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渇欲 1
2016-09-30 Fri 21:00


このお話はフィクションです






「ミノー!おまえ例の件どうなってんだよ!」


〈はっ!すんません、すぐやりますっ〉


「せっかくスポンサーがついたっていうのに…来週のメイン無くなるぞっ!」



長い脚を机上に投げ出してパンを食ってたミノが、愛用のカメラバッグを手にして部屋を飛び出すのを苦々しく見送った



ソウル郊外の平凡な街中にある建物の一室



上階は昼夜逆転している様な生活を送る胡散臭い輩が居を構え
一、二階にはいわゆる闇金や本当に開いているのか分からない探偵事務所が入るこの建物



その中に俺がやっている新聞社がある



新聞社…そう言えば聞こえはいいけど
ネットで読むことが出来る発行物を毎週作ってるだけだ



それでも
カメラマン兼記者のチェ・ミンホを雇えているのは



俺と彼が大学の先輩後輩という仲で
〈新聞研究会〉という地味なサークルをやっていた事と



たまたま別件で張っていた建物で、大物芸能人が関与する薬物売買の現場を押さえるという大スクープをモノにしたという一件があり



それ以来、近所のスーパーやら英会話教室やらが広告を出してくれるようになったからだ



とは言うものの
俺が目指している世の中の本当の姿…
社名にもした“真実”を暴き出すことには到底及ばず



毎週紙面を飾るのは、三流のタブロイド紙の様なゴシップネタがほとんどだったりする



今は我慢の時…俺はそう思い、まずは万人に読んでもらえる様な記事を書くことに力を注いでいるところだ



三日後にアップする最新号の記事をまとめながら
ミノが撮ってくると言っていたはずの対象の写真がない事に気づき、やつを叱りつけた



今回もなんだかんだ言いつつ
トップ記事にする予定なのは人気アイドルの不倫という丸っきりゴシップ紙そのものの内容で



ミノもそのアイドルの姿が目撃されているという噂を元に、クラブの建物の写真を撮りに行った



紙面の大まかな内容が出来た頃、デスクの上のスマホがミノの名前を表記しながら震えた



〈ヒョン、俺です。今日は外観だけ撮ろうと思ってたら、思いがけずターゲットが来店しました。しかも…聞いてくださいよ。立て続けに来店したのが誰だと思います?〉



こいつ…もう一度国語を習った方がいいんじゃないか?本当に大卒か?聞いてくださいよって言いながら俺に問いかけるんじゃないよ、全く



〈ヒョンが前に言ってたと思うんですけど。不倫相手って言われる例の会長との癒着が噂されている検察のトップですよっ!〉


「何だって?!マジかよっ!」



文法がイマイチ過ぎるミノに腹を立てたけど
やつがそういう事に鼻が効く事には褒めても足りないくらいだ



ウチが追っていたのは、今をときめくアイドルグループのメンバーで、清純な雰囲気で中高生からいいおじさんまでもが夢中になっている子



その彼女が、自分の父親よりも年離れている大手電子機器メーカーの会長の愛人だという噂を掴んでいた



ミノが見たという検察のトップは、その電子機器メーカー会長にインサイダー取引の疑惑がかかった時、その捜査を始めた警察に圧力をかけてやめさせたという情報があった



その話がようやくほとぼりが冷めた頃
クラブでの密会が現実としてあること自体、何やらきな臭い



その場に必要以上に目立つ自分の女を同席させる事も、そこに何かがあるとしか思えなかった



書き終えた原稿の保存を急いで済ませ、パソコンの電源を落とす



「俺も行くっ!見張ってろよ!!くれぐれも見つからないようにな」



ミノにそう言って電話を切り、俺は支度を急いだ



あそこのクラブは“超”がつく高級クラブだ
万が一潜入するなんて事になっても、この格好じゃ入れない…シャツにジーパン、スニーカー姿の自分を見てそう思った



会員制のクラブだろうけど、何かしら潜入出来る道筋があるかも知れないし



念には念を入れる
これがシム・チャンミンのモットーだ



新聞社からほど近い自分のマンションに一度戻り、唯一持っているスーツに着替えて現場に急いだ



ショーウインドウに写る自分はけっこう背もあるし、スーツ姿も満更じゃないなと思う



ただ…いかんせん身体つきが、なんというか男らしさに欠けるというか
なで肩とやけに細い腰が描く曲線は自分の彼女以上だし



瞳の色が明るい色だということに加え、ぱっちりとした二重の大きな目も、女の私がそんな目になりたかったと彼女から言われていた



スーツの肩パットのおかげで多少サマにはなってるものの
やっぱり俺は、どこか中性的な雰囲気があるらしい



意識して「俺」と言うのも、そんな事への反発的な意味合いを持っているんだけど



タクシーを拾って現場に到着し、代金を払い車を降りる



タクシーと入れ違いにエンジン音を立てて停まった車に、危うくぶつかりそうになった



気をつけろ!と喉まで出かかった言葉を飲み込んだのは、その車の雰囲気に圧倒されたからだ



それが高級車であることは、フロントのマークですぐ分かる
黒のボディーカラーは、安い車のそれとは違う漆黒の輝きを放っていた



メルセデスAMGのSクラス…
何かの取材の時に調べた事があるけれど、家が一軒買えるくらいの金額だった



黒塗りのベンツというと、何やらその筋の人が乗ってそうな雰囲気だけれど
このメルセデスAMG Sクラスはスポーティな雰囲気があり、それが独特の品の良さを感じた



文句を言う気はなくなったけれど
こんなかっこいい車に乗っている人はどんな人なんだろうという興味が湧いた



助手席から降りてきたスーツ姿の男が後部に周り、ドアを開ける



そこに降り立った男は
現れた瞬間からなんとも言えないオーラを放っていた



向かい合うものを萎縮させるような威圧感だ



俺と同じくらいの長身だけど俺とは真逆で
がっちりとした広い肩幅に、胸板は厚く張っていて見るからに体格がいい



車と同じ上品な黒い三つ揃いのスーツは、その男の為だけにあつらえられたとわかるくらい良く似合っていた



黒髪を後ろに流して整え、すっきりとした鼻梁に鋭い視線を放つシャープな目元が印象的だ



俺の視線に気づいたんだろう
ギロッと一瞥した後、ドアを開けた男を従えて俺の前を颯爽と歩いて行った



その男に圧倒されて一瞬自分が何をしに来たのか忘れていたが、慌てて目的地に足を向ける



偶然か、その男も同じ方向に歩いて行く
後ろ姿でもその男の容貌が優れているという感じがした



〈ヒョン!こっちですっ〉
ミノの声に我に帰り、彼と合流する



その男は
俺たちの目の前で俺たちの目的だったクラブに消えていった



この日



俺がタクシー代をケチって
地下鉄で駆けつけていれば



俺という人間が
何に渇き、何を欲していたのか



知らずに生きていけたんだ





今回もタイトル及びブログ村バナーはAli様に提供して頂きました

ホミンを愛でるAliの小部屋




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拍手コメントの御礼とつぶやき
2016-09-30 Fri 20:00



皆さんこんばんは
管理人のゆんちゃすみでございます


いつも「至愛」への応援を頂き、本当にありがとうございます


今日は、以前頂戴しておりました拍手コメントへの御礼を遅ればせながらさせて頂こうと、こちらを書かせて頂きました


また、ゆんちゃすみから一つご報告もございますので、よろしければお付き合い下さい




〈拍手コメントの御礼〉

「微睡」にコメントをくださいましたm**様

せっかく初めてのお言葉を頂戴しておきながら、御礼が遅くなりました事をお詫び致します

1拍手!!おおーすごいです!
m**様同様、開設当初よりお付き合い下さっている読者様の間で(と言いながらも、実際はお二方なのですが笑)熾烈な1拍手の争いが繰り広げられております^^;
そんな中でのゲット!!私も嬉しいです

