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耽溺 第2章 ~密事 あとがき~
2016-05-18 Wed 18:30




親愛なる皆様


この度、無事「密事」の最終回を迎えさせていただきました


最後までおつきあい下さり、本当にありがとうございます


皆様から頂く拍手やランキングへの応援、そしてコメントにたくさん励まして頂きました


感謝してもし尽くせないほど、お話を書くことを支えて頂いたと思います


合わせまして
皆様から頂戴した拍手の累計が、5万回を突破している事に先だってようやく気付き…御礼が大変遅くなりましたことを深くお詫び申し上げます


昨年9月に始めて以来、こんなにも多くの方に拍手を頂いたんだと自分では信じられない気持ちです


至らない私がここまで続けて来られたのも、多くの方に支えて頂いているからだという感謝でいっぱいでございます


励ましてくださる師匠をはじめ、多くの読者様に今一度深く御礼を申し上げます


-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


この様に東方神起の二人をモチーフとしたお話を書かせて頂くようになってから、初めて一つのお話の続編という形で「密事」を書くことになり、正直申し上げて不安ばかりでした


「耽溺」終了時に皆様から頂戴したご意見を私なりに反映させる事を最大の目標としました


また「耽溺」は多くの方々に愛して頂いた作品なので、それを守りつつMAXとユノさんのその後をどれだけ描く事が出来るかすごく不安で…


ご期待に添えなかった部分も多いと思いますが、とにかくやり遂げられた事にまずはホッとしております


思いが通じあって始まった恋が、愛に深まっていく過程で相手を思うが故に些細な誤解でも嫉妬に変わる事も多いと私は思っています


好きになれば好きになる程、相手を縛りたくなり、激しい妬心も心に浮かぶようになるのではないでしょうか


そんな思いを「密事」では多く描きました




私は2008年にファンになって以来、誰かと東方神起のファンだという話になる度その相手に問われるとユノが好きだと答えています


そのくせ昨年9月からこの様なお話を書かせて頂くようになって以来、いくつかのお話を書いたものの「かっこいいユノ」が書けていない気がして…実はずっと悩んでいます


自分の書く話に自信が持てず、ユノの描写以外でも悩むことも多くて落ち込む事が増えた頃でしょうか


「密事」を書き始める前に、私を支えて頂いております「with love…TVXQ」のブロガーあゆ様にお話する事がありまして…


あゆさんとは先だっても記事にいたしました通り、新潟でのSHINeeライブの折にお会いする予定でおりました


私がこの様なお話を書かせて頂くようになった原点であるあゆさんとお会いする時まで、このブログを続ける事が目標ですという内容の事をあゆさんに伝えていたのですが…


師匠であるあゆさんに伝えたその目標も遂げた事で、この「密事」を終えた時お話を書く事をやめようと思っていました


かっこいいユノを書けない
自分の書く話に自信が持てない
そんな感じでMAX並みにグルグルしてしまい…


それならば、この「密事」をとにかく最後まで頑張って書こうと最後の方は二人に自分を重ねるように書きました


そして今までで一番、私の中のユノを強く意識し密事のユノに重ねてみたんです


かっこいいのかどうかはそれぞれの受け取り方だと思うのですが、自分では私が思う彼を書けたかな…と感じています


迷い続ける自分自身との葛藤という状況で書いたお話を、最後までずっとお付き合い下さり読んで下さっていた読者様がこんなに居てくださったと思うと胸が熱くなります


半年以上続けても相変わらず進化を遂げられない私でございますが、もう少し頑張っていけるかなと前向きになれました


耽溺~密事と皆様からとても愛して頂いている二人ですのでいつかまた、続きを書けたらいいなと思っております





〈今後につきまして〉


しばらくは、読者様に頂戴したリクエストのお話を書かせて頂く予定でおります


一つは「華筏」
もう一つは「情火」の予定です


その後は新しいお話を考えておりますが、まだ頭の中から出ていません……(TT)


更新の詳細はまとまり次第、追ってご報告させて頂きます


なお、明日より二日間「密事」のおまけ的なお話を掲載させていただきます


エンディングはどうしてもあの様な形で終わらせたかったので、書ききれなかったMAXサイドを追加させていただいた次第です


もしよろしければ、お付き合いください


最後になりますが
耽溺~密事では初めてのコメント、という形でお言葉を頂戴することがたくさんありまして…


多忙から体調を崩した時も、本当に多くの読者様から温かいお見舞いのお言葉を頂いて、年とともに涙腺が緩む一方の私は涙ぐむ事もしばしばでございました


私もかつて師匠のもとで初めてコメントを書くようになって、それ以来長いお付き合いをさせて頂いております


コメントを書いてくださった皆様と、これからも長くお付き合いできたらいいなと思っております




皆様におかれましては、どうぞお身体をご自愛くださいますように


最後までお付き合い頂き、ありがとうございました




ゆんちゃすみ




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耽溺 第2章 ~密事 44 最終話~
2016-05-18 Wed 18:00


このお話はフィクションです






服を着たまま、海水をひたすら走る



サマーツイードのパンツが海水を含んで足にまとわりつくが、俺は必死でMAXの元に進んだ



沈みかけるMAXに慌てて手を伸ばし、抱え上げる



「ユノ……」



俺に抱きかかえられたMAXが目を開ける



『大丈夫か!?足攣った?それともどっか苦しいのか?』



溺れてしまうかと思い気が気じゃなかった
人目があるにも関わらず、抱え上げたMAXに思わず頬を寄せて抱きしめた



びしょ濡れになった俺のシャツの胸元に顔を埋めたMAXは、ふぅーっと大きな息をはいてからニッコリ微笑んだ



「大丈夫だよ…あまりに気分が良くて海に浮きたくなっただけだから」



っ……このヤロウ!!!



