せてホテルに運び
酒臭い服を脱がせクリーニングに出し
ベッドに休ませた



単純に考えて、ざっとこんな感じだと思うんだけど
ヤツがなぜヤツにとって何のメリットも無いこんな事をやったのか、ちっとも理解出来ない



スムダンの買収でおそらくは忙しいんだろう
疲れが顔に出ていたっていうか…疲れからくるやつれが、何だか憂いを醸し出していて



妙にゾクっとさせられる感覚がした



シリコンバレーに発つって言ってたけど
サイドテーブルの時計を見ると深夜3時を過ぎているし、休むって言ってもせいぜい2、3時間がいいところだろう



ちゃんと眠れるんだろうか…
って、俺は何を心配してるんだっ!!



デカいベッドの上で頭をかきむしり、思いきり大げさに寝そべる



こんな高級なベッドに寝られる事なんて金輪際ないだろうし、悪夢の続きを見ていると割り切って寝てしまおう



…そう思って目を瞑ったものの
チョン・ユンホの残した口づけの感触が眠りを妨げる



むずがる俺をあやすように唇を舐めたヤツの赤い舌
まるで血が通っていない様な…ヤツの冷徹さを表している様な表情の無い顔とは間逆の、生きている人間のそれ



それを証明する様に、俺の歯列をなぞり口蓋をせわしなく動いたその舌の熱さは
口の中で絡まる俺の舌そのものが嫌というくらいに味わった



その熱さのせいか?それともあいつは本当に毒を仕込んでいるのか?
俺の身体はヤツのキスで痺れていくんだ



どうかしてる
熱さが消えない身体の中央で、その熱さを更に求める様に硬さをもつそれに手を伸ばす



およそあの男には似合わない薄暗い場所で
俺の口を吸い、分身に舌を這わせ
そして己の欲望を俺に打ち込んだ男



その男の熱の記憶を辿り、無心に指を動かす



「…ふっ…っぅ…!」



チョン・ユンホ…
俺をどうしてくれるんだ…



自分の腹に散った白濁を見ながら
感情の無い人形の様なヤツの目を思い浮かべていた






次回「渇欲19」は11/22(火)21時に更新致します

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
別窓 | 渇欲 | コメント:8 | ∧top | under∨
縁結 第2章 ~至愛 あとがき~
2016-11-18 Fri 18:30



親愛なる皆様


こんばんは
ゆんちゃすみでございます


連載させて頂いておりました「至愛」が、この度無事最終回を迎えることが出来ました
最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました


多くの皆様から温かい拍手や励ましのお言葉を頂戴致しました事を、心より感謝申し上げます


私の師匠であるあゆ様へのお誕生日のお祝いとして書き始めた「縁結」から数えて、百話を超えての終着点となりました


結びの言葉として、ここにあとがきを残させて頂きます




このお話は韓国ドラマの名作と言われ、今でも多くのファンがいる「宮 ~Love in palace~」という作品を元に書かせて頂きました


このドラマをご覧になられた方もそうではない方も、それぞれ違った楽しみ方で読んで頂ければいいな…という思いの元、書き進めてまいりました


皆様に納得して頂ける結末になったかどうかは非常に不安ではございますが、最後は原作の結末を意識して終わらせた次第です


その点も含めまして、いくつか補足させて頂きたい点がございます


まず、原作は現在に続く王朝のトップを「皇帝」としていましたが、私は李氏朝鮮時代の呼び方の「王」とさせて頂きました


現在の大韓民国の国王、というイメージで書いたため、その様に致しました


王制であれば本来ならユノは「王太子」ですが、こちらは逆に「皇太子」のままにしました


ユノがミュージカルで演じた「シン皇太子」をそのまま書きたかったからです
ややこしくなってしまい、申し訳ございません


また、作中に出てくる李氏朝鮮時代の役職及び服装等につきましても極力史実に忠実に書きましたが、何分にも資料が少なく事実と異なる事もございます点を合わせてお詫び致します




さてさて…ここからは私の反省文と申しますか、書いていた時の心中を吐露させて頂こうと思います
よろしければお付き合いください


また、ドラマの内容に触れておりますのでご覧になられていない方にはドラマのネタバレとなる場合がございます
予めご了承ください


-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


私は随分前にこのドラマを見ました
その時の記憶を頼りに「縁結」を書き始めましたが、途中記憶が曖昧になり、ドラマのあらすじを参考に致しました


ドラマではチェギョン妃がもう一人の王子、ユルと会っている事をきっかけにして席藁待罪(ソッコテジェ、むしろを敷いた上に居続け王の処分や命を待つ事)を行いました


そのシーンが印象的で、私はそれをチャンミンが性別を隠して結婚した罪を皇太子と共に受けるという場面とさせて頂きました


終盤でございますが、ドラマでは王宮が火災になりその罪を皇太子が着せられて皇太子の地位を廃したという内容だったと記憶しております


次期皇帝の座には皇太子の姉がつき、チェギョンがおめでたで、その後生まれた子供がシンくんとチェギョンに挟まれ記念撮影をするシーンで結末を迎えた記憶が残っていました


私もどうしても二人に子供を持たせたくて、半ば強引に弟テミンに作らせてしまいました(笑)
この辺はさらっと流して頂ければ幸いです…^^;


