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縁結 41
2016-07-31 Sun 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください



〈拍手コメントの御礼〉

ハ*様
コメントをありがとうございます
ここまで長くなるとは思っておりませんでしたが、出来る限りまとめて最後まで皆さんに楽しんで頂けるよう頑張ります

リクエストの件もありがとうございました
ご期待に添えるかわかりませんが必ず形にさせていただきますね





side Prince Yunho



昨日までの雨が嘘のように晴れ渡り
一切の汚れを流してくれたかのような澄み切った青空がひろがる



婚礼の儀の朝
俺とチャンミンの門出を空も祝福してくれた気分だった



重大な偽りを秘めたままの門出…
でも俺は、後悔はしない



むしろ
チャンミンに変なレッテルをはったままで、王宮から帰す方が後悔したと思うから



イ内官が儀礼用の礼服を着て現れ、女官たちが俺の衣装を恭しく掲げて続く



古くから伝わる婚礼の衣装、九章服を着る
最上級の礼服で九つの色が使われることからそう呼ばれる



そして最後に仰々しい飾りのぶら下がったメンリュ冠をかぶった



どう考えても前が見えにくいこの簾状の五色の玉は、王が世の中の悪しきものを見えないようにするためらしいが…



俺はその悪しきものをしっかりと自分の目で見て、そして失くしていけるような男になりたいと思った



〈殿下、参りましょう〉



イ内官が先頭に立ち、俺の後ろにはそれぞれ礼服を着た女官たちが続き“新迎の礼”が行われる宮へ行列を成して移動した



俺の手には、綺麗な布に包まれた雁がいる
雁は生涯つがいとなった相手を変えないということから、夫婦の象徴とされている



着なれない礼服を着て、どこかぎこちなくされているチャンミンのご両親に会釈をし、進行役に言われたまま台座に雁を置いた



《皇太子妃殿下のおなりでございます》



礼服を着たコ尚宮とトン尚宮に左右を支えられて、豪奢な婚礼用の衣装を着たチャンミンが現れた



色鮮やかな翟衣はその名の通りキジが描かれていて、形状は大きなガウンのようで背の高いチャンミンでもすっぽりと覆われている



そしてたくさんの飾りがついた見るからに重そうなカチェをかぶっていて、動くのがしんどそうに見えた



チャンミンは元々背が高いから、カチェが天井についてしまいそうだ



チャンミンのご両親が揃って新婦への戒めの言葉を述べ、滞りなく婚礼の儀が終わった



パレードは辞退したものの、王宮の庭に詰めかけた国民に挨拶するためテラスへと移動をする



『大丈夫か?チャンミン』



頭が相当重いらしく、全く顔が動かせないらしいチャンミン



「大丈夫ではないです…きっと明日は寝違えたときみたいに首が動かないと思います…」



それでも俺を心配させないためか笑顔を見せてくれる



派手なものを好まないから、今日も薄くしか化粧をしていないチャンミン



男だから化粧なんかしたくないと文句を言ったらしいけど、尚宮やテミンに説得されて渋々了承したとさっき聞いた



それでもチャンミンに惚れている俺にとっては、眩しすぎるくらい綺麗な笑顔だった



大妃様と両陛下にご挨拶を済ませ、その他の王族、内閣からの挨拶を受けた後ようやく東宮殿に戻り、婚礼用の衣装を脱ぐことが出来た



『チャンミンはどうしてる?』



用意されていたスーツに着替え終わり、女官たちに指示を出していたイ内官に聞く



《対の間で同じようにお着替えをなさっておりますよ。カチェが重かったそうで、テミン様がお首を冷やして差し上げている様です》



なんだ…俺がしてやろうと思ってたのに
やっぱりテミンが最後の難関だな



《最後の儀式までしばらくご休憩ください。お迎えに参ります。嬪宮(王世子の妻)様のお部屋には行かれない様お願いします》


『何でだよ』


《最後の儀式のお支度をなさいますので、行ってはなりません》



ちぇっ…
二人きりであの綺麗な格好を見たかったのにさ
公式に撮ったものじゃなくて、自分のスマホで一緒に撮りたかったな



チャンミンにウェディングドレスを着て欲しいとは思わないけれど、スタイルが良くて男でも本当に韓服が似合うから、一生に一度しか着られないあの礼服で写真撮りたかったのに…



しょうがない…
一刻も早くあれを脱ぎたかっただろうしな



俺は用意されていた飲み物を飲んだ
ずいぶん苦いお茶だな…それでも喉が渇いていたから我慢して飲み干した



その後
俺はしばらくソファーでうとうととしていたらしい



腹が減って目が覚めた
今何時だ?
っていうか、夕飯の時間をとっくに過ぎてるじゃねーか



《殿下、そろそろ参りましょう》



ようやくイ内官が声をかけてきた



暗がりの中、手に持った灯りで俺の足元を照らしながら進むイ内官に話しかける



『なぁ、飯はいつ食えるの?っていうかどこ行くんだよ』


《最後の儀式で夕食をお召し上がり頂けます》



どこに行くのかは教えてもらえずに東宮殿を出た俺たちは別閣に着いた



『なぁ、今日はここで夕飯なの?この別閣って何の建物なんだ?俺初めて入るんだけど…』



案内されるがままに部屋の入る
と、そこにはきちんと韓服を着て頭にクンモリ(木で作られ髪を結った様に見せたもの)を乗せたチャンミンが所在無さげに座っていた



『あ、チャンミン…』
「ユンホ殿下…」



さして広くないこの別閣にあったのは



テーブルに目一杯乗せられた料理と
そして豪華な絹の布団が一組敷かれていた



そう…
最後の儀式というのは



合房の儀
すなわち、床入りの儀式だったんだ…





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縁結 40
2016-07-30 Sat 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Prince Yunho



