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縁結 第2章 ~至愛 46~
2016-10-31 Mon 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Prince Yunho



疲れていても
辛い事があっても



チャンミンのこの顔を見ると
全部が吹き飛んでいく様だった



チャンミンは
タイで起きたあの出来事も何も聞かない
あの時、大学でユナと向き合い何を話したのかも言わない



俺も
タイにまで来たユナと何があったかも言わないし
あんな風に倒れる様になった経緯も聞かなかった



それはきっと…
チャンミンは俺を信じ
俺はチャンミンを信じているからだ



そして今、こんな風に大きな目を半分くらいにしてして微笑むチャンミン
普通にしていても少し分かる目の大きさの違いが、彼が笑うとよく分かる様になる



そんなことに気づいたのも、俺にとっては嬉しい事だった



男同士で結婚した俺たち
結婚してから恋を始めた感じだったけれど
その恋の合間に起こる出来事を乗り越えながら、本物の夫婦になってきた気がする



夫婦っていう言葉には語弊があるのかもしれないけれど
こんな風に出かけていた俺を出迎えてくれるチャンミンはやっぱり俺の大事な奥さんなんじゃないな



『ただいま、チャンミン。久しぶりに一緒に夕飯が食べられるよ。その後もチャンミンを食べられるかな』



そう言って彼を抱き寄せる
ちょっとだけフラついたのは、さすがの俺も疲れが溜まっているんだろう
チャンミンは耳まで真っ赤にして顔を伏せてしまった



「だいぶお疲れのご様子…早く夕食を済ませ早めにお休みになられますように」



顔を赤くしながらも、俺の顔を見て心配そうに言うチャンミン
さりげなく拒否られてない?俺…



疲れている事もを隠そうと思っても、もうチャンミンには隠せないのかな



こんな事もまた、俺たちの関係がが深まった証拠だったりする



『タイから帰って、見た目よりも案外重いチャンミンを抱っこして…それに朝からチャンミンをいっぱい可愛がったからさ。さすがにヘトヘトだよ』



チャンミンが倒れた日の翌朝もまた、顔色が悪いと心配するチャンミンにそんな事を言った
恥ずかしがり屋だと分かっているけれど
あえて事実を言って、彼の頬を染めさせてしまう



可愛い顔を…たくさん見たくて
ちょっとだけ、意地悪をしちゃうんだ



〈オッパぁ!お腹空いたよ~!早く早くっ!〉



そこに駆けつけたテミンがもう片方に腕を絡ませ、グイグイ歩く
両脇に居るのは兄弟だけど、相変わらず俺は両手に花だと苦笑した



「今日は厨房の調理の方にお願いして、僕らが食べるような家庭料理をたくさん作って貰ったんですよ。殿下が僕らの家に行った時に美味しいとおっしゃりたくさん召し上がって下さったので…」



チャンミンもそんなテミンに負けじと腕を引っ張って、俺はあっという間にダイニングに連れていかれた



こんな風に、賑やかな生活が送れるようになるなんて…今でも時々、全てが夢じゃないかと不安になる時がある



それくらい俺は、この東宮殿で寂しい日々を送っていた



キュヒョンが…
俺とほぼ対等な地位について王宮に戻ってくるという事は、俺のこの賑やかな暮らしにどんな変化をもたらすのだろう



ふと、遠くない未来を考えてしまった



〈うわぁ!!タッカンマリもサムギョプサルも、にんにくの芽のポックンもあるっ!〉



俺より先に、ご機嫌に椅子に着くテミン
並ぶ料理に目を輝かせていた



自分の席に着いて、漂ってくるいい匂いを目一杯嗅ぐ
行儀が悪いと思うけど、そうしてしまう様なそそられる匂いがしていた



〈オッパぁ!大変だ!ヒョンったら、にんにく使う料理ばっかりにしてるよぉ~!あーあ…仕方ないねぇ。今夜は頑張って!〉



テミンのやつ、何を考えているんだか…
ニヤニヤしながら俺に親指を立てる



だがしかし、またもや顔を真っ赤にしたチャンミンが繰り出す素早いスリーパーホールドが決まり、あえなくノックダウンされていた



この幸せを…守らなければならない
今の俺に課せられた、最大の目標だ



何をおいてもまず、最愛のパートナーであるチャンミンを守ろう
そして、そんな兄のために自らも性別を偽る道を選んだ義弟、テミンも…



しっかり食べて、体力をつけよう
明日もまた公務が詰まっているし、今週中には閣議決定された追尊が正式に発表される



今の俺にやれる事をきちんとやろう
一日一日を無駄にせず、自分の最大の目標をこの先もしっかりと守れる様に…



俺のためにサムギョプサルの肉を焼いてくれている愛しい人を見ながら、そう思った






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耽溺 第2章 ~密事 我儘篇 ~
2016-10-29 Sat 18:00


このお話はフィクションです






《シム・チャンミンさん準備出来ましたー!よろしくお願いしますっ!》



アシスタントの元気な掛け声がかかり、撮影の準備が大詰めに入る



平日の午後
テレビの撮影で遊園地に来ているMAXのスタイリストとして俺も同行していた



〈いい天気で良かったです。野外ロケの時の雨率ハンパないから…〉



俺に飲み物を差し出しながら、撮影チームに合流したMAXを見やって言うのはキュヒョン



彼のマネージャーがそう言うんだから、今日はラッキーって事か



〈日本には雨を呼ぶ“雨女”っていう妖怪がいるらしいんですけど、さしづめチャンミンは雨男って感じで。今日は本当に運がいい〉



『きっと、俺がいるからだろ。小さい頃から行事という行事が雨天中止になった記憶がないくらい晴れ率ハンパ無いからさ!』



事実
運動会も学園祭も、修学旅行も晴れ渡る青空の下で撮った写真が残っているし
大学受験も入社試験の時も傘を持って行ったためしがない



それなのにキュヒョンのやつ
〈ハイハイ…〉という感じで聞き流しやがった



全く…俺をなめやがって
お前のそういうところが好きになれねーんだ
あいつのマネージャーじゃなければ、一発ガツンとくれてやりたい



超スーパースターのあいつの撮影という事で
その情報は瞬く間にSNSで伝わり、ガラガラだった遊園地にもあっという間に大勢のギャラリーが押し寄せる



黄色い歓声が飛び交う中
MAXと最近人気のアイドルとの仮想デートという今回の撮影が始まった



自分の恋人が、超スーパースターという現実
もう幾度となく、その現実に伴う辛さを味わっている



超スーパースターと同時に同性であるMAXを愛しているわけだから



ドラマの撮影で年上の俳優がMAXにやたら優しくしているのを見てもヤキモチを焼いてしまうし
今日みたいにすごく可愛いアイドルや超スタイルのいい女優なんかと一緒でもヤキモチを焼く



