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耽溺 30
2016-01-23 Sat 18:00


このお話はフィクションです

二人のキャラが若干崩壊しています
ご承知おきください




side MAX



もう一度
ユノにぶつかってみよう



そう決意したものの、ここ2日はドラマの撮影で忙しく、家に帰れないほどで



ユノに会いに行くことが出来ずにいた



撮影がやっとひと段落ついて、僕は雑誌のインタビューの仕事のために事務所に向かった



積もる雪が溶け消えないうちに新たな雪が落ちてきて、今日は一段と冷える



いつもより少ないが、それでも事務所の前で僕を待つペン達



そして、彼女達から少し離れ場所に
愛しい人は今日も立っていた



お休みなのかな
ユノ…また来てくれたんだね



あの日あなたの前から逃げた時に、あなたが着ていた紺色のダウンコート…それを着ていても今日は寒いだろう



「キュヒョナ…今日はあの子達にあったかいラテを差し入れてあげて」



僕はキュヒョンにそう言って、カードを渡す



〈了解。チョンさんがいるよ?今日も〉



キュヒョンも気づいていたんだ
この間社長も気づいてたし、ユノヒョンは目立つから…



僕の大好きな
かっこいいユノヒョン…



ジェウクさんの切った前髪に積もる雪を
指で払うのが見えた



「ユノヒョンにも…渡して」



僕はキュヒョンにそう言って
今日もボディガードが作る壁の中を事務所に進んだ



事務所の一室で、雑誌のインタビューを受けて、軽い写真撮影も済ます



衣装から私服に着替え終えたところにキュヒョンが戻ってきた



〈この後雪がだいぶ降る予報だから、明日の撮影は中止だって。久しぶりにゆっくりしろよな〉



キュヒョンからそう伝えられた
このまま家に戻って、久しぶりに自分のベッドで休めるんだ



この2日も悪天候の影響で雪の合間をぬって撮影をして、更にその合間にロケバスで仮眠をとるだけだったから…今夜はゆっくり眠れそうだな



〈さあ、家に送るから。行こうかチャンミナ〉



キュヒョンに促され、事務所を後にした



事務所から僕のマンションに帰る途中、信号待ちで車が停まる
あのチキン屋が目に入った



ユノヒョンの同僚の人から教えてもらった、彼の好きなチキン屋さん



「キュヒョナ、チキン買って帰る」



僕はキュヒョンにそう頼み、車を停めてもらった
ボディガードに守られて、自分で店に行く
こんな天気だから、店は空いていて待たずに買えた



〈チャンミナ…チキン屋始める気?〉



両手に下がる袋を見て笑うキュヒョン



そうなんだ
あの時と同じように、大好きな人分まで無意識に買ってしまった



何回も買っていったわけでも無いというのに
たった1回の事だったというのに…



「ホントだね。キュヒョナ持って帰って」



苦笑しながらそう言って半分渡そうとした
するとキュヒョンはそれを押し返して寄越す



〈ここんところ、飲み過ぎててさ。慢性的に胸やけしてんの。明日休みなんだし2日に分けて頑張って食え〉



ふーん…珍しいな
水みたいにビールを飲むキュヒョンにも飲み過ぎって言葉があるんだ



まぁいっか



これだけあれば、明日も家から出ずに居られるかも知れないし…明日は辛めのソースを作って味を変えて食べればいいや



窓からの景色を眺めそんなことを考える僕を、日頃無表情なキュヒョンが優しい笑みを浮かべて見ていた事に、この時は全く気づかなかった






3日ぶりに帰る我が家
高層階だから大きく窓は開かないけれど、それでも寒空の中で空気の入れ替えをする



人気の無かった部屋は、外気温以上に冷えている気がして…僕はクローゼットからあの服を取り出す



ユノヒョンが羽織らせてくれた深紫色のダウンジャケット…彼の勤める“Jil-ju”の物だ



クローゼットにしまわれていたのに
このダウンジャケットは何だか暖かい気がする…



ソファーに足を縮こめて座り
ジャケットを着た自分を抱きしめる



ユノに抱きしめられて目覚めた朝のように
彼のジャケットで自分を包み込んだ



ユノ…
あなたの腕の温もりにもう一度包まれたい



筋肉を鍛えただけの僕の細い身体と違って



程よく筋肉のついた男らしい太い二の腕が…
羨ましく感じたあなたの男らしい厚い胸板が…



恋しくて堪らない