初めてお会いしたチャンミンのご両親に認めて頂き、そして二度目のプロポーズでチャンミンからOKをもらった



嬉しいという気持ちと同時に
歩き始めた新しい人生の重みを感じ、身の引き締まる思いでいっぱいだった



一日がこんなに長くて充実していた事なんてなかったと思う



きっとこの日の事は一生忘れない
人生の最後の日に目を瞑る時も、覚えているだろう



その時も
そばに居るのはチャンミンであってほしい



そして今朝
チェ長官が公式の会見を開き、俺とチャンミンの結婚が国民に正式に発表された事で国内は一気に祝賀モードになった



婚礼の日は国民の祝日となる事が決まり、式の後に祝賀パレードをという声もあったが一般家庭出身の妃なので派手な事は…という理由で断った



っていうか
付き合っていたわけでもないし、まだ手しか握っていないのにさ



俺の大事なチャンミンを大勢の人達に見せるのが嫌だった、というのが本当の理由なんだけど
俺って案外、心が狭いんだなと思ったり



チャンミンは男だけど、あれだけスタイルが良くて韓服もすごく似合うから、きっと婚礼の衣装も似合うだろうな…と想像して鼻の下が伸びてる事をイ内官に茶化されたり



そんなこんなで
大学の講義も極力欠席しないようにしながら、パク尚膳とイ内官と婚儀について詰めの作業を進めていた



チャンミンは、妃候補だった時から事情が変わり正式に皇太子妃になるため、警護やその他の諸事情も含めて今まで通っていた大学から俺が通う王立の大学に編入する事になり



最初は必死に受験勉強をして入った大学だからと渋っていたチャンミンも



通っていた大学の工学部の教授も引っくるめて、数十人規模で大学の学部ごと移って来るような前例のないパターンだからと言われ、最後は了承してくれた



そして一方で、俺は忙しい合間を縫い御医とコ尚宮、トン尚宮の三人にチャンミンが男だという事情を打ち明けた



意外にも…というより当たり前だったのかもしれないけれど、二人の尚宮は気づいていたらしい



《ユンホ殿下のお気持ちを大切に思ったのと、チャンミン様もテミン様もここにずっと居て欲しいと思いで黙っておりました》



二人とも口を揃えたようにそう俺に打ち明けて
《今後も全力で支えいたします》と言ってくれた



俺にはたくさんの味方がいる…本当に心強かった
これから立ち向かうはずの見えない何かがたとえ大きなものであっても



自分は決して一人ではない…
そう思えるだけで、大きな力となり勇気に結びつく



打ち合わせがようやくひと段落して
俺の足は自然と東宮殿に向いていた
正確に言うと東宮殿の、チャンミンの元に



想いがやっと通じたのに
忙しくて顔すらまともに見れてない



一日でも会わないと、あの目が恋しくなるのは
まだ始まったばかりの二人の恋が、これから深まっていく合図なんだろうか



ニヤついて送り出すイ内官の脛に蹴りを入れて早歩きで目的地に向かう



ホールに入ると
テラスのベンチに座るチャンミンの姿が見えた
勉強でもしてるのかな…下に落としていた目線を度々上げて、その都度ブツブツ言っている



『チャンミナ、ただいま』



ただいま、というのもなんだか照れくさくて
恋しかったはずのチャンミンの目が見られない俺



「あっ!…ゆ、ユンホ殿下、おかえりなさいませっ」



チャンミンはなぜか慌てて本を閉じ、立ち上がって俺に頭を下げた



いきなりだったから驚かせちゃったかな



『あ、うん。えーっと、テミンは?』



ダメだな俺ってば
あんなに勢い込んでプロポーズして、冷静になって二度目のプロポーズでOKをもらった途端



何を言うにも照れてしまい、どう喋ったらいいかわかんないなんて



「テミンは今日から高校に行きました。本当は家に戻って通う方がいいんでしょうが、大妃様と王妃様があのように仰って下さったので…」



チャンミンが言うのは、顔合わせの際に出た我が身内の女性陣のワガママ発言のこと



《チャンミンは年若く心細いでしょうし、お互いを思い合い支え合う二人の姉妹(正確には兄弟だけど)を引き離すのは心が張りさける思いがします。学生の間だけでも王宮に住むのが良いでしょう》



大妃様はあれこれ甲斐甲斐しく世話を焼くテミンが可愛くて仕方ないらしいし、母上に至ってはテミンを完全に着せ替え人形にして、最近は朝食と夕食の時に着ているドレスが違うほどだし



要するに自分たちが寂しいから返したくないだけなんだけど、もっともらしい理由をつけて二人の両親に了承させてしまったんだ



俺としてもテミンがいれば楽しいし
あんな風にチャンミンを想う姿を見せられたら家に戻れとは言えないけど…



そのぅ…あれだ
チャンミンと想いも通じたし、もうちょっと近づきたいっていうか……



ダメだ!!ダメダメ!
俺ともあろうものが!そんなことっ!
頭に浮かぶモヤモヤを手で振り払い、チャンミンの横に腰掛ける



『チャンミナ、何読んでたの?』



チャンミンが慌てて閉じて、背中に回していた本をひょいとつまみ上げた



「あっ!!ダメですっ!!」



必死に取り戻そうと手を伸ばしたチャンミンが、俺の身体に倒れこむ



ヤバいっ!この体勢は!
……近いんだってばっ!!



目の前に迫るチャンミンの顔に
痛いくらいに鼓動が速まる



そんなチャンミンから目を逸らすためつまみ上げた本を見て、俺は頭が真っ白になった



【合房(寝所を共にするという意味)の心得】



どうしよう…
こうなったらこの勢いで…
目の前のチャンミンにキ…



〈ただいまぁぁ!!ユンホ様ぁ?オンニ~?ドコォ?〉



ホールから聞こえたテミンの声で
俺とチャンミンが目にも留まらぬ速さでベンチの端と端に移動したのは言うまでもない



テミンよ
最後の難関はおまえかもしれないな






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縁結 39
2016-07-29 Fri 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Sim's sister?



父さんがユンホ殿下の肩を支え、そしてしっかりと手を握る



涙でぼやけた中で、うっすらと見える光景



《我が国ではまだ、同性愛の権利はそれほど認められておりません。皇太子という立場を抜きにしても、同性を結婚相手に選んだ事で人の道を外れたと言われるかもしれませんよ?》



いつもの父さんとは思えない様な、真剣な話し方
そんな姿は初めて見た気がする



《私は、チャンミンが泣く姿を見たことがありません。この子はいつも自分を抑えて人を優先する様な性格です。我慢強い子なんです


…今日ここで初めて見たこの子の涙は、あなたへの募る想いをこらえ切れずにこぼしたものでしょう》



ユンホ殿下はしっかりと父さんの目を見つめ、一語一句逃すまいとその話に聞き入る



《チャンミンが性別を隠したまま偽りの妃になって、その辛さで泣く様な事があればすぐ返してもらいます。この子を泣かせるのは、喜びの涙だけにしてください


チャンミンを、よろしくお願いします》



そう言って深々と頭をさげる父さん
ユンホ殿下の脇で跪いていたテミンが泣きながら父さんに抱きついた



《チャンミナ…決して楽な道ではないわよ?ユンホ殿下とともにその茨の道を進む覚悟があるなら、母さんもあなたを見守るために後からその道を進むわ》



僕の肩を抱き、母さんが言った
やっぱり母さんは強いや…泣いてばかりの僕とは違って涙ひとつ見せてない



ユンホ殿下が強いお気持ちで仰ってくださったんだ…僕も心を決めなければならない



嘘をつくことは僕の本意ではないけれど
ユンホ殿下がご自身のお考えで、今その様な選択をなさったのだから…僕は殿下を信じて付いていけばいいんだよね?



