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縁結 12
2016-06-30 Thu 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Sim's sister?



いつもは
普段着にもならなくなったようなボロのTシャツに、高校の時のジャージをはいて寝ている僕が
ツルツルのシルクのネグリジェを着て寝るなんて



…せめてパジャマタイプにしてくれっ!



しかも好きな色を聞かれた時に「紺やグレー」って答えたのに、ベッドの布団もネグリジェもピンクだし…だったら聞くなよ!もぅ!



それに、その…
ネグリジェの下の方がスースーしていて



その中の方の…
可愛いらしいレースのついたショーツをはいている自分の下半身が落ち着かないんだよ…



余りにも違う環境で
あっさり眠れるほど僕は図太くない
全然眠れずに、大きなベッドでごろごろと転がってみたりして



でもなんだかんだ疲れていたからいつの間にか寝ちゃったらしく、気づいたら大きな窓から朝日が差し込んでた



悲しい習性というのは簡単には抜けない様で、こんな大きなベッドなのに僕は端っこで小さく丸まっている体勢で目覚めた



朝は6時に起床するって言ってたっけ
目をこすりながら時計を見ると、その時刻はとうに過ぎていて僕は飛び起きた



すると反対側の部屋から大きな声が聞こえてきたので行ってみると、あろうことかテミンがユンホ殿下のベッドの上ではしゃいでいたんだ



自分がピンク色のネグリジェ姿のままだという事も忘れ、テミンに飛びかかった



僕たちに対して、労わりの言葉もなかった人だ
いきなりテミンのあのテンションで寝起きを襲われたら、テミンがどうなるかわからない



でも殿下は、自分の上にのしかかるテミンを怒りもしなかったし、尚宮さん達に引き離されてもめげずに戯れてくるテミンに苦笑する感じで



必死に謝る僕には『いいよ、気にしてない』とおっしゃってくださる



最初が怖かったから…僕はホッとしたあまり
殿下に向けてとびきりの笑顔になってしまった



ユンホ殿下は
そんな僕とは目も合わせてくれなくて
何故か僕は…胸がチクっとしたんだ



僕のこと…嫌いなのかな



テミンには
苦笑いしながらも、その澄んだ眼差しを向けていたのに



ユンホ殿下の目線が気になりつつも
王宮に来て早々寝坊してしまった僕は、テミンを引きずりながら再び殿下にお辞儀をして部屋を後にした



尚宮さん達に案内されて向かったダイニングには
大学の食堂よりも大きなテーブルが置かれていて



正面の高そうな絵画をバックにした席にユンホ殿下がかけられ、僕は殿下の右側にテミンは僕の正面に座らされた



いつもは箸を持つ手がぶつかり合うようなテーブルでの食事だけど、正面に座るテミンにはどんなに頑張って手を伸ばしても届かない距離がある



左側におかけになる殿下までも相当な距離があり
こんなバカでかいテーブルは、果たして本当に必要なんだろうかと疑問に思った



でも女官達が列をなして運んできた料理が並べられると、こんなバカでかいテーブルでなければならない理由がわかった気がした



朝食なのに、何種類の皿があるか数えるのも面倒なほどの料理が並ぶ



僕らが普段食べているように大きな皿に一つの料理が盛られているのではなく、一つの料理が少量ずつ皿に乗り何種類も置かれている



食べる事が大好きな僕
並んでいる数々の料理は目新しいものばかりで、ゲンキンにもお腹の虫が鳴ってしまった



それはテミンも同じみたいで
目についたものに片っ端から箸をつけていた



はしゃぐテミンを「喋りながら食べちゃダメ」とたしなめながらも、僕も箸の勢いは全く止まらなくて、食べた事のない美味しい料理を十分に堪能する



こんな美味しい料理を食べられただけでも、女に間違われてここに連れて来られた価値はあったなぁ、なんて思ってしまった



…何と無く急に視線を感じてその方を伺うと
ユンホ殿下が僕が料理を食べる様を見ている気がして



そんな殿下は、僕らとは逆に
全然箸が進んでいない様に見えたんだ



僕らがいるから?
うるさくて、召し上がる気にもならない?



恐るおそるユンホ殿下にお聞きしてみるも…
さっきとは逆に、殿下は何も答えずただ僕の顔をじっとご覧になるんだ



どうしよう
怒ってらっしゃる?
テミンを注意せずひたすら食べてたから?



うっ……ホントにどうしよう……



目を合わせてくださらなくて胸がチクっとした僕が、今度はユンホ殿下のその黒目がちな目に見つめられて身動きすら取れなくなってる



あ……食べてる様子を見て、女にしては喉仏が出てるなって気付いちゃった?



それともよく食うな、って飽きれていらっしゃるのかな



色々な不安が次から次へと浮かび上がり
こんなところに来てしまった自分の事を責めたい気持ちになる



気がつくと僕の目には
涙がいっぱいに溜まっていて



いっそここで泣き叫びながら本当に事を言ってしまえば僕は殿下の前から逃げられる…そう思った時



〈殿下がオンニを泣かせたよぉー!〉
と、ご機嫌なネタを仕入れたとばかりハイテンションになる僕の弟が目に入ってきて



『チャンミンの目がさ、きれいだなって思って…いや、何言ってんだ、俺は。あーっ!もう!チャンミナごめん、俺が悪かった』



そんな風に言いながら、僕に謝る殿下の姿が続けて飛び込んできた



僕の目がきれい…
僕のことを…チャンミナって呼んだ?



殿下の顔が…赤くなっていたのは
僕の気のせいだったのかな



チクっとしていた僕の胸が
ペタンコなのにブラジャーを着けている僕の胸が



ドキドキしたのは、どうしてなんだろう…



嘘がバレなかった事よりも
ユンホ殿下が怒っているんじゃなかったという事の方が



僕にとって嬉しい内容だった





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縁結 11
2016-06-29 Wed 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Sim's sister?