とても温かい励ましのお言葉を、どうもありがとうございました

これからもお付き合い頂ければ嬉しいです


-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


「至愛 16」にコメントをくださいましたくみちゃん様

いつもいつも、本当にありがとうございます
本当に皆勤賞ですよね…嬉しくてどんな言葉で御礼をしたらいいのか分かりません

律儀な?几帳面な?私の性格から、お返しをしていないまま、更新をするのが嫌だったので…すみませんでした


-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


「更新についてのお知らせ」にコメントをくださいましたモ***様

はじめまして
せっかくお言葉をいただきながら、お返しが遅くなり申し訳ございませんでした

ご丁寧なお言葉を頂き恐縮しております
その様に言っていただけると、本当に励みになります

お優しい読者様に甘えさせて頂き、マイペースに更新をしていければなと思っております

これからもよろしくお願い致します


-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*




ゆんちゃすみからのご報告です


現在連載をさせて頂いている「至愛」と別に、新しいお話を掲載させて頂こうと思っております


と申しますのも…


ゆんちゃすみが現在勤めております所には、とても裕福な方がお見えになります(怪しげな仕事ではございません、念のため…笑)


仕事帰りにふと一台の超高級車が目に止まり
こんな車に乗るユノが書きたいなぁなどと思ってしまったんです


帰宅後、留守番をしていた愛犬を連れて散歩をしながらにやにやと妄想をし、かなりの危険人物になりながら帰って参りました


その内容を、私のブログに素敵な作品を提供して下さっているAli様と、いつも楽しいコメントで励まして下さっているくみちゃん様に話したんです


すると…
Ali様がご自身のブログで、私が言っていた通りのイメージで作品を作成なさいまして…


さらにそれをご覧になられた私の師匠「with love…TVXQ」管理人のあゆ様が、弟子の尻をバシバシ叩いたのです


くみちゃん様は、すでに私が数話書き溜めていると信じ、すごく期待して下さって…


ゆんちゃすみは、じわじわと外堀を埋められ
無血開城をせざるを得なくなりました


現在連載させて頂いております「至愛」をまず第一に、その合間に不定期更新という形でもう一つのお話を更新させて頂くことに致しました


内容はパラレル、ホミンになります
また、性的描写が多くなります事を予め申し上げておきます


ご了承頂ければ、どうぞお付き合い下さい
本日、21時に第1話を更新致します


その後は不定期で更新致しますが、出来るだけ「至愛」末尾でお知らせしようと思っております




それでは…
どうぞよろしくお願い申し上げます


ゆんちゃすみ






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縁結 第2章 ~至愛 25~
2016-09-30 Fri 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Princess? Changmin



近所の人達や野次馬的な人達に加えて、マスコミの人達が狭い道を埋め尽くす中
この辺りには場違いな高級車が連なって到着する



一台目からSPの人達が車を降り
二台目から尚宮さんとテミンが降り立つ



そして三台目からユンホ殿下にエスコートされて車から降りた僕は、多くのフラッシュを浴びながら久しぶりに自分の家の前に立った



《チャンミナァ!テミナァ!おかえり!!》


「父さんっ!」〈母さぁ~ん!〉



大きく手を広げ迎えた両親の腕に飛び込む僕等兄弟



微笑むユンホ殿下と荷物を持った尚宮さんが後ろに続く



《あっ!こっ、この度はようこそおいで下さりました》



ユンホ殿下の姿に慌ててどもりながら挨拶する父さんは、そのまま膝に頭がつくんじゃないかっていうくらいぺこぺことお辞儀をする



《狭い家ですが、どうぞお入り下さい》



何の変哲もない家の門を珍しそうに見ているユンホ殿下に、母さんが声をかけた



《さっ、おまえたちも入れ》



父さんが僕達の背中を叩きながら言う
するとコ尚宮さんがすっと父さんに近づいた



《失礼ながらお父様。チャンミン様は畏れ多くも皇太子妃殿下にあらせられます。言葉遣いにお気をつけください》



そういうことも厳しく言われてしまうんだ…
驚いて目をパチパチした父さんは、しまったと言わんばかりに今度は尚宮さんにぺこぺこと頭を下げた



コ尚宮さんが恐縮してしまい《わたくしにその様になさらずとも…》と逆に謝りながら、一行はようやく家の中に入った



「狭くてびっくりしたでしょう?何だか申し訳ないです…」



玄関に立つユンホ殿下に小声で声をかける
そんなことないさ、と言いながら部屋に入ろうとする殿下の腰に慌てて抱きついた



『なんだよっ、ご両親の前でっ』



顔を赤くして僕の手を解こうと慌てるユンホ殿下



「そうじゃなくてユンホ様っ!靴を脱いで下さいっ!」



ユンホ殿下とは本当に住む世界が違うんだと
今更ながら思い苦笑した



照れ隠しにキツめの口調になり『前もって教えてくれよなっ!』とコ尚宮さんに八つ当たりするユンホ殿下



こんな時に見せるユンホ殿下の
ちょっと困ったお顔が僕はけっこう好きなんだけど



家族四人の靴だけでも窮屈な所に脱がれたユンホ殿下の靴
踏まれないようにそっと脇に避けておいた



廊下などという立派なものではない場所を通り、これまた居間とも呼べないような部屋に入る



『ここは玄関ホール?』



ソファーも何もなくて、テーブルだけが置かれた空間がユンホ殿下にはそう見えるんだ
そりゃそうだよな。ユンホ殿下のお部屋と僕の部屋との間にあるホールよりも小さいし



〈殿下ぁ!こっちこっち!座って~〉



テミンがすかさずユンホ殿下の手を引っ張り、テーブルの所にお連れする



〈あのね、ここは僕達家族がくつろぐ場所なの!当たり前の事をそうじゃない様に言うと、ユンホ殿下の方がバカな子に見えちゃうよっ!〉


《テミナっ!何て事をっ!》



いつもの調子でユンホ殿下にも容赦なく言うテミンの口を、慌てて塞ぐ母さん



『そうだよな、これからは大きな声で言うのやめとく。テミナ、サンキュ!』



母さんに『気になさらず』とニコッと微笑み、テミンの頭を撫でるユンホ殿下
さすが僕の母さん…ユンホ殿下のイケメンすぎる笑顔に目がハートになってるよ



《あっ、皇太子殿下、そのままではお尻が痛いでしょう?これにお座りください》



小銭を貯めて自分だけに買った無駄に豪華な座布団を、母さんはわざわざ部屋から持ってきて殿下に渡す



僕等が貸してと頼んでも触らせもしなかったくせに…ほんとイケメンに弱いんだから



《えーっとですね、ユンホ皇太子殿下。私達が休んでいる部屋を殿下にお使い頂こうと思っておりまして…そこも狭くて申し訳ないのですが…》



コ尚宮さんが持ってきてくれた荷物をテミンと一緒に解いている時、父さんがユンホ殿下に話しかけた



『私はチャンミンの部屋で結構ですよ、お父様。私達はもう、床入りも済んでいますので』



!!!!!



「ちょっっっ!ユンホ殿下っ!何言ってんですか!!」



今度は僕がユンホ殿下の口を塞ぐ



全く!!何て事を言ってくれてんだ!
僕が娘だってお婿さんにそんな事を言われたらびっくりするだろうに、僕等は男同士なんだから!!両親の身にもなってくれ!!!



「とっ、床入りって言ってもほら、僕は女だって思われてるからさ!形式上のものだよ、父さん!婚儀の日にね、何か、そういうしきたりみたいでさっ!」



ふぅ…せっかく久しぶりに実家に帰ってきたっていうのに、おちおち座る事も出来ないよ



「えー?男同士だって愛し合ってればさぁ~結ばれることは出来るんだよぉ」



!!!!!