さっきまで父さんと居たはずの殿下の足が目の前に見えた
僕の肩を抱いていた母さんがスっと居なくなる



ソファーに座っている僕の前でユンホ殿下が膝をつかれた



『ご両親とおまえの大切な弟から許しをもらった。あとは、チャンミン本人だけだよ』



そう言って、ユンホ殿下は僕の左手を掬い取りご自分の手に乗せた



『チャンミンと出会い、俺は運命というものの存在を信じる事が出来た。運命だからこそ同性なのに互いが惹きつけられたんだと思うんだ…


運命を信じているから他の道は選びたくない。どうか俺を信じて付いてきて欲しい


チャンミン、俺と結婚してください』



ご自分の手に乗せていた僕の手を横に傾け
ユンホ殿下はゆっくりと僕の手のひらに口づける



二度目のプロポーズ…



あの時は、ユンホ殿下が勢いのまま想いをぶつけてくれた
今度は、ユンホ殿下がこれから先の人生を見据え、共に歩く相手として僕を求めて下さっている



心を固めよう
この人を信じて、支えていこう



「はい…あなたを信じます。ユンホ様…あなたをお慕いしています」



やっと想いを伝えられた…
“男”だと言えた時よりも、すごくドキドキしてる
顔が赤くなってるかな?どうしよう…恥ずかしい



『チャンミナ…ありがとう』



顔を上げると…
ユンホ殿下が真っ赤になっていた



『この間より…かっこよく言えたか?なんか照れんな、こういうの』



小声でそう言ってから『イ内官!!そろそろ時間じゃねーのかっ?!』と殊更大きな声で外に話しかけるユンホ殿下



照れていらっしゃるんだ…そう思ったら、何だか胸がいっぱいになった



〈オンニぃ!!おめでとう!〉



ドタドタと外に出て行ったユンホ殿下と入れ違いにテミンが僕のところに来て抱きついてくる



「テミナ…ありがとう。嬉しかったよ」



ここの王宮に来てから、僕は自分が必死で守り続けていた小さな可愛い弟が、いつの間にか見違えるほど大きくなっていたことを気づかされた



さっき両親に必死になって思いを伝えていた勢いはなくなり、いつものように僕の肩でわんわん泣く姿は変わらないけれど…



テミンの顔をハンカチで拭ってから僕も洗面所で顔を拭いてきた
これから大殿で両陛下と大妃様にお会いする



ユンホ殿下がご自身で真実を告げる時が来るまで
僕は、殿下を信じて殿下を支えるしかない



崩れてしまった髪を水で濡らし撫で付ける
三つ編みを巻き込んで赤いリボンでまとめた頭が様になってきたと思う



年齢によってする髪型が違うってお妃教育の歴史で習ったけど



結婚式が済んだら、また変わるんだったよな…
もうこの際だ。髪を短くするのは諦めよう
どっちみちずっと長かったんだから



自分で決めた新しい人生が始まる
ネガティヴな自分はしまって、テミンの良いところを見習ってポジティブにいこう



《チャンミン様、参りましょう》



迎えに来てくれたコ尚宮さんに手を引かれて
僕はしっかりとその一歩を踏み出した





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縁結 38
2016-07-28 Thu 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Sim's sister?



両親と何やらにこやかに話されているユンホ殿下



立太子礼の際テレビで見ていたとき、同性ながら「この人かっこいいよな」と思ったっけ



そのときと同じ正装をお召しになったユンホ殿下にしばし見惚れる



そんな僕を見ていたテミンが腕をつついてきた



〈かっこいいねぇ~本物の王子様だぁ!お似合いだよ?オンニ〉



このまま“オンニ”と呼ぶ癖が抜けなかったらどうしよう…家に戻った後の事を心配する僕がいる



そのくせ



お妃教育で習った王と世子の正妻だけが着用を許される龍補(龍の顔が施された胸章と肩章)が付いた唐衣を着た自分を、ユンホ殿下の隣に置いて想像してしまう



男なのに…
そんなバカなことを妄想してしまう頭をぽかぽか叩いた



そこに父さんが声をかけてきた
テミンに腕を引かれてみんなのところに行く



細いのに意外に力があるテミン
ユンホ殿下が座るソファーに僕を強引に押しやり、僕はユンホ殿下にしなだれ掛かる様になってしまった



「こら!!やめろよ!!」


〈うふふ~そう言いつつ顔が赤いよ、オンニ〉



一人で色々と悩んでいる事がアホらしくなるくらい、いつも通りに無邪気なテミンのおかげで心を軽くしてもらった



この華やかな王宮を去れば
いずれユンホ殿下の事も忘れるだろう



ここで過ごした期間は短いんだから
どれだけ濃密な時間だったとしても、同じくらいの時が過ぎれば…きっとこの人を忘れられる…



そう思いながらユンホ殿下から間を空けて座り直した



そんな僕をチラッと見たユンホ殿下は
そんな間をものともせず、僕の手をぎゅっと握るんだ



両親の前だっていうのに!!



両親はきっとそんな様子が目に入っているはずなのに、二人ともそれぞれあらぬ方向に目を逸らしている



テミンだけが、僕らを見てニコニコと笑っていた



《この後、国王陛下がお住まいになる大殿に移動しまして、正式に両家での顔合わせとなります。その前に久しぶりのご対面をゆっくり過ごされる様にと、王后陛下が仰せです》



ユンホ殿下と一緒に部屋に入っていたイ内官さんが皆に言い渡し、そしてお辞儀をして下がって行きながらユンホ殿下に向かって親指を立てる



ユンホ殿下はイ内官さんに向かって軽く頷き、もう片方の手で同じ様に親指を立てた
なんだろう?



『私からご両親にお話があります』



何かの合図をする様に二回ぽんぽんとしてから握っていた手を離し、ユンホ殿下が立ち上がった



『先王とシム・ミンチョル氏の深い縁をもって、この様にお会いできた事を故人に感謝しております。私はその二人の約束通り、チャンミンと結婚します』



両親と僕、それぞれに雷が落ちたかの様な衝撃が走ったのは言うまでもない



《ち、ちょっと待ってください皇太子殿下!うちのチャンミンは男です。結婚なんて出来るわけないでしょう!》



呆然として口をパクパクさせている父さんに変わって、母さんが前のめりになって必死に言う



『王室典範には“王室籍を持つものの婚姻は、その相手との婚姻が宮中会議及び国会で了承された後に結ぶこと”と書いてあるだけで、相手が異性でなければならないとは書いておりません』



《だ、だからと言って…皇太子殿下、あなたは王室を継がれる方ですよ?チャンミンとは子を成せないって分かってます?》



ユンホ殿下は一息いれる様に紅茶を口に運んで続けた



『ですから、ご両親には大変申し訳ないのですが、お孫さんは諦めて頂きたい。テミンに可愛い奥さんをもらって、そちらでお願いします』



《なっ…ですから、皇太子殿下、そういう訳でなくてですね、ご自身がお子が持てないのが問題だと申し上げているんです》



母さんが至極真っ当な理由で殿下と対峙する
さすが母さん…父さんが失業した後、色んな場所で一生懸命働いてただけの事はある
…って僕は何を感心してるんだよっ



『お母様。私はチャンミンと出会いその人柄に触れて、気づいたときには惹かれておりました。その時は当然、チャンミンが男とは知りませんでしたが…』



ユンホ殿下の言葉を遮る様に何か言おうとする母さんを、父さんが手で制した



『そして私はチャンミンにプロポーズを致しました。不器用なもので、ロマンティックなそれとは大きくかけ離れたものとなってしまいましたが、その時はっきりチャンミンに伝えた事があります


…子孫を残すための道具などいらない、という言葉です』



父さんが初めて口を開いた



《皇太子殿下。同性を後宮に迎えたという事が後に大きく問題になったとしたら、どうなさいますか?》



ユンホ殿下は、腿の脇に添えた両手で拳を作る



『皇太子という立場…そして生涯を賭してチャンミンを守り抜きます』



ユンホ様……



すぐ横に立っておられるユンホ殿下
その凛々しいお姿が、ぼやけるのは何でなのかな



なぜ僕は…また泣いているのだろう



黙ったままの両親の前に、ユンホ殿下が膝をつかれた



《なっ、おやめください!!》



慌てて止めに入る両親を手で制して、ユンホ殿下が続けた



『自分の親よりも、私にとって大切なチャンミンをこの世に送り出してくださったご両親が大切です。ですからご両親のお許しがなければ諦めます。


でも、どうか…どうかお許しください』



そこにテミンが並んで膝をつく
あっという間の出来事だった



〈父さん!母さん!!今まではずっとこうやって、ヒョンが僕のために二人へお願いしてくれてたけど、今度は僕の番だ


ヒョンはユンホ殿下の事が好きだ。初めて好きになった人が同性だってことですごく苦しんでた。僕は、そんな風に苦しむヒョンは見たくない!〉



テミナ…おまえ…



〈生半可な気持ちだったらヒョンを渡せないってユンホ様に言ったよ。ヒョンは僕だけのヒョンだから。でもね、ユンホ様は誓ってくれたんだ。世界で一番幸せにするって…だからね…