間近で見るユンホ殿下はまるで人形のようだった



背が高く、すらっとしていて
細面の顔にバランスよく並べられたパーツからは生まれながらの品の良さが伝わる



テレビとか新聞で見るユンホ殿下はスーツを着ている事が多いし、先日の立太子礼の時に勲章を付けた正装をお召しになっている姿を散々見ていたから



今日みたいにブルーのニットをラフに着ている姿がすごく新鮮に感じた



この方のこんな普段着姿を見られるのだって
普通に生きてたらまず無理だろうから、ちょっと得した気持ちになった



でも少し…
切れ長のシャープな目元が怖かった
ジロッと見られた時に一瞬身構える



僕やテミンに対してかける言葉も特に無く
二人を交互に一瞥した後は、全く目も合わせてくれなくて



僕たちの事を喜んでいないんだと伝わってくる



そりゃあそうだよね
王様やユンホ殿下も、今回の事は昨日初めて聞かされたって王室の人が言ってた



これだけかっこいい人だもん
大学にすごいきれいな彼女とかいたりするだろうし、特定の彼女を作らずとも選り取りみどりだろう



祖父が決めた、会ったこともない僕と結婚しなくちゃならないだなんて、きっとムカついてるはずだよ



それに…僕が男だって知ったら…



とにかく無難に、事を荒げること無く過ごして
向こうから間違いに気づいてもらわなくちゃ



そちらの間違いにこっちは
絶対権力には逆らえるはずもなく、ただ巻き込まれただけですって言い張るんだ



だから僕も、努めて穏やかにユンホ殿下に挨拶をした



僕は、あんまり目が良くないから
表情をしっかり読もうと思って、ついついユンホ殿下の顔を凝視してしまう



あまりにジッと見られて気分を害されたのか
殿下は急に顔を背けてしまった



…怒らせちゃったかな
そう思ってヒヤヒヤしていたら、空気が全く読めていないテミン爆弾が炸裂したんだ



〈殿下ぁ~!超カッコいい!どぉしよぉ~!えっとね、僕!テミンです。お嫁さんになりに来ました~〉



大妃様もいるっていうのに
テミンったら思い切りタメ口だし、普通に“僕”って言ってるし!んもぅ、あれほど言ったのに…



とにかく、学校で自分のことを“僕”という言い方が女の子の間で流行ってるという言い訳をしてみたけど、ユンホ殿下は特に気にした様子もなかった



大妃様にもさっき
《二人とも殿方の様な名前ですね》
と言われて冷や汗が出たけど



「祖父と父がシム家の跡取りが欲しく生まれる前から決めていた名前だったそうで、私も妹もそのまま付けられたんです」



と我ながらうまい事考えたと、おそるおそる言ってみると大妃様は《そうでしたか、それでその様な…》とあっさり信じてくださった



ずっとこのまま誤魔化し続けようとはこれっぽっちも思っていないけれど、あっさりバレるのはそれはそれで癪にさわる



だってさ
天地がひっくり返るほど驚かさせられる様な事に
平凡な僕ら家族一家が巻き込まれたんだ



美味しいものをたくさん食べて、雲の上の楽しい生活を少し味わってからでも、バチは当たらないと思うんだけど



テミンはおしゃれさんだから
きれいな服をたくさん着て、楽しい思い出となればいいって思った



殿下の居住する東宮殿に連れて行かれ
皇太子妃のための部屋に通される



僕たちを予定外に急遽迎えることになって急ピッチで改装したらしいその部屋は、若い女の子が喜びそうな可愛らしい家具が置かれた居間になっていて



長子の僕の部屋として案内された部屋は
これまた女の子が夢に描きそうな装飾の施された天蓋付きの豪華なベッドが置かれていた



レースやフリルがくっついたピンク色のシルクの布団という、僕には到底無縁のものに包まれて眠れるだろうか…と不安になる



一度腰掛けてみたものの、やっぱり落ち着かず
テミンが連れて行かれた部屋を覗いてみると



こちらはミントグリーンのシルクの布団がかけられた、同じような天蓋付きのベッドが置かれていてその上ではしゃぐテミンが居た



〈ねぇ!すっごいこのベッド!ふわっふわだよ!ヒョ…オンニも寝てみて!〉



普段は狭い空間に無理矢理二枚の薄い布団を敷いて寝ている僕たち



その二人が寝てもなお、余裕のある大きなベッドなんて生まれて初めて見た



きれいな物が好きなテミンは
それぞれ気を利かせて置いてくれたらしい小物を見たり、クローゼットを覗いたりして楽しそうだ



ここに来る車の中で好きな色や好みの服、趣味を聞かれたけれど
それがリアルタイムに伝えられて準備されていた事に驚いた



僕も再び自分の部屋に戻ってみると
どう見ても豪華すぎるベッドの奥には、これまた立派な勉強机と本棚が置かれていて



僕が大学で専攻する“応用化学”に関する書籍がズラリと並べられていた



クローゼットの中はこれも「姉妹揃ってパンツスタイルが好きで、スカートは一切はきません」
という僕の強引な理由がそのまま通り



見事なくらい色々なバリエーションのズボンが用意されていた



しかし…
タンスの引き出しを開けて、僕は限界を思い知るんだ



・・・・・



こんなパンツ!入らないよぉ
こんな小さい面積の中にどうやって収めるんだよ



それに…こ、これはブ、ブラ…ジャぁぁぁ!



早く気づいてもらわなくちゃ
やっぱり無理だよォォォ



フリフリのレースがついた可愛らしいショーツを握りしめ、僕はガックリと肩を落とした





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縁結 10
2016-06-28 Tue 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Prince Yunho