心臓が止まるかと思うくらい驚いて全力で海の中を走ったっていうのに



出会ったあの晩からずっと
俺を散々振り回し、翻弄して来たMAX
……ホントに相変わらずだ



可愛い小悪魔のような俺の恋人は、俺の心配をよそにのんきにそんなことを言ったんだ



撮影をしているということも忘れて
俺は抱えていたMAXを海に放り投げてやった



「ひどぉい!!ユノのバカ!!」



MAXがずぶ濡れになった顔を手で拭った後、俺に猛烈な勢いで水を掛けてくる



だから俺もテコンドーで鍛えた足で水を蹴り上げ、掛け返してやった



満足がいくショットを撮り終えたらしいダニエルさんの終了の掛け声が遠くから聞こえてくる



海にいる俺たちは放っておかれて、ぞろぞろとスタッフが引き上げ始める中



〈何あのバカップル…仲直りしたんだ。ほんとにしょうがないなぁ……〉



そんなことを言いながらキュヒョンが微笑んで俺たちを見ていた…



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



撮影隊が泊まり込んでいたホテルのレストランを借り切ってその晩、打ち上げパーティーが開催された



MAXは
俺の選んだ“jil-ju”最新作のスーツを着て、関係者と挨拶を交わす



一見シンプルなスーツだけれど、襟元はファーをあしらっていてゴージャスな雰囲気になっている
主役に相応しい華やかさだ



もう一人の影の主役ACEには、秋冬コレクションで使用する予定の赤いスーツを着せる
黒いサテンのシャツに赤のジャケットが目にも鮮やかで、色白の彼によく似合っていた



俺は影の主役もMAXと違う雰囲気で
最後は華やかに飾りたかったんだ



俺が血が滲むくらい唇を噛みしめ嫉妬に苦しんだ、そんなタイトル通りの情景をMAXに見事演じさせたのは影の存在になりきったACEの存在があったからだと思うから…



俺は二人にその衣装を着せる最後の仕事を終え
面倒くさい挨拶はイム本部長に任せて、レストランに作られた即席のバーでカクテルを作ってもらい飲んでいた



上質なカクテルみたいな甘めの香りと共に
鮮やかな赤に似合うよう髪をセットしたACEが隣に腰掛ける



可愛いキャラクターのボールペンを持つような男と同一人物に思えないくらいに、うちのコレクションのスーツを見事に着こなす彼



〈ユノヒョン!僕、こういうテイストが着こなせるんだって自信がつきましたおかげで。ありがとうございます〉



ちょっと文法が微妙だけど、そう感謝されると素直に嬉しい



お疲れ様、とACEの持つワイングラスを鳴らした



『ACEはさ…MAXみたいに俳優目指すの?』


〈僕にはまだまだ、チャンミン先輩は遠いから…頑張るのはモデルの仕事です〉



自分自身にそう言い聞かすように言ってコクコク頷く
いかにMAXがすごかったか、目の前でそれを見られた事への興奮を身振り手振りで俺に話すACE



そんなACEの後ろにいつの間にかMAXが立っていて
ジッと俺を見つめていた



……そっか……俺も鈍いな
俺がMAXといるACEに妬いてたみたいに
こいつも俺がACEと一緒にいるのは嫌だってことだな?



わかってるよ、チャンミン
俺はおまえのものだろう?
そう言ってたじゃないか、自分でさ



〈ユノヒョン!!僕もっとユノヒョン着させて貰いたいな~服を!もっと僕に合う服を見つけて欲しいです〉



酒が入っててもいなくてもテンション高いなぁ…
俺の手を握りぶんぶん振り回しながらニコニコ笑うACEを見て苦笑する



俺は空いているもう片方の腕で彼の後ろで俺を睨んでいたMAXを引き寄せ、腰をしっかり抱いてからACEにウインクを送った



『ごめんな、ACE。俺は…こいつのものだから』



ACEは蒼い目をクルクルとさせたのち、意を得たようににっこり笑う
MAXはびっくりして、鳶色の目を同じようにクルクルさせる



〈チャンミン先輩!僕まだまだあなたの背中は遠くて、でももっとモデル頑張って背中が見えたらもう一度ユノヒョンにチャレンジ!〉



そう言って両手でファイティンポーズを取り、俺たちにぺこりとお辞儀をして立ち去っていった



「ちょっと、ユノ…!」


『何?』


「ACE、僕たちの事を気付いたんじゃない?」


『かもな』


「かもな、じゃないでしょう!僕たちの事は秘密だっていってるのに」



そう
スーパースターであるおまえとの恋は密事…



でもさ
コソコソするのはダメだと思うんだ
おれはおまえとの愛を誇りに思ってるから



『なぁ、MAX…俺は自然体で行きたい。これからもずっとおまえのそばにいるんだから。だからさ…おまえも、もう無理はすんじゃねーぞ』



俺としては自分のありのままの気持ちを伝えただけで、かっこつけようとかそういうつもりはなかったんだけど



「……ユノはかっこよくてさぁ~ズルいんだよね。ホントにもぅ…」



MAXは俯いて顔を真っ赤にしながら
カウンターチェアーに座る俺の首に手を回し、身体を摺り寄せた



出会ったばかりの頃のように
その長い手足で、俺を絡め取った…






ソウルに戻ってから一週間後



久しぶりの休みで、溜まった洗濯物と格闘している時に宅配便が届いた



バカでかい平らな荷物の差出人は、カメラマンのダニエルさんだった



《ユンホ~またおまえを勝手に使ったぞ~!勝手に使ったからモデル料を送る!受け取れ!》



そんな手紙を共に入っていたのは、きれいな額縁に入った大きく引き伸ばされた一枚の写真



そこには



美しい夕焼けの海でMAXを抱きかかえる
俺の後ろ姿が写っていた



《MAXの次の写真集、この写真を表紙にして…タイトルはそうだな、「密事」でいこう!その時まで、あいつのことをちゃんと守ってやれよ!!》



ダニエルさん……ありがとう



秘密を守るというのではなく、愛しい人を守ろうと思います
俺は俺の出来ること全てでチャンミンを守っていきます



彼との愛を
ずっと守ろうと思います



ソファーの正面の壁に贈られた写真を飾りながら
誰にでもなく、自分自身にそう誓った





耽溺 第2章 ~密事~ 完




MAXとユノさんを最後まで愛して下さり
本当にありがとうございました

あとがきを後ほど更新させて頂きます
よろしければお付き合いください


ゆんちゃすみ




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耽溺 第2章 ~密事 43~
2016-05-17 Tue 18:00


このお話はフィクションです





MAX…
重ねたお前の唇から色々な想いが伝わってくる



後頭部に回していた手をMAXの頬に添え唇を離す
でも離れたくない…その気持ちは唇から額に移した



キスを終えても目を瞑ったままの恋人
お前のきれいな瞳を見せてくれ…俺は親指で彼の瞼を撫ぜる



『ごめん、MAX…俺、みっともないくらいお前が好きなんだ。だから全てに対してヤキモチ妬いてた…ほんとカッコ悪いよな』



一番伝えたかった事を正直に言う
MAXは、ゆっくりと瞼を開いた



「違うよユノ…ユノがカッコ良すぎるのが悪いんだ」



MAXはそう言って、端正な顔をくしゃくしゃにしながら俺に抱きついてきた



「ユノ…僕も、本当にごめん。一人勝手に頭の中で思い込んで、僕も何もかも全部に嫉妬してたんだ…みっともないくらい好きなのは僕の方だよ」



俺の身体に回されたMAXの腕に
痛いくらいのチカラがこもる



その痛みはMAXがこの長い手足を器用に絡ませて、俺を拘束していた事を思い出させた



「ユノ、ユノ…あなたは僕のものなんだ!」



まるで駄々っ子のように、何度も言うMAX
そうだよ…おまえはそうやって俺に言いたいことを好きなだけ言ってる方が合ってる



おまえが全力で仕事へ取り組む、その強い気持ちは見習いたいくらいかっこいい



俺を大切に思ってくれているからこそ、前に宣言したように社長であるイトゥクに認めさせようと必死だったんだよな



不安な気持ちも嫉妬の感情もあえて見せずに
一人で頑張ってたんだな



めちゃめちゃ嬉しいよ



でも、もうそんなに頑張らなくてもいい
俺には強がったおまえは見せなくていいんだ



かっこいいMAXも好きだけど
俺はシム・チャンミンっていう男を好きになったんだから



俺に対しては、おまえらしいワガママを言ってるくらいが丁度いいんだ



MAXは俺の背中にぎゅっと回していた手を俺の胸に移動させ拳でどんどん叩いてくる



ユノのバカ…そう言いながら



『そうだよな、俺はバカだ。おまえが苦しんでるのをちっともわかってやれなかったんだから』



MAXの背中をゆっくりさする
メイクしていたのに…これじゃグミさんに怒られちゃうな



『MAX…この間の香水の時は、俺の身体がおまえの記念の仕事に残ったけど…この写真集は、俺の名前がおまえの名前に並んで残るんだ


俺、一生の記念にするよ。この写真集は俺の愛をおまえに全力で捧げたという記念だ』



アパレルに入って以来俺は数え切れないくらい数のお客さんのために、服を選んで合わせてきた



でも俺は今、おまえのためだけに働いてる
その事が俺の全てを捧げてるって自分で勝手に思ってるんだよ



うまく自分の想いを伝えられたかわかんないけど…
MAXはグミさんにますます怒られてしまうくらい、メイクをボロボロにして泣いた



ダメだダメだ
お互い誤解したまま最後のカットに向かうのもだめだけど、こんなぐしゃぐしゃなMAXを外に出したらキュヒョンにも叱られる!!