僕のほうが身長は高かったのに
なぜかあなたの胸にすっぽりと埋もれてしまった僕



もう一度その胸に包まれる日は来るんだろうか…



ようやく空気が入れ替わった気がしたからリモコンで窓を閉め、暖房を入れた
と、同時にインターフォンが鳴る



キュヒョンかな
マンションの入口を通るセキュリティロックを解除させる方の音じゃ無かった



今鳴ったのは、僕の玄関のインターフォン
マンションの入口を通る事が出来るカードを持つのは、住人かキュヒョンだけだ



やっぱりチキンを食べたくて、大量のビールを片手に来たのかもしれない



そう思って、スイッチを押した



モニターには
キュヒョンではなく



数時間前に見たばかりの
僕の大好きな人が…



僕の大好きな笑みを浮かべて…立っていた





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耽溺 29
2016-01-22 Fri 18:00


このお話はフィクションです

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side MAX



初めてのウェブドラマ
監督の都合でクランクインが遅れはしたものの
撮影は順調に進んでいた



今回の共演者は
ほとんどが以前ドラマなどで一緒になった方ばかりで、現場の雰囲気もいい



僕はというと
いつまでもユノヒョンのことでメソメソしているわけにもいかず



自分の俳優としての面子にかけて、仕事に取り組んだ



かといって
彼を思い浮かべない日は皆無で
やっぱり会いたくて仕方がない



僕が何も言わないから
キュヒョンもユノのことは何も言わない
今はとにかく、目の前の仕事に全力を注ごう



そうじゃなきゃ
次にもし、またユノに会える時が来ても
会わせる顔がないもんな



市内のホテルを借りての撮影を終えて、事務所に帰る途中でユノの勤め先のショップを通り過ぎた



ユノヒョン…ユノ…
今頃ショップの中で仕事してるのかな
あのきれいな目で、お客さんに接してるのかな



もう僕以外のお客さんに接客をして欲しくないのが本音だけど



だって
あんなきれいな目であんなきれいな指で
そして優しい気配りをされながら接客されたら…



そう思うだけで気が狂いそうになる



今日も事務所の入口には
僕を待つたくさんのペン達の姿があった



いつにも増して、今日は冷えるっていうのに
彼女達の気持ちは嬉しいけれど、こんな寒空の下で待ってもらうのは申し訳ない気持ちになる



キュヒョンに言って、今日はせめてチョコレートでも差し入れしようかな、と考えながら彼女達を見やった



…ユノヒョン?



僕の車が見えて、歓声をあげる彼女達から少し離れた場所に立つ、1人の男



ユノだ



僕が愛しい人を見間違える筈がない



どうして?今日は休みなの?
何で僕の事務所に来てるの?!



彼の姿に…あまりに予想外のことで
嬉しさを通り越して動揺する



たくさんのペン達の姿もあるし、キュヒョンはユノに気づいていないから、僕はいつも通りボディガードの作る壁の中を進むしかなくて



事務所ドアをくぐって振り向く僕の視線の先には



ユノヒョンが
ユノが…微笑んでいた



なんでだよ、ユノ
あなたから逃げ出したまま、あなたへの想いに整理がついていないっていうのに



どうしてそんな
そんなきれいな笑顔で僕を見るの?



ダメだって
こんなんじゃダメって思ったのに



ねぇユノ…
僕はやっぱり
あなたが、あなたが好き



あなたをアイシテル…






初めて会った夜
あなたは僕を最後まで抱かなかった



次に過ごした夜
あなたを抱きしめて眠りについた筈の僕は



翌朝あなたに抱きしめられて目覚めた



次に一緒に過ごす夜が来たら
あなたと僕はどんな夜を過ごすんだろう



会議室に入って窓から見下ろすと
もうそこにユノの姿は無かった



〈お疲れ、チャンミナ。入口にチョンさんが来てたよ〉



会議室に入ってきた社長にいきなり言われた



「ハイ…気づきました」


〈声をかけて、中に入るように言ったんだけどね。元気な顔を見れただけでいいんですって。俺は彼女達と同じペンの1人ですからって言ってたよ〉



なんだよ…ユノ
ユノにとってやっぱり僕はまだそんな存在なの?
ペンの1人なの?



それなのにあんなきれいな笑顔で僕を見たの…?