俺が何年も一人で座っていたダイニングのバカでかいテーブルに、初めて俺以外の人が座っている



清潔感漂う白いシャツに淡いピンクのパンツをはいたチャンミンが右隣に



大きなリボンタイを結んだブラウスを着て、クリームイエローのパンツを履いたテミンが左隣に



といっても、互いの距離はえらく離れてるんだけど



テミンが〈おいひぃ、コレ!僕、おかわりください!〉と無邪気に言えば



「口に物を入れて喋ってはダメだって言ってるでしょ?テミナ。それに“僕”じゃないってば」



と叱りつつもぱくぱくと料理を口に運ぶチャンミンは、どの料理も本当に美味しそうに食べていた



後ろに控えているそれぞれの尚宮達が、その都度食事の作法を指摘して
チャンミンは言われるとその都度ポケットからメモを取っていた



きっと真面目なんだ、彼女は…
行動の端々に彼女のそんな性格を垣間見る



妹のテミンの方は、逆に全くおかまいなしで



〔口の中にたくさん物を詰めてはなりません〕
〈はぁ~~い〉


〔返事は伸ばしてはいけないと申し上げたはず、ああっ!スプーンで汁を切ってはなりません!〕
〈えぇ~そおなの?ごめんなさ~い〉



という感じで、マイペースに食事をしていた



不思議と嫌な気分にならなかったのは
ずっと一人だった無機質なこの広い食堂に、一気に人が増えて賑やかになったからかもしれない



俺は…小さい頃からずっと一人だったから



「あのぅ?ユンホ様…申し訳ありません。ぼ、私達のせいでうるさくて食欲が湧きませんか?」



それまで黙っていたチャンミンが口を開く
テミンと尚宮のやり取りが可笑しくて、そっちに気を取られてフォークが動いていなかった俺を心配したらしい



ふと目を向けると
大きな目がジッと俺を見て、伺うように小首を傾げているチャンミンが飛び込んできた



さっき見た時はゆるやかに垂れていた黒髪を、サイドからきちんと結いおでこをスッキリと上げていて、右眉の上にあるほくろに気がついた



彼女の顔には他にほくろは見当たらず、そこだけぽつんとあるから何だかチャームポイントの様に感じた



俺も他には全然ないのに口元にぽつんと一つだけほくろがあって



お祖母様…大妃様はユンホのチャームポイントだわって小さい頃から言っていたから、何だかそんなことで親近感を持ってしまう



返事をしない俺を、怒っていると感じたのか
動揺して目が泳ぎ始めるチャンミン
大きな瞳が忙しなくあちこちを見て、どうしたらいいのか思案している様に見えた



ちょっと大き目の口を真一文字に閉じて、一生懸命に考えてる様子が…すごく可愛く感じて
俺はそのまま返事をしないでわざと黙っていた



「ど、どうしよう…ぼ、私…」



次第にその瞳に大きな露を含み始めるから
慌てて『いや、ごめん。お前が悪いんじゃなくて…』と、しどろもどろに言う



俺…こいつの目がどうもダメみたいだ



俺のバンビが重なって
小さい頃から共に過ごしてきた錯覚にとらわれる



〈ヒョ…じゃなくて、オンニ?どうしたの?…あーっ!殿下がオンニを泣かせたよぉー!お祖母様に言いつけちゃおう!〉



テミンが良いネタをゲットしたとばかりに、食後の紅茶も飲まず立ち上がった



〈トン尚宮さーん、あとで僕!お祖母様じゃなくて大妃様に会いたいー〉



嬉しそうに言うテミンに慌てて弁解する



『いや、違うんだってテミナ。チャンミンの目がさ、きれいだなって思って…いや、何言ってんだ俺は。あーっ!もう!チャンミナごめん、俺が悪かった』



この二人のペースにすっかり巻き込まれている自分に、この時は全然気づかなかったし



俺たちを見ていたイ内官が《ユンホ殿下は妃殿下の尻に敷かれるという未来がハッキリ見えた》と思いながら、笑いを堪えてた事にも気づかなかった



ようやく涙を引っ込めたチャンミンを確認してから、自室に引き上げる
これから揃って両親に挨拶に行く予定だから、用意されているスーツに着替えた



そういえば、あの二人ってスカート好きじゃないのかな



チャンミンなんか俺と同じくらい背があって足も長いだろうから、スカートも似合うと思うんだけど



顔立ちがはっきりしてるし凛とした雰囲気があるから、タイトなデザインの真紅のドレスが似合いそうだ



テミンは、そうだな
あの栗色の髪をカールさせて、フリルがついたアンティーク調のドレスなんかもいい



親族にお目見えするパーティの時に着るドレスは
俺が見繕ってやってもいいか



ってか…なんか俺
すっかりあいつら有りきの頭になってる



一般家庭から来た二人には、ここでの生活はそうそう馴染めないだろうと思ってたけど



それなのにあいつらは、俺の生活の中にあっという間に入ってきた



驚くほど、自然に



たった一晩この東宮殿で過ごしただけで、チャンミンもテミンもそれぞれの尚宮を始め、他の女官達とも楽しそうに会話していた



天真爛漫なテミンと
それとは対照的に物静かで、真面目なチャンミン



この二人が互いの良さを互いに引き立てて
全く笑いのなかったこの東宮殿を賑やかにしてくれたんだ



中庭を挟んで向かいの部屋に目をやると
大人びた雰囲気の、シンプルなベージュ色のパンツスーツを着たチャンミンがこちらを見ていた



あの
特徴的な、大きな目で



彼女の着た服が
俺のバンビの毛色に似ていて
思わずハッとする



チャンミンは俺と目が合うと
慌てて顔を伏せた



ここで見ていてもわかるくらいに顔をピンク色に染めていて



俺のバンビが
いつも怒っているバンビが照れてる…
そう思ってしまった俺の胸は



何だかすごく
ドキドキしてたんだ




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縁結 9
2016-06-27 Mon 18:00


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side Prince Yunho



翌日からの俺の生活は見事なまでに一変した



まず朝イチに初っ端のハプニングが俺を襲ったんだ



朝起きて、いつも通りにイ内官の声がけをベッドの中で待っている時



暗がりの中から〈殿下ぁ~おっはよぉ~!!〉という声と共に黒い物体がベッドに飛び込んできた



《なりません!テミン様!!》



尚宮達の必死な声を意に介せず、ニコニコとベッド上を進むその物体
俺と目が合って〈あ、起きてたんだ?〉とのしかかりながら言ったのは妹の方のテミンだった



《テミン様!!婚姻前の若い二人が寝所に居てはなりません!!》



テミンに付けられたトン尚宮が失礼します、と俺にお辞儀をしてから俺の上に乗ったテミンを引きずり下ろす



〈だって~殿下がお寝坊さんだなって思ったんだもん〉



ぷぅと頬を膨らまし、尚宮に言い訳をするテミン



『俺が起きてくる流れを知らないんだから仕方ない。トン尚宮、あまり叱るな』



俺はベッドをゆっくり降りながら言った



俺ですらこんな状況になって戸惑っているんだから、こいつら姉妹の方がいきなり王宮に連れてこられて大変な思いをしてるだろう



最初からしきたり云々で叱られるのは気の毒だと思った



〈殿下ぁ!優しいんだね、ほんとかっこいいなぁ〉



またもや尚宮の手を振り払い、俺の元に来るテミン



ころころと戯れる感じが何だか無邪気な仔犬のようで、怒る気力も失せてゆく



尚宮の後ろから、猛烈な勢いでダッシュしてきたのは姉のチャンミン



「何やってんのあんたはぁ!!」と、俺のバンビ以上に目を三角にしてテミンの首根っこを押さえつけた



「殿下、本当に申し訳ございませんっ。何しろこいつ…じゃなくてこの子は誰彼構わず戯れるのが得意技なんです…お許しください!」



必死な様子で頭を下げるチャンミン
大妃様言ってた通り、利発で真面目そうな雰囲気そのものだった



『いや…いいよ、気にしてない』



ばね仕掛けの人形みたいにぺこぺこ頭を下げるチャンミンがかわいそうで、彼女から顔を背けるようにそう言った



昨日会った時はキリッと結わえていた黒髪が顔に垂れ、それをかきあげながら顔を上げて俺を見る



「ユンホ様…ありがとうございます」



嬉しそうにニコッと笑ったその顔が
背けていたはずの俺の視界に飛び込んできて
何だかドキッとしてしまった



俺のバンビが
いつも怒ってばかりいるバンビが笑った…



そんな錯覚に陥る



テミンを引きずりながら、再びぺこりとお辞儀をして部屋を出て行くチャンミンの後姿を、つい目で追ってしまう俺



ウエストが細いなぁ…
王宮で用意されたシルクの寝間着を着る彼女の腰をジッと見ている自分に気づき、慌てて頭を振った



ヤラシいな、俺ってば



のしかかってたテミンはいい匂いがしたし
チャンミンはあの細いウエストが、堪んない…



・・・・・



がぁぁぁぁ!!
ヤバい!!俺のアレがぁぁ!!