テミナっ!おまえまでっ!
もう勘弁してっ



「ユンホ殿下っ!僕の部屋でいいですよねっ!テミンと三人、修学旅行みたいに並んで寝ましょう!!」



こうなったらひとまず部屋に殿下を連れて行こう
テミンも連れてって叱りつける必要があるぞ



呆気にとられている両親を置いて、僕はユンホ殿下とテミンの手を引っ張り階段を登っていく



二つの勉強机…といってもレンガに板を乗せただけの粗末なものだけど、その間に布団を並べて寝ていた僕とテミン



この部屋には小さい頃からの思い出がたくさん詰まってる



ユンホ殿下は珍しそうにキョロキョロと見回した後、サッと何かを手にして畳んである布団にもたれた



『俺はずっと…俺の知らなかった頃のチャンミンが見たかったんだよ』



意外にも目ざといユンホ殿下は
僕ですらずっと見ていなかった古いアルバムを手にしていた



『チャンミンは小さい頃から可愛かったんだなぁ』



僕のアルバムをめくりながらユンホ殿下がおっしゃる



「小さい頃はそうかもしれませんけれど…今は可愛くなんかないですよ」


『何言ってんだ。俺にとっては眩しいくらいに可愛いよ』



可愛いなんて言われても
本来なら男の僕には嬉しくない言葉だというのに



この狭い僕の部屋で脚を投げ出して
ただ、アルバムをめくっているだけのユンホ殿下のお顔が



一緒にいる僕までも幸せな気持ちになるくらい
嬉しそうなお顔をなさっていて…



そんなお顔を見ていたら
“可愛い”と言われた事すらも嬉しく思えてくる



ユンホ殿下の声が、表情が
僕の全てを変えていく魔法の様に思えたんだ






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縁結 第2章 ~至愛 24~
2016-09-29 Thu 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Prince Yunho



チャンミンの存在は
確実に俺の意識を変えていってる



昨日はまだ
俺の幼さを露呈してしまったけれど



それをその日のうちに悔い改められる様になったのも、やっぱりチャンミンの存在があるからだと思った



昨夜は猛省するあまりベッドに入ってからも全く寝付けなくて



八つ当たりして枕の下に押し込めていたバンビに謝ってから、一緒にテラスで空を眺めていた



パーティーから戻ってきた時、謝ろうとした俺の言葉を遮る様にして部屋に入ってしまったチャンミン



そんな彼もまた同じ様に眠れなかった様で
淡いパープルのガウンを羽織り、テラスに出てきた



潔く謝ればいいものを…
さっきあんな風にされた事がちょっと悲しかったから、思わず彼に背を向ける様にわざわざ座り直してしまう俺



…いや、もちろん悪いのは俺だって分かってるんだけど



ダメだなぁ
こういうところも直さなくちゃいけないよな



そんな風に一人反省会をしていると、俺の背中に触れる心地よい温もりが…優しく語り始めた



チャンミナ…



俺が拗ねている事も
謝るきっかけを掴めないでいる事も
なんだかお前にはお見通しみたいで…



結局チャンミンの優しさに甘えてしまう



俺の方が年上で、俺が守ってやらなくちゃいけないっていうのに…ほんとダメな奴だ、俺は



チャンミンが言った「僕たちは…二人で一つなんだ」という言葉は



猛省していた俺に、大きな励ましの言葉になった



次に会う時までに王族の面々の名前を覚えておく様に、という宿題を出して部屋に戻ったチャンミン



その背中を見送りながら、決意を新たにする



チャンミンと俺は二人で一つ…
だからどんな時も、絶対に彼の手を離すのはやめよう



今日みたいな事があったとしたら
彼の手を握り気持ちを落ち着けてから、次の行動を起こせばいい



父上も言ってくれた様に
少しずつでも大人になっていければいいんだ



焦らないで行こう



そう思った俺はバンビと部屋に戻り、ようやく眠りにつけた






『おはようございます。昨日は至らない私のせいでご心痛を与えてしまった事を深くお詫び致します』



いつも通りの朝の挨拶に向かった俺は、一同が座る前でしっかり頭を下げた



父上には昨晩のうちに反省している事を伝えているけれど、大妃様も母上もきっとお心を痛めたに違いないから



今まではこんな風に両の腿にぴたりと手のひらをつけ、手本の様なお辞儀をして謝った事など無かったから、大妃様も母上も目を白黒させていらっしゃった



《私のユンホは…自分の過ちをしっかり見つめられる様になったのですね。そなたの成長は、この子のおかげでしょう》



ソファーから立ち上がり頭一つ以上大きくなった俺の顔に、一生懸命手を伸ばし撫でてくれる大妃様



そしてもう片方の手で、俺の隣に立つチャンミンの手をしっかり握りしめる



《この子は…本当に立派でしたよ?慧恩君はあの様に言いましたが、チャンミンはもう立派な皇太子妃です》



俺と同じ様に頭一つ以上大きいチャンミンは、大妃様にそう言われると少し膝を曲げて目を伏せる



「とんでもない事でございます。ユンホ殿下をお支えできる様、より一層精進いたします」



俺にも分からない内命婦(王妃などの王族や女官を含めた宮中にいる女性の総称)の礼儀作法
チャンミンはその長である大妃様に対しても、模範的な礼儀作法できちんと接している



きっと根が真面目だから…どの分野でも完璧にこなそうと努力しているんだろうな
そんなチャンミンの姿を見ていると、俺の気持ちもより一層前向きになってくる



『大妃様、王妃様。チャンミンは不甲斐ない私の分もしっかりと役目を果たしてくれました。その褒美に里帰りをお許し願えませんか?』



一歩下がって膝をつき、願い出る



『先王の遺言を私達が聞いた翌日、マスコミがチャンミンの家に殺到して王宮に来て以来、チャンミンもテミンも実家に戻っておりません


旧式の婚礼に倣って私も一緒に参ります故、どうかお願いします』



父上にもらったサジェスチョンの通り二人に伝える
何と言っても父上は、奥さんに尻に敷かれている先輩だから…と言ったら父上に叱られるか



思いがけない事を聞いて俺を見るチャンミン
大きな目を余計大きく見開いている様がやけに可愛くて…こんな風に見られると照れるんだけど



《王妃、どうですか?ユンホの言う通り、この二人は一生懸命王宮に慣れようと努力をしてくれています。そろそろ里帰りをさせてやりましょう》



母上の方を振り返り、大妃様がおっしゃる
母上は内命婦のしきたり通り目を伏せ《大妃様の仰せの通りに》と返事をした



〈うわぁ!!帰っていいの?!ヤッタァ!〉



そう言って大妃様に抱きつくテミン
ってか、お礼はまず俺に言えよ…全く



《テミナ?ばばを置いて実家に帰るのがそんなに嬉しいですか?》

《テミナ。明日は約束通りわたくしとオルゴール展に行くんですよ?》



はしゃぐテミンに早速ヤキモチめいた事を言う我が家の女性陣
この二人のワガママで、テミンは実家に戻れず王宮から高校に通っているんだ



テミンの事をどんだけ好きなんだよ…
確かに俺はテミンみたいに可愛くないけどさ
どーせフリルもレースも似合わねーよ



「ユンホ様……嬉しいです。ありがとうございます」



嬉しいからか、頬を紅潮させながら俺を見つめて言うチャンミン



ちぇっ…おまえもやっぱり実家がいいのかよ…



『俺も一緒だからな!!』



何にヤキモチを焼いてるんだか分からないけど、そんな風につっけんどんに言ってしまう俺も
やっぱりこの女性陣の子であり孫なんだと実感した



でも…嬉しそうなチャンミンの顔を見ていたら、俺まで幸せな気持ちでいっぱいになる



なんかいいな、こういうのって



良かったな、という様に笑顔で頷かれる父上に頭を下げて感謝する



幸せな家族の時間
今まではこんな事にも気づく事が無かったから



チャンミンとテミンが運んでくれた温かい空間を
ずっと守っていきたいと思った






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縁結 第2章 ~至愛 23~
2016-09-28 Wed 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Princess? Changmin