僕は思わず俯いてしまう
社長がいるっていうのに、公私混同だって言われても仕方ないな



《チャンミンが一生懸命仕事に打ち込んでくれれば、僕は何も言わないよ。僕のモットーだからね》



トゥギヒョンはそう言って微笑んだ
ユノとは違った、優しい微笑みを見せた社長
でも次の瞬間、キュッと顔つきを引き締めて



〈その代わり、仕事に少しでもマイナスだと判断するような事があったら、その時は口を出させてもらうけどね〉



トゥギヒョンは、こういう人だ
メリハリが効いているというか、白黒だけはハッキリさせる人で



社長にそう言ってもらえたことで
僕は逆に気持ちが整理できた気がした



メソメソしていてもダメだ
ユノへの自分の気持ちを抑えてもダメだ
恋に破れて、傷つくことから逃げてもダメだ



ユノに
もう1度だけぶつかってみよう



彼にもう1度ぶつかって、答えをもらおう



その時
たとえダメだったとしても



ユノへの想いを断ち切る勇気を持とう



ユノ
大好きだよ



僕はもう1度だけ
あなたに全力でぶつかる



好きだという想いは揺るがない
それだけで、十分だ



あなたを好きだという気持ちから
僕はもう、逃げないよ





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耽溺 28
2016-01-21 Thu 18:00


このお話はフィクションです

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MAX…今、何してんのかな



俺さ
おまえのことが好きだ



やっと気づいたのが
おまえが俺の前から居なくなってからだなんて
皮肉だよな



会いたいな
俺、けっこうゲンキンだ
好きだって思った途端、会いたいなんて



でも…どうすればいいんだ?
あいつはそう思ったって簡単に会えるような存在じゃねーんだし



…そっか
髪を切ったとき、あのサロンの前で待ち構えてたペンだよ



あの子たちだってMAXの行動を知る事が出来たんだから…俺もあいつの追っかけをすればいーんだ



ヒチョリヒョンから貰った冬休みは
俺にそうさせる為の神様のお告げだったんだな
って、俺ってば随分ポジティブじゃん



まずは情報収集だな



あいつはスーパースターだからな
〈MAX〉〈チャンミン〉と入れればいくらでも検索結果が出てくるんだ



早速スマートフォンを弄る
最初に出てきたのは、つい数時間前に上がったウェブニュースだった



〈チャンミン、初のウェブドラマ撮影開始。独占インタビュー〉



たった数日前…
ヨダレを垂らしながら俺にキスをしたやつと同一人と思えない男前が画面で微笑む



《最近のお気に入りを教えてください》という質問に


「今回のドラマでも着る“Jil-ju”がお気に入りです。なぜか分からないんですけど、大好きな人に包まれてる気持ちになります」



……なんだよ…大好きな人って



《では、もう何度も聞かれていると思いますがチャンミンさんの好みのタイプをお聞かせ下さい》


「実は最近変わったんです。目がきれいな人。黒目がちで、その目で僕をジッと見つめられたら堪らないです。


それに指が長くて、ただ動くだけで指の動きが美しくて…見惚れるような


そして何よりもピュアだということ。僕が芸能人だということを忘れるくらい、その人らしい純粋さでストレートにぶつかってくれる…そんな人が良いですね」


《何だか具体的な人がいらっしゃる雰囲気ですが…》


「フフ…ご想像にお任せします」



……俺さ
自惚れていいのかな
コレって、俺のことだったりしない?



何なんだよ、もう…
会いたいよ、MAX
ズルイだろこんなのってさ



世界を網羅するインターネットを使うだなんて



いや、違うな
あいつはいつだって、俺にそのままの気持ちをぶつけてきてた



「ユノヒョンの事が好きになっちゃった」


「ユノヒョンにずっと会いたくて、やっと会えたんだ」


「優しいな~だからユノヒョンが好き」


「ユノ…アイシテル…」



……俺、思い出した
あの晩、あいつと初めて会ったあの夜




あの日は多分



いや、絶対おまえと最後までいってないと思う



なぜかって
俺は愛してるって思った相手としか、今までそういう関係になってなかったから



あの時、俺はまだおまえの事を愛してなかったから、絶対最後までいかなかったはずだ



あの夜、おまえがどんな言葉を話してくれて、俺がどんな言葉を返したのかはっきりと覚えてないけれど、これだけは思い出した



『これから、さ。少しずつお互いを知っていこうよ』



俺はこう言ったと思う



そのあと
おまえの方から公共の機関まで巻き込むという大掛かりな仕掛けで積極的に俺のところに来て



たった2日しかおまえと過ごしていないけど
その2日は、俺にとって濃すぎる2日だった



そして『少しずつ』ではなく『一気に』
芸能人のシム・チャンミンではなく1人の人間としてのおまえに触れ、おまえを知った



俺の部屋で一緒に眠った時
おまえが言ってくれた言葉



「ユノ…アイシテル…」



夢うつつの中で
俺の頭に強烈に残った言葉



おまえの本心で言ってくれた言葉だからこそ
俺の頭の中に強烈に残ったんだな



初めて会った夜は、俺たちには何も無かった



でも
今度は違う



おまえと最後までいく



なぜかって
おまえの事が好きだから
そして、おまえも俺を愛してくれているから



MAX…好きだ



だから
今度は、最後まで



チャンミン
おまえを抱くよ





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耽溺 27
2016-01-20 Wed 18:00


このお話はフィクションです

二人のキャラが若干崩壊しています
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あの日から数日が経った