いや…違うっ!
これはいわゆる朝の生理現象に相違ない!



落ち着こう…
もう一度ベッドに潜りこんだ



〔殿下、お目覚めになられてよろしゅうございます〕



遅いんだよ!イ内官!!
しかも違うところがお目覚めになってんだってば



『いいからっ!あと五分俺をそっとしておけ!』



扉の向こうに叫んでから
大嫌いな教授の顔を無理矢理思い出し
お目覚めになったところを必死で寝かしつけた





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縁結 8
2016-06-26 Sun 18:00


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side Sim's sister?



超高級車に乗せられた僕たちを待ち受けていたのは、まさに口をぽかんと開けてしまう光景だった



美しく手入れされた庭園
そこかしこに置かれる彫刻



僕らが子供の頃よく遊びに行った公園とも
全く比べものにならないほどの広大な敷地を進む



車が横付けされたエントランスは
超高級ホテル…といっても実際には行った事もないんだけど、それ以上の豪奢さで



映画でも見た事が無いような、煌びやかな王宮が静かに聳え立つ



ズラッと居並ぶのは、この王宮で働いてる人達だろうか



男性女性それぞれに同じ制服に身を包み、車から降りた僕たちに一斉にお辞儀をする



その中央に立って出迎えてくれた上品な女性は
他の女性と違った制服を着ていた



〔ようこそおいでくださいました。チャンミン様、テミン様。私は大妃様にお仕えしております、ソン尚宮と申します〕



王室に勤めるということは、こんな風に優雅でなければならない、といった見本のようにきれいなお辞儀をしてくれたソン尚宮さん



ソン尚宮の左右に並び頭を下げている女性が顔を上げる



〔こちらはコ尚宮、チャンミン様の担当をさせて頂きます。そしてトン尚宮、テミン様の担当の尚宮となりますので、以後お見知り置きくださいますよう〕



紹介を受け改めて僕たちに深々とお辞儀をする尚宮さんたちにつられて、僕たちも頭を下げる



年上の人たちにこんな風に頭を下げられるというのは、あまりいい気分ではなかった
目上の者を敬う儒教の国だし、僕たちは庶民だから…



って思ってみたとて何も変わらない
とにかく今はそんなことを言ってる場合じゃないんだ



間違いだったって気付いてもらえるまでは、大人しく無難に過ごさなくちゃ



キョロキョロするテミンの手を握り、ソン尚宮さんに続いた



〔大妃様、ご到着なさいました〕



一際大きな扉の前で待たされた
大妃様…先の王様のお妃様だよな
王様でさえも敬意を表する偉い方だ



緊張する僕たちは
自然と握っていた手にお互いが力を入れていた



《おぉ…どれどれ、お入りなさい》



穏やかそうなその声だけで、ホッと肩の力が抜けていくのが分かる
声というものは、その人の性格をも表すことがあるから



《二人とも、よく来ましたね。本当に怖い思いをしたでしょう?かわいそうに…ささ、こちらに…》



部屋に入ると、そのお声通りのお人柄が表れた様な、穏やかな笑みを浮かべた大妃様がおられた



艶やかな色の韓服をお召しになり、髪はきちんと昔ながらのカチェ(人工の毛で編まれた三つ編みを頭に巻いた髪型)になさっている



「はっ、初めてお目にかかります。ぼっ、私はシム・ミンチョルの孫のチャンミンです」



頭を深々と下げながら、前に家族で見ていた時代劇のドラマの女性が、こういう時に膝を曲げていた事を思い出し同じようにやってみた



《まぁまぁ、あなたがチャンミンね?芯の強そうな…凛とした眼差しが素晴らしいわ。聡明さと利発さがあなたの目から伝わってきます》



大妃様はゆっくりと僕に近づき、そして心地よい香りがする袖で僕を包み込んだ



〈あなたのことは、これからはこの私がご両親に変わって守ります。安心して過ごすように〉



大妃様のひとつひとつの言葉が
この方の大きな愛が滲み出ている感じで
なぜか僕の目から、涙がこぼれ落ちた



緊張感が緩んだんだろう



〈…マスコミに怖い思いをさせられましたね。本当に済まない事をしました〉



大妃様はぼくの涙に気づき、胸元からきれいな刺繍が施されたハンカチを取り出して拭ってくれた



『大妃様、はじめまして!僕、じゃなかった私はテミンです。うわぁ~大妃様のお洋服、すごくいい匂いする~!』



相変わらずマイペースなテミンが空気を読まずに挨拶をして、あろう事か大妃様のお体に抱きついた



「あっ、バカテミン!大妃様に畏れ多い事を!」



慌てて引き離そうとテミンの腕を引っ張るが、大妃様はむしろ嬉しそうにテミンを抱き返した



〈まぁ、あなたがテミンね?お姉さまより随分と甘えん坊さんだこと。年若いのに、よく決意をしてここへ来てくれました。お姉さまと一緒に、これからは私とも仲良くしておくれ〉



大妃様は、両隣に僕らを座らせてお茶と菓子を運ばせた



こういう時にテミンの怖いもの知らずの性格が役に立つとは…すっかり大妃様に懐いてしまってる



大妃様も労わるように僕とテミンの手を交互にさすってくれる



〈大変な思いを二人にさせたというのに…我が孫は恥ずかしい限りです。こんな時に出かけているとは…許してくださいね?〉



「とんでもないことでございます…皇太子殿下にもご都合がおありでしょうから…」



僕は神妙に答える
僕らが来るって聞いて、逃げたのかもしれないし
彼だって普通の大学生なんだから、休みの今日は普通に出かけたりもするだろうし



〈皇太子様って~すっごくハンサムですよね!大妃様に似てるからかなぁ〉



…テミンうまいよな
小さい頃からいつだってテミンの計算しつくしたかのようなお世辞で、大抵の大人はメロメロになるんだ



それが計算されたものではなく、甘えん坊気質のテミンの地だから余計怖いんだけど



案の定大妃様も、周りを猫みたいにうろちょろするテミンをいたくお気に召したご様子で、目尻を緩ませていらっしゃる



そこにドアがノックされ『ユンホです、大妃様。勝手に出かけて申し訳ございませんでした』という、よく通る声が聞こえた



姿を現したのは
生まれる前から決められていた僕の運命の人



姿勢良く立っているその姿が、まるで一枚の肖像画のような貴さを見せている



皇太子、ユンホ殿下だった





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縁結 7
2016-06-25 Sat 18:00


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side Sim's sister?