俺はもう一度MAXにキスをしてから
急いでヘアメイクのグミさんを呼びに行った



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



この日の撮影を待っていたかのような美しい夕陽が、砂浜をオレンジ色に染める



全ての愛をInvidia…嫉妬の海に捨てにゆく光景か



それとも



全ての嫉妬をamor…愛の海に捨てにゆく光景か



そんな雰囲気を演じながら
MAXが夕焼けの中、素足で海に歩いていく



綺麗だった
純白のスーツがオレンジ色を反射して
MAXの整った顔をさらに引き立てていた



あまりに見事な光景に
多くのスタッフも声すら出ないようで静かに見惚れ



ダニエルさんすらシャッターを切るという本来の仕事を忘れてしまうくらいだった



俺の足元に座って見ていたACEも
〈僕チャンミン先輩をこれからも追いかけます。最高の目標だから〉と彼もまた透き通るような白い肌をきれいにオレンジ色に染めて微笑む



俺が選んだ服が
彼をこんなにも美しく出来たなんて…最高の気分だ



そしてこの美しい人は、俺の恋人だという事実



嫉妬で一人怒り狂っていたのが嘘みたいに
海を進む愛しい男を誇らしく感じていた



ダニエルさんが、夢中になってシャッターを切り始めた時



腰まで海に浸かっていたMAXが、ゆっくりと海に倒れこんだ



!!!
足が攣ったのか?!



俺はキュヒョンの制止を振り切って
MAXの元に向かって無我夢中で走った






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耽溺 第2章 ~密事 42~
2016-05-16 Mon 18:00


このお話はフィクションです

二人の間に第三者が絡みます
ご注意ください





久しぶりの済州島
大学の時に友達と来て以来だ



人間が誰しも海を見るだけで心が和むというのは
母親の胎内で水に浮かんでるからって何かで見た



今は俺とあいつの間に立つ波は、この海よりだいぶ荒れたものかも知れないけれど
俺はここで、もう一度MAXへ思いを伝えようと思ってる



自分の中で荒れ狂う嫉妬の炎はそう簡単には消せないかも知れない
互いに同じようにすれ違い生じさせた溝も簡単には埋められないかも知れないけれど



ひどく辛い思いをさせたであろうあいつに、俺の本心を伝えたいんだ



撮影隊が泊まるホテルで、MAXとキュヒョンにすれ違う事もしばしばだけれど



キュヒョンが軽く会釈してくれるだけで、そんな時もあいつは俺を見なかった



チャンミナ…
俺がお前のそばに居られることが、お前の支えになるって思い上がってたよ



支えになるどころか、苦しませてたんだな



俺も同じように勝手にヤキモチを焼いて一人で苦しんでたんだけれど
いつものお前らしさを抑えていた分、きっとお前の方が辛かっただろう



ごめんな、MAX…



平凡な一般人である俺には大した力はないけれど
俺にできることは何だってやる、そう誓ったのに…



出来もしないのにお前を守るだなんて、そんな偉そうな事を言ってた自分が情けないよ



でもチャンミナ
守りたいというその気持ちは一切変わってない
お前のために出来ることなら今だって俺は何でもやる



そして
お前を愛してる想いには一点の曇りもないよ



お前がヤキモチを妬く暇がないくらいに
俺の気持ちでお前の心の中をもっともっと埋め尽くしてやる



その前にまずは
自分に課せられたこの仕事に全力で向かおう



俺は自分に用意されたホテルの一室で済州島での撮影に選んだ衣装を整理する



昨夜のプールサイドでの撮影は、本当に綺麗だった



ライトアップされたプールサイド
片手に持ったグラスに満つるワインと同じ色をしたビロード仕立てのスーツを着て佇むACE



そしてワイン色と対照的な濃紺のスーツを着たMAXがプールの水面に浮かぶ



ライトの白が、二人のスーツの色をより映えさせてダニエルさんの撮ったサンプル映像を見てあまりの美しさに息をのんだ



自分が選んだ衣装で創られた美の光景…



ソウルのホテルでは、嫉妬の対象だったことが
不思議とここでは自分の仕事への満足感に結びつく



《ユンホが選ぶ色が衝撃的でゾクゾクさせられたよ》



ダニエルさんが興奮して英語交じりに俺を褒めてくれたことも、余計に嬉しかったし
俺の仕事が確実な結果を残せたっていうことが何とも言えない自信につながった



〈僕“jil-ju”スーツの細身がすごく着やすくて、ユノヒョンが選んだから余計!!〉



ちょっと文法が怪しいけど
着せられたスーツの襟に手を添えてACEが嬉しそうな顔で俺に見せてくる、そんな姿も心にグッときた



MAXが強引に懐いてきたのとはちょっと違う感じで、ACEもまた俺をいつの間にか〈ユノヒョン〉と呼んでいて



衣装の細かい着方を積極的に聞いてきたり、差し入れられたドリンクを俺にも持ってきてくれたりとすっかり懐かれてしまった



MAXが俺にロックオンして、家に押しかけてきたり職場に乗り込んできたり…あれは偶然だったけど
とにかく一生懸命になってくれてた事を思い出す



今のあいつは…
俺とのことをイトゥク社長に認めてもらうんだという信念で自分を突き動かしているようで
MAXらしさを見る事が出来なくてちょっと寂しい



そんな寂しさが、ACEの爛漫な明るさに癒されることもしばしばだったりする



ACEは俺にだけ、という訳ではなく
MAXにもまた、自分がモデルをしている雑誌の大先輩という敬意を払っているみたいだった



撮影の合間に、しきりにMAXへ質問をしてポージングを教わっている様子をよく見かけた



先輩後輩の二人だとわかっていながらも、ACEの白い手が俺の恋人に触れる度に歯軋りをしてしまう俺は…相変わらず余裕がないなと思ったりして



そうこうするうちに、撮影は最後のカットを残すのみとなった



会議の時は、観光地である済州島に“jil-ju”の雰囲気は合わないと思っていた



ACEが俺にくれた〈“jil-ju”の服を着て海に飛び込みたい〉という無邪気なメッセージが、愛しい人の最後のカットに着せるイメージを作り上げた



これぞ“jil-ju”というウエストを絞った細身のジャケットは、襟がサテン仕立てになっていて当初は黒の生地を手配していた



でも俺は…



あの日公園で、オレンジ色の夕陽に染まりながら俺の後ろを歩いていたMAXの美しさが忘れられず…夕陽に映えさせるために白に変更してもらった



香水の時も白いスーツを着せたけれど、今回の白は純白そのものの白を選んだ



まるで花嫁が纏う純白のドレスのようなシルクのスーツ…着こなせるのは俺の美しい恋人であるシム・チャンミンだけだろうと思ったから



海辺に用意された控え室用のトレーラーハウスで最後の準備をする



そこにMAXが入ってきた



久しぶりの二人きりの空間に胸が疼く
あの朝、俺がMAXの前から逃げてから数日しか経っていないけれど、もっと長い時を苦しんだかのようにMAXの顔には憂いの表情が浮かんでいた