俺の胸の痛みは消える事はなく
むしろ日に日に苦しさが増している気がして



はぁ…



あいつ…どうしてるかな
ちゃんと仕事してんのかな



はぁ…



俺…あいつに何しちゃったんだろ



ヒチョリヒョンにも言われるけど、俺って意外に鈍感なところあるから…無意識にあいつを傷つけるような事を言ったりしたのかな



はぁ…



って俺、どうしてMAXの事ばかり頭に浮かんでくるんだろう



………



〈チョン・ユンホ!!!おまえ、そのため息やめろ!俺にケンカ売ってんのか?〉



いけね…仕事中だった
ヒチョリヒョンからその顔に似つかわしくない怒鳴り声が飛んでくる



〈おまえさぁ、個人目標1日でクリアしたからって調子に乗ってんの?〉



ヒョンはきれいな目を吊り上げて俺を睨む
この間のMAXの買い物だけで、俺は毎月立てている個人の販売実績目標を達成した



そのことについてヒョンは何も聞かなかった
ドンヘに一部始終聞いてるだろうけど



『すみませんでした』



俺はヒョンに頭を下げて、ディスプレイの変更で要らなくなったトルソーを片付ける



〈ユノヤ~〉



ヒョンは人差し指をくいくいっとして、俺を呼んだ



〈あのさぁ~、おまえ恋でもしてんの?〉



スタッフルームに連れてこられた俺は
ヒョンから思いがけない言葉をかけられた



『へっ?』


〈へっ?じゃねーよ、バカが。何年つきあってると思ってんだ。おまえの様子がおかしいのなんてバレてるっつーの〉



ヒチョリヒョンはそう言って、自分のイライラを表すように机の上に置いた指をトントンと不規則に鳴らした



〈ユノヤ~。俺はさ、おまえが恋するのは全力で応援すっけど。今俺の前でそんなため息つくのは許さねぇぞ〉



……そうなんだ
ヒチョリヒョンは、ついこの前モーションかけてた意中の女にフラれたんだった



やばいやばい
実にタイミングが悪い



『すみません。ちょっと気が緩んでました』


〈おまえ冬休み取れ〉


『へっ?』


〈またその返事…テメーなめてんのか?〉



ヒチョリヒョンの蹴りが俺の脚に飛んできて、俺はたまらずしゃがみこむ



この人、ほんとに加減ってものを知らないんだ



〈っていうかさ。休み交替させちゃって、ずっとシフトきつくさせてたし…セール期まで暇だからさ。冬休みの希望出してねーだろ?休め〉



たしかに頼まれて休みを交換したから週一休みになってたし、特段予定もないから冬休みはいつでもいいって言ってたから、それでいいんだけど



全然仕事に気持ちが入ってない俺のことを
ヒョンはしっかり見ていたんだ



俺がこんな状態じゃ
周りの士気に影響するよな



そう思って、ヒチョリヒョンは俺を休ませる事にしたんだろう



俺は逆らわずそうします、と答えた



閉店後、ヒョンの夕飯の誘いを断って家路を急ぐ
なんかゆっくり休みたかった



食料を仕入れようと、コンビニに立ち寄った
カップ麺をカゴに入れて、明日の朝の分もと思い商品を流し見る



《具材たっぷり三種の贅沢サンド》



あいつ…ちゃんと食べたかな
これを見た時にあいつが好きそうだって、なんとなく思った。何の根拠もないんだけど



止せばいいのに
今日もまた、それをカゴに放り込んだ



あいつがあの日家のドアを閉めてくれた、俺に似つかわしくない飾りのついた鍵で開錠して部屋に入る



「こんな風に鍵だけの状態にしてたら失くしちゃうよぉ~」



そう言ってあいつは、自分のスマートフォンに付いていた、紫水晶が連なったストラップを鍵に付けてくれた



初めて挑戦した時代劇で使った衣装を気に入って、それを使って作ってもらったと言ってたっけ



いつも持ち歩くキーケースは
あの日置き忘れたまま、リビングのテレビの前に置かれていて



俺のポケットには、あれ以来
いつもこっちが入ってた



なぜか感傷的になる自分をさっぱりさせたくて
コンビニの袋をテーブルに放り出し、バスルームに直行する



髪と身体は洗ってスッキリするけれど
頭の中と心は、なんだかさっぱりしない



歯も磨こうと歯ブラシに手が伸びるものの
あいつの置いていった歯ブラシが目に入り、手が止まる



『そうだ、メシを食うんだから歯磨きあとでいいや』