僕が朝から浴びせられたたくさんのフラッシュは
皇太子がお妃を迎える事が決まったという情報を入手したマスコミによるものだった



相手が一般庶民の大学生ということも知られていて、僕の家に殺到していたらしい
急遽駆けつけた王室の人から、平謝りされた



実は昨日、王様や王妃様そして当の皇太子殿下も初めて知ったというのに、何処からか漏れたという由々しき事態に、王室も犯人の特定に全力を尽くしていると説明される



でもさ
もうこんな状況になっちゃったら
僕もテミンも、父さんや母さんだって今まで通りの生活なんか出来っこないよ



どうしてくれるんですか!と詰め寄りたい心境になったけれど、もはや実行する気力すらなかった



王室側は
僕とテミンに早々に王宮に入ってくれという



普通の人たちが普通に生活する空間では、警護するにも限界があると言われた



王宮に入ってしまえばセキュリティの面では万全を期す事が出来るし、ご両親にも今まで通りの生活を送っていただける筈ですと言われれば



僕は首を縦に振るしかなかった



テミンは
家が窮屈に感じる年頃っていうのもあるだろうけど、あっさりと荷造りを始める



どこか家出にでも行くような心境なんだろうか



僕も一通り必要な物だけを取り急ぎ集めて支度をしてみるも、お妃候補だというのに私服は当然男物しかないわけで、どうしたものかと途方に暮れた



兄弟…じゃなくて姉妹揃ってパンツルックが好きだと言えば、多少は誤魔化せるか



王室から来ていた人…
王様付きのパク大殿尚膳内官という、内官では一番偉い人らしいその人は、身一つで来て頂いても絶対に不自由な思いはさせませんと言った



いや…
きっと僕たちにとっては、王室での生活そのものが慣れないことばかりの筈だから



むしろ何もかもが
不自由なものになると思った



でも僕は
“お妃”という意味がよく分からずに、僕がなると言った大切な弟を守るために絶対に耐えなくちゃいけないんだ



イケメンだし
セレブな皇太子だし
テレビで見る限りでは、素敵な人だけど



もしかしたらホモでゲイで…って同じことか?
いや、ともかくそんな嗜好があっておまけに若いのが大好物!だなんて事だったら一大事だ



僕の自慢の可愛い弟なんて
モロどストライクの可能性満載だよ



僕は散髪代節約で伸びている髪を束ねてるだけだけど、テミンはおしゃれさんだからそんな髪もきれいに手入れして栗色に染めている



学校にいるヘアメイク志望の友達に染めてもらったって言ってた



将来はファンション系の道に進みたいとかで、親の反対を押し切って専門の高校に進学してるから
そんな頭でも大丈夫だったんだけど



生まれて初めて見た超高級車に乗せられる僕等
まるで借金のかたにとられ売られていくかのようなシチュエーションだというのに、さほど悲しんでいない所がうちの親らしい



まだ実感が湧かないのかもしれないけど



先王と親が交わした固い約束で、自分の子供が男なのに皇太子の花嫁候補に挙がっている現実



いや…意外に、すぐ二人揃って男だという事実がバレて家に戻されるって分かってるから、悲しんでないのかもしれないな



そうだよ…バカだな、僕も
普通に考えて、男である僕らがそのまま皇太子と結婚するわけないよな



いくらそれが先王が決めた大事な事だとはいえ、皇太子にはその血筋を後世に伝え、王室を次の時代に繋いでいく重要な役割があるんだから



きっと何かの手違いで、僕らが姉妹と勘違いされたまま、ここまで来ちゃったんだろう



それならば…これはまたとない機会だ



滅多に見られることのない王宮を見られるし
普通に生きていたら知る事もない世界を間近で体験出来るんだもん



だからテミンもあんな風にご機嫌なんだな
僕だけ一人で真に受けてたみたいで、何だか恥ずかしくなってきた



よし
大層な服は持っていないけど、せめてきちんとした身なりで向かおう



無造作に束ねていた髪をサイドからしっかり上げて結い、アイロンをきれいにかけた白いシャツに袖を通した



スカートはないから(そりゃそうだよ)
春先に買ったばかりの水色のパンツをはいた
スキニータイプだし、女性もよく着ているからまあ悪くないだろう



うん
僕でも割りかし女っぽく見えるもんだな



なんだかんだ言いながらも



それなりに女の子になろうとして努力している自分が居ることを、この時は全然気づいていなかった





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縁結 6
2016-06-24 Fri 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Prince Yunho