若い男どもの歯軋りが聞こえそうなくらい、MAXを見るアイドルの目がハートになっているのを見て、なんとも言えないモヤモヤを感じた



ちぇっ…
仮想デートだとしても、羨ましいよ…



俺なんて…
あいつと付き合ってからデートというデートなんかした事ない



たった一度だけ、夕暮れ時の公園を一緒に歩いた事があっただけだ



それも
先に歩く俺の後ろを少し離れてMAXが黙ってついてくるという、一緒に歩いたとはいえない状況だった



それでも、俺は嬉しかった
俺たちの恋は誰にも知られてはならない“密事”…
そんな内容でも、立派なデートだったと思ってるから



普段の愛しい恋人とのデートと言えば
どちらかの家で会い夕飯はデリバリーで済ませて、夜を共に過ごすというスタイルになっている



仕事だとしても、こんな風に明るい太陽の下でMAXと腕を組んで歩ける、あのアイドルが羨ましかった



公衆の面前で、MAXのあの笑顔を隣で見られるあの子が…



仕事だと言うのに、相変わらずこんな事ばかり考えてしまう自分に嫌気がさして
撮影が終わるまで控室替わりのトレーラーハウスで休んでいる事にした



今日のあいつには白地に爽やかなブルーのラインが入ったカットソーを着ている
うちのブランドのカジュアルラインだ



アイドルの子が淡いブルーのワンピースを着るって聞いていたから、それに合わせるように同系色を選んだのだけど



天気が良かったから、ベージュ色の麦藁帽子も急遽プラスして、さっき二人並んでソフトクリームを食べるカット割の時にMAXに被せてきた



「暑かったから…ちょうど良かった。ありがとう、ユノ」



被せる角度をあれこれ変えている時に、ボソッと小さな声で言ったMAX



素肌に白いスーツを着せる時にはゾクッとする様な色気を感じ
こんな風に麦藁帽子を被って微笑むMAXには、あまりの可愛さに胸がドキドキさせられる



こいつに与えられるドキドキは
このまま心臓がどうにかなっちゃうんじゃないかって思えるほどで



そんなドキドキを治めるためトレーラーハウスで大きく深呼吸を繰り返した



使わなかった服を片付けたりしていると、しばらくして急に窓の外が暗くなってきた



急いでタオルを持ち、撮影現場に戻る



案の定雨が降り出して、MAXはキュヒョンの用意した大きな傘をさして俺の所に歩いてきた



濡れてしまった服を拭きながら、さりげなくMAXの濡れた顔もタオルで拭いてやる



『撮影は?中断?』


「うん。もう一度外でのコマ割りがあって、メリーゴーランドに乗る彼女の事をカメラで撮る僕っていうシーンを撮るんだって。雨が上がるまで待機」



MAXはそう言うと、傘を深めに差したまま急にどこかへ歩き出した



『ちょっと、どこ行くんだよっ』



俺はタオルを持ったまま慌ててMAXの後を追う



キュヒョンを呼ぼうと振り返ると、キュヒョンは〈追っかけて!〉と言いたげにMAXの方を指差した



全く…お前が追っかけろよって言いたいけれど
傘を深く差しているとはいえ周りにMAXだとバレて何かあったら大変だ
俺の大事な恋人を守るのは俺の務めだからな



急な雨でMAXの撮影を見に来ていたギャラリーも雨やどりをしているのか、遊園地は静まり返っている



MAXが足を止めた先には、数人のお客が順番待ちをしている観覧車が見えた



『ちょっ、お前何してるんだよ』


「何って…乗るの。これに」


『はぁ?何言ってんだ、ダメだって』


「キュヒョンに許可貰ったからいいんだよ」



手を引っ張っても頑として動かないMAX
仕方なく俺もMAXの差す傘に一緒に入った



何を考えてんだ、ほんとにもう…
こいつと付き合ってからというものこんな風に俺は振り回されっぱなしだ
…ま、それも今じゃ幸せだったりするんだけどな



俺たちの他にいた客もカップルばかりで
それも数組だけだったから、遊園地側も何やら気を使って観覧車には数台おきに客を乗せている



俺たちも二個の箱を見送ってから乗る様に案内された
MAXは中腰になり乗るギリギリまで傘を差していたから、係も俺の姿を見て普通にカップルだと思ったんだろう



「やった!ユノとのデート大作戦大成功!」



乗り込んで向かい合わせに座った俺たち
扉が閉まり、少しずつ上がり始めた時にMAXはそう言いながら俺の横に座り直した



相変わらず、全くの余白もないぎゅうぎゅう詰めの状態で…っていうか、観覧車の座席なんて大の大人が並んで座ると想定してないから、否が応でもぎゅうぎゅう詰めになるんだけど