互いにひたすら黙ったまま
俺は衣装を彼に着せて、彼は俺に合わせて腕を動かしたりする



布の擦れる音と
二人の呼吸の音だけの
静謐が訪れて



その静謐が俺の心までも整えさせてくれた



最後のカットだ
この済州島で…俺の心を全てお前に捧げよう



手本どおりに着せたスーツのボタンを外し
ネクタイを強引に引っ張った



愛し合う二人が、互いを性急に求め合う時のような乱暴さでスーツを着崩す



そしてネクタイを掴んだまま、彼の丸い後頭部を引き寄せた



チャンミン
愛している



俺の想いの全てを受け取れ…



MAXは俺に身を任せて
強引なキスを静かに受け入れたんだ






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耽溺 第2章 ~密事 41~
2016-05-15 Sun 18:00


このお話はフィクションです





〈恋のいざこざに俺を巻き込むなよな~〉



朝っぱらから俺に叩き起こされただけでなく
ベッドから追い出されたドンへが恨めしそうに言う



そのくせ根が優しいから
そんな俺のために生クリームたっぷりのコーヒーを持ってきてくれる



MAXのことは、もちろん言っていないけれど
仕事中にMAXを思い出し鼻の下を伸ばしながらぼんやりしているところを、店長に散々怒鳴られていたから



俺に恋人が出来たことには気づいているらしい



『ごめんな、ドンへ…俺ん家で揉めたもんだから行くところ無くて』



それ以上何も聞かない彼の優しさに心から詫びてコーヒーをありがたく頂いた



生クリームの甘さが、昨日からの浮き沈みが激しい現状についていけなくなっていた俺の脳に染み渡る



今日も午後から撮影だったな…
スマホを取り出して、スケジュールを確認する



〈ユノ、今日も写真集の仕事か?もうずっと店に入ってないよなぁ〉



早番のシフトが入っているらしいドンへはそう言いながらスーツに着替え始める



『そうだな…ここんところ販売促進部と縫製室と行ったり来たりで。衣装が出来上がるとそれを持って撮影現場に行ってるよ』



ベッドから出て、飲み終わったコーヒーカップをキッチンに下げる



『明後日には、済州島なんだ』



〈おー!いいなぁ。仕事とはいえあの海を見られるんだから…まだ海水は冷たいだろうけど海に入って頭を冷やしたらいいと思うぜ〉



軽口を叩くドンへを軽く睨みながらも
確かに彼の言うとおり、俺は少し頭を冷やした方がいいと思った



「ユノ…ごめんなさい。僕、ユノの言葉を自分勝手に解釈して聞いてたんだ」

「僕は…全部あなたに抱かれている事を思い浮かべて撮影に臨んだんだよ」

「ユノだけじゃない。僕もあなたの傍にいるのに触れられないという拷問を味わってる」

「ユノ……愛してる、あなたは僕だけのもの」



俺からの返信がなかったMAXとのトーク画面は
そのメッセージが最後になっていた



MAX…俺の方こそ謝らなくちゃいけないな



俺に抱かれている事を思い浮かべて演じてくれていたというのに…恋人の演技をきちんと見てなかったって事だよな



自分勝手にお前と女優どころかACEにまで嫉妬していたっていう事は、さ



お前の言うとおり「仕事だから」っていうことも十分わかっている筈なのにな



俺だってお前やACEの衣装を合わせる事でその仕事に参加しているっていうのに…ほんと情けない



お前がプロとして創り上げたあまりにも美しい光景に嫉妬したんだ



俺の愛しい恋人の横に立つACEにもさ…



出勤時間になったドンへと一緒に彼の家を出る
別れた後少しだけ本屋で時間を潰した



手に取ったのは恋人の写真集…
2、3年前に撮ったってMAXが言ってたっけ



彼が出演したウェブドラマで新たにファンになった若い子が買っているらしく、前に出たものなのに未だに書店のメインの場所に置かれていた



今撮っている写真集もこうやって…
いや、きっとこれどころではなく、もっと大々的に飾られるだろうな



そろそろキュヒョンが俺の部屋にMAXを迎えに行っただろう



写真集の支払いを済ませてから
その頃合いを見計らって自分の部屋に戻った



あいつが付けてくれた紫水晶のストラップがついた鍵でドアを開ける
テレビの前に置かれていた元々のキーケースは無くなっていた。あいつが持って行ったんだろう



部屋に入ると情欲のままに夜通し身体を繋げた事で、めちゃめちゃになっていたはずのベッドがきれいに直されていて



そういうところまで律儀なあいつに胸が締め付けられた



俺からの返信がないことできっと沈んでるだろう
でも…このままでいい



しばらく俺も頭を冷やす
撮影が終わるまでの短期間では、やっぱりどんな場面を見ても嫉妬してしまうと思うけれど



お前がくれたメッセージ
「ユノは僕だけのもの」
その言葉をそっくりお前に返す



チャンミン
お前は俺だけのものだ…



その言葉を自分の心に刻み込んで済州島に向かおうと思う



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



ホテルでの撮影は、滞り無く終了した



MAXは…さすがにプロだと実感する
俺との間に微妙な隙間が生じているというのに、一切そんな気配すら見せなかった



ただ、キュヒョンだけはあいつからも俺からも発せられる変化に気づいていたようだ
俺が彼を見やると、任せて下さいと言うように黙って頷いてくれる



キュヒョンが居てくれれば、あいつはとにかく大丈夫だ



だから俺も、シム・チャンミン本人やACE同様この写真集に名前が刻まれる者として全力で頑張る



あいつやACEと同じ様にとことんプロになってやる



そしてプロとしてこの仕事を成し遂げる、その時
俺はようやく同じ立場になってMAXの気持ちを分かってやれると思うんだ



全ては、済州島で



チャンミン…
もう一度俺はお前に全てを捧げよう







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耽溺 第2章 ~密事 40~
2016-05-14 Sat 18:00


このお話はフィクションです

二人の間に第三者が絡みます
ご注意ください




side MAX



ユノの行為にも僕の行為にも
お互いの感情がそのままぶつけられたようで



今までで一番欲に忠実になり
互いの身体を求め合い貪り合った



いつの間にか意識を飛ばしていた僕は
顔を撫でてくれる指の感触と耳元で囁かれる愛しい人の声で、夢の中から現に戻り始める



過密スケジュールの疲労と、ユノの怒りにも似た激しい劣情をぶつけられて僕の身体のあちこちがギシギシいっていた



『あの新人の女優、いい身体してたからおまえも抱きたくなったんじゃないの?』



僕が起きていると気づかず話を続けるユノ
昨日の撮影で下着姿になっていた女優の事だろう



女を抱ける?……もう無理だよ
僕はあなたに愛される事を知っちゃったんだから
でもそんな、ユノのヤキモチが単純に嬉しい



思わず口元が緩んだけれど、次にユノから放たれた言葉には僕の中で何かがキレた



『ACEだってあれだけの妖艶さだったら、おまえ抱けるだろ?』



ユノの気持ちなんじゃないの?それは…
ACEを妖艶だ、抱けるって感じたんじゃないの?
きっとそうなんだ!!!