まさに疲労困憊という言葉がぴったりだった僕



疲れているからすんなり眠れそうなものなのに
早めにベッドに入った僕はなかなか寝付けず、右に左にと寝返りを打ちながら溜息ばかりついていた



あれから…ユンホ殿下はどうなさったかな…



疲れているのでそっとしておいて、と言った僕を
ただ呆然と見送っていたユンホ殿下…



ユンホ殿下に対して腹が立ったわけではない



だって殿下は僕に対して冷たい事をおっしゃった慧恩君様と、僕の肩に触れたキュヒョン様に対して怒りを爆発させただけで



むしろ僕を大切に思ってくださっているからこそ、あんな風にしたんだとわかっている



ただ…僕を置いて一人で行ってしまった事が寂しかっただけ



皇太子であるユンホ殿下の隣に立つ皇太子妃として、その責務に向かおうと努力していた矢先だったから



隣に居るべきユンホ殿下の姿がない事が、僕にはまだ負担が大きすぎて
そんな事にも少しずつ慣れていけるのかと不安になってしまったんだ



どうせ眠れないのなら星でも見ようかと思い立ち、ベッドから出てガウンを羽織る



深夜の東宮殿は、全てが時を止めたかのような静寂に包まれている
実は其処彼処にたくさんの警護の人達がいるらしいんだけれど…



ホールからテラスに出る扉を開ける
秋の深まりを教えてくれるように、虫達が奏でていた音色も控え目になっていた



『チャンミナ…』



テラスに置かれたベンチには
僕と同じようにガウンを羽織ったユンホ殿下と、いつも通りこちらを見ながらバンビが佇んでいた



「殿下…眠れないのですか?」



バンビが僕のために空けていてくれているユンホ殿下の隣の空間に、腰をおろす



『まあな。これでも意外に、悩むと眠れなくなるタイプなんだ』



ユンホ殿下は僕に背を向ける様に座り直してから、ぼそっとおっしゃった



…やっぱり
僕が殿下を避ける様にしてしまった事を気にしていらっしゃるんだ



年上だけど…こんな風に分かりやすく拗ねるユンホ殿下が愛おしくてたまらない



謝る…?ううん、僕がした事は間違ってない
ユンホ殿下を拒絶したんじゃなくて、ただ一人になってぼんやりしたかっただけだから



「ユンホ様…」



僕にあえて向けている、その広い背中にゆっくりと凭れ掛かる
殿下の背中から伝わる鼓動が、自分のそれと共鳴している様な感じがした



「殿下はご存知ですか?指紋と同じように、僕たちの脈にはその人それぞれの脈動というものがあるそうです」



殿下の背中にぴったりとくっついている僕の耳
自分が喋っている声が、ユンホ殿下の身体を通して伝わってくる感覚がする



『俺は文系だから知らねー』



答えになってそうでなってないユンホ殿下の言葉
やっぱりちょっと拗ねていらっしゃるんだ…



「こうやって身体をくっつけて聞いていると、殿下と僕の脈動はぴったりと重なって聞こえるんです。僕たちは…二人で一つなんだなぁって思いました」



トクントクンと同じように脈打つ僕たちの鼓動
こうやって触れ合っていると…どちらの脈も、同じように速度を上げてくる



「殿下が怒るときは、僕だって怒っています。脈動も重なり合う様な運命の相手なんですから…ああいう時は僕を置いてったりしないでください」



ユンホ殿下に言われたと通り、殿下に直して欲しいと思った事はちゃんと言うって決めてるから…正直な気持ちを伝えた



『…チャンミナ、ごめん』



くるっと振り向いたユンホ殿下に肩を抱かれ、背中に触れていた僕の耳は殿下の胸元に引き寄せられる



殿下の心臓の音が…僕の鼓動よりもずっと早く脈を打つ
すると僕の鼓動もそれを追いかける様にして速まるんだ



『次に同じような事があったら…絶対に置いていかない。その前にあんな風にカッとならない様に気をつけるよ。不甲斐ない夫の尻拭いまでさせちゃってゴメン』



殿下が頭をペコっと下げているのが見えてなくても動きだけでわかる
身体を繋げたから…ユンホ様の動きに何だか敏感になった気がした



『テミンにさ、突撃されてバカオッパ!って言われちゃったよ。あいつってあんな可愛い顔してて案外容赦ないよな』



くくくっと笑うユンホ殿下の動きも胸元で目を瞑ってる僕に見えてる感じがする
きっとあのシャープな目を三日月の様にカーブさせて微笑まれてるはずだ



テミンはあの時ユンホ殿下を追いかけてって居なかったのか…のんびり屋だけど意外に機敏なんだよな



「僕がユンホ様のお部屋に行っている時も〈殿下とオンニはエッチな事するから邪魔しないで〉ってトン尚宮さんに言っちゃう容赦のなさです」



ユンホ殿下の笑う素振りにつられ、僕も苦笑しながら続く



『何だって?!テミンのヤツ…エッチな事って何だよ!もぅ!!』



くしゃくしゃっと頭を掻くユンホ殿下
三日月みたいにしていた目を今度は目一杯開いて白黒させてるだろうな



ユンホ殿下の声が、動きが
疲労困憊だった僕の心も身体も癒してくれる
嫌だった記憶まで、幸せな記憶で上塗りしてくれる気がした



「次のパーティーの時は…ちゃんと王族方の名前を覚えてくださいね?出来なかったら覚えるまで僕が特訓します」



立ち上がった僕は最後にもう一つ言いたかった事を伝えてから
「おやすみなさい」とお辞儀をして部屋に戻った



きっと殿下は『テミンだけでなくチャンミナ、おまえも容赦無いな』って思っていらっしゃるだろうな



幸せな夜明けから自分の立場に向き合った昼、そして辛い経験をした夕方からそれを消し去って貰えた夜



目まぐるしい一日が終わりを告げた深夜0時
僕もようやく眠りについた






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縁結 第2章 ~至愛 22~
2016-09-27 Tue 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Princess? Changmin



胸を張ろう
僕はユンホ殿下の隣を占める立場なのだから



名目上の妃殿下ではあるけれど、その決意のもと初めてのドレスに袖を通した



僕が男だと分かってからも、やっぱり用意される寝間着はネグリジェタイプの物で
そのおかげで股間周辺がスースーする事にはだいぶ慣れたけれど



ウエスト周辺が身体のラインに沿うように絞られ、裾に広がっていくこのドレス…マーメイドラインっていうタイプらしいんだけど、どうにも歩きにくくてぎこちなくなってしまった



《皇太子殿下、並びに妃殿下のおなりでございます》



そんな掛け声にもまだ慣れていない僕が目にしたのは、普通に生きていたら決して見る事のなかった煌びやかな世界で



それでも扉が開く寸前に愛しい人がこめかみにしてくれたキスが僕の緊張を解すおまじないとなって、僕はしっかり胸を張ってパーティー会場に足を踏み入れた



事前にトン尚宮さんに教わって記憶した通り、その人それぞれに適した挨拶も何とかすらすらと出てきてくれた



受験勉強の時に編み出した記憶法がこんな所で役立つなんて、思ってもみなかったけれど



僕が必死になって覚えたっていうのに『誰だっけ?このオッサン』と、時々小声でイ内官さんに聞くユンホ殿下の方が覚えてないんじゃん、と思わず殿下の脇腹をつねってしまった僕



やっとのことで挨拶も終わり、ようやく大妃様と両陛下、それに公主(王の嫡女)様のごとく、しっかりロイヤルファミリーに馴染んでいる我が弟の元にたどり着けた



足さばきがうまく出来ず、何だかみっともない歩き方になっていた気がする…それに上品なお辞儀というのもなかなか難しくて、すっかり肩が凝ってしまった



本当だったら一番萎縮するべき大妃様と国王陛下、そして王后陛下の前に来てホッとする様になったのは、僕もこのロイヤルファミリーに馴染んだ証拠なんだろうか?