『何だよ、デート大作戦って...』



ぎゅうぎゅう詰めでも無理矢理腕を絡めるMAXに聞く



「実はこの仕事。僕にしては珍しく絶対嫌だって我儘言ったんだ。そしたらキュヒョンが、どうしても断れないスポンサーの依頼だって言うんだよ


だからね、そこでもう一回我儘言ったの。ユノととデートさせくれるなら受けるよって」



MAXはうふふと可愛らしく笑う
どうも俺はこういう顔に弱い
そっか、だからキュヒョンがいいって言ってるとMAXは言ったんだな



全く...本当に相変わらずだ
こいつと居ると、毎日がサプライズのオンパレードになる



でも...MAXの我儘のおかげで、立派な遊園地デートが出来た
こんな我儘だったら...次も後押ししちゃおう
キュヒョンには怒られるだろうけど



ありきたりな“観覧車ベタベタデート”のシナリオ通り、てっぺんに来た時MAXの顔を強引に自分の方に向けてキスをした



どうやらそこまでは予想していなかったらしいMAXは、目を白黒させる
「ユノったら!」と言い麦藁帽子で顔を隠してしまった



そんなMAXの手をぎゅっと握る
観覧車がこのまま、ゆっくりといつもの倍ぐらいの時間をかけて進んでくれたらいいなと思った



思いがけない遊園地デートを満喫しつつ、MAXの次の我儘もちょっとだけ期待する俺だった






りょんりょん様
お誕生日おめでとうございます
この二人のデートでお祝いをさせて頂きました


ゆんちゃすみ




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渇欲 11
2016-10-28 Fri 21:00


このお話はフィクションです
性的な描写を含みます
ご注意ください






俺は…俺の身体はどうなっちゃってんだ



得体の知れない男…いや、テソンの代表ってことは分かってるんだけど
この男の真の姿はまだ俺には見えてない



そのチョン・ユンホという男にされていることも、自分でもまだよく分かっていないのに
…俺の分身は既にしっかりと形を成していた



『意外に素質があるのか?それとも俺のことを知りたくて堪らないのか?どうなんだ、シム・チャンミン』



ヤツが付けている革手袋の冷たさだけが
この非現実的な出来事が実際に起きていることだと、俺に伝えているかの様で



耳元でそう言いながらヤツの指が俺のそれを撫で上げるだけで、なんとも言えない感覚に支配されていく



「や、やめろっ…」



ぞわぞわした感覚から逃れたくて、やっとの思いで口にした言葉もその後が続かない



俺の分身を撫でる指は次第に動きの要素を増やして、その都度眉間に皺を寄せてしまう俺を楽しんでいる様に見えた



『先程の問いかけに答える余裕もないのか?お前、男を知っているんだろう』



「ちがっ、そんな訳ないだろっっ…」



ヤツの手は、俺のものを擦り上げるだけでなく時にその手のひらに包む様にして揉んでくる
電気が走る様な感覚が腰に伝わり、先端からつぷっと液体がのぞいた



『ならば俺が教えてやろう。お前は俺のことを知りたかったのだから、本望だろう?』



チョン・ユンホはそう言って手にはめていた革手袋をゆっくりと外し、着ていたジャケットを脱ぎ去る



ネクタイを緩めながら、再び俺の髪を掴み
そして革手袋を外した指を俺の口に突っ込んできた



『いいか?お前が知ろうとした相手がどういう相手だったのか、じっくり教えてやる。しゃぶるんだ』



耳元でそう囁くヤツは、さっき俺の舌を千切れるくらいに甚振っていたそれを耳に這わせる



耳に聞こえるぞくりとした声と
耳に伝わるぞくりとした感覚で
またも何かの術にかかったかの様になってしまい



言われた通り、ヤツの指に舌を這わせた



怖い
この状況が言いようもないくらいに怖い



それとも



この状況が怖いのではなく
自分が自分ではなくなる様な感覚に支配されていくのが怖いのだろうか



耳を舐め俺のものを擦り上げている男の指を…
その恐怖を忘れるように夢中でしゃぶった



『随分と素質がありそうだな、シム・チャンミン』



恥ずかしい言葉を投げられても尚、指をしゃぶる行為をやめなかった
ヤツはもう一度口元を斜めにあげてゆっくりと顔をおろしていく



「あぁっ!」



あり得ない感覚にあり得ない声が出てしまう



俺のものに触れていた指が、生温かいざらっとしたものに変わったのだ



それがチョン・ユンホの舌だと認識するまでに時間を要したのも、俺の頭がどうにかなってしまったからだと思った



後ろに流してセットされているヤツの硬めの髪が、俺の内腿をくすぐる
そんな光景に、はしたなくも硬さを増している自分の分身が信じられなかった



『良さそうだな?こんな反応をされれば俺も悪い気がしないな』



再び顔を上げ俺の顔を間近で覗き込む男は
唾液とも俺のものから溢れる液体とも分からない露で少し厚めの下唇を濡らし、それを親指で拭う



その動きが…酷く煽情的に感じてしまい
自分の目が充血していくのが分かった



『いい子だ。来い、抱いてやる』



そんな俺の顔を見たチョン・ユンホは咥えさせていた指を抜いた
その指を俺の後ろに這わせていき、丸く撫でた後ゆっくり埋め込んだ



「いっ!いってぇ…ハッ…腹が…」



生まれて初めて味わう痛みに、全筋肉が縮み上がる様な感覚になる
何かを入れるところではない。当然余計なものを押し出そうとする力が働く



『力を入れるな』



俺の耳を舐りながら言う男の声
腹の中に感じる違和感から逃れようとして、またもヤツの言うがままになってしまう



助けてくれ…俺が何をしたって言うんだ…
大きく息を吐き、力を入れない様にする



言葉では命令口調になっている男の舌は、何故か反対に繊細な動きをしてくる
俺の耳を必要以上に舐った後は、唇を甘噛みする様に喰んでくる



その動きが、俺の身体から余計な力を抜いていく様で
気づいた時には腹の中の違和感は消え、むしろ前で力を失っていた俺の分身に硬さを戻してゆく



俺は…
羨ましいと感じていた、あの男の逞しい上半身にすっぽりと包まれていて
その腕の中で裸の身体をくねらせていた



『シム・チャンミン。お前が知りたかった俺から受けた痛みを忘れるな…』



地を這う様な声を耳元で聞いたその瞬間
下半身に熱の杭を打たれた様な衝撃を感じた



チョン・ユンホが…
この男の真実を知ろうとした俺に
己の欲望を教えた瞬間だった






次回「渇欲12」は11/1(火)21時に更新致します

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縁結 第2章 ~至愛 45~
2016-10-28 Fri 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Princess? Changmin