いつもの僕だったら
「ユノぉ!ヤキモチばっかり!!」っていう風に
嫌がられても蹴飛ばされてもユノに飛びかかってたと思う



疲れているから?それともユノとACEの事を一人勝手に疑ってる自分自身への怒り?



僕から出たセリフは、ユノを突き放すような冷たい言葉だった



「仕事でしょ、ただそれだけ」



そんなことは、ユノだって分かってるだろ
僕は…その言葉を何より自分に言い聞かせたいだけなんじゃないか?



ユノは今まで見た事がないくらいに顔を引きつらせていた



『俺だけかよ!!俺だけが、こんな拷問みたいな思いを味あわされてんのか?!』



「違うよ!違うんだってユノ!!」



我に返って必死で弁明するも
ユノは大きな音を立ててドアを閉め、出て行ってしまった



「拷問なのは僕だって同じだよ…」
ユノの匂いがするベッドの上で、自分の情けなさに頭を抱えながら呟いた



息のかかるような至近距離に居るのにあなたに触れられない…そんな拷問を嫌っていうくらい味あわわされてる



ACEがユノを見つめる純粋な視線にも、優しい笑みで返すあなたにも猛烈に嫉妬してるんだ



でもそれを分かって貰おうったって無理な話だ
僕だってユノが拷問だと思うほどの嫉妬の炎を燃やしてた事に気付いてあげられなかった



ましてや僕があなたに抱かれていることを想像しながら撮影に臨んでいたって事だって、言わなければ分からないだろうし…



仕事場で頻繁に顔を合わせた方が
こうやって互いの気持ちにズレを生じさせるだなんて皮肉だな



仲直りをしたい
せめて僕がユノと同じように猛烈に嫉妬していた事だけでも伝えたいと思っても、メッセージは全て無視された



痛む身体に鞭を打って無理やり起き上がる
下着を手繰り寄せ履こうとした時に、太ももの付け根に押されたユノの証に気づいた



写真集の撮影があるから…
きっとユノは、自分だけが触れることの出来るこの場所に残したんだ



『大スターシム・チャンミンは俺のモノっていう証ね』



彼と初めて結ばれた夜
ユノがそう言って艶美な笑みを浮かべながら、僕の内腿に残した刻印と同じ所に…



ユノ……ごめん



彼の残した紅い印は鈍い痛みを伴っていて
まるでそれは彼の心の痛みのように思えた



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



数日が過ぎ
写真集の撮影はいよいよ佳境に入った



僕とユノの間に生じたズレを修復する間もなく
スケジュールは日々淡々とこなされていて



済州島に入った後もユノに触れる事が出来たのは
僕に衣装を着せてくれる時に自然と身体に触れる、あの綺麗な指だけだった



僕たちの様子がおかしいという事は、キュヒョンもすぐに気付いたようだったけれど



撮影が重大な局面に差し掛かっていた事と、僕もユノも仕事には一切の影響を出さなかったから
キュヒョンもあえて何も言わない事にしたらしい



撮影隊が泊まるホテルでユノ達衣装班とすれ違っても、キュヒョンは会釈だけ交わしていた



済州にくるのは久しぶりだ
ホテルのレストランから見える穏やかな海を眺める



撮影で済州島に行くと分かって、たとえ仕事でもユノとこの海を一緒に眺める事が出来るんだ…って思った



その時は二人の間に、この済州の海よりも荒い波風が立ってしまうなんて思っていなかったけれど



そう思いながら、キュヒョンと朝食を済ませた



済州島入った後
撮影の度に僕はACEの質問攻めにあった



〈こういう時の足の向きはどうすればいいですか?〉


〈チャンミン先輩みたいにうまく表情が作れないんですけれど…〉



僕のルーツだったモデルの仕事に関して、こんな風に現役の彼と話し合うのはすごく新鮮で良い刺激をもらった



ACEの若さにそぐわない色っぽい目線の流し方は、むしろ僕がいい勉強になった
役作りに生かそうと思いながら、ポージングする彼を見つめる



それと同時にそんなACEとユノに対して
僕はまた懲りもせず勝手に嫉妬した



ACEは天然の懐っこさでユノともあっという間に親しくなっていたようで
衣装を見ながら楽しそうに会話をしている場面に嫌というくらい遭遇した



ユノに対して満面の笑みを向けるACE
そしてそのACEの頭を撫でるユノを見た時は気が狂いそうになったけれど



今日ようやくこの後
夕暮れ時の砂浜で僕はこの写真集の最後の撮影に臨む



【Invidia】~嫉妬~
この写真集の顔となる表紙の撮影だ



男と女、そして男と男の複雑な嫉妬の渦に飲み込まれてゆっくりと海に入っていくというシーン



浜辺に用意されたトレーラーで衣装に着替える
久しぶりに味わうユノと二人きりの空間に少し動揺してしまう



黙ったままのユノに“jil-ju”の白いスーツを着させられる
それなのに彼は、着せたばかりのジャケットを強引に開けて、締めたネクタイを乱暴に崩した



『このシーンはACEが俺にくれたヒントで衣装を決めた。MAX…いや、チャンミン。俺の想いを受け取れ』



ユノはネクタイを引っ張りながら乱暴に僕の後頭部を引き寄せて…そしてキスをした



激しく、そして切ない口づけだった…






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耽溺 第2章 ~密事 39~
2016-05-13 Fri 18:00


このお話はフィクションです

二人の間に第三者が絡みます
ご注意ください




side MAX



写真集の打ち合わせは内容云々という事よりも
ユノという存在をACEに教えてあげたみたいだって思う自分が嫌だった



ACEは派手な身なりとは裏腹に
ユノに対してちょっとした機転を利かせるほどの細やかさを持っていると直感した



会議の後
僕はACEに後ろから呼び止められる



さっきキュヒョンから再度釘を刺されていたけれど、やっぱりユノの事を思うと自分の顔が強張っているのがわかった



〈チャンミン先輩!!僕の夢が実現して本当に嬉しいです。まだまだ足元にも及ばないって分かってますけど、あなたの名前のついた作品に出られて…僕は頑張ります、絶対に頑張ります〉