僕の一生のお願いだよ。二人を祝福してあげて〉



いつかの自分の様に両親に頭をさげる弟の姿も
跪くユンホ殿下に歩み寄り、肩を支えて立たせる父さんの姿も



溢れ続ける涙で僕には見えなかった



愛っていうのは
色々な形の愛があるんだなって思った



医学の道に進んだとしてもきっと学べない人間の深い感情を



僕はここで、知ることが出来たんだ






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縁結 37
2016-07-27 Wed 18:00


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side Prince Yunho



『国王陛下、ユンホです』



パク尚膳とイ内官としばし打ち合わせをした後、俺は一人で父上の執務室に向かった



《入りなさい》



大きな机の上には、父上がやらなければならない仕事が積み重なっている
父上は椅子に深くおかけになられていた



《どうした?婚儀の件か?それならばおまえの好きにして構わない。パク尚膳やイ内官と進めてよいぞ》



やはりどこか疲れたご様子の父上は、それでも無理に笑みを浮かべておっしゃってくださる



『ありがとうございます。が、今伺ったのはその事ではございません。父上…もしやどこかお身体がお悪いのではありませんか?』



俺の言葉に父上が一瞬目を泳がせた
やはり…そうなのか



『父上…いえ、国王陛下。私は皇太子です。もし陛下に何かおありであれば、私は聞く権利があると存じます』



今までの俺とは違うんだ
父上にもしもの事があったら、おれは全力でお支えしなければならない



《ユンホ、ずいぶんと変わったな…あの子の存在はそこまでだったか。おまえも私の血を引いているから、やはり尻に敷かれそうだ》



父上は嬉しそうにそう仰って、うんうんと頷かれる



『父上…茶化さないでください』



全く…父上もイ内官も俺がチャンミンの尻に敷かれると決めつけやがって



ま、あの調子で叱られるのも悪くないけど…
そう思いつつも、テミンに完璧にキメていたコブラツイストが頭に浮かび、思わず身震いした



《ユンホ。おまえのその力強い目を信じよう。心配させてはいけないという気持ちと、なるべくおまえに負担をかけたくないという思いで今まで黙っていた


実は半月ほど前に、健康診断で心臓にちょっとした問題が見つかった。…なに、今すぐどうこうなるという訳ではないのだが》



父上は内線で飲み物を頼み、続けた



《医者にはひと月ほど静養し治療に専念するのが良いと言われているんだが…公務も忙しく、そうもしてられんからな。薬を飲んで様子を見ていたところであった


でもユンホの今の様子を見ていたら、おまえに任せても良さそうだと感じた。婚儀が済んだらその様にしようと思うのだが、ユンホはどうだ?》



父上の代理を…俺が…
出来るだろうか?
いや、やらなければならないんだ



『父上には私が居ります。チャンミンを妃に迎え、きちんと国民の前に立ちます。父上は治療に専念なさってください』



俺は父上の横に立ち、しっかりと目を見て決意を述べる
父上も笑みを浮かべ俺の手を握った



《ユンホ、ありがとう。先ずはチャンミンのご両親にしっかりとご挨拶して、結婚の許しを貰いなさい》



女官がお茶を運んで来たところで、俺は父上に深々とお辞儀をしてから部屋を辞した



思い切って来て良かった
父上の性格だったら、公務を優先なさりご自身の事は後回しになさるはずだから



俺が代理を務めることで、少しでも病状の改善に役立てるのなら…父上のためにもしっかりとその責務に臨む



俺には、チャンミンが居るから
チャンミンの存在が、こんなにも自分を強くするなんて思いもしなかったけど



執務室を辞した後、俺は大殿の事務局に向かい気になっていた事を調べた



両陛下や俺が先王が遺した結婚相手に関しての勅命を初めて聞いた翌日、その内容が相手の名前までマスコミに漏れていた件



すぐさま警察を含めて、何処から漏れたのか調査に当たったと聞いているが、未だに何の結果も出されていない



その事が
チャンミンの性別を誤認、もしくはあえて黙っている状態のまま通ってしまった事に繋がっている気がした



俺が自ら乗り込んで行ったから、事務員達もあたふたしながらも見たいと言った書類を全て出してくれた



目に付いた内容を控えて、自室に戻る



〈殿下。チャンミン様とテミン様のご両親がこちらに向かって出発なさりました〉



入口で控えていたイ内官から報告を受ける
…いよいよだ



『正装の用意をしてくれ。俺の正念場だ』



〈かしこまりました〉と言い下がっていくイ内官を見送り、俺は着ていた服を脱ぐ



シャワー室に入り頭から水を浴びた
もう一度、中途半端だった過去の自分の全てを洗い流す気持ちだったんだ



新品の下着を着て、髪を乾かしシャツに袖を通す



チャンミン…
男のおまえを男の俺にくださいという至極困難な願い事をご両親に言わなければいけない



もし…ご両親が駄目だと言っても…
おまえは俺の元に来てくれるだろうか?



弱気になる自分の頬を叩き、気持ちを入れ直す



副章(勲章の正章に添えて送られる物。胸や脇に付ける)が連なる上着に袖を通し、立太子礼の際に王から授かった首飾りを最後に掛ける



皇太子チョン・ユンホとして襟を正し
一人の人間チョン・ユンホとしてご両親に膝をつき、おまえを望もう







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縁結 36
2016-07-26 Tue 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
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side Prince Yunho



『おはようございます、大妃様。両陛下におかれましてもご機嫌麗しゅうございます』



大殿の居間で朝の挨拶をする
すでに飽きた毎朝の習慣だけど、今日は隣にかしこまったテミンが立っている



〈おはよぉございます!大妃様、国王陛下、王妃様!!〉



可愛らしい髪飾りを付け萌黄色の唐衣に朱赤のチマを着て、さながら公主(王の嫡女)の雰囲気を醸し出すテミン



上品にチマを手繰り、三人に挨拶をする



〈今日はオン…じゃなくて姉上が体調を崩して朝のご挨拶に、えっと…参上出来ない事をお詫びいたしますっ〉



深々とお辞儀をするテミンを見て、その可愛らしさに大の大人三人が揃って相好を崩す



こんな可愛らしい公主様が実は男だと知ったら、この三人はどんな顔をするだろう…そう思うと思わずクスッと笑いがこぼれてしまった



《よく出来ましたね、テミナ。お姉さまのことは心配ですが、夕刻にはご両親もお見えになることですし、久しぶりにご両親とお会いすれば元気になりましょう》



毎日のように趣味の裁縫で作ったドレスを着せて、テミンを着せ替え人形にしている母上が手招きして自分の傍に座らせる



呼ばれるままに、おとなしく母上の横に座るテミンの方が、実の息子よりもこの夫婦の子供みたいで苦笑する



そんなテミンの話を微笑みながら聞いていた父上
何だか顔色がよくない気がした
ご公務の疲れが溜まっているんだろうか…



今までは両親のそんな細かい様子も気にならなかったけれど



チャンミンとテミンがここに来てから
二人の互いを思い合う気持ちに触れて俺も変わってきたみたいだ



あとで執務室に行ってみることにして、まずは大事なことを伝えてしまおう



『大妃様、両陛下にお願いがございます』



三人を見渡して切り出した
朝の挨拶が済めばいつもさっさと退出していた俺がいきなり話し始めて、三人とも驚いたように顔を見合わす



《どうした。言ってみなさい》



父上が俺を見る
やはりちょっと痩せられただろうか…?