あれから数日が過ぎた
ここのところ、ユンホ殿下は朝から大殿に向かわれていることが多く、一緒に朝食も摂っていない



タイからお戻りになられてから何かとお忙しい様で、そんなユンホ殿下の事を聞きたくてもイ内官さんも忙しいのか全くつかまらなかった



僕が大学で倒れた後、緊急の王族会議が行われることになったというあの日



大殿からお戻りになられたユンホ殿下は、今まで見たことがないくらいに顔色が悪かった



殿下は迎えに出た僕を抱き寄せて



『タイから帰って、見た目よりも案外重いチャンミンを抱っこして…それに朝からチャンミンをいっぱい可愛がったからさ。さすがにヘトヘトだよ』



耳元でそんな風におっしゃり僕を真っ赤にさせたけれど、僕に心配をかけまいと無理をなさっている様に感じた



午後の講義が休講になり、王宮に戻ってきた僕は
今日も大学をお休みされているユンホ殿下の事が心配で、コ尚宮さんに大殿へ様子を見に行って貰っている



タブロイド紙に載った密会騒動の他にも、何かあったんだろうか?
ユンホ殿下に起きたことは、僕にも全て教えて欲しいのに…



そんなことを思い、ため息をつく



《嬪宮様。その様な深いため息は幸せを遠くにやってしまいますよ》



僕にコーヒーを淹れてくれたトン尚宮さんが笑った



テミンが高校に行っている間、手の空いているトン尚宮さんに王室の習わしなどを教えて貰っている



僕が王室の風習や行事、人間関係に詳しくなる事はユンホ殿下の為になる
そう気づいて以来、これも僕の習慣になった



「ユンホ殿下が…お忙しくなる様な何かがあったかもしれないのに僕に教えてくれないんです…だから思わずため息が出ました」



僕はトン尚宮さんに淹れて貰うコーヒーが好きだ
紅茶よりもコーヒーが好きだというのも一緒だから、コーヒーの味の好みも似ているらしい



甘党のユンホ殿下には何度も文句を言われているみたいで、ユンホ殿下には同じく甘党のコ尚宮さんが作るカフェモカやショコラオレをお持ちすると笑っていた



《男の方には男の方の事情がおありですからね。嬪宮様も男性ですが、皇太子殿下にとっては大切な奥様でいらっしゃいますから、夫としてのプライドがそうさせているのではないでしょうか》



トン尚宮さんはそう言って、僕の前に置いたコーヒーに角砂糖を乗せたティースプーンを添える
ブラックしか飲まないのはよく知ってる筈なのに



《その様に殿下の身を案じられるのは嬪宮様がユンホ殿下の真のパートナーとなられた証ですね。お気持ちは分かりますが、少しリラックスなさいませ》



にっこり微笑んだトン尚宮さんは、ティースプーンに乗せた角砂糖にきれいな金のライターで火をつけた



ジリジリと炎を立てる角砂糖をコーヒーに落とす
何だか手品を見ている様だった



《カフェ・ロワイヤルでございます。角砂糖にブランデーを染み込ませているので炎が灯ります。たまにはこんなコーヒーもよろしいでしょう?》



悩んでいる僕の気分を晴らそうとしてこんなマジックみたいな事をしてくれたんだ
一礼をして下がっていく尚宮さんに心の中でお礼を言う



そうだよな
ユンホ殿下は殿下なりのお考えを持って、しっかり行動をなさっているんだ
必要だと思えば、聞かずとも話してくれる筈



何だか僕も、ちょっとずつ欲張りになってるんだろうな…



手品の後に出来たコーヒーは果実を思わせる様なブランデーの香りが漂い、尚宮さんが言った様に僕の気持ちをリラックスさせてくれる



僕が出来ることをひとつづつでもやっていれば
それがきっと、ユンホ殿下のお役に立つ時も来るだろう



初めて味わうカフェ・ロワイヤルを少しずつ楽しみながら、さっき教わった今月予定されている王室行事の詳細に目を通した



僕が王妃様のお手伝いをする様な行事もあるし、大殿に行って王妃様の手が空いていらしたら伺ってみようかな…



そんなことを考えている所にコ尚宮さんが戻ってきた



《嬪宮様、只今戻りました。一番重要な事だけ先ず申し上げます。王室にとって非常に大きな事案が決定されました。嬪宮様も、お気持ちを新たにして頂く必要がございます》



その内容が非常に重大な内容だという事は、いつも明るく接してくれているコ尚宮さんの表情が、今まで見たことが無いくらい強張っていた事で否が応でも分かった



追尊(死後に王の称号を贈ること)……
初めて聞く言葉の様だったけれど、お妃教育で学んだ事を思い出した



それが行われるという事は、亡くなった先の皇太子殿下…キュヒョン様のお父様が対象だという事だろう



何かが…大きく動き出した
そんな予感がした






明日のこの時間に「密事」の特別篇を更新します
お時間がございましたら、お立ち寄り下さい


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縁結 第2章 ~至愛 44~
2016-10-27 Thu 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
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side Crown Prince Yunho



普段から“王族”という一括りで言っているが
実は直系と傍系に派生しており、俺は鄭王家直系の子孫だ



傍系の方で枝分かれした先には、もはや俺とは血の繋がりが皆無という人もいる



昔の王には正室である王妃の他に側室も多くいた
側室の子孫から派生する傍系王族はある程度代を重ねてきたら王籍から外れるものの、残っている人数はかなり多い



しかし王族会議は
先代の王の兄弟だったり先先代の王の末子だったりと、国王の直系の血が濃い面々のみが出席出来る



年長の者の意見を尊重する儒教において、そうした歴代の重鎮の意見は絶大な威力を発揮する
時に現国王をも黙らせる様な事もあるのだ



その面々が揃う王族会議
父上に前もって言われていた様に、俺の皇太子としての資質を問う声が多く上がった



まず最初に堅物で有名な大叔父から、事実ではないにせよ結婚直後に不倫騒動が起こる事自体、皇太子の意識が不十分だと言われた



それについては妃を迎える前にきちんと交際を解消しており、皇太子は一方的に押しかけられただけと父上が突っぱねる



冷静な性格から、王族会議のまとめ役になっている先先代の王の末子も父上に加勢して



〈皇太子は国民に対してもきちんと事実を説明し低俗な新聞社に正式に抗議もしているゆえ、その事については触れる必要無いだろう〉



と大叔父に言ってくれた



しかし
俺がここにいる面々のいる目の前でしてしまったあのパーティーでの一件は、もはや弁解の余地もなかった



若気の至り、では済まされない事だ



“ただ言葉で言えば済むものの、すぐに手を出すのは由々しき事だ”



“お披露目の主役を置いて、自分の気持ちに任せ役目を放棄した態度は無責任だ”