男であるチャンミンをチェギョン妃に置き換えて物語を作るのは、私には非常にハードル高かったと思います


この様なブログを始めて一年が経ちましたが、私ってホミン小説を書く事が向いていないんじゃないかと、このお話を書きながら反省しておりました


と申しますのも
物語の構成ばかりに気をとられ、肝心のホミン萌え要素が欠落している気がして…


元来ネガティヴ思考なもので、しばしば落ち込む事もございました


ですがその都度、こんな私の作る話でも読みに来てくださる方がいらっしゃるのだという事を励みに、気持ちを奮いたたせて何とか最後まで来ることが出来ました


日頃支えてくださっている師匠様をはじめ、タイトルの画像を作成して下さったAli様、コメントや拍手で励ましてくださる大切な読者様に心より御礼を申し上げます


本当にありがとうございました


-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


〈今後につきまして〉


上でも書きました通り、「至愛」では新婚になった二人のラブラブ生活をほとんど書くことが出来ませんでした


ですので、「至愛」の番外篇という形で二人の新婚生活を書かせて頂こうと思っております


本当は作者お気に入りキャラ、テミンのスピンオフを最後に書きたかったのですが…断念いたしました


それはまたいずれ機会があれば…(←やっぱり書くんかい!)


平行して書かせて頂いている「渇欲」と、休載しております「星鏡」も不定期ではございますが少しずつ更新させて頂く予定でございますので、よろしければそちらもお付き合いください


ゆんちゃすみの出せる限りを出し尽くそうと思っております
といっても、底が浅いので大したものは出てこないと思いますが…


たまに覗いて頂ければ嬉しいです




最後になりますが
今年も二ヶ月を残すのみとなりました


年が明ければもう、あの方が戻られるまでのカウントダウンが始まるんですね


寒さが日に日に深まる今日この頃ですが、皆様におかれましてはお身体を大切になさって日々の暮らしをお送りくださいます様に…


最後までお読みくださりありがとうございます


ゆんちゃすみ





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
別窓 | 至愛 | コメント:12 | ∧top | under∨
縁結 第2章 ~至愛 60 最終話~
2016-11-18 Fri 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Prince Yunho



大殿に程なく近いこの場所
昔、王に先立たれた妃が静かな余生を送っていたという、楽善斎(ナクソンデ)と呼ばれるこの建物が建っている



内装を今風に改築しつつも、古き王朝の作った趣を残しテラス状になったこの場所は、俺の伴侶のお気に入りの場所になっていた



今日はそこを借りて、勲位授与者の名簿を作成していた



全く…人使いの荒いやつだ
この春に即位した従兄弟の飄々とした顔を苦々しく思い浮かべながら、莫大な量の書類に目を通す



〈何年経っても宿題をちゃんとやってないって怒ってたよ?だからさ、ヒョンにはこの仕事がちょうどいいでしょ?〉



どーせ俺はお前達より頭が悪いですよ!
だからいつまでたっても、山のようにいる王族の顔と名前が一致しないんですっ!