僕の腕をしっかり掴み、さらさらした金髪の頭を何度も下げるACE
こんな勢いが…僕にもあったんだって記憶が蘇る



ユノの事を考えてばかりじゃダメだ
彼の情熱以上に僕はこの写真集の仕事に全てをぶつけよう



そう思い直した



ユノの愛が変わる筈は無い
彼は僕を愛してくれているんだから



僕がヤキモチで目の色を変えるよりもきっと
僕が仕事で怠慢な姿を見せる方が彼に失望させると思った



ACEの情熱が
失いかけた僕の本当の目標を思い出させてくれた



この写真集の仕事を絶対に完璧な物としよう
僕はそう固く決意した



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



香水のプロモーションを分単位にこなしながら
その合間にホテルでの写真集の撮影に臨んだ



思い出のホテル
僕がユノと再会を遂げた場所だ



あの時の無邪気な自分は、今はもういない



ユノの愛を掴んだ事は自分の変化に大きな影響を与えた



たとえこの恋が密事だとしても



ユノという最愛の人を手に入れた事は、僕自身を大人に成長させてくれたと思っている



そんな成熟した「シム・チャンミン」を
この一冊に残そうと思った



ダニエルさんの指示のもと
女の存在を背に感じながらも、ユノに抱かれる時のことを思い浮かべる



ダニエルさんの背後から見つめるあなた



ベッドに横たわり枕に顔を埋め
ユノの愛撫を思い出しながら表情を作る



その節張ったきれいな指が僕の身体を這い
僕の身体の中を翻弄し
そして僕の昂りを解き放ってくれる



ユノ…僕はあなたにずっと溺れてるんだ



そんな思いをカメラのレンズにぶつけた



ACEもまた〔Gloire〕メインモデルの名に相応しいプロ根性で僕にぶつかってくる



キャスター付きの椅子を乗り物のようにして
子供みたいにはしゃいで動き回った人と同一人に思えないようなモデル「ACE」の姿を見せた



ユノがACEに合わせて着せた
“jil-ju”の薄いブルーのシルクシャツ



中性的な彼にぴったりの細かいフリルが施され、大きく開いた胸元からは透き通る様な白い肌が覗く



僕の唇が覚えているユノの白い肌…



ユノのそんな胸元を思い浮かべながら目の前に立つACEの手を戴くように額に運んだ



嫉妬の渦中にもがく僕を救う神か
その渦を更に混迷させる悪魔か…
そんな絶妙な表情を浮かべ僕を見つめるACE



僕と
女と
ACEと



その三者を使って妖しい三角関係を創り出すダニエルさんは、奇才という彼にいつも使われる形容詞を惜しげもなく披露していた



《お疲れ様!最高だったよ》
ダニエルさんのその合図で、僕はホッと胸をなで下ろす



撮影とはいえ
空想で愛しい人に抱かれた余韻が倦怠感となり身体を襲ってくる



ユノの愛は濃厚だから…ね



そんなことを思ってついニヤけてしまい…顔を引き締めながらその彼を探すも、いつの間にか姿が見えなくなっていた



ミネラルウォーターとガウンを持って来てくれたキュヒョンが〈お疲れ様〉と僕の肩を叩く



〈明日は午前中空きだからさ…行ってこい。送ってやるよ〉



キュヒョンのその言葉だけで、嬉しさが込み上げた



マンション前に停められたユノの会社の社用車を横目に、運転手を探す



車の運転手は、いつものコンビニの中にいた



背が高いから、という理由だけではなく
僕には愛しい人だけしか目に入ってこないという便利な機能が備わってるみたいだから…すぐ見つけた



一点を見つめ、僕にちっとも気づいていないユノ
だから僕は、さっさと自分の欲しい物を手にとって彼がぶら下げたカゴに放り込んでやったんだ



ギョッとして横を向く彼にキュヒョンに言われた通りの言葉だけ伝える



自分が「会いたかった」というセリフは呑み込んだ



撮影でユノに抱かれた想像をしていたから本当に抱かれたくなった…だなんて口が裂けても言えるかよ



先にコンビニを出て、マンション前で待つと
すぐユノが後を追ってきてくれた



ただ黙って
絶妙の距離を置いて歩き、エレベーターに乗る



誰も居ない空間
でもいつ誰かが乗ってくるかもしれない空間で
少しだけ冒険をする



ユノに向けて伸ばした手が
同じように伸ばされていたユノの手を重なって



防犯カメラの方向には、ユノがもう片方の手でコンビニの袋を掲げた



彼が玄関を開けてくれた鍵には
あの日僕が、ユノの優しさから逃げた日につけた紫水晶のストラップが揺れていて…



そんな感傷的な思いも
完全に閉まる前から交わされた性急なキスでかき消されてゆく



ユノが好き



僕の思いを見てくれた?
今日の撮影は…全部あなたに捧げたんだよ



僕の目も、身体も、心も全て
あなたに抱かれる僕を表現したんだ



受け取ってくれるよね?






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耽溺 第2章 ~密事 38~
2016-05-12 Thu 18:00


このお話はフィクションです

二人の間に第三者が絡みます
ご注意ください




side MAX



会議室で僕を迎えてくれた愛しい人は
今日も朝から三揃いのスーツでビシッと決めていた



“jil-ju”のそれは襟元が独特のデザインになっているのが特徴だけれど



ユノが着たスーツもノーマルな襟ではなくアシンメトリーのデザインになっていて
グレーにホワイトのストライプ柄が入り、彼のシャープな雰囲気をより一層引き立てている



いつも僕を抱きしめてくれるその広い肩が
マネキン以上にカッコよくスーツを着こなす彼の魅力を際立たせる



車で聞いた話がふと脳裏をよぎった
素の状態で、こんなかっこいい男がいたらACEじゃなくたって確実に目を奪われるだろう



しかも整形で造り込んだような俳優やモデルでも何でもないアパレルの普通の社員だから、余計に興味をそそられるんじゃないか?