『チャンミン嬢との件ですが。とうにマスコミにも知られていて、連日のようにテレビも週刊誌も私とチャンミンの婚儀の件で賑わっています』



父上が《続けなさい》と言い、座るように促した



『チャンミンの名前を知らない国民はもはや居ません。そのような状態でチャンミンの存在を宙ぶらりんのままでおく事は王室の沽券に関わると存じます』



そう言って、俺は目を閉じる
両親に重大な嘘を吐くという…俺の最後の親不孝だ
もう一度、深呼吸をして気持ちを落ち着かせる



チャンミンが実は男だという事はもう関係ない
彼の名前が、彼の存在が…
俺の結婚相手として世に出てしまっている事実



父上には王室の沽券と言ったけれど
本当は俺の男としての責任感だ



皇太子と言うよりも、一人の男としての責任感を強く感じてる



先王と彼の祖父が交わした運命の約束によって出会った俺たち



それは男と男という組み合わせだったけれど
その運命に導かれるままに俺はチャンミンを好きになった



生まれた時から男と男だった俺とチャンミン
生まれる前から結婚すると決められていた相手…



チャンミンと出会った事で、全てにおいて投げやりだった俺が“運命”というものを信じた



この運命を信じて
チャンミンと一緒に歩んでいきたいと思っている



それにチャンミンは、俺の結婚相手という事が世に出てしまったがために



【実は女だったのに純潔を守るため男として育てられた】



というマスコミが作り上げたもっともらしいストーリーを、既成事実として勝手にチャンミンの人生へ組み込まれてしまった



そんな悲劇を背負わせたままチャンミンを王宮から帰す事は出来ない



俺は、絶対にチャンミンを守る
その思いを込めてしっかりと目を開いた



『婚約の儀を省略してでもチャンミンとの婚儀を急ぎたいと存じます。王室と、そして私自身のケジメをきちんとつけたいのです』



父上…母上…そしてお祖母様
重大な嘘を吐く俺を許してください



男として
チャンミンをこのまま放り出すことは出来ません



チャンミンを守るため、皇太子としてその立場にいる限り、俺は誠心誠意責務に臨みます



だから
初めて愛した人への思いを全うさせてください



《頭を上げなさい、ユンホ》



父上のその声で…
神への祈りに乗じた両親への懺悔を終わらせた



《おまえの言う通りだ。チャンミンを中途半端な状態でここに居させる事は誤りだな。あの子はおまえの伴侶だと、形式の上でもはっきりさせるべきであった》



父上がそう言い、母上も大きく頷いた



《確かに迂闊でした。チャンミンの尊厳を無視していますね。あの子はユンホの内縁の存在などではない歴とした正妃とするべきです。主上(チュサン、王より年上の王族が王様を指す謙譲語)の体の事もありますし…》



そう言った大妃様の手元をぽんと抑える父上
いかがなさったのだろう?



《ともかく。チャンミンのご両親にきちんとご了承を得て、ユンホの言う通り婚儀を急ごう。パク尚膳とイ内官はその様に段取りを急ぎなさい》



父上はそうおっしゃり、席を立たれた
そこにテミンが追いすがる



〈あのね、王様。オンニはね、ユンホ様の事が本当に大好きだから。きっと素敵な夫婦になると思うんだぁ~王様と王妃様みたいに!〉



テミンに言われた言葉で顔を赤らめる父上
母上もまた…恥ずかしそうだけど、何だか嬉しそうだ



チャンミンとは違った意味でテミンの存在は大きい



部屋を後にされる父上にブンブンと大きく手を振って見送り、今度は母上の元に戻り俺とチャンミンのことを一生懸命話すテミン



飾らないその純粋さが
俺とチャンミンの後押しをしてくれる



“何も出来ないかも知れないけど、一番の味方でいたい”



…そう言ってくれたテミンの支えを糧にして



チャンミンとのこれからの人生に
俺は大きな第一歩を踏み出した






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縁結 35
2016-07-25 Mon 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください



〈拍手コメントの御礼〉

ハ*様
「華筏」の一気読み!本当にありがとうございます…何だか照れます///
私自身の限界もございますが、この様なスタイルで良ければ何かしらお応え出来ると思っております。是非お聞かせくださいね



side Sim's sister?



《チャンミナ!!テミナ!!》



久しぶりに会う母さんが、僕たちの顔を見るなり飛びついてきた



「母さん、会いたかったよ」
〈久しぶり~元気だったぁ?〉



王宮からの迎えの車に乗ってやって来た両親は、本来ならまず両陛下と大妃様にご挨拶に行かなければならないが、王妃様のご配慮で真っ先に僕たちの部屋に案内されたらしい



《いやぁ、それにしてもすごい部屋だなぁ!それにお前たちが思いの外その格好が似合ってて…びっくりしたぞ》



僕もテミンもこの後予定されている顔合わせのために韓服を着ていたから、そんな僕らを見た父さんは目を白黒させながら言う



僕とテミンの頭を撫でてから抱えていた大きな荷物をテーブルにおろした



それにしても二人ともえらくこぎれいになってるな



「王宮に来るから洋服新調したの?母さん、似合ってるよ」



シンプルなライトグレーの上品なスーツを着た母さんを褒める。母さんは父さんの持ってきた荷物を解きながら笑った



《これはねチャンミナ、王室の事務局の方がね全部用意してくれたのよ。私たちには上等過ぎて遠慮したんだけどねぇ》



確かに見るからに高そうな生地だ
王宮に来てから僕も目がだいぶ肥えたみたいで
ここで見る洋服と、母さんが着ているスーツは確かに同じように見えた



〈うわぁ!!母さんのキムパプだよ!!久しぶりだなぁ!〉



父さんが持ってきた荷物は、どうやら母さんが張り切って作ってくれた得意料理だったらしい
テミンが早速豪快に一切れを頬張り、続けて僕の口にもキムパプを突っ込んだ



久しぶりに味わういつもの家族の雰囲気にほっとしたのだろうか
キムパプの一切れが大きかったこともあって息が詰まり涙が滲む



それを見て母さんはそっと僕を抱きしめた



《父さんの訳のわからない野望のためにあなたが犠牲になる事はないのよ…かわいそうに。もうこの際、ちゃんと本当のことを話そう?》



キンパプをいくつも頬張るテミン相手に近況を話している父さんには聞こえないように、母さんがつぶやく



「母さん…実は、つい昨日ユンホ殿下に本当のことを話したんだよ…」



母さんは慌てて僕を二人から離れたところに引っ張っていく



《それで?!じゃあ今日一緒に帰れるの?所詮男が女になろうったって無理があるのよ…時代劇で見るお姫様みたいなその格好はよく似合ってるけど》



女装をしている息子に違和感があるのか、まじまじと見つめる母さん



「たぶん…帰れることになるよ…」



久しぶりに両親に会えたという感傷めいた気分と
同性であるユンホ殿下を好きになってしまった自分を恥じるような複雑化された僕の心



テミンに食べさせられたキンパプの懐かしい味が引き金となって、今日もまた涙が溢れてくる



《父さんが何を言っても母さんがちゃんと言うから!チャンミンは安心していいのよ?》



いつもは弟のテミンに譲っていた母さんの優しい腕の中
僕の方が母さんよりもはるかに大きくなってから、初めてその温かさを満喫する



でも、母さん…違うんだ
帰りたい…そう思っているのに



ユンホ殿下のそばに居たいと思ってしまう自分がこわいんだ…



こんな風に母さんの前で泣いた事なんてなかったから、母さんもどうしていいのかわからないみたいで、ただオロオロと僕の背中をさする



そこにテミンが近づいて来て、僕の腕に自分の腕を絡める



〈あのね母さん。オンニはね、マタニティーブルーなの!!〉



?!?!?!