何だかいつもと違う様子のユナが気にはなったけど、久しぶりに馬の背に跨り駆ける事は良い気分転換になった



心地よい汗をかき、シャワーを使った後
レストランで仲間と談笑しながら食事をしていたら、王宮から迎えの車が来た



大妃様がお怒りだという



マスコミが押し寄せ、怖い思いをしたであろう未来の花嫁が、王宮に来ると分かっていて留守にするとは何事だと、大層ご立腹らしい



げんなりさせられる様な言葉を聞いて
仕方なく帰路についた



車は東宮殿に向かわず、案の定直接大殿のエントランスに横付けされる



両親はさほど怖くないけれど
俺はどうにもこうにも大妃様には滅法弱い



大妃様…俺にとってはお祖母様だけれども
小さい頃から、いわゆる飴と鞭方式で王室のしきたりを躾けられた



母が忙しかった分
俺は何か辛い事や悲しい事があるとその都度
大妃様の元に逃げ込んで泣いた



そんな過去がある分、弱味を握られた気分で
両親にはぞんざいな態度を取っても、大妃様には敬意を払って接している



大妃様付きのソン尚宮が出迎えて
俺は大妃様が暮らしている棟に連れて行かれた



大妃様の部屋の入口に立ち、中に向けて声をかける



『ユンホです、大妃様。勝手に出かけて申し訳ございませんでした』



とにかく謝る
大妃様と接する時の俺のモットーだ



《入りなさい》



大層ご立腹、と聞いていたけれど
大妃様のそのお声は穏やかな印象だった



少しホッとして、ドアを開けた



そこには嬉しそうに微笑む大妃様と
両脇に座るきれいな対の花…ではなく二人の女



片方は
淡い茶色の艶々したロングヘアの若い女
色白でぷっくりした唇が印象的だった



そして反対側に座る彼女は
俺の…あのバンビのぬいぐるみの様な大きな目で、バンビと同じ様に怒ったみたいな顔で
俺を睨みつけていた



《可愛いこの子達のおかげで、あなたへの怒りは収まりましたよ?二人に早速助けられましたね》



大妃様は、満足そうにお茶をすする



「殿下…初めまして。っあの、ぼ…私が、長な…長女のチャンミンです」



俺のバンビみたいに睨んでいた女が立ち上がり、お辞儀をする



俺と同じ位あるか?デカイ女だな



八頭身どころか、九頭身ぐらいと思われる抜群のプロポーションだ
とにかくその目が印象的で、ジッと見られた俺は思わず目を伏せてしまった



〈殿下ぁ~!超カッコいい!どぉしよぉ~!えっとね、僕!テミンです。お嫁さんになりに来ました~〉



「ちょっと、皇太子殿下の前で!!やめてよもう!僕じゃないでしょ!!申し訳ございません、おと…妹たちの高校では自分のことを“僕”と言うのが流行っているみたいで…」



あどけない、という表現がぴったりな笑顔で首をかしげる次女
慌てて間に入る姉とは好対照なイメージで、まさにギャルそのものの印象だ



“ギャル”っていう言葉自体、死語のような気もするけど…



大妃様は、この二人をすっかりお気に召したご様子で、俺は一切の叱言も食らわずに済んだ



《ご両親は、若い娘を一人で王宮にやるのは心配だったでしょう。ですからユンホや、まずは二人とそれぞれ仲良くして…


一緒に暮らすうちにいずれ、どちらかに愛おしいという感情が芽生えましょうから、その時までしばらく三人で生活してみなさい》



ふぅ…
という大きなため息が出たのは本心から
俺は、面倒な事はとにかく嫌いだから



でも、正直なところ
身近にこういう美人がいるという生活は決して嫌ではない



この二人はかなりの美人だ
大学でもそうそうお目にかかることのないレベルだろう



俺だって男だ
近くにいい女が居たら、それはそれで悪い気はしない



姉妹それぞれに対照的な魅力があるし
もしかしたら、俺の寵を争って二人があんなことやこんなことを…



・・・・・



おいっ!俺!



自分に襲いかかった悲劇をあんなに儚んでたってのに、いざ美人のお妃候補が来た途端見た目でテンション上げてるってどういうことだよっ!



長女はともかく、妹の方は高校生だぞ
一歩間違えば犯罪じゃねーか



自分の男としてのイヤラしさを感じて、ますますテンションが下がる



大妃様に解放された後
俺を先頭にして、それぞれに担当する尚宮が付けられたお妃候補達とともに、東宮殿に帰る



短時間で見違えるほど若々しい部屋にリフォームされた皇太子妃の部屋からは
二人の、特に妹のはしゃいだ声が聞こえた



『なぁ…俺のお妃候補が今日来たよ。長女がさ、なんかお前の目に似てて…俺、どうしてか目が合わせられなかったんだ』



枕元で今日も俺を睨みつけているバンビを抱き上げて、俺は独り言ちた





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縁結 5
2016-06-23 Thu 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
ご承知おきください




side Prince Yunho



いつも通りに目覚めた俺は
外から〈お目覚めになられてよろしゅうございます〉というイ内官の声がかかってから、ベッドを出る



よくわからない王室の風習
そしてそんなことも変えられない風習だ



自分の部屋に備え付いている洗面所で顔を洗い、軽装に着替えてから居間に出た



寝起きに飲む事が決まっている蓮のお茶を女官が運んできて、俺はそれを飲みながらイ内官が読み上げる一日のスケジュールを頭に入れる



でも今日は、ちょっと困った様子のイ内官がいた



『何?なんかあったの?』



俺がまだ赤ん坊だった頃から、親以上に俺のそばにいたイ内官
結婚もせず、ただひたすら俺に仕える事に自分の人生を費やしている



だから俺もむしろ親よりも親のように彼を思っているから、言い方はつっけんどんにはなるけど心配だから思わず聞いてみた



〈実は…殿下がお妃候補を王宮にお迎えあそばす旨がマスコミに漏れました。今日朝から先方の家にマスコミが殺到しており、王室の広報にも会見を開くよう要望がきました〉



『はぁ?何でまた?当の俺だって昨日初めて聞いた話だろうよ。父上だって知らなかったんだろ?』



王室内でこの話を知っている人間は極々わずかだろう。それが外に漏れたとなれば、そっちの方が重大な問題だと感じた



会ったこともない相手への労わる気持ちは、まださらさら持てなかった



〈どこから漏れたのかは目下調査中です。見つけ次第厳罰に処されることになりますが、大妃様が相手方を非常にご心配あそばしているので、今日中に王宮にお入りいただく事になりました〉



『はぁ?!顔合わせてからじゃねーのかよ』



〈ですが、先方は一般の人々が多く暮らす町中の一軒家に住んでいて、警護にも限度がございます。従って、王宮にお入りいただく方が身の安全は確実に確保できますので…〉



何だよ…もう
どうにもならない事ばかりで無気力になってる俺だって、さすがに頭の中がパニックになってくる



かといって、俺が嫌だと言ったところでこの事が取りやめになる事は絶対にないわけで



結局最後は、言い返す言葉すら出てこないで
話は終わってしまうんだ



何も言い返さなくなった俺を見て、イ内官はとにかく要件を俺に伝え自分の仕事を終えるため、たたみかけてくる



〈つきましては、先ほど先方宅にお迎えにあがったパク大殿尚膳内官から伝達がきましたのでご報告申し上げます


“ご長子をとのことですが、うちには子供が二人居るので殿下に選んで欲しい”との仰せです。ご姉妹共々、こちらに向かわれました〉



はぁぁぁ?!



一人でもあれだっていうのに、妹までくっついてくんのかよ!もう何なんだ!!