言われる事が全て事実で返す言葉も浮かばなくて
俺はその都度



『皆様が居られるにも関わらず私の未熟さを露呈してしまい、ひたすら猛省しております』



と頭を下げる事しか出来ない



悔しい、というより
それまで好き勝手にやってきた罰だという気持ちが強かった



皇太子という地位にある事も忘れて
親には悪態をつき、内官や女官に感謝の気持ちすら持たず、時に学内でケンカをして後始末に広報が奔走する事もあったから…



過去を悔やんでも仕方ない…それは分かってる
チャンミンという存在を得たおかげで目を覚まし前向きになれたのだけれど
これだけは取り返しのつかない過ちだった






王族会議が終わった後、父上が教えてくれた事がある



間違う事のない人生などないんだという事…
どうする事も出来ない失敗をするのが人間だという事…



それに対し父上もそうだったのかと尋ねると
〈私も人間だからな〉と寂しそうに笑った






二時間に及ぶ王族会議では、以前から要望が根強くあったという亡くなった叔父上の追尊(死後に王の称号を贈ること)が決まり、国会での承認を受けることとなった



これにより王宮から出されていた慧恩君は大妃となり、キュヒョンは大君(正室の嫡子)として正式に王位継承者となり、王宮に戻ってくる事になった



皇太子という座に拘らず次期王に相応しい者を見極めるという事が、王族会議の最終的な結論だったんだ



本来なら公親王という太子とほぼ同角の位に封ぜられるのを、キュヒョンが大君でいいと断ったらしい



国民から見た時に、これでは自分と皇太子があからさまな対立をしていると誤解されてしまうという、これも重鎮が喜びそうな謙虚な申し出だった



そんな穿った見方をしている時点で、俺はやっぱりキュヒョンより劣っているのかもしれない…



分かっていたものの、俺よりもずっと年長の人達に寄ってたかって責められられたから、さすがにちょっとへこんだ



執務室で父上と今後について話し合った後、東宮殿に戻ったのは夕方になってからだった



大きく息を吸い、吐き出す



取り戻せない過去をいつまでも引きずるのはやめよう
今の俺には、守らなければならない人がいるんだ



元気のない姿を見せちゃいけない
こんな俺を信じ、自分の人生を賭けて付いてきてくれた人に…



俺が守るべき存在で
へこんだ俺に元気を取り戻してくれる存在である、その人が



「ユンホ様、おかえりなさいませ」



そう言いながら、眩しい笑顔で迎えてくれた






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縁結 第2章 ~至愛 43~
2016-10-26 Wed 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
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side Crown Princess? Changmin



ユンホ殿下に愛されているという実感をこれ以上ないくらいに感じていた



過去はもういい
今、この人の愛を受ける事が出来るのは僕だけだ



男同士という神に許されない愛だとしても
僕たちは愛し合っているのだから…



僕の身体に残されていく愛の印は
時にチリチリとした痛みを伴い



ユンホ殿下の最大の愛を受け止める時は
身体が仰け反ってしまう程の痛みも伴う



でも…今朝は
ユンホ殿下の事を求める僕の想いが高まっていたからか、愛している人と結ばれているという喜びしか感じなかった



『チャンミナ…ごめんな、辛かった?』



補液が終わりそうな点滴がまだ繋がれたままの僕の身体…
汗でべたべたになってしまった身体を丁寧に拭きながら、殿下がおっしゃる



それは愛の行為の事を言っているんだと思ったけれど、僕にはユンホ殿下がいらっしゃらなかった数日の事を言っているように聞こえてしまう



「謝らないで…ユンホ様…」



僕は愛しい人の首に手を伸ばし、自分の胸元に引き寄せる



この人は僕だけのものだ…
その想いでユンホ殿下の背中を抱きしめた



『チャンミナ…愛してるよ』



僕の頰を撫でて、ユンホ殿下がおっしゃる
一つの困難を越えて、僕たちはまた愛を深められたんだと思う



僕を見つめる殿下の目は、その中に僕を映している



他の人を映すことなどない…
その現実をしっかり胸にしまう



ユンホ殿下のその唇が触れるのも
僕の身体だけだ…



ご自分が残したばかりの愛の印を再びひとつずつ確認するように、口づけてゆくユンホ殿下



そんな甘い時間を、イ内官の静かな声が制止する



イ内官が入って来ることはないと分かっていても、やっぱり僕にはまだまだ恥ずかしくて
思わず布団を手繰り寄せて頭からすっぽりかぶる



ユンホ殿下は微笑みながら僕を軽々と抱き上げて、ベッドに戻してくださった



僕はうつ伏せになった殿下を仰向けにするのが精一杯なのに…
同じ男なのに、こんな事でもドキっとしてしまう自分がなんかちょっと照れる



部屋を後にされたユンホ殿下
僕も急いでベッドの下に脱いだままの寝間着を着て、次にかかるであろう尚宮さんの声を待った



コ尚宮さんと共に入って来た医女に脈などを診られ、点滴も外してもらう
《あとはしっかりお食事をお摂りくださいませ》と言い、医女は下がっていった



《嬪宮様の好物を用意せよ、という皇太子殿下の仰せでしたので今朝は朝食からお肉がございますよ。しっかりお召し上がりください》



コ尚宮さんはそう言って微笑んだ



『嬪宮様…よく堪えられましたね。昨日はテミン様も心配されて泣きながらお戻りになられました。あの様なお可愛らしいお姿で、皇太子殿下の胸倉を掴んで詰め寄られたそうです》



テミナ…そんなこと…



〈オンニぃぃ~~!!入るよぉ~?もう大丈夫だよねっ!僕のね、大好きなとんかつも朝からあるってよ!早く食べに行こう〉



そんな話を聞いている側からご機嫌なテミンの声が聞こえ、ドタドタと部屋に入ってきた



ベッドの上に居る僕の元にダイブして抱きついてくる



〈よかった、顔色もうんといいよ〉



そう言って嬉しそうにするテミンに「僕は朝からとんかつはちょっと…」と遠慮して言う



〈えー!!朝から運動してお腹空いてるでしょぉ?!あっ、僕聞いてた訳じゃないよ?ヒョンの胸元に付いてる赤い跡も見えてないからぁー〉



・・・・・
テッ、テミナっっ!!!何てことをっ!!!



真っ赤になった僕が、抱きついていたテミンをねじ伏せて新技のサソリ固めをお見舞いしたのはいうまでもない



サソリ固めでギブアップしたテミンを置いて支度をし、東宮殿の食堂に向かう
尚宮さんのいう通り、食卓には僕とテミンの好物ばかりが並んでいた



ゲンキンなもので
精神的に不安が取り除かれれば真っ先に回復する僕の食欲に任せて、しっかり食事を摂った



みんなに心配させてしまったから…
もう大丈夫だという姿を見せなければならない



大学に行きあの人にも見せよう
僕がユンホ殿下を愛して、そして愛されているという事実をしっかり見て欲しい



僕の嫉妬心がそうさせるんじゃない
現実を見ることが大切な事だと思ったから



頰に目一杯とんかつを詰め込むテミンを見ながら、そんな事を考えた







「皇太子殿下はまだ大殿においでですか?」



朝食の時間を終えて、大学と高校に行く支度をそれぞれにしながら尚宮さんに尋ねる



《緊急の王族会議が開かれる事になったので、殿下は今日も大学はお休みなさるそうです。詳しくはまだ聞いておりませんが、嬪宮様はもう心配をなさる事はございませんよ》



髪をセットしてくれたコ尚宮さんはそう言って、笑顔になる
用意していた僕のバッグを渡してくれて



《ユンホ殿下がいらっしゃれば…大丈夫でございましょう?》



とテミンみたいにニヤけた



「んもぅ!!尚宮さんまでっ!!」



真っ赤になる顔を手でパタパタ仰ぎながらバッグを持ち、玄関に早歩きで向かった



ひとつの大きな壁を越えられたという安堵感を持ち、車に乗り込んだ僕は



同じ頃
大殿で僕たちにも関係する大きな決定が成された事をまだ知る由もなかった






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渇欲 10
2016-10-25 Tue 21:00


このお話はフィクションです
性的な描写を含みます
ご注意ください






こ…ここはどこだ?
痛い…頭がズキズキする



俺は……いったいどうしたんだろう
???
誰かが目の前にいる様な気がする……



夢なのか現実なのか
自分の意識が彷徨っている



しきりに痛む頭は……



………!!!