ブツブツ文句を言いつつ、勲位を与える王族の名前を見ていった



「ああっ!!いけませんっ!……コラァ!待て!!」



本殿から渡って来る際に登る階段の下から、賑やかな声が聞こえてきた



可愛らしい薄桃色のチマを膝まで手繰り寄せ、おぼつかない足取りで階段を登る子の足を掴む手が見える



〈おトォ様ァ!おかぁ様がいじめるゥ!!〉



伸びてきた髪を一丁前にタウンモリ(一本の三つ編みを後ろに垂らした幼い娘の髪型)にして、見るからに可愛らしい公主(王の嫡女)様が口を尖らせる



「誰がいじめるんですかっ!悪い事をしたのは誰ですっ?!」



そんな小さな公主様相手にも、正当な理由を言い真っ向からぶつかる生真面目な人



『ミヒャナ。お母様はああ言ってるけど?どっちがほんと?』



俺の膝の上にたどり着き、盾を得たとばかりに隠れる小さな公主様に尋ねる



ぷくーっと頬を膨らます姿は、誰かさんと誰かさんにそっくり過ぎて嫌になる
俺は相変わらずこんな顔をされるのに滅法弱い



〈わたしです…おトォ様ごめんなさい…〉



『おお~いい子だな。でもお父様にじゃなくて、ちゃんと謝らなくてはいけないのは誰?』



プゥっと膨らましていた頰をつついて言うと、コクコク頷いて再び立ち上がる



〈おかぁ様ァ、ミヒャンがいけない子です。ごめんなさい〉



その場で腕を組み、仁王立ちしていたチャンミンの足元にしがみついた



ミヒャンは今年三歳になる俺たちの娘だ
といっても、当然ながら実の子ではない
実の父は夢を叶える為に欧州で暮らし、実の母はその職務を黙々とこなす毎日を送る



あれから五年
時の移ろいは、多くの事を得て多くの物を変えた



大妃…キュヒョンの母親が主となり仕組まれた王室最大の悪事を収集させる為に、俺は皇太子の座を辞した



大王大妃様、そして国王である父上
そしてこれからの王室を共に背負って行く約束を交わした従兄弟のキュヒョンとで、熟慮した結果だ



チャンミンが席藁待罪をする前で大王大妃様に平手打ちをされた大妃
泣き崩れ悔い改めても、もう物事は大きく動いてしまっていた



チャンミンが男である事実をばらまく腹づもりだったらしく、その段取りが出来ていたが寸前で食い止めることが出来た



この事実を国民にまで伝えるという事は、彼と彼の家族の尊厳を守る為にどうしても防ぎたかった



その代わりに、大妃やその一派が流布していた俺の皇太子としての資質を問う内容の記事を使った



俺はその反省をしもう一度心を入れ直すために皇太子の座を辞し、今後は圭賢大君の補佐を精一杯していくという事を表明し先手を打ったんだ



大妃は自らの過ちを反省するべく、返り咲いたばかりの表舞台から身を引き髪を下ろした
今はひっそりと徳寿宮で先祖に祈りを捧げている



キュヒョンは以前固辞した公親王の地位につき
俺と共に国王陛下の補佐を務めたのち、今年父上の跡を継ぎ即位をした



俺は皇太子の座を辞したけれど、自らがついた大きな嘘の罪を償うために自分の出来ることを精一杯していくと皆に誓ったから、若くして王となった従兄弟の補佐をするべく日々頑張っている



今は俺が、允浩大君と呼ばれ
チャンミンはそれまで呼ばれていた嬪宮を付けず、媽媽(マーマ、身分の高い人に付ける尊敬語)と呼ばれていた



「ミヒャナ。約束をした事はきちんと守りましょうね?」



足元にいるミヒャンを抱き上げたチャンミンが俺の元に歩み寄る



「ユンホ様。この時期はまだ風が冷たいです。あまり長居をすると風邪を引きますよ?」



隣に腰掛けて、手元を覗き込んだ



「国王陛下にご助言しておいたんです。何年経っても私の出した宿題をやってくださらないと」



そう言いながら、フフっと笑った



『キュヒョンから聞いた。全く…二人して記憶力を自慢すんなよな』



さっきのミヒャンと同じ様に、今度はチャンミンの頰を指で突いた



ミヒャンはテミンの子だけれど、チャンミンによく似ている
チャンミンはお義母さん似で、テミンはお義父さん似だから、ミヒャンは祖母であるお義母さん似なんだろう



キュヒョンの配慮で、テミンの子は俺たちの養女となったけれど
チャンミンが男だと知らない女官はみんな、実子だと思っている



春の庭を彩る花たちの華やかさとはうらはらに、チャンミンの言う通り頰をかすめる風はまだ冷たい



『ミヒャンが風邪を引くとまずい。きっとチャンミンにうつって、そうなると俺も絶対うつるからな。戻ろうか』



チャンミンの手を握って立ち上がる
離れたところに控えるイ内官に軽く手を上げた



少しだけ寄り道して咲き誇る春の花を愛でながら並んで歩く



「僕がミヒャンからうつって、何でユンホ様に?」



そう言ってチャンミンが首を傾げた
ミヒャンはチャンミンに抱かれ、その温かさのあまりあっという間に夢の中だ



『決まってるでしょ?記憶力はいいのに、そういうの疎いのなホント。俺たちがラブラブだからに決まってるでしょ』



繋いだ手を引っぱられた事で不意を突かれ、よろめくチャンミンを抱き寄せて口づける



「ユンホ様っっ!僕はミヒャンを抱っこしてるのにっ!危ないじゃないですかっ!」



キスをした事よりも、そっちを怒るチャンミンは
もうすっかりミヒャンの親になっていた



それでももう一度ミヒャンを抱き直し、今度はちゃんとチャンミンからキスをし返してくれる
この五年という月日は、恥ずかしがり屋のチャンミンを少しだけ積極的に変えてくれた



思いがけない運命によって縁を結んだ俺たちは
今こうして、静かに愛を育んでいる



性別をも苦難をも超えた至上の愛を
これからも永遠に…







この後18時半にあとがきを更新致します
よろしければ合わせてご覧下さい

最後までご覧いただき
本当にありがとうございました


ゆんちゃすみ




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
別窓 | 至愛 | コメント:8 | ∧top | under∨
| HOME | NEXT
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。