〈只今より、殿下の居室に向かい合っております妃殿下のためのお部屋に、準備の者が入りますので騒々しいかと思いますが何卒ご容赦ください〉



伝えるべき内容を言い終えたイ内官は、深々と頭を下げて下がっていった



それと入れ替えに、ホールを挟んで反対側に俺の部屋とほぼ対称に造られている“妃殿下”のための居室に、早速バタバタと人が入って行った



そこは現王妃である母上が使っていた部屋ではない



父上は、皇太子にはなっていない
なぜならば、父上の兄が皇太子だったからだ



俺にとっての叔父、先の皇太子は
当時の皇太子妃が待望の嫡子の産み月を迎えていた時に、不慮の事故で呆気なく死んでしまった



嫡子が男であれば、先の王はその後数年で譲位をする予定にしていたが、あまりの突然の悲報に力を落とし俺の父上にそのまま玉座を譲った



父は皇太子にも皇太弟にもならず、いきなり玉座に座る事になったんだ



“皇太子妃”ではなくなった直後
先の皇太子妃は皮肉にも、大君(王の嫡男の事)になるはずだった男の子を産み落とした



元々が女優という出自だったため結婚する際に猛反対されていた経緯が蘇り、王様は俺の父上に譲位した後、先の皇太子妃と産まれたばかりの皇子を王室から放り出した



海外に追いやったのは、正式に皇位継承者として手続きを踏まず王位についた父上の王座を揺るぎないものとする為だったと聞いている



そして、本来なら世子になるはずだった彼よりも2年早く生まれていた俺が世子になり、今こうして東宮殿の主になっているんだけれど…



そんな悲劇の皇太子妃がかつて住んでいた部屋に、新しい主が入ってくる…
なんとも言えない気分になった



イ内官は、そのお妃様候補御一行の件は話してたけど、今日の予定は何も言ってなかったな



大学は休みだし
気分転換に、乗馬でもしに行くか
こんな朝っぱらからクラブもやってないし



そう思って、支度を始めた



乗馬クラブでは、俺が到着した時にはすでに
声をかけたいつもの面々が揃っていてくれて
その中には、紅一点のユナも混じる



でも、ここでも俺は
イ内官の話が事実だったと思い知らされた



〈ユノ!おまえ結婚するんだってなぁ~〉
《今日のテレビは、その話で持ちきりだぜ》
〈いやぁ、驚いたよ。何でも先の王様の遺言なんだってなぁー〉



俺が何も言わなくとも、永遠に続きそうな会話
国民にまで知られたともなれば、最早逃げ道は皆無だろう



そんな会話をユナの一言が打ち切ってくれた



「よしてよ、ユノが望んでいるわけでもないんだから」



彼女の冷たい一言は仲間を黙らせるどころか
いつもの優しいユナと思えないくらい
なんとも言えない怖さを感じてしまった





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縁結 4
2016-06-22 Wed 18:00


このお話は「宮~love in palace~」のパロディです
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side Sim's family



変な夢を見てうなされていたらしい僕は
いつもより一時間以上も早く目が覚めた



隣の布団に寝ているテミンを起こさないように、そっと部屋を出た



昨日の喜劇は悪い夢と化して僕を苦しめた
あれは何かのドッキリ番組に僕たち家族が巻き込まれでもしたんだろうか?



王室ともあれば、僕たちが姉妹ではなく兄弟だって簡単に調べがつきそうなものだけど
どこでどう間違ったら僕がお妃の候補になんかなるんだよ



いくら先代の王様と僕のじいちゃんが約束してたからって…



皇太子ってことは、ゆくゆくは今の王様のあとを継ぐんだろうし…ともなればお妃は、次の世代に王室を繋ぐ世継ぎを産むのが仕事みたいなもんだろ



そんな重大な事に致命的なミスをおかしてるってどうなってんだよ



いや…待てよ
ひょっとして、あの皇太子は
…もしかしたらホモってヤツなのか?!



僕はテレビでよく見る皇太子を思い浮かべる



見るからに血筋の良さそうな面差しに
目も鼻も輪郭に合わせたシャープなバランスで
背も高く、立太子礼の時に見た礼服姿はまるで俳優のようだった



僕の通う大学にも、皇太子のファンクラブがある
テミンの通う高校にも同じようなファンクラブがあり、何でもグッズまで出ているらしい



さすがに王室だけあって、いくらそんなイケメンでも芸能人のように熱愛騒動が出るはずもなく、ホモかどうかなんかわかんないけど



もしそうだとしたら、一大事じゃないか!



お妃とは名目上で
その…なんていうか、アッチの方の慰み者にさせられたりしたら…どうすんだよ!!



僕は、女の子が好きだ!!
まだエッチの経験はないけど!!
同じゼミを受けてるヘギョみたいなおっぱいの大きい女の子がいい!!



テミンだってそのはず!
僕の弟だし!



…でも、テミンのスマホの待受画面は
バスケット部のイケメンで有名な先輩とえらく密着して撮ったセルカだった気がする…



…まさかな
うん、きっと気のせいだ



あらぬ想像が次から次へと浮かび
朝から気分がよくない



早く起きちゃったことだし、その辺を一回り走ってこようかな



僕はパジャマ代わりのTシャツの上にパーカーを着て、スニーカーを履いて玄関を出た



〈あっ!!出てきたぞ!!〉



そんな声とともにおびただしいフラッシュが一斉に僕を襲う
一瞬のことで、何が起こったかわからない僕は、その場で立ちすくんだ



すると今度は、慌てて駆けつけた背広姿の男たちに強引に玄関に押し戻された



「ちょっと!!何なんですか!」



目の前に立ちはだかる男たちに文句を言う僕
冷静になると、これって危機的状況なんじゃない?!そもそも誰だよ、この人たち!



自分ではもう一人前の大人だって思ってるけど
やっぱりまだ気持ちは子供のままみたいで、僕は両親の元に逃げようと後ずさる



〈驚かせてしまい申し訳ありません、我々は王室専属の警護の者です〉



二人のうちの片方がそう言いながら、胸ポケットから身分証を提示する



そこには確かに、王室のエンブレムと警察のマークが入ったIDカードがあり“ソウル警察王室警護班 キム ジェウン”と記されていた



〈…って、それはわかりましたけど、何でこの家に居るんですか?それに表の状況がよくわかんないんですけど、どうしてこんなことになってんです?!〉



昨日からのありえない状況は、一晩経っても変わることなく
それどころか、ますます大ごとになっている気がするんだけど



〈我々は、昨日からあなた方姉妹の警護を言いつけられているだけです。表のマスコミは我々には関係ありません〉



おい!!
どう考えても関係なくないでしょうよ!
僕んちにマスコミが居るなんて、どう考えても普通じゃないんだぞ!