顔にかけられた水は
彷徨っていた空間から俺を現実に引き戻す為のものだった



「うわっ!なんだこれっ!!」



何処だか分からない殺風景な部屋
手は左右に大きく引っ張られていて
その手を固定していたのは頑丈な手錠だった



机なのか棚なのか
その上に乗せられている俺は、脚も同じように左右に分けられて固定されている



そんな状況にも頭が全くついていかないというのに、顔をきょろきょろと動かして見ると自分が全裸だということに気づき更にパニックに陥った



『意識がないのは興醒めだからな』



手足をばたつかせ、ガチャガチャとうるさい音を立てている手錠の音を遮った声



目の前には
俺が知りたいと思ってた…あの男がいた



およそ彼には似つかわしくないパイプ椅子に座り、今日もまた品の良い黒いスーツで身を固めている男は、そう言って手に持っていたグラスを放り投げた



パリン!と音を立てて割れたグラスの音にびっくりしたのか
あの男が目の前にいるという事実を受け入れられないからか



俺は一瞬にして固まってしまう



昨日嫌というくらいテレビで見せられた…
国内有数の大企業スムダン電子を手に入れても尚、動じないあの堂々たる姿と



貧相なパイプ椅子に座りながら
その逞しい上半身を持て余すかの様に前のめりにし、膝の上で手を組んで俺を見つめている姿



どちらが、この男の本当の顔なんだろうか…



『シム・チャンミン。俺の何を知りたい?』



パイプ椅子から立ち上がり、間近に迫ってくる男は鋭い眼で俺を見る



表情のない顔の中で一際目立つ黒曜石の様な美しい彼の目に、何かの術でもかけられた様になった俺はピクリとも動けないでいた



黒い革手袋をはめた指で俺の顎をすくう
彼の息が…俺の唇にかかる



『お前の書いた文章が気に入った。ただ、周りを動き回る五月蝿い存在は好ましくない』



「まさかお前がミノを?!ってか、お前何者なんだよっ!!」



怖い
怖かったんだ
それなのに、彼の目から自分の目をそらす事が出来なかった



男はホクロが目立つ片方の口角ををクッと上げる



『俺を知りたいのに、まだ答えに行きついてないのか?鋭い文章を書くのに思考回路は鈍いんだな』



俺が言っている意味を分かっていながら、からかってるのが分かる
テソングループの代表だということは百も承知だ



「いいから、離せ!!男を裸に剥くなんて悪趣味だな!!」



からかわれている事が分かると、俺も俄然元気が出てくる
全裸だからとか言ってる場合じゃない



再びガチャガチャと手足を動かして騒ぎ立てる



「テソンの社長は変態だって記事を書いてやる!これを外せってば!!」



そんな俺を見て、男はクククっと笑う
そして一瞬にして表情を消し、俺の髪を掴んだ



『そういう記事が書きたいのなら書けばいい。拘束を解いてやろう。でも、お前は…真実を知りたいんじゃないのか?』



男は俺の髪を掴みながら強引に顔を上げさせた



チョン・ユンホ…そうだよ
俺は、お前の真実を暴いてみせる…



その決意で彼の事を睨み返した



『いい眼をしているな…シム・チャンミン。知りたいのなら教えてやろう』



!!!



彼の唇が俺のそれを塞ぐ
掴んだ髪を引き、更に片方の手で俺の顔までも拘束してくる



息が出来ない
そう思って空気を求めた隙間をぬって、熱い舌が入り込んでくる



ヤメロ!!



そう思っているのに
俺の口腔内を蹂躙し続けるヤツの舌に惑わされて一向に出てこない俺の言葉



なんなんだよ!
俺はどうなってんだよ!!



自分の舌がヤツの舌と痛いくらいに絡まり、飲み込めない唾液が俺の顎をつたい落ちる



あり得ない状況と、息苦しさで頭がぼーっとしてきて
心ではヤツを罵倒する言葉がとめどなく出てくるのに、それが一切声帯に伝わらないんだ



「…ん、はぁっ」



何とか隙間を見つけて呼吸をする
酸素を取り入れて少し元気を取り戻す俺



「お前何考えてんだよっ!男相手にこんなことして何が楽しいんだ?!俺にだってお前と同じものがついてるだろ!」



固定された足先は動かないが、何とか膝でヤツの腹を押し返す



『言葉でそんな主張をせずとも分かってる。そんなにして…口調とは裏腹に悦んでいるみたいだぞ?』



唇での縛を解いたチョン・ユンホは



俺の中心で何かを求める様に主張を激しくしているものを、革手袋をはめている指で撫であげた



その時、彼は
怖ろしいほどに妖しく美しい眼をしていた






次回「渇欲11」は10/28(金)21時に更新致します

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縁結 第2章 ~至愛 42~
2016-10-25 Tue 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Prince Yunho