泣いていた僕も
そんな僕を持て余していた母さんも
一瞬にして固まった



《えええええ!!チャンミナ、あなた男なのに?!》



母さんはまさに天地がひっくり返るかのような素っ頓狂な声で叫ぶ



「まっ、まさかっ!バカ!テミナ何言ってんだよ?!」



腕を組んでいたテミンの身体を大きく揺さぶる
ガクガクと僕に揺さぶられながら、テミンはケラケラと笑った



〈間違えたぁ~!僕が言いたかったのはマリッジブルーだぁ!!〉



ってか!
それもどうなんだよっ!違うだろっ



母さんは奇想天外な内容に全く話について来られず、黙々と荷解きをしていた父さんの元にふらふらと戻っていく



「テミナ!おまえ調子にのるなよっ!」



自分が韓服を着ていることも忘れ、決め技のコブラツイストをお見舞いしながらテミンを叱る



〈うわぁ!レディなのにはしたないよぉ、やめてってば!ギブギブ!!〉



テミンが僕の腕をバンバン叩きながら叫ぶから、この辺で勘弁してやろうと技を解いてやる



「でもほんと調子に乗りすぎだぞ?母さんが誤解したらどうすんだよ、もぅ…」



能天気なテミンはたまに、自分でも制御できないくらいのハイテンションになる時があるからな…僕がしっかり抑えてやらないと



〈だって本当だもん。僕は嘘なんかついてないのにさ…ユンホ殿下が嘘をつくような人じゃないってオンニだってわかってんでしょ?〉



頰をぷぅと膨らませてテミンが僕に背を向けたその時



『そうだ、俺は嘘なんかつかないぞ』



そう言いながら部屋に入ってきたのは
立太子礼の時、テレビや新聞でたくさん目にした正装をお召しになったユンホ殿下だった



『テミンがかわいそうだろ?大切にしてる弟の事をもうちょっと信用してやれ』



すれ違いざまに僕の手をギュッと握ってから、ユンホ殿下は両親の元に歩み寄る



『お父様、お母様、ようこそおいでくださいました。初めてお目にかかります。ユンホです』



左胸に手を添えて挨拶した殿下は、そのまま肘に手を添えて父さんに右手を差し出す



ああ…この人は…
生れながらの高貴なお方なんだ…



涼やかな目元、美しい輪郭
正装をお召しになったその凛々しさ
そして、すっきりとした身のこなし…



そのすべてに
ユンホ様の貴さが滲み出ているんだ



ユンホ殿下と僕は



生きている場所が違う…



あたふたと握手に応じる両親を見ながら
自分が好きになってしまった人との間には、性別の問題以上の大きく高い壁があるという事実を



感じざるを得なかった





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縁結 34
2016-07-24 Sun 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Sim's sister?