現に僕があの夜バーで彼に一目惚れして
彼の話を聞きながら、こんないい男なのに普通の会社員なんだとか、周りの人は見る目ないなとか



ユノのことを知れば知るほどに、より一層興味が湧いたんだから
第一印象だけでもけっこう意識を持っていかれるだろう



僕と同じ趣向、か…
キュヒョンが仕入れきて、あえてそれを僕に伝えたんだから間違いないんだろうな



目の前でトゥギヒョンと挨拶を交わすユノを見ながら、僕の大切なこの人を他の人の目に触れさせたく無いって思った



さっき車ではユノを思う気持ちは誰にも負けない、もしACEがユノに興味を持ったとしても正々堂々と正面から受けて立つって勢い込んだけど



目の前の愛しい人の…その狂おしいほどの魅力を目の当たりにすると、不安感が加速する



ACEとは一度だけ〔Gloire〕の特集で一緒になった
派手な見た目の印象とだいぶ違い、ちょっと天然のところはあるものの礼儀正しい男だった



雑誌で僕を見てモデルの道を志したと、僕を心から尊敬していると、熱心に言われたっけ



〈見た目はMAXになれなくても…僕はACEという別の大きな存在になります〉



やる気がみなぎるというのはこんな感じかという雰囲気で、蒼い目をキラキラさせながら言われたことを鮮明に覚えている



そのACEの雰囲気が、ユノに全力でぶつかっていた時の自分となぜか重なって



あの雰囲気で僕の愛しい人にぶつかられたら…
そんなネガティヴなことが頭に浮かんできて、それを振り払うように頭を振る



そこにミレ出版社の面々とACEが到着した



初対面となるミレ出版とユノ達が挨拶を交わしている様子をぼんやり眺める



ミレ出版社のお偉方の間からACEがぴょこっと顔を出して、ユノを見ていた



僕の目がそういう色眼鏡で見ていたからか
ユノを見るACEの目は、一目で気に入ったという雰囲気を醸し出している気がした



そんな僕を更に追い立てるように、コの字型に配された会議の席順も角に座るユノの隣にACEが座らされて



その二人の事を一番よく見渡せる斜向かいに
嫌味のように僕が座らされた



ユノを見るACEは生き生きとしていて
きっと僕がユノを初めて見た時こんな顔をしていたんだと、奇しくも彼から教わるかの様だった



クルクル回るACEの目
その無邪気な感じがユノを気に入ったという事実をストレートに伝えている気がした



そして、ユノもまた



そんなあどけないACEに興味を持ったのか彼が資料に走らせるペン先を見ながら微笑み、そして何やら自分も返事をする様に文字を書いている



紙の上でやり取りされているであろうユノとACEの会話に、僕は眩暈すら覚えた



自分に与えられた大きな仕事に挑む闘志に水を差された気分になる



…でも、ユノもACEも意図して水を差している訳ではなく、僕が勝手に憶測から嫉妬しているだけなんだけど



キュヒョンが説明する概要を聞いたふりをして
そんなことを一人で考えている自分に嫌悪感を覚えた



今、僕は…
どんな顔をしてユノを見ていたのだろう



ACEと紙の上で何かやり取りしていたユノがふと僕を見て、目が合った



ユノのその穏やかな笑みは
ACEとのやり取りで作られたのだと感じた



単純な妬心だけではなく



ユノのために頑張る、と言っていた自分が大事な仕事の話を聞かずにそんなことを考えていたという恥ずかしさがあって、僕はユノから目を逸らした



香水の仕事の時は…
ユノからの視線に嫉妬を感じ取り、僕はそんなユノへ自分の愛を伝えるように表情を作れたけれど



今回は、何か違う
僕が勝手に一人で想像し、何もない筈のユノとACEの関係を創り上げてるだけだ



バカだな、僕は…



ユノもACEも悪くないんだ
ただ僕が…あまりにもユノが好き過ぎてダメなんだ



自分のいる世界にユノが来たことを浮かれて喜んだ自分が情けない



ユノが僕のいる場所に足を踏み込んだということは、誰かにユノを盗られるかもという怯えを常に目の前で感じなければならない事だった



自分で自分を追いつめているんだ…



ユノ…
僕はあなたを閉じ込めておけばよかった



あの店でずっと僕だけのアドバイザーで居て貰えば良かったんだ…



あなたはただ、普通にしているだけでも
僕はきっとこのまま怯え続けるのかもしれない



ユノがいけないんだ
そんな風にかっこ良すぎるのが悪い



いつの間にかどんどん弱虫になった僕は
とうとうユノに理不尽な理由で責任をなすりつけていた…






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耽溺 第2章 ~密事 37~
2016-05-11 Wed 18:00


このお話はフィクションです

二人の間に第三者が絡みます
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side MAX



新作香水〔Limpid〕のプロモーション
僕は分単位の過密スケジュールに追われていた



事務所の控え室で愛しい人が着せてくれる衣装を着てから直線現場に行ったり



現場の控え室で待ち受ける愛しい人に衣装を着せてもらって撮影に入ったり



一日のうちに二度、三度と顔を合わせているのに
彼の体温を感じる事が出来たのは衣装を着せてくれるきれいな指からだけ…



ただ、黙ったまま
僕に着せたシャツの襟を直してくれるユノ



息のかかる、そんな至近距離なのに
僕の好きなそのぷっくりとした唇には触れる事が出来ない



僕のスケジュールが忙しくなればなるほど、ユノと過ごす時間は増えるのに



ユノに触れる事が出来ない…それはもはや、拷問でしかなかった



芸能人の僕と生活スタイルが違う彼
最初はそんなすれ違いを寂しいと思った



だからユノが僕の仕事を手伝ってくれる事になって、会える時間が増えたと素直に喜んだのに



その時の僕は
会える時間が増える分、本当は辛くなるという事実に気づいていなかったんだ…



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



今日も朝からユノに会える
といっても、写真集の打ち合わせが入っているだけなんだけれどさ



たとえ触れる事が出来なくても…
朝一の仕事で愛しい人の顔を見られれば、それだけでもモチベーションアップになるから
僕は迎えに来たキュヒョンとも上機嫌で話した



本当はおはようのキスをしたい
もうずっと、ユノに触れていないから…



ユノのおかげで香水の撮影が成功して、その延長上で恐ろしくハードなスケジュールになってるんだ



そのせいでプライベートな時間が持てず、ユノの腕の中で目覚められないんだから…それくらいしてもいいじゃんって思う僕はワガママかな?



今日は事務所だし、キュヒョンに何とか上手いことやってもらってユノと二人きりにして貰おうかな…なんて考えてたら



〈ACEってさ、チャンミンと同じみたいよ〉



キュヒョンが急にそんなことを言う
ルームミラーに映る彼の顔は、いつものちょっと悪い顔になっていた



頭がいいキュヒョンは
わざと肝心な部分を脱落させて、思わせぶりに言ってくる悪い癖がある



今日も僕が機嫌がいいからきっとまた、そうやって更に話を弾ませようとしているんだと思った



だから僕も、いつもみたいに聞き返す



「何が僕と一緒なの?」



〈きれいな人が好き、っていう趣向〉



……なんて言った?



「どういう意味だよ」



〈そのままの意味だって。俺さ…この間の撮影でモデル役を引き受けてくれた時、チョンさんのこと本当にきれいだって思ったんだ〉



キュヒョンは僕の顔色が変わっていることに気付いてるはずなのに、話を止めずに続ける



〈かっこいいんだよ。かっこいいんだけど、すごく綺麗なんだよな…あの人って…


おまえが夢中になるのも納得いったし、ダニエルさんが本業のモデルよりチョンさんを選んだことにもすっごい納得した


よく今迄普通の人として生活出来てたって思うよ〉



キュヒョンは、トゥギヒョンが芸能プロダクションを設立した時からずっと一緒で多くの芸能人を見ていた



その彼が、ユノを褒めている
その事実がふと僕の心を不安にさせた



そういえばトゥギヒョンも、僕がユノの事を打ち明けて相談した後トゥギヒョン自らユノを見に行って、本当に一般人か?と言ってたっけ



たった数年で、最大手の芸能プロダクションを経営するまでになったトゥギヒョンさえも感嘆させたユノは…それほどのルックスという事だ



〈チャンミンと同じ趣向があれば、ACEが間違いなくチョンさんに興味を持つんじゃないかって思うから気になったんだ


でも、おまえとチョンさんの事は秘密だからな?あからさまに牽制するなよ…って事を言いたかったんだ、俺は〉



キュヒョンはそう言って、真顔のまま黙り込んだ



……わかったよ、と言いたいけれど素直にそう言えなかった



僕の世界に一緒に居るということは普通の生活を送っていた時以上に人の目につく機会が増える



ACEの趣味や好みがどうであれ、彼がユノに惹かれる可能性は十分にある



現にこの間ミノに会わせた時も《ヒョンの連れの方…かっこいいなぁ~すごいモテそうですね!!》って言われたし



男に全く興味のないミノでさえそんな感想を持ったんだから、僕と同じ趣向であればユノの美貌に目を奪われるだろう



牽制するなよ、か…
キュヒョナ、そんなことわかってるよ
僕たちの恋は密事なんだから



でもな
ユノは僕だけのものだ



牽制なんかしない
そんなみっともないことを僕がするかよ



ACEがもし本当に
ユノに惹かれてるとなったらその時は



僕は正々堂々と事実を言うまでだ



失うものが多かろうと、そんなのは怖くない



だから牽制なんかしないよ、キュヒョン
相手がACEだろうが、誰だろうがね



僕はシム・チャンミンだ
正々堂々と正面から受けて立つ






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耽溺 第2章 ~密事 36~
2016-05-10 Tue 18:00