《皇太子殿下、おはようございます。朝早くから申し訳ございませんが至急大殿にお出まし願います》



チャンミンの額に貼りついた髪を直しつつ彼の頰や耳にキスを落とし、ゆっくりと自分の息を整える愛の行為の余韻の中



静かなイ内官の声がかかる



恥ずかしがり屋の最愛の人を抱き上げ彼のベッドに戻し、それまで敷いていた掛け布団でチャンミンを覆ってやる



『行ってくる』



チャンミンの額にももう一度キスをしてから、拾い集めた服を着た



何かあったんだろう
余程のことが無ければ、こんな時間から呼ばれる事はない



扉を開けるとイ内官が頭を下げて控えていた
その後ろにはコ尚宮と医女も控えている



『チャンミンの顔色は良いと思う。尚宮、朝食にはチャンミンの好物とテミンの好物を並べるよう伝えておいてくれ』



かしこまりました、と言う二人を残してイ内官と対の間を後にした



《殿下、まだ時間はございます故、シャワーとお着替えをどうぞ》



イ内官が用意していた服を持ち、言われた通りにした



《早朝に広報へ連絡が入りました。今度は先日の妃殿下お披露目のパーティーでの件が週刊誌に掲載されます》



大殿への通路を早歩きで進みながらイ内官が言う



『パーティーでの件?』



《左様です。妃殿下に触れられた圭賢君殿下の手を跳ね除けた際、突き飛ばすようになってしまわれた件でございます》



何だって?
もうだいぶ前の話だし、何よりもあの場にいたのは王族と一部の内閣の人間だけだ
それなのになぜ…



『わかった』
それだけ返し、歩調を更に早めた



父上の執務室ではなく居間に案内されて扉の前で一呼吸おく



『おはようございます。ユンホです』



中から〈入りなさい〉と言う大妃様の声が聞こえた



居間には大妃様と両親が座る
どの顔にも困惑の表情が見てとれた



〈チャンミンはどうだ?〉と問う父上の声に
『落ち着きました。ご心配をお掛け致しました」と頭を下げる



促されて椅子に座る俺の前には、その週刊誌が置かれていた



〈王族の中からこの様な物に話題を提供するという人間が出た事も非常に遺憾だ。しかし、過ぎた事とはいえ、皇太子の非もあったのは事実ゆえ如何ともしがたい〉



【見過ごせない皇太子の暴力性】



あのタブロイド紙に載った密会の文言よりもいたってシンプルだけれど、その分読み手側の受け取り方が広がりそうなタイトルだった



その現場の写真こそないものの、実際に出席していた王族の誰かが事細かに話しただけあって、リアルな場面が想像出来た



“自分の妃に少し触れられただけで怒り狂った皇太子は、圭賢君殿下の手を思い切り跳ね除けた。その際あまりの勢いに爪が当たったのか、圭賢君殿下の頰には血が滲み妃殿下が慌てて駆け寄られた”



一字一句、内容は一切間違っていないから
俺も言葉を失う



“皇太子はその後、チャンミン妃を残したままさっさと会場を後にした。残された妃殿下は心細そうで、圭賢君殿下が一生懸命お慰めあそばしていた”



これも、事実だ…
悔しさのあまり握りしめた手が震えた



『申し上げるべき言葉も見つからず、恥ずかしくてなりません。圭賢君には改めて正式に謝罪したいと思います』



顔を上げられず、俯いたままになってしまう自分が情け無い
自分の愚かさをこんな風に突きつけられると、悔やんでも悔やみきれない思いでいっぱいだった



〈この件で急遽、午前中に王族会議が開催される事になった。そなたは矢面に立たされる事になろう。私が出来る限り盾になるが、覚悟して臨みなさい〉



『当然の事と存じます。むしろ父上の御負担になりたくありません。庇うような事はなさいませんように』



悔しい…
心臓を患われた父上の助けになりたくて一生懸命やってきたのに…結局こんな風に父上の負担になってしまうなんて



〈バカを言うな。お前に非難が集中した時に守ってやれるのは私しかおらんだろう。よいか?重鎮は皆、兄上が亡くなられたことをずっと無念に思っているのだぞ〉



そう声を落とす父上の顔もまた、俺と同じように悔しさを滲ませていた



〈米国からこちらに戻った圭賢君が、亡き兄上に一層似てきたのも重鎮にその無念を晴らそうとさせているんだろう。私達は逆境に立たされているのだと、覚悟を決めねばならない〉



病のせいでやつれが目立つ父上
タイへの訪問を終えたら、どこか空気の良いところで療養して頂こうと思っていたばかりだ



俺のせいだ…



俺が不出来だったばかりにその親である父上もまた、亡き叔父上と比べられてきたはず



チャンミンという支えを得て、こんな俺でもようやく変わる事が出来た
それまで気づかぬ間に父上に掛けていた苦労を、これから少しずつ返していけると思っていたのに



自分が…今までしてきたワガママの代償が
こんな風に返ってくると思わなかった



でも…
うじうじと過去の事を悔やんでばかりじゃ
前と何も変わらない



一つの過ちに対しては二つの成果を上げればいい
そう思ったじゃないか



『父上、私は決して逃げません。父上の盾になれる様に…しっかりと胸を張って会議に出席します』



この週刊誌を読んでからずっと下げていた顔を上げた俺にはもう、迷いは無かった



チャンミンも泣かせない
父上の愚息にもならない



悔しさで震わせていた手を今度は力強く握り締め
俺はしっかりと前を見た






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縁結 第2章 ~至愛 41~
2016-10-24 Mon 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
BL表現を含みます
ご承知おきください