強張っていた首を二、三回ぐるっと回してリラックスした時に広間から聞こえたのは



〈来るか分からないけれど〉という前置きの後
〈一番注意すべき人物〉とトン尚宮さんに言われていた慧恩君様の名前だった



慧恩君様…亡くなられた先の皇太子様の妃で、キュヒョン様のお母様だ



昔、美人女優として名を馳せていただけあって
タキシードを着たキュヒョン様にエスコートされ深紅のドレスを纏い並んで歩く姿は、まるで映画の一コマの様で



その優雅さは
僕が自分なりにイメージして、そうしようと努力していたしなやかな動きそのものだった



僕は男だから到底同じようには出来ないとは思うけれど、思い描いていた“本物の妃殿下”の雰囲気に圧倒された



トン尚宮さんがこの方を〈一番注意すべき人物〉と評していた真の理由はわからないけれど、出来る限り挨拶も丁寧にしようと思った



序列に従い、大妃様をはじめ両陛下に挨拶をされた慧恩君様が僕らの方に歩み寄る



僕の母さんと年の頃は同じくらいだろうけれど、近くで見るとやっぱりきれいな方だった
キュヒョン様の色白なところと、ちょっと冷たい感じの目元がよく似ていらっしゃる



ユンホ殿下にお祝いの言葉をかけられた慧恩君様は、キュヒョン様と同じ様にどこか人形の様な無表情さで



むしろ小さな声で何か言われたユンホ殿下の方が顔色を変えた



「お目にかかれて嬉しく存じます。慧恩君様、チャンミンでございます」



この方のように優雅には出来ないけれど、教わった通りにドレスの両脇を持って片膝を落とし、精一杯丁寧に挨拶をした



すると慧恩君様は一層顔を強張らせ、僕を蔑むような目をなさり冷たく言い放った



《そなたが私の地位につくとは……何とも言えない気分です》



なぜ僕は
初めて会ったばかりの人にこんな目で見られ、こんな事を言われなければならないんだろう…



胸にチクリと刺さる、この感情は一体何だ?
怒り?悲しみ?よくわからないけれど、この方のこの言葉に僕はなぜか傷ついた



立ちすくむ僕にキュヒョン様が慌てて駆け寄り、何やら声をかけてくれたけれど、その言葉は耳に入っても頭には入って来なくて



次の瞬間
目の前にはユンホ殿下に突き飛ばされるようになったキュヒョン様がいた



キュヒョン様の白い頬に滲んだ赤い筋だけが、やけに鮮明に見えてしまい…僕は咄嗟にクラッチバックからハンカチを取り出した



青ざめた表情のユンホ殿下がそんな僕を捉えて
そしてくるっと背を向けてこの場から居なくなってしまったんだ



慧恩君様のあの目が、あの言葉が
ジーンと耳鳴りのようになっている妙な感じの頭の中をぐるぐる回って
ともかく真っ先に目の前のキュヒョン様に謝った



キュヒョン様は僕の手を握り
〈僕は大丈夫だからね?チャンミナ、本当にごめん〉と微笑んだ



いつも何となく感じていた作られた様な笑顔ではなく、キュヒョン様が僕に心配をさせない様に精一杯無理をなさっている様に見えてしまい…申し訳ない気持ちでいっぱいになる



その時、トン尚宮さんが言っていた〈ユンホ殿下を廃し圭賢君殿下に王位をという声もある〉という言葉がふと蘇って



僕はさっき挨拶したばかりの王族の方々に、思い浮かぶ限りの丁寧な言葉を使って謝って回った



ユンホ殿下の事を支える、僕はそう決意したんだから…今の流れで、ユンホ殿下の印象が悪くなったら大変だって思ったんだ



パーティーが終わった時には
今まで生きてきた中で多分、一番の脱力感に襲われていた



それでなくても
慣れない服を着て慣れない言い回しで話し慣れない事をした僕は



初対面の人に嫌な事を言われた挙句
ハラハラする様な場面にも出くわす羽目になり



自分で選んだ道だけど
「どうして僕がこんな目に合わなくちゃいけないの?」って思ってしまった



父さん…今頃は家で晩酌してるかな
母さん…僕がここに来たから、もう内職なんかしてないよね
なあ、テミナ…僕…すごい疲れちゃったよ



居ないはずの両親が目に浮かんで
そばに居るはずのテミンを探すも、弟の姿はどこにもなかった



《妃殿下…お部屋で休みましょう》



コ尚宮さんがそっと僕の腕を支えてくれて、僕はようやくこの場を後に出来たんだ



早く部屋に戻ってこの服を脱ぎたい
髪を留めているピンも全部取っちゃいたい
テミンは僕を置いてどこ行ったんだよ…茶化す時だけそばに居て肝心な時に居ないんだから…



頭の中を埋め尽くすのは負の内容ばっかりで
たった一時間前はポジティブに胸を張ろうと思っていた僕だとは自分でも思えなかった



父さん…二日で一本って言われていた焼酎も最近は一日で一本飲ませてもらえる様になったのかな
母さん…食器洗いの洗剤は、もう半分に薄めたりしなくてよくなった?



会いたいよ…



今まではこんな風に両親の顔が浮かぶことなんか無かったのに…やけに二人の顔がちらつく



『チャンミナ…』



ようやく東宮殿に辿り着いた時
本当だったら一番そばに居て欲しかった人がそこに立っていた



「疲れているのでそっとしておいてください」



そばに居て欲しかったけど
今は…一人になりたかったんだ



なぜだろう
ユンホ殿下の顔を見たくなくて
僕は…愛しい人に自ら背を向けてしまった






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縁結 第2章 ~至愛 21~
2016-09-26 Mon 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Prince Yunho



直そうと思ってもすぐには直らないのが悪い癖っていうものなのだろう



一人っ子のワガママさなのか
それとも小さい頃から“皇太子”という肩書のせいでチヤホヤされてきたせいなのか



俺はどうも、カッとなると見境なくなってしまい
決まって部屋に閉じこもり物に当り散らす悪癖がある



そんな時は決まってしばらくの間放っておかれ
ひとときの後、コ尚宮あたりが当たり障りない感じでホットココアだったりミルクティーだったりを運んできてくれた



考えてみると
俺はこうやって周りに、ずっと迷惑をかけてきたんだとしみじみ思った



今日は幸いにも、どんな微妙な空気をもものともしない天然キャラのテミンが突撃して来てくれたおかげで、俺もすぐ目を覚ませたけれど…



新婚早々、しかも初めての公務ともいうべきお披露目パーティーで、主役の筈のチャンミンに不甲斐ない俺の尻拭いをさせてしまった



どう謝ろうかと頭を捻りながら大殿の方向に歩いて行く
と、そこにチャンミンがコ尚宮を従えて戻ってきた



初めての事ばかりで緊張し続けた挙句、俺にハラハラさせられたせいでチャンミンの顔は強張って見えた



チャンミンのそばに駆け寄って、ごめん…と言いかけた時



「疲れているのでそっとしておいてください」



と、チャンミンに方から有無を言わせない感じで言われてしまった



……怒ってるのかもしれない
俺と目を合わせてくれたけれど、すぐに伏せてしまったチャンミン



怒ってるって思ったのは、俺が悪い事をしたという自覚があるからだ



そっとしておいてと言われたものの、心配になって対の間をガラス戸越しに覗き込む



〈殿下。国王陛下がお呼びです〉



チャンミンにどうにか謝りたいと思っていたけれど、表情を固くしたイ内官からそう告げられてしまった



父上からも叱られると直感したのは
やはり自分がした事が悪い行動だったと分かっているからだ…



でも
今までは、こうやって自分の過ちに気付く事さえなかったんだから…少しだけ進歩したと思いたい



イ内官に刃向かう事もせず黙って大殿に向かった



〈国王陛下。皇太子殿下をお連れ致しました〉



入りなさい、という声に扉を開けて執務室に入る
いつもだったら父上が何か言うより先に食って掛かる俺だったけれどそれもせず、『ユンホです』と名乗って部屋に入った



《かけなさい。私がなぜ呼んだのか、さすがに分かっていると思うが、どうだ?》



チャンミン同様、さっきの件では父上にも迷惑をかけたのは間違いない
きっと王族の長老達に俺の事で叱言を言われた筈だ



『分かっております。自分の不甲斐なさに猛省していた所です』


《チャンミンを迎えた事でさすがに少しは成長したのだな。声を荒げてこの部屋に入って来なかったからお前でもやはり妃を迎えて大人になったと感じたぞ》



やや皮肉がかった言い方にも腹は立たなかった
父上の言う事はもっともだと思うし、大人になったと認められたのが正直に嬉しかったから



《今日の件は私も、チャンミンに対する慧恩君の態度にいささか不快な気分になった。お前が怒るのももっともだと思う》



父上は穏やかな感じでそうおっしゃる
俺を叱るために呼び出したのは間違いないけれど、今までと違って頭ごしに叱りつけるという雰囲気がなかった



《しかしながら、あの場には王族の重鎮も多く居た。その中には第一子王位継承権を頑なに唱えている一派も多く居るんだ


お前は紛れもなく私の第一子だが、先王の第一子である兄上の嫡男こそが時期国王に相応しいという声もある》



父上はそこまでおっしゃると、大きく溜息をつかれ椅子に凭れかかる
病のせいもあって、やはりお痩せになられた父上は以前より疲れやすくなったとおっしゃっていた



そんな父上の姿に、自分の不甲斐なさを改めて痛感する



『申し訳ございません…自制する力を養える様に努力します。ご迷惑をおかけした事をお詫び致します』



椅子から立ち上がり、深々と頭を下げる
父上はそんな俺を手で制した



《私は重鎮に頭を下げる事は慣れているから構わん。あの子はな、キュヒョンにももちろん、ざわざわしていた王族の面々にも一生懸命に頭を下げていた。お前より年若いのにしっかりしている》



父上は…俺の親だけあって好みが似ているのか、初めて見た時からチャンミンの美しさに鼻を伸ばしていたけれど、やっぱりチャンミンの事を話す時は何だか嬉しそうだ



なんて余計な事を考えている場合かよっ、俺!