二人の間に第三者が絡みます
ご注意ください





いよいよ
写真集の撮影が始まった



あの日…MAXと運命の再会を遂げた日
あいつの微笑むパネルに出迎えられた、あのホテルで…



俺は自分の所属する販売促進部と縫製室とを忙しなく行き来して、社用車に衣装を乗せては撮影現場に駆けつけるという忙しい時を送っていた



当のMAXも例の香水のプロモーション活動が忙しく、その合間を縫っての撮影だったためかなりの過密スケジュールだとキュヒョンから聞いた



俺たちは仕事場で頻繁に会えるようになったというのに、肝心のプライベートでは全く時間を合わせられないという状況に陥った



以前みたいにMAXが自分のスケジュールを俺の休みに合わせてくれた時の方が、二人だけの時間を取れるという何とも皮肉な事になるなんて…



それでもMAXの仕事に臨むあの真剣な顔を見られることが、俺のモチベーションを維持してくれる



ただ…
やはり写真集のタイトル通り、嫉妬という至極厄介な感情に常につきまとわれた



スイートルームの一室で
俺はあいつに“jil-ju”のシンプルな綿ブロードのシャツを着せた



シャツのボタンを留めていると、MAXのきれいな胸筋が覗いて…久しくこの胸元に唇を触れさせていないという思いがよぎる



すぐそばにいるのに
愛おしい人に触れる事が出来ないというのは
俺にとって拷問のようだった



ベッドの縁に腰掛ける下着姿の女性の背中を背景に、シャツを着て横たわるあいつが白い枕に気怠い顔を半分埋めてこちらを向く



カメラマンのダニエルさん越しに見えるMAXは
俺に愛された後のような艶かしい顔をしていて、見ていられなかった



かと思えば今度は
見事に作り上げられた美しい筋肉のつく半裸姿で
ベッドに座るあいつが



目の前に立つACEの
フレアー状に開いたシルクシャツの袖口から伸ばした白い手を戴くように額に寄せる



ダニエルさんの表現する男と女と、そしてもう一人の男という奇妙な三角関係を表した一連の写真



トップスターの恋人が
トップカメラマンとトップモデルと作り上げた神々しいまでに美しいその情景は



その全てが〈嫉妬〉そのものでしか無かった



自分の選んだ衣装を彼らが着ている事でその一角に俺が加わっていることすらも、苦悩になってゆく



恋人と一緒に居られると思って仕事を引き受けた
俺の下心に下された罰なのか?



俺はただ、MAXのために力になりたいと思っただけだ…それなのにこんな拷問のような苦痛を味わうだなんて



MAXが俺に接してくる時のような無邪気さで
ACEが会議の時みたいに天真爛漫な明るさで



二人がそうしてくれたら、少しは気が楽なのに



二人ともプロそのもので一切そんな隙すら見せず
まるでこの二人が恋人のような静止画を作りあげた事が堪らなかった



俺は…
女にも男にも妬心を感じなければならない



MAXを、チャンミンを愛してしまった宿命なのか…






忙しなく動いた肉体的な疲労と
つらい感情を味わった精神的な疲労とで
とにかく早く家に帰りたかった



撮影終了の号令とともに部屋を真っ先に飛び出す
社用車に乗って、俺は自分のマンションに帰った



こんな風に恋人がいる場所から逃げ帰るような真似をするなんて、みっともないと思うけど
MAXが好きすぎて…そういう現場に免疫をつけるまで俺はまだまだ時間がかかりそうだ



いつものコンビニに寄って、適当に夕食を見繕う
俺にしては珍しくビールを2本カゴに入れた
アルコールの力を借りてでも早く眠りたかった



パンを選んでいると
ぶら下げていたカゴが急に重くなった



えっ?と思いカゴを見る
すると、もう2本ビールが増えただけでなく〈具材たっぷり三種の贅沢サンド〉がふたつ放り込んである



そして俺の横には
パーカーのフードを被って、似合わない眼鏡をかけた背の高い男が立つ



「キュヒョンが。行っておいでって言うから」



ボソッとそう呟いた男は俺に背を向けてコンビニを出た



急いで会計を済ませ、後を追う
あいつはちゃんとマンションの手前で俺を待っていた



少し離れて俺に続き、マンションに入る
エレベーターの中でも一定の距離をキープするも、その距離は今日の撮影で感じた二人の距離を急激に近づけてくれた



俺の部屋がある階に着く寸前
その距離は、どちらからともなく繋がれた手のひらが一気に縮めさせて



玄関の扉が閉まると同時に合わさった唇が
その距離を全て消してくれた






『チャンミン、俺さ…この間一緒に屋台に行った時おまえとすっごく近づけたって思ったんだけど…やっぱりおまえは遠いや…』



明け方
ベッドの上でMAXの頭を撫でながら呟いた



この数日の間にもたらされた鬱積したものを互いに激しくぶつけたことで、久しぶりに繋げた身体はどちらも悲鳴をあげていたようだった



俺もMAXもいつの間にか意識を飛ばしていたらしい



寝息をたてるMAX
汗で固まった彼の髪をほぐしながら、子供じみた文句をぶつぶつ言ってしまう俺



『おまえを好きすぎるからいけないのかな…だいたいおまえが悪い。女にもACEにもさぁ、いつでもOKみたいに色気ムンムンに出しやがって…』


『あの新人の女優、いい身体してたからおまえも抱きたくなったんじゃないの?』


『ACEだってあれだけの妖艶さだったら、おまえ抱けるだろ?』


………



何言ってんだよ、俺…
なんか、全然俺らしくない
こんなこと言うなんてさ



「仕事でしょ?ただそれだけ」



寝ていたと思ったMAXから突然放たれた、俺を突き放すような一言で一気に目が覚めた



『俺だけかよ!!俺だけが、こんな拷問みたいな思いを味あわされてんのか?!やってらんねーよ!』



訳がわからない
自分でも何を言ってるのか、逆上せ上がった頭では処理しきれなかった



ベッドから出て急いで服を着た俺は
何か言っているMAXを置いたまま、自分の部屋を飛び出した



30分後俺は
MAXからの電話もカトクも全てを無視して



俺に叩き起こされたドンへの部屋で
主人を追い出し奪った布団に頭からすっぽりと包まっていた






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