僕は…
僕とテミンはどうなるんだろう



ユンホ殿下の看病をしていて、そのままうたた寝してしまった僕



目が覚めた時には
殿下が寝ていらっしゃったはずのベッドの中にいた



ユンホ殿下の匂いに包まれているようで
あの日ベンチで殿下の背中にもたれた時と同じような安心感でいっぱいになる



初めて入った殿下のお部屋をぐるりと見回す
ミュージカルがお好きなのだろうか…ダンサーが美しく舞っているポスターが其処彼処に飾られていた



その並びに掛かっていた時計の針がさす時間を見て僕は飛び起きた
朝の拝礼の時間をとっくに過ぎていたんだ



慌ててベッドを降り隣の居間に出て行くとコ尚宮さんが待っていてくれた



「どうしよう、寝坊をしちゃいました」



言わずとも分かっているはずの事をいちいち言ってしまう



コ尚宮さんは穏やかに微笑み〈ご心配には及びません〉と言った



コ尚宮さんに連れられて自室に戻る
居間のテーブルにはサンドイッチが置かれて、紅茶のいい香りが漂っている



〈チャンミン様を起こすな、とユンホ殿下から仰せつかっております。本日は一切のご予定をキャンセルしてゆっくりされるようにとのことです〉



ソファーに僕を座らせて、カップに紅茶を注いでくれるコ尚宮さんが続けた



〈朝のご挨拶にはテミン様が随分早くからお支度をなさり、チャンミン様の名代として殿下とご一緒に行かれました。まずはゆっくり朝食をお召し上がりください〉



テミン…
なんだか本当に大人になったんだな
昨日泣いてた僕を見て、きっと自分でやると言い出したんだろう



お妃候補じゃなくなったんだから、もうやらなくてもいいはずなのに…



ユンホ殿下はまだ誰にも言っていないのかな?
コ尚宮さんも特に何も言わないし



昨日あれだけ泣いたから身体の水分が枯渇しているようで、いつも以上に紅茶がおいしかった
あっという間にカップを空にしてしまう



再びカップに紅茶を注いでくれながらコ尚宮さんが言った



〈殿下はチャンミン様のことを随分とご心配なさっていました。ご両親が体調を崩されたと聞いても“そう”としかお返しにならないようなお方でしたが…


チャンミン様をお迎えあそばして本当に変わられました〉



どことなく嬉しそうに言うコ尚宮さん
そういえ女官の人達に“ユンホ殿下の微笑みが見られたらいい事がある”と言うジンクスがあるって聞いたとテミンが言ってたな



僕が来て殿下が良い方向に変わられたのだったら素直に嬉しいけれど
でも…それももう…僕には関係なくなる



今日にでも事実が伝えられて、僕とテミンはお払い箱になるだろう
それでも自分たちのミスだからって丁重に送り返されるかな



そんなことを思いながら自嘲気味に笑った



コ尚宮さんが言ってたように今日のお妃教育や行事は全てキャンセルになったようで、朝食を下げる時にあとはお部屋でゆっくりお過ごしくださいと言われた



家から持ってきた少量の荷物でもまとめておくか…
僅かな荷物だけどここに来てからあちこちに散らばっているから、一まとめにしておこうと思った



そこに〈失礼します〉という声とともに再びコ尚宮さんが入ってきた
両手に抱えきれない荷物を持っている



〈両陛下と大妃様からお見舞いのお品が届きました〉



テーブルに置かれた荷物を開けていくと、美味しそうなお菓子や綺麗な香炉などが入っていた



今日僕は体調が優れないということになってるはずだから
また一つ嘘を重ねた…そんな風に感じてしまう



〈王妃様よりお手紙を預かりました〉



コ尚宮さんに渡された綺麗な箱を開けて、手紙を取り出す



-------------------

ユンホの看病をしてくれたと聞きました
本当にありがとう
あなたはもう立派な私の嫁ですね


あなたのことでしょうからユンホを心配して身体だけでなく心も疲れた事だと思います
今日はこの香を焚いて、ゆっくり身体を休めるように
気持ちを安らかにさせる香りです


朝の挨拶の際に、ユンホから再度婚儀を急ぎたいとの申し出がありました

私もユンホと同じ気持ちです

今日夕刻にご両親をお呼びしてあります
そこで正式にユンホからご両親にお願いすると思います


久しぶりにご両親と会うのですから、しっかり休んで顔色を元どおりにして
あなたの美しさに一層の磨きがかかった様子をご両親にお見せしてくださいね

-------------------



王妃様…
お見舞いっていうか、僕がユンホ殿下の看病をしていた事をお聞きになってのお心遣いだったんだ



それに父さんと母さんに会えるんだ…嬉しいな
でも……一つ引っかかる



ユンホ殿下が婚儀を急ぎたいとおっしゃったというのは、何かの聞き間違いだろう
僕が“男”ってわかった後でそんなことを言う訳無いんだから



王妃様からの手紙を箱にしまって、お菓子の箱を開けて見ていた



〈いただきまぁす!!〉



上からひょいと腕が伸びてきてお菓子をつまんでいた



「おかえり、テミナ。今朝はありがとう」



いつもだったらお行儀が悪いと手を叩いて叱るんだけどもう今更だと思ったし、今日はテミンが僕のために朝から動いてくれたと聞いていたから怒らなかった



〈少しは眠れたの?オンニ〉



チマをふわっとさせて僕の隣に座るテミン



「もう“オンニ”って言わなくてもいいんだよ」



そう言ってから僕も一つお菓子を頬張る
花の形になったそれはお餅みたいな柔らかさで、甘みも控えめで美味しい



〈オンニと結婚するって言ってるよ、ユンホ殿下は〉



?!?!?!
何言ってんだ、こいつは
さらっと重大なことを今言った気がするけど



「はぁ?何だって?お前何言ってんだよ」


〈両陛下と大妃様にご挨拶に行って、ご自分でおっしゃってたよ。婚約の儀を省略して今月中には婚儀を挙げるって〉



はぁっ?!
僕が言った事実があまりにもショック過ぎて、ユンホ殿下はおかしくなっちゃったんだろうか?



男の僕と結婚するってことだぞ?



コ尚宮さんが焚いていった、気持ちを穏やかにさせてくれるはずのお香はとても不思議な香りがして



せっかく事実を言えて掴んだはずの安堵感をもどこかに飛ばしてしまうような



ユンホ殿下の訳のわからない言動と共に
僕を困惑させていた





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縁結 33
2016-07-23 Sat 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Prince Yunho



チャンミンはこのまま寝かせておいてやろう
俺の事を一晩中看病して疲れているはずだ



俺の気持ちを確信に導いてくれたチャンミンの右眉のホクロにもう一度口づけ、並んで寝ているバンビの頭をポンと撫でてから俺は急いでシャワーを浴びた



部屋の入り口に控えていたイ内官
そしてコ尚宮に声をかける



『イ内官は大学に重大な公務のために休むと連絡してくれ。そのあと東宮殿の執務室に来てほしい。執務室には一切人を近づけないように。


コ尚宮、チャンミンを頼む。無理に起こすな。今日の予定は全てキャンセルするように。テミンもだ』


〈承知致しました〉



対の間の前で控えていたトン尚宮にも声をかける



『チャンミンとテミンの二人をなるべく部屋にいさせてくれ。それから…“おまえとした約束は絶対に守るから”と、テミンにそっと伝えてくれ』



《かしこまりました》



コ尚宮もトン尚宮も、俺に言われたことだけ忠実にやってくれる



いずれ事実を打ち明ける事になったとしても俺が直々に選んで付けたやり手の尚宮だから、きっと力になってくれるはずだ



二人の事は尚宮に任せて、俺は重大な事実に向き合わなければならない



いくら先王の大切な勅命だったとしても
王室がその対象の人物の性別を誤認するだなんてありえないと思った



何か裏がある
そう思った



父上…国王陛下にはまだ伏せておこう
そう思いながら執務室に向かった



途中で会った女官に頼んでおいた朝食が運ばれて来て一口口に運ぶ
いつもは砂糖とミルクを入れて飲むコーヒーも今日はブラックのまま、ぐいっと飲み干した



戻ってきたイ内官にもコーヒーをいれて手渡す



〈殿下、今日はずいぶんとお優しいですな。明日は大雨が降りましょう〉



俺の険しい顔つきを見てそれを少しでも和ませようと軽口を叩くイ内官
彼はきっと両親よりも俺の表情を読めるだろう



『まぁな。今日はこれくらいの優しさじゃあ見合わないくらいの頼み事をするからな』



俺も自分の気持ちを和らげようと、イ内官の軽口に合わせる



〈さあ、どんなお願いごとでしょうかね〉



そんな言い方とはうらはらにコーヒーを一口飲んだイ内官は真剣な顔つきになって、俺の横に座った



『調べたいことがある。実はチャンミンは男だ。先王との約束をしたのは友人のシム・ミンチョル氏で間違いないだろう。子供の頃会った記憶がある』


〈・・・・・〉



チャンミンが男だと聞いて一瞬目を見開くも、すぐに元の顔に戻った



『皇太子妃として迎える対象の人物が男だという事実に気がつかない訳がない。絶対何か裏があるはずだ。国王陛下には伏せておき、俺とイ内官で調べてみよう』


〈かしこまりました〉



そう言ってもう一度コーヒーを飲んだあと、イ内官は続ける



〈チャンミン様は大丈夫ですか?昨晩…熱を出された殿下の看病をさせて欲しいとおっしゃっていた時、あのお美しい目がひどく腫れておられました。ずいぶんお泣きになられた様です〉


『チャンミンが…』


〈さようです。殿下にご自分が男だと言い出せずお苦しかったんでしょうね。そして、同性である殿下に恋心を抱かれたこともさぞお辛かったでしょう…〉


『なんだよ…全く。俺以上にチャンミンのことを見てんじゃねーか』



イ内官はどこか嬉しそうに胸を逸らす
さすが俺付きの内官だ
俺の本気の相手をちゃんと観察してんだな



〈チャンミン様もテミン様も、本当に素敵な方々です。お二人がいらしてから東宮殿にいる我々も毎日にハリが出来ました


殿下はツンとしているだけで全く可愛げがないと女官達も申しておりましたから〉



思い切り振り上げた俺の拳から逃げるようにして、イ内官が部屋から出て行った
女官たちめ…可愛げがないだと?俺だって好きで無表情だったわけじゃねーんだ



皇太子である自分と
どう向き合っていいか分からなかっただけなんだから…



さて、俺も大殿に行くとしよう
朝の挨拶に行きがてら事務局に行ってみるか



執務室を出ると、コ尚宮が控えていた



〈チャンミン様はお目覚めになられた後、ご自分のお部屋に戻られました。殿下のお言いつけ通り、本日は体調が悪いということにしてお部屋にいるようにしております〉


『そうか、色々ありがとう』



コ尚宮が唖然としている
俺がありがとうって言ったのがそんな驚くことかよ…全く



深々とお辞儀をして下がって行ったコ尚宮と入れ替えに、タウンモリに髪を結い両耳の脇に飾りを付け韓服を着たテミンがトン尚宮を従えて歩み寄る



〈殿下、おはようございます。伝言をお聞きして参上いたしました。大殿へのご挨拶にお供いたします〉



今度は俺が唖然とする番だ
チャンミンならともかく、テミンがこんな真面目な挨拶をするとは予想外だったから



『どうしたんだよ、テミナ』



トン尚宮から少し離れて、小声で聞く



〈何も出来ないかもしれないんだけど…ユンホ様とオンニの一番の味方で居たいから。今日はオンニの代理できちんとご挨拶に行くの〉



萌黄色の唐衣の中で手を合わせている雰囲気は公主(王の嫡女)の雰囲気そのものだ
…栗色にしてる髪はちょっとアレだけどな



っていうか
まさかテミンまで男ってわけねーだろうな
可愛い妹が心配でチャンミンは自らを犠牲にして付いてきたんだろうから



少し下がって歩くテミンをチラチラ見る
うん、ヒゲも生えてる気配すらないし、喉仏も目立ってないな



ただ、チャンミンよりずいぶんとがっしりした肩をしてるけど
兄妹で肩をつけ間違ったんじゃないか?