《初めての公の場所であれだけの事が出来れば立派だ。さぞかし疲れだだろう。迷惑をかけたお詫びに、里帰りを許して貰えるよう自分から母上に頼んだと言ってやれ》



父上…



《私も人の事は言えないが、きっとお前の事だからどう謝ればいいのか分からんのではないか?実家にはここに来て以来、ずっと帰って居ないんだ。多分喜ぶぞ》



そう言って笑う父上に、胸が熱くなった



俺の失敗にお怒りになりながらも、俺が今父上の代わりに公務をこなしている事で少しだけでも進歩したと認めて下さったからこそ、こんな風に言ってくださるんだろう



《旧式の婚礼に従って、お前も新婦に同行して泊まって来なさい。それならば里帰りの名目が立つ。しっかりと今日の件を反省して、明日からも励むように》



下がりなさい、と手を振った父上にもう一度深々と頭を下げて執務室を後にした



〈殿下。慧恩君様ですが、こちらに帰国した直後から王族の長老方と接触をされています。今後も注意なさりませ〉



執務室から出るなりイ内官が小声で言った
父上がおっしゃっていた第一子王位継承を唱えている面々との事だろう



さっき慧恩君に言われた事が脳裏に浮かんだ



《自分が選んだ道がどこに向かうのか考えての事だったのでしょうから…私もこの様にこの地に戻り、しっかりと行く末を見届けようと思います》



あれは、俺が先王の遺言に従ってチャンミンと結婚した事について言ったんだと直感した



そうだ
俺が考えて選んだ道だ



一つ失敗してしまったら
二つ何かを成し遂げればいい



そうすれば一つの失敗を取り返せるし、もう一つ何かを得る事が出来るんだから



今日の事は
まずチャンミンにしっかり謝る事が第一だ
そしてチャンミンに笑顔を見せて貰えることを目標に努力しよう



周りに迷惑をかけた分、それを糧にして大きくならなければダメなんだ



そう自分に言い聞かせ、襟を正した






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縁結 第2章 ~至愛 20~
2016-09-23 Fri 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Crown Prince Yunho



周囲の人間がひそひそ声で話している内容が自分の事だと分かっているだろうが、慧恩君は意にも介さない様子でゆっくりと俺たちの方に歩みを進める



元が女優だっただけあって、今もなお美しい雰囲気を保つ慧恩君
キュヒョンは母親譲りで色が白いという事が並んでいるとよく分かる



俺とチャンミンを一瞥して、すっと大妃様の前に傅く



《慧恩君でございます。只今戻って参りました》



大妃様はゆっくりと立ち慧恩君のそばに近寄り、腕を支え彼女を立たせた



《よく戻って来ましたね。あの時はしきたりに従って止むを得ずそなた達を王宮から出してしまいましたが…乳飲み子を抱え去って行くそなたの事を忘れた事はありませんでしたよ》



大妃様にとっては、母上と同様に息子の嫁だった慧恩君
お優しい方だからおっしゃる通りきっと心を痛めておられたのであろう



慧恩君は大妃様の手を握りお辞儀をした後、両陛下にも同様に挨拶をする



《私達は家族であるのですから…この様に揃う事は幸せな事です。兄上がいらっしゃらない事だけ悔やまれてなりません》



父上はそうおっしゃり、空に目を向けた
先の皇太子である亡き叔父上を思い出されているんだろう



キュヒョンが同様に挨拶をしている間に慧恩君は俺たちの方に振り返り、近づいて来た



《この度はおめでとう。式に参列出来なかった事を詫びます》



そう言って軽く目を伏せる
そして、慧恩君は俺をジッと見つめた



《自分が選んだ道がどこに向かうのか考えての事だったのでしょうから…私もこの様にこの地に戻り、しっかりと行く末を見届けようと思います》



慧恩君はそう言うと軽く口角を上げる



一体どういう意味だ?
思わせぶりな言い方と、嘲笑う様なその口元に一瞬ムッとした



「お目にかかれて嬉しく存じます。慧恩君様、チャンミンでございます」



俺の傍にいるチャンミンがそう言って、作法の通りしっかりと膝を落とす



《そなたが私の地位につくとは……何とも言えない気分です》



吐き捨てる様に言った慧恩君に堪忍袋の尾が切れた



「慧恩君様。目上ですから“様”を付けますが、今は私とチャンミンが皇太子と皇太子妃です。チャンミンに対してその態度は失礼でしょう」



気が立ったせいでどうしても声が大きくなる
イ内官が慌てて俺の腕を押さえた



《キュヒョン、行きましょう。他にもご挨拶する方々がいますよ》



慧恩君は悪びれる様子もなく、ドレスの裾を翻してテラスを後にした



〈チャンミナ、ごめんね。母はちょっと引きずってる事があってさ。悪い様に思わないでやって〉



一緒にいたキュヒョンがそう言いながら、俺の目の前でオフショルダーのドレスを着て露わになっているチャンミンの肩をぽんと叩いた



慧恩君の無礼な態度に加え、俺のチャンミンの肌に触れた事で怒りが爆発した



『キュヒョン、チャンミンに触るな!!』



皆がいるということも、今日がチャンミンのお披露目パーティーだということも吹っ飛ぶくらいの怒りに任せ、キュヒョンの手を力一杯払いのけた



《おやめください、殿下っ!》
そう言いながら、俺を止めに入るイ内官の声もどこか遠くに聞こえる



払いのけた時に爪が当たったのか、キュヒョンの白い頬に血が滲み、それをチャンミンが慌ててハンカチで押さえる様子もスローモーションみたいで



何も視界に入れたくなくなって
俺は黙ったまま、広間を飛び出した



チクショー
分かってる、分かってるんだけど!
俺のチャンミンに無礼な態度をとる慧恩君がどうしても許せなかったんだ



それに
昨夜、俺の唇が触れたチャンミンの肩を…キュヒョンが触った事も断じて許せなかった



子供じみてる…それも分かってるけど!
自分の部屋に入ると、昔のワガママな俺が再び現れてしまい、手当たり次第物に当たり散らした



『チクショっー!バカにしやがって!!』



一通り暴れた後に昔と同じようにベッドに体を投げ出して、バンビに怒りをぶちまけた



『チャンミンもチャンミンだっ!あんなかすり傷どうってことないのに、わざわざハンカチまで出してっ!!!』



バンビはいつも通り、ただ黙って俺の愚痴を聞いてくれるけど
今日は…いつもよりもっと怒ってるように見えた



『くそっ、お前もあっちの味方かよ』



大人気なくもバンビを枕の下に押し込めて、俺も枕に顔を埋め布団を頭からすっぽり被った



〈暴力殿下ぁぁ!ダメじゃんかよぉ!!〉



そんな叫び声と共に、布団にこもる俺めがけて飛び込んできたのはテミンだった



こいつの空気の読めなさ具合は、きっとこんな時に役立つんだろうと思った
いや、むしろそんな性格を生かしてあえて自分から意識して来たのかもしれない



きっと東宮殿の誰しもが《また始まっちゃった》と思ってる俺のこの悪い癖
テミンだからこそ、そんなものも物ともせず突撃出来るのかもな



〈オッパ!!分かるけどっ!僕もあのおばさんイラッとしたけどさぁ~!あれじゃあみんな、キュヒョン様に同情しちゃうようになるじゃんかぁ~〉



テミンは遠慮なく俺の上に乗っかって、そのままぼんぼんと飛び跳ねる
い、痛いっ…



〈ヒョンが自分のせいだってオロオロしちゃって。キュヒョン様はそんなヒョンに“俺は大丈夫だからね?”だなんて優しく言っちゃってたよぉ!どぉすんのさ!バカオッパ!!〉