side Crown Princess? Changmin



こういう温もりを感じるようになった時に
他人同士の夫婦という関係から本当の家族になるのだろうか



朝日の柔らかい光の中で
僕はそんな温もりを感じながら目覚めた



『ただいま、チャンミン』



先に目覚めていたらしいユンホ殿下が、僕の頭を撫でながら言う
僕達は結局、ベッドを背もたれにして地べたに並んで座ったまんまでいた



お互いの体温が
一枚の布団の中で心地良い暖かさになって
こんな体勢だけれど、よく眠れた気がする



「おかえりなさい、ユンホ様…」



たった数日しか離れていないけれど
目の前のこの人が、無性に愛おしい
ユンホ殿下の存在を確かめるように、彼の顔に触れる



『チャンミナ。おかえりなさいのキスは?』



あっ…僕
昨夜…



「…もうしちゃいました」



昨夜一度目覚めた時
隣にいて欲しかった人の存在が戻ってきてくれたと言う嬉しさに我慢できず、そっと口づけた



『えーっ!いつ?俺が知らないうちに?そんなのズルいっ』



子供みたいにぷぅっと頰を膨らまして拗ねるユンホ殿下
そんなのどこで覚えてきたんだよ…んもぅ
テミンの得意技だぞ、それ…



『ハイ、チャンミナ。もう一回やり直し』



ユンホ殿下はそう言って、布団の中で両手を広げた



やめてよ…恥ずかしいってば
そう思うけれど
僕の中で、恥ずかしさよりもユンホ殿下を求める気持ちが大きすぎた



「おかえりなさい…ユンホ様…」



もう一回そう言いながら
愛おしい人の胸に飛び込み、キスをする



好き
もうきっと、僕の中では“好き”以上の想いが溢れてる



ユンホ殿下を…愛してる
そんな想いを込めて、キスを深くしてゆく



僕が知っていると分かってるんだろうけれど
ユンホ殿下はあの事はまだ何もおっしゃらない



僕からは…聞かないでいい
聞く必要なんか無いから



僕から聞いてしまったら
ユンホ殿下を信じていない事になる



だから…いいんだ
二十年生きてきたのだから過去が無い訳がない
今、この瞬間が僕には大切なんだから



『チャンミナ。公務のスケジュールで今度みたいにどうしても一人で行かなければならない事があったら…今日みたいにおかえりのキスをしてくれよな』



深くなるキスの合間に
僕の額に自分の額をくっつけながら、ユンホ殿下がおっしゃる



間近に感じる吐息がくすぐったくて
朝の爽やかな空気には、ちょっとだけ不釣り合いな熱さが身体を支配してゆく



そんな熱さが布団の中でお互いの体温を余計に加熱させてしまい
僕は…自分からもう一度唇を合わせた



掛けていた布団の中で重なる身体
寂しかった数日分を埋めるかのようにせわしなく触れ合い、互いの身体の記憶を取り戻してゆく



『チャンミナ…俺、もう好きだって言うだけじゃ足りないみたい』



そう言って僕を横たえたユンホ殿下
手のひらで触れて取り戻した記憶をさらに唇でも取り戻していくみたいに、ゆっくりとキスの雨を降らせる



それだけで僕も全身でユンホ殿下を求めてしまう
自分の身体が、自分のものじゃないくらい昂まっていくんだ



ユンホ殿下が僕の背中が痛くないようにと掛け布団を敷いたから、素肌になった僕等を覆う温もりはなくなった



でもいいんだ



重なり合う僕たちの体温は
身体が繋がっていく程に上がっていくから…



数日分の想いの全てが
僕たちを包み込む熱に変わっていった







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渇欲 9
2016-10-21 Fri 21:00


このお話はフィクションです






この数日は人に会う機会が多く、さすがの俺でも軽い疲労感を覚えた



ほとんど寝るだけのために帰るマンションの一室
シャワーを浴びた後、バスローブを羽織りリビングのソファに深く腰を下ろす



そこにすかさず駆け寄り、しっかり脇を陣取るのは愛犬のフレアだ



ここ最近は忙しく散歩も通いの家政婦に任せきりだが、こうして主人を忘れずにいてくれるのはありがたい



俺の脚に顔を乗せ安心した様子の彼の頭を撫でながらグラスに手を伸ばす



もう一つのグラスに軽く杯を合わせて、口に運んだ



最近気に入っている外国製のウィスキー
熟成したグレーンの甘さとモルトの芳醇な香りを少しずつ舌で堪能し、束の間の休息をとる



基本的に俺は表に立たない様にしている
組織というものを動かすのは社員だと思っているからだ



代表というものは、最終的に全部の責任を負える存在であればいいと思っている



だから俺は仕事のほとんどを極力部下に任せることにしている
それだけの事を出来る部下しか周りに置いていないつもりだ



しかしさすがに、我が国有数の企業を買収したもなれば
俺が部屋に篭っている訳にもいかない



その方面の役人だけでなく、国会議員の何名かもアポイントを取ってきた



身体が二つあればいいが、俺はこの通り一つしか身体がないし
その俺に与えられている時間も万人と同じ二十四時しかないわけで



その時間で倍以上のスケジュールを詰め込んだ秘書には軽く文句を言ってやった



非常に優秀な男だが、優秀過ぎて融通が利かないところがある
必要だと思った案件はよくもここまで組んだと思うほど、分刻みにでもねじ込んでくる



しかし彼もまた、俺以上に細かく仕事をこなしているわけで…そんな彼を否定する気持ちはさらさらないのだが



ひとしきり俺に撫でられ満足したのか
フレアはその大きな身体を起こし自分のベッドに移動した



彼の中ではその時々の居場所があるらしく、あのベッドに行ったというのならば本格的に寝る事にしたのだろう



俺もこの辺りで休むとしよう
グラスをテーブルに置いて、リビングの電気を落とした



バスローブを脱いでベッドに入る
本当は良くないのだが、寝る前にタブレット端末でネットの情報を拾ってから休むのが癖になっている



自然に乾いた髪をかきあげて枕に凭れた



たいていの記事はもうすでに読み終えているが、今朝方読んだ記事が頭に残っていたウェブペーパーを再び検索する



シム・チャンミンと言っただろうか
文調が非常に思い切りがよく、大手の記者には感じない躍動感を感じた



だがしかし
鋭いのはいいが、俺の仕事の邪魔になる様な行動は好ましくない



秘書のジェウンは、この記事を気に留めて既に処理を済ませたと言っていたが…



いつもならそれで気にもしなくなるのだが
なぜか今日は、小さく立った心のさざ波が一向に収まらない



この男の書く記事を、もう少し読みたくなったのだ



バックナンバーを読んでいくと、少し前からスムダンの前会長を追っていた様だった
アイドルとの交際は噂になっていたからな



購読者数を増やしたいからか芸能人のゴシップを主に載せているが、この記事を書く男の抑えられない追求心が文章の所々に感じられた



面白いな
久しぶりに高揚感を覚える
小さな楽しみを見つけた気分で、そのまま心地よい眠りについた






翌日もそのまた翌日もスムダン買収の件で目一杯のスケジュールを入れられていた俺は
例のウェブペーパーの件は頭の隅に追いやられていた



ようやくほとんどの予定が片付き煙草に火をつけた時、ジェウンが部屋に入ってきた



〈以前お話ししたゴミの件ですが。意外にしぶとい様で代表の住居まで辿り着いてしまいました。申し訳ございません〉



……ほう
頭を下げるジェウンを手で制する



スムダン買収の件で俺を追う事にしたのか?
それとも…記事に認めていた、彼が追い求める真実の先に居る俺に気づいたのか?



面白い
小さな楽しみは、意外にもあっという間に大きな楽しみになるかもしれない



『それで?ゴミの始末はしたのか?』



窓の外に広がる俺の世界を眺めながら煙草を燻らす



〈代表の指示を伺いたく、地下室に捕縛しております〉



『分かった』



シム・チャンミンか
その鋭い文章通りの男だろうか…



煙草を灰皿に押し付け、引き出しの革手袋をはめた俺は



溢れる追求心を持つ男との対面に
心を躍らせていた






次回「渇欲10」は10/25(火)21時に更新致します

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