そんな感じでレディに対して失礼なほど値踏み状態だった俺を見て、テミンが急に俺の腕を掴んだ



〈トン尚宮さーん!回れ右です!!〉



そう叫んだテミン



離れた場所を歩くトン尚宮が言う通りに後ろを向いた途端、俺の手はテミンに操られるまま唐衣越しに胸を触らせられる



ぎゃー!!
おっぱ……ぃ?…へ?
ぺたんこ?



続けて手はチマの膨らみのど真ん中に運ばれた



うわぁぁぁ!!
つ、ついてっ!
う、嘘でしょ?!



声にならない驚きのまま
日頃から触りなれた感触を味わった自分の手をわなわなと見つめた



〈ウフフ~そこそこのが付いてるでしょぉ~〉



付いてるでしょぉ、じゃねぇ!おまえも男かよ
どうなってんだおまえたちは!!



そんじょそこらの女共が束になっても叶わない美貌で、韓服が恐ろしいくらい似合う男が揃いも揃って二人も!なんなんだこの兄弟!!



いつも通りに天真爛漫なテミンのおかげで
いつもの雰囲気になってきた



これから立ち向かうものへの不安や
見えないものへの戸惑いも払拭出来た気がする



チャンミナ…



おまえが今まで抱えてきた苦悩と流した涙より
もっともっと幸せな気持ちになれるように俺は頑張る



チャンミンと
そしておまえの大切な“弟”も



俺が守るから





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縁結 32
2016-07-22 Fri 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください



〈拍手コメントの御礼〉

ハ*様
キリ番惜しいぃ…何かリクエストがあればせっかくですから仰ってください
ハ*様のコメントを拝見して7万回を迎えた事を知りました。どうもありがとうございます^^

a****様
コメントをいただきありがとうございます^^
「宮」をお持ちなんですね!本当に素敵なお話なので、原作の雰囲気を上手く取り入れて二人に置き換えていけたらいいなと思っております



side Prince Yunho



王宮の中を歩く俺
いつもの見慣れた光景



いつもなら俺を認めると必ず立ち止まって礼をする女官や尚宮、内官や事務員たちの誰もが
俺とすれ違っても気がつかない



何も変わらない景色の中から、まるで俺だけが爪弾きにあったような



挙げ句の果てには
部屋に入って行った俺を両陛下や大妃様までも全く気にもとめず、談笑を続ける



その世界には
皇太子である俺は存在しないかのようだった



この王宮に俺の居場所はないんだ…
襲いかかるそんな不安から逃れようと向かったのはチャンミンの部屋だった



俺の妃候補…いや、俺の愛しい人だ…



走って東宮殿に戻ってきた俺
チャンミンの部屋に急ぐと扉から出てきたテミンと出くわした



チャンミンいるか?
そう尋ねようとしたとき、ちらっと目を合わせただけでテミンは行ってしまった



テミンまでも…
ありえないくらいの孤独感が俺を襲う



チャンミナ
チャンミナ



俺は部屋に入って愛しい人の姿を探す
いつかのように勉強机に向かっていたチャンミンが振り返る



おまえだけは違うよな?
抱きしめようとする俺の手をすり抜けるようにチャンミンまでもが俺の前から消えようとしていく…



行くな
おまえだけは俺のそばにいてくれ



王宮の中に居場所が無くとも
チャンミンが居てくれれば、それでいいんだ



背を向けるチャンミンの手を掴もうとした時
くるっと振り返ったチャンミンが俺の手を握りしめてくれたんだ…



お妃候補が男…
俺が好きだと思った相手が男…



日々の大学の講義に加えて婚儀についての段取りを詰めていて、疲れていたんだろう



こういう時は
決まって悪夢を見るものだ



夢の中で居場所を失っていた俺の手を握ってくれたのはチャンミンだ…悪夢にうなされながらも、ぎゅっとつかんだ手の感触を覚えていた



そういえば
俺の手にちょうど包まれるような、一回り小さなチャンミンの手はゴツゴツした感触だった



女の割に…と、ふと思った気もする



そんな感触を思い出しながら、ゆっくりと夢から現へと戻った



何時だろうか
所々に配置されている非常灯の仄かな灯りだけの暗闇に包まれていた



そして顔を傾けると
俺の手を両手でしっかり握ったまま、ベッドに突っ伏している丸い頭が見えた



俺は熱でも出したんだろうか
水が張られた桶とタオルが置かれていて、もう片方の腕には点滴の跡が残っていた



チャンミンが…看病してくれたんだ



イ内官がよく許したな
婚姻前の二人が寝室に二人きりになるという状況を…まあチャンミンは男だったんだけど



俺は指を一本ずつ外してゆっくりと手を解く



探し求めていた温もりを自分から解こうと思ったわけじゃなくて、こんな無理な体勢で寝てしまっているチャンミンが可哀想だったから



ベッドから降りてチャンミンを抱き上げる



男が男を抱き上げる…不思議だけど違和感はこれっぽっちも感じなくて



「…んっ…」



宙に浮く自分に気がついたのか、チャンミンの声が漏れる



『大丈夫だ…寝てろ』



そう言って自分が寝ていたベッドにチャンミンを横たえ、布団をかけた



ベッドのふちに腰掛けて、汗で額にはりついたチャンミンの髪をはらう



言われてみれば、確かに男だと思った
しっかりとした喉仏もあるし、うっすらと髭も生え始めている



女という先入観があったから気がつかなかったのかもしれない



俺は
女という先入観のままで、お妃候補としてのチャンミンを好きになったんだろうか…



…それは違う気がする



現に今
髪をはらっていた俺の手は
無意識のままチャンミンの頭を撫でていた



愛おしいと思う気持ちが、そうさせていた



チャンミンという一人の人間に
俺は恋をしたんだと思う



キュヒョンに言われた通り、俺の周りに居ないタイプだっていうのも確かにあると思うけれど



チャンミンはごく自然に俺の心に入り込み
そして気がついた時には、もう失うのが恐いくらい大きな存在として息づいている



まさかなぁ
男を好きになるなんて思ってもみなかったな



いや…なんだかそれも違う気がするな



性別を超えて
俺は、チャンミンが好きなんだ



よし



せっかくだから、試してみよう



男だとわかった相手に
俺は、キス出来るだろうか?



気持ちの上では性別というものを超えてチャンミンのことが好きだと思っていても



身体が拒絶反応を起こすかも知れない



自分のことはいたって正常な男だと思ってる
ムラムラするのも女の子が対象だったし



寝間着姿で歩くチャンミンの細い腰に目がいって下半身が元気になってしまったのは…
アレは、そのぅ…なんだ。朝の生理現象だから!



スゥスゥと規則正しい寝息を立てるチャンミンの顔に、ゆっくりと近づく



はりついてた髪をはらい、きれいになったチャンミンの額に唇を寄せる



・・・・・



やっぱ俺



チャンミンが好きなんだ



唇ではなく右眉の上にあるかわいいホクロにキスをしただけで



心臓発作を起こしたんじゃないかと思うほどバクバクと鼓動を早める自分の身体に



俺は
チャンミンを好きだという答えを導き出してもらったんだ





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