『くそっっ!誰がバカオッパだよっ!テミナ、痛いって!』



布団を精一杯はね除けると、テミンは勢いよくベッドから転がり落ちる
だから…無理して女もんのパンツはくなよな、テミン



〈いたた…んもぅ!手加減してよ!〉



腰をぶつけたのか、さすりながら再びベッドに腰掛けたテミンに謝った



『テミナ、ごめん…』



テミンは〈僕はいいんだよ~〉と言い、ぴょんと立ち上がる



〈謝らなくちゃいけないのはそろそろ東宮殿に戻ってくるオッパの大事な奥さんでしょぉ!みんなに頭を下げて回って、夫の後始末をしっかりやってたんだよ?〉



……いかん
ほんとだよな、テミンの言う通りだ



大事なパーティーを放ったらかしにして飛び出しちゃった俺の代わりに、謝って回ってくれただなんて…



『テミナ、ありがとう』



頼もしい軍師様の頭を撫でてから
俺はチャンミンを迎えに行くため部屋を後にした






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縁結 第2章 ~至愛 19~
2016-09-22 Thu 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
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side Crown Prince Yunho



大量の書類に目を通したせいで疲れていた俺の目を、嘘みたいにすっきりとさせてくれる我が妃の美しさ



女の格好をさせてしまって申し訳ないという気持ちはあるけれど、そんじょそこらの女どもより美しいチャンミンの姿を見ると今少しその姿を愛でたいという思いも浮かんでしまう



昨夜…俺が触れた身体を包むそのドレスは



チャンミンのスタイルの良さを引き立てる様なシャープなデザインで、隣に居る俺の服とまるで対になる様な柄が入っていた



「やっぱりおかしいですか?ベーシックなパンツスーツではダメか、尚宮さんにもう一度聞いてみます」



言葉の出てこない俺を見てチャンミンが不安そうに言う



《いいえ、殿下は嬪宮様の余りのお美しさに言葉も出ないご様子だとお見受けいたしました》



見惚れていた恥ずかしさを弁解する言葉を探している間に、イ内官が的確すぎる事実をチャンミンに告げてしまった



このヤロっ…
ギリギリっと歯噛みをしつつ睨みつけると、何か違いますか?とばかりに首をかしげるイ内官



ちくしょー
悔しいけど、その通りなんだ



『チャンミンがあまりに綺麗で見惚れたんだっ!悪りぃか!』



チャンミンには思った通りの言葉を伝えよう
俺はそう決めてるから、今回も正直に自分の気持ちを告げる



でもやっぱり…照れくささは行動に出ちゃうみたいで、俺はチャンミンの手をちょっと強引に握ってドタドタと歩き出した



「……ありがとうございます、ユンホ様……」



やや引き摺られるようになりながらも、必死にドレスの裾を手繰って歩くチャンミンがボソッと言った



「ユンホ様…」
昨夜俺をそう呼んで背中に爪を立てたチャンミン
その爪痕がチャンミンの声を聞いただけで疼いた



好きだ…
チャンミンの事が好きだ



新しい何かを知って、また一歩近づいた俺たち
俺と同じようにチャンミンも俺をの事を思ってくれていればいいのだけれど…



このドレスを脱いで
俺と同じようにタキシードを着て並ぶ時が来るまで…



もう1ミリの隙間もないっていうくらい
チャンミンとの距離を愛で埋め尽くそう



そんな決意を新たにしながら愛しい人の手を握りしめて歩き、パーティー会場である大殿の広間に到着した



《皇太子殿下、並びに妃殿下のおなりでございます》



入口に立った大殿付きの内官が会場に向けて告げる



握っていたチャンミンの手を俺の腕に絡ませ、エスコートする体勢をとった



『チャンミナ…今朝言った通りだからな?俺のそばに居れば大丈夫だから』



大きな扉が開き始めた時
俺はチャンミンの耳元で再びそう言って、彼のこめかみにキスをした



いつもの彼だったら
恥ずかしさのあまり俯いてしまうかも、と思った



でもチャンミンは
チャームポイントであるその大きめの耳を赤く染めながらも、俺の目をしっかり見て言ったんだ



「あなたの隣に立つ者として、出来ることを精一杯やります。至らない所があったら…こっそり教えてくださいね」



…そうなんだ
彼を初めて見た時に感じた凛とした美しさ
チャンミンの目は、そんな記憶を鮮明に引き出させた



チャンミンの自然な美しさやその聡明さを
母上が自分の好きな花、カラーに例えていた



服やアクセサリーで着飾ることをせずにとも
チャンミンは彼自身の内面が、自らを装飾しているんだと思う



照れてばかりだと思ってたけど…チャンミンは自らが置かれた境遇がどんなものであろうとも、しっかりと立ち向かう…俺が惹かれた彼本来の姿になっていた



胸を張ろう
俺の隣には、こんなにも素敵な人がいるのだから



たとえ性別を偽っていたとしても
俺の選んだ最愛の人はこんな素晴らしい人なんだと



皆の前で
胸を張って俺のチャンミンを披露するんだ



左右から大きく開いた扉
俺たちはしっかりと前を向き、大きな一歩を踏み出した







「定遠君様、お目にかかれて光栄です。わたくしは学業では理系ばかりに偏っておりますので、定遠君様から孔子の講義を受けられれば嬉しいのですが…」


「臨海君様、今日のようにお酒が飲める席にはご出席頂けるのであれば、定例の王室会議にもお酒を用意するようわたくしから国王陛下に奏上致しましょうか?」



堅物で有名な先王の腹違いの兄、定遠君はチャンミンのその言葉に〈わしでよければいつでも教えて進ぜよう〉と目尻を下げ



王室の鼻つまみ者として有名な先先代王の傍系の子孫、臨海君はチャンミンにきつい嫌味を言われ、すでに酒を飲み赤くしていた顔を青ざめさせた



俺の知らない間にいつの間にか、王族の人物について勉強したんだろうか



チャンミンはここに来ている王族を初めて見るはずなのに、しっかり個々の名前を呼び、そしてそれぞれに適した言葉をかけていた



むしろ俺の方が『このオッサン誰だっけ?』状態で、その都度イ内官に後ろから教えられ、チャンミンに脇腹をつねられてしまった



ようやく出席している王族それぞれに挨拶を済ませ、テラスで談笑されている大妃(先王の王妃の事)様と両陛下、そしてテミンの元に行く



ペパーミントグリーンのフリフリのドレスを着て、栗色の髪をクルクルさせてリボンを付けているテミンはまるで童話の中のお姫様みたいだ



これがあぐらをかきながら、どう考えてもそれなりのモノが収まるパンツを丸見えにしたまま、お菓子を食べているなんて…きっとここに来ている全員が信じられないだろうな



ひと段落した安堵感に、そんなことを考えて思わずプッと吹き出した



「ユンホ殿下?」



緊張がようやく緩んだのか、相当凝ったであろう首をぐるっと回していたチャンミンが何事だろう、と問いかけてくる



皇太子妃としての初めての責務を立派に果たした愛しい人…運命に導かれるまま、彼を選んで本当に良かった



そんな想いで肩を引き寄せ『俺以上に気品があってすっげーかっこよかったよ、チャンミン』と耳元で告げた



〈あーー!!人目憚らずいちゃいちゃしてるよぉ!!新婚だからって!〉



俺たちの姿を見つけたテミンが、座っていた大妃様の横から駆け寄ってくる



『大妃様、両陛下におかれましてはご機嫌麗しく存じます』



チャンミンの手を引き、三人の前で膝をついて挨拶をする



「本日はこのような席を設けて頂き、恐悦至極に存じます。おかげさまで王族の皆様方にご挨拶をさせて頂くことが出来ました」



見えない角度でテミンに肘鉄を喰らわせながらも俺と同じように膝をつき、しっかりと頭を下げてお礼を言っているチャンミン



ちょっとまだ動きはぎこちないけれど、将来内命婦(王妃などの王族や女官を含めた宮中にいる女性の総称)の長になるという未来にも、しっかり適応出来そうだと思った



現時点でも、大妃様と母上に次ぐ三番目に位が高いんだけれど…やっぱり俺はチャンミンの尻に敷かれるんだろうか?