《何だ今朝は騒々しいなぁ~》



こんな時に相変わらずのん気に現れる父さんに
僕は思わずやつあたりをする



「父さん!!そんなのん気なこと言ってる場合じゃないってば!表見てよ」



僕は頭をボリボリかく父さんの腕を引っ張り、玄関の方が見える窓に連れて行く



《うわっ!なんだあれは!何であんなにテレビの人がいるんだ?この辺でドラマの撮影でもあったのかな》



どうにもこうにも、こんな父親と同じ遺伝子を持っていると思いたくないような能天気な事を、平気で言う父さんが信じられない



遅れて部屋に入って来た母さんなんか
僕の前にいる警護班の人を見るなり《あらっ!何でこんなイケメンがウチにいるのかしら?!》とか全く状況を読めていない始末



ああ…僕はきっと、貰われっ子なんだ
僕みたいに真面目で几帳面で思慮深い子供がこの両親から生まれてくるはずないもん



家の中にいるイケメンを認識して、着替えと化粧を一目散にしてくる母親と



片方の裾が上がりきった状態のパジャマ姿のまま
、パソコンを開いて『ドラマ撮影 場所』と入力している父親



うん…きっと僕は貰われっ子だ



良かった
貰われっ子なら、じいちゃんが王様とした約束も
きっと関係なくなるはず



なんかもう
無理矢理でもいいから理由をつけて



自分が置かれている現状から逃げたかった





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縁結 3
2016-06-21 Tue 18:00


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side Sim's family



我が家は今日
ありえない客人を迎えていた



物が溢れかえり、リビング…とは言い難い部屋で
普段は僕たち家族が花札に興じているテーブルに向かい合っているのは



鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした両親と
うちには似つかわしくない上等な背広を着た二人の男



僕と弟のテミンは
その様子を自分たちの部屋に上がる細く狭い階段で耳をそば立てて伺っていた



その二人は、我が国の王室からやってきた使者で
なんでも先代の王様の勅命やら何やらを携えて来たとのことで



訳のわからない両親は、慌てて平伏してその勅命を賜る



〈ね、ヒョン…何て言ってるの?聞こえる?〉


「ははーって言う父さんの声しか聞こえなかったけど…やっぱり偉い人の命令を聞く時は“ははー”って言っちゃうのな…笑える」



僕たちは、自分の人生に大きく関わりのある事が伝えられてるとは露ほどにも思わず
そんな時代劇みたいな様子の父を笑っていた



《えええええ?!》



両親のありえないくらいの叫び声に、びっくりしたテミンは僕の腕にしがみつく



〈何々?何なのホントに〉



僕はテミンをなだめながら、一段ずつ階段を降りる



『先代の王様の命令と言っても過言ではありませんが。お二人は何も聞いていないですか?』


《いや、じいさんが亡くなる時に王様との約束だけは絶対に守るんだってうわ言の様に言ってたのは覚えてますけど…それが何なのかは聞いておりませんでした》


『先代の王様とお父上は戦時中からの友人で、お父上は王様のお命を救われたとの事です。崩御あそばすまで、ご親交がおありでしたがご存知なかったんですね』



そういえば…亡くなったじいちゃんは、どこかに出かけては僕らに見たことのないお菓子をたくさん持ってきてくれたっけ



いつもはボロボロの服を着ていて…年頃になり反抗期になった僕は、そんなじいちゃんに対してずいぶん酷いこと言ってたな



一張羅の韓服を着て出かけてたのが、まさか王様に会いに行ってただなんて…信じられない



階段を降りたことで、話している内容がしっかり聞こえてくる



《それで…うちには二人子供がおりますが…》


『道理で言えばご長子がふさわしいと思います。ご長子を王室にお迎えしたいと存じますので、そのつもりでお願い致します。明後日、王宮にご招待させて頂きます』



?!?!
僕が、王室に迎えられる?!
はぁ?!どういう事だよ



〈ねぇ、ヒョン。父さん達何だって?〉



いつの間にか僕の背後にぴったりとくっついていたテミンに驚いた僕は、足を滑らせてテミン諸共転がり落ちた



ドスン!



重なり合う僕たちに慌てる両親
《あんたたち!!部屋に入ってなさいって言ったでしょう!!》母さんが立ち上がる



『私たちもこれで失礼します。ご姉妹共、美人でいらっしゃいますね』



使者の言葉にシム家全員が固まったのは、言うまでもない



王室の人達は
僕たち兄弟を姉妹だって勘違いしてる!



確かに僕たちは、散髪代節約のために長髪気味だ
どちらかというとテミンは好んで伸ばしてるみたいだけど



それにテミンは色白で、確かにしょっちゅう女の子に間違われてる
僕は…最近はたまにしか間違われないぞ!



《どうしましょう、パパ》


「ちょっと母さん!どうもこうもないでしょ?!姉妹じゃないってまず言ってよ、ちゃんと。そもそも何で僕は王室にお迎えされるのさ?」


《チャンミン…おまえを皇太子殿下の妃に迎えるそうだ》



ありえないことを真顔で言う父さんの顔が
ありえないくらい面白くて
僕もテミンも、内容云々ではない方で笑い転げる



《いや…ここはひとつ、あちらの勘違いをそのまま通そう》


《パパ?!何言ってんのよ!どうかしちゃったの?全く…慣れない言葉遣いさせられて、頭がおかしくなったんだわ》



そんな人を相手にしてられないという感じで、母さんは使者の人たちに出していたお茶を片付ける



《シム家は…父さんの力不足で廃れてしまったが、本来ならば王宮に仕えていてもおかしくない家柄なんだぞ…シム家を再興させるチャンスだ!》



父さんが一人で盛り上がる
さっきは時代劇だったけど、今度は安っぽい喜劇を家で見させられた気分だった



母さんに飲み物でももらって部屋で勉強しようと台所に行こうとした時、テミンが口を開いた



〈ねぇ、僕じゃだめなの?僕がお妃様になる!〉


「はぁ?!何言ってんだよテミナ。おまえは男だろ?お妃になんかなれないってば」


〈僕!お姫さまみたいな格好出来るならいいな~!ほら、ドラマで見た事あるよ?きれいな色の韓服を着て、頭にきれいな飾りを付けて〉



いや…どうなってんだ、この状況
テミンは色白だし、ピンクのシャツなんか着てると丸っ切り女の子だけども、そういう問題じゃないよ!!



《テミナ…パパの夢を叶えてくれるのか?おまえは優しい子だ…オォイ!母さん、長子じゃなくてもいいのかな?》



どうしよう…
僕の家族って…



こんなバカだったの?!



ありえないんだってば!!
向こうが間違ってるっていったって、あっという間にバレんだろうが!!



お妃になるってことは、嫁になるって事だ
お世継ぎを産めなくちゃだめなんだよ



「テミナ…ちょっと落ち着こうか。お妃様はさ、皇太子殿下のお子を産まなくちゃならないんだ。テミナは産めないだろう?」


〈産めなかったら、その時きっと周りの人が考えるよ~!僕、皇太子殿下カッコいいから好き~〉



ダメだ…
うちのテミンは天然炸裂スイッチが入るともう抑えが効かないんだった



「テミナ…ダメだ。僕の大事な弟を一人でなんかやれない。僕が一緒に行く」



……うわーーー僕!何言っちゃってんの?!
ありえない事だって言ってるのに、この二人に流されてるよ!!



何かもう
これはきっと夢なんだ
うん、きっとそう



明日朝起きたら
いつものシム家に戻ってる



そう思うしか
僕にはこの状況を説明出来なかったんだ





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