《慧恩君様、並びに圭賢君殿下のおなりでございます!》



パーティーも半ばにさしかかった時に突然入口でかかった声に、談笑していた場内は一瞬にして静まりかえった



なぜ?どうして?何のため?
それぞれの口からひそひそと漏れる声の中
タキシードを着たキュヒョンに手を引かれ女王然として歩みを進めるのは



長きにわたり外国での生活を余儀なくされていた先の皇太子妃だった






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縁結 第2章 ~至愛 18~
2016-09-21 Wed 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
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side Crown Princess? Changmin



いつになく厳しい表情を見せた尚宮さん



僕が今日、皇太子妃として初めて公式行事に出席するパーティーを控えているから、もしかしたら気を引き締めさせてくれたのかもしれない



ユンホ殿下との甘い夜を過ごして僕が浮かれ気味だったから…きっとそうだと感じた



「今日は…以前のようにきっちり縛って貰えますか?」



いつものように髪をセットしてくれるコ尚宮さんに、そう伝える



お昼から王妃様のお手伝いに大殿に行くし、緩んでいた自分の気持ちを引き締めたい気持ちがあった



支度が出来たのでテミンと一緒になって宗廟へ朝の拝礼に向かう



これまではただ訳も分からずユンホ殿下とここに来て、居並ぶ位牌に頭を下げていたけれど
皇太子妃という立場を意識すると随分と見え方が変わってくる



古くからこの国を統治してきた王の魂たちが
この宗廟で静かな眠りについている
この王達と同じようにいずれユンホ殿下がこの国の玉座に着くのだ…



性別を偽っているという罪悪感を感じながら
玉座に着く愛しい人の隣に並ぶ者として、僕は何が出来るのだろうか?



そんな大層なことは、一介の大学生である僕には出来ないだろうけれど…



でもそんな僕にもこれだけは出来る筈



そう…
ユンホ殿下を支えていく事が、僕に課せられた役割なんだ



ユンホ殿下が笑えば共に笑い
ユンホ殿下が悲しめばその涙を拭おう



そして…ユンホ殿下が苦しむ様な事があったら
僕は共に苦しむのではなく、その苦しみに立ち向かいたいと思った



そのためには強くならなければ…



〈あらゆることに対応する為に教育をされております〉



トン尚宮さんが尋ねてもいないのにそんなことをわざわざ僕に伝えてくれたのは、僕が強くなるためにどうしたらいいのか享受しようというヒントをくれたのかも



王妃様に呼び止められたテミンを大殿に残し、東宮殿に戻りながら考えを整理した



ユンホ殿下が居られる執務室を通りがかる
自分の気持ちに弾みをつけたくて、愛しいお方の様子をそっと覗き見た



大きな机には山積みの書類が置かれて
その中に埋もれる様にお座りになるユンホ殿下



難しい事をお考えなのか、指を眉間に添えて目を瞑っていらっしゃった



今朝…
僕を包み込むように眠りについていた時と同じ様に、閉じられたその目



眠りについている時もユンホ殿下は品があるんだ…なんて思いながら、意外に長い睫毛に触れた



あれだけの書類に向かわれているんだから、さぞかしお疲れになるだろうと心配になる



ふと殿下の脇に立つイ内官さんと目が合ってしまって、声をかけましょうか?という様に目配せをされたけれど、僕は慌てて手を振った



一分一秒足りとも惜しいと思うから…
ユンホ殿下の邪魔をしたくなくて、イ内官さんにお辞儀をしてその場を離れた



僕にはまだまだ分からない事がたくさんある
ユンホ殿下の事を支えるのであれば、もっともっと王室の事を覚えなければ…



大好きな人の顔を見るだけで、こんな風に前向きになれるなんて
なんだか…すごいな



午前中は時間が空いてるって言われてるから、本当は勉強をしようと思ってたんだけれど
僕は部屋に戻ってすぐ、トン尚宮さんを呼んだ



テミン付きの尚宮さんだけど、テミンが大殿に残っているから幸い尚宮さんだけ先に東宮殿に戻っていてくれた



〈嬪宮様、お呼びでしょうか?〉



いつもの様に目を伏せながら淡々と言う尚宮さん
僕は、宗廟へ行って感じた全てを彼女に打ち明けた



〈その様なお考えを自ら出された嬪宮様は、さすがユンホ殿下の運命のお方ですね…〉



嬉しそうに笑顔になる尚宮さん
元々東宮殿付きでユンホ殿下が自ら僕等兄弟に付けることを選んだ彼女は、やはり僕にヒントを与え気づく様にしてくれていたんだ



〈本来ならば子孫の残せない同性だと気づいた時点で上に報告をあげるべきでしたが、コ尚宮もわたくしもチャンミン様のご聡明さに賭けたのです〉



トン尚宮さんにソファーに腰掛けるよう促してから、彼女の言葉に耳を傾ける



〈ユンホ殿下は一人っ子という事もあり、ご身辺がお寂しくいらっしゃいます。イ内官を始め私共の様な側近を抜きにして、チャンミン様ならばユンホ殿下のこの上ないお味方にになると思いました〉



尚宮さんは僕を見つめながら言った



〈ユンホ殿下はチャンミン様という大切な存在を得て、ご自身のお立場にある重責にしっかり向き合われる様になられました。愛というものが殿下に責任感を目覚めさせたのですね〉



ユンホ殿下…
さっき覗き見たご公務に取り組む殿下のお姿が脳裏に蘇る



〈お二人の愛を育む事はとても大切な事です。しかしながらそれと同時に嬪宮様に課せられている事にお気づき頂ければと思い、今朝は差し出がましくも直接申し上げた次第です〉



申し訳ございませんでした、と頭を下げる尚宮さんを慌てて止める



〈正直言ってまだまだ分からない事ばかりです。そんな僕でも、ユンホ殿下のお役に立てることがあれば教えてください。よろしくお願いします〉



立ち上がってから逆に僕が頭を下げた
王室に入った僕は、王室の全てを知らなければならないんだ
…ユンホ殿下と共に生きる道を選んだ僕は



〈嬪宮様…コ尚宮と共に私もユンホ殿下とチャンミン様に精一杯お支えする所存です。それでは早速ですが嬪宮様。夕刻からのパーティーにいらっしゃる王族方についてお話し致します〉



自分の意を得たのか、いつもは厳しい表情だった尚宮さんに笑顔が見えた
でもすぐに表情を引き締めた後、女官に指示を出し早速資料を運ばせる



複雑な家系図を見せられた僕はその中で特に敬意を払うべき人物や、逆にあえて冷遇する様な扱いをしなければならない人物などの情報をレクチャーされる



王族っていっても…色んな関係があるんだと思った



〈第一子に王位を継承させるという過去の風習に拘る勢力も根強くおられます。ユンホ殿下を廃し先の皇太子殿下の嫡男であられる圭賢君殿下に王位をという声もございます〉



思いがけない内容に、思わず「えっ?」と声が漏れてしまった



トン尚宮さんはちょっと困った顔になり〈複雑な内容なのでいずれゆっくり〉と話を区切った



〈王后陛下はテミン様の存在にご趣味を高じられ、ユンホ殿下にもやたらとレースやフリルの付いたお洋服をお選びになるんです〉



話を変えようとそんな事を言い出した
そしてそれと同時にコ尚宮さんがパーティーに着る衣装を運んで来た



〈チャンミン様の凛とした雰囲気に合ったものを、というユンホ殿下のご希望がありましたが、そんなことでユンホ殿下はフリルが付いた淡い水色のタキシードをお召しになられるご予定です〉



女官がラックに掛けた衣装は
好きだと言った覚えもないのに、僕の周りに定番化して存在しているピンク色のドレスだった



〈それぞれに違和感はお有りでしょうが…ユンホ殿下とチャンミン様がお二人で並ばれた時に映えるように選びました。しっかりと胸を張って皆の前にお立ち下さい〉



頭をうやうやしく下げる尚宮さんに僕は



「今日抱いた決意をしっかりと胸に刻み、このドレスに袖を通します」



そう告げてゆっくりと立ち上がった






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