俺は自分の心の動揺を、自分に言い訳するかのように独り言を言ってリビングに戻った



〈おまえ恋でもしてんの?おまえの様子がおかしいのなんてバレてるっつーの〉



カップ麺を食べながら、ふと今日言われたヒチョリヒョンの言葉が脳裏を駆け巡る



俺が恋してる?



ハァ?!
何言っちゃってんだろ、ヒョンったら
女にフラれておかしくなっちゃった?



………違う
おかしくなってるのは俺だ



そうなんだ







あいつに恋をしてるんだ



やっとわかった



俺は
MAXに恋をしてるんだ





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耽溺 26
2016-01-19 Tue 18:00


このお話はフィクションです

二人のキャラが若干崩壊しています
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あいつが
MAXが…泣いてたんだ



エレベーターに乗った時は、いたって普通だったと思う



奥の壁に2人で並んでもたれかかってて
途中の階で止まり、人が乗り込んできたから



俺はその人の方を普通に見ているあいつの頭を下に向けさせて、MAXだと分からないように自分を壁にしたんだけど



怒らせるようなことだったのかな



いや、違うな
〈怒らせる〉んじゃなくて
〈泣かせる〉ことだ



エレベーターを降りた瞬間、帰ると言って走り出したあいつ



一瞬訳がわからなくて遅れをとったものの
俺の足は、自然をあいつを追った



今思えば、なんで俺はMAXを追いかけたんだろうと思うんだけど…無意識に俺は走った



大通りでタクシーをつかまえて乗り込むあいつは、泣いていた気がした



といっても、ちゃんと見たわけじゃなくて



ちらっと見えた横顔が…この間見た映画の、別れのシーンそのものの顔だったんだ



怒るより何より
どうしちゃったんだよ、というのが率直な感想で



俺はただ呆然とタクシーを見送った後、来た道をとぼとぼ戻り1人でコンビニに行った



カゴを持ち、食料を入れていく
なんか食べたいって思ってたはずなのに、さっきの出来事でそんなこともどっかいっちゃって



それでも、目についたものを買って部屋に戻った



ソファーに腰をおろし、袋の中身をテーブルに取り出す



俺ったらバカだな
さっき目の前で居なくなっちゃった
あいつの分まで買ってきてる



牛乳も、ちゃんと2本



なんだよ、ほんと
どうしちゃったんだよ、あいつ…



答えが全然見つからないまま、俺はパンをふたつ食べ終わった



あいつの分の…牛乳を冷蔵庫にしまいに行くと
昨夜チキンを食べるときに使った食器が、いつの間にか洗って伏せられていて



残したチキンは、きちんとラップがかけられていた



あいつが…風呂から出た後やっておいてくれたんだな



なんなんだよ、もう
どうしてこんな小さなことなのに、おまえの存在感をハンパなく感じさせるんだよ…



俺はそんなことを思いながら、歯を磨きにバスルームに向かう



あいつ、几帳面なんだな



着ていた服が、きれいに畳まれていて
その脇に、渡したバスタオルがきれいにかけられていた



畳まれていた服の1番上には
俺が昨日MAXに選んだウチの店のニットがあった



あいつの髪の色に合うだろうと思って選んだワイン色のニット…



買ったばかりの服に着替えて俺のうちに来たんだな、あいつは



俺はチルチュのショッパーズバッグを持ってきて、あいつの服をその中にしまった
次に会ったら、返さなきゃ…



って、会えるのかな?また



……次に会えるか、不安な気持ちになるってどういうことなんだよ、俺ったら



なんか、俺
変だ



鏡に映る自分に問いかけるも
いつまで経ってももう1人の自分からは答えが出てこない



仕方なく、歯ブラシを手に取る
…そこに立てられていた、見慣れない歯ブラシがもう1本



「着るもの貸して、下着は新しいのがいい」



勝手なことを好き放題言ってたあいつは
歯ブラシだけは、持ってきてたんだ…



………



なんだコレ
なんで俺の胸が苦しいんだ?



胸が痛い



どうしちゃったんだよ、俺



なぁ…MAX…



何で急に俺の前から居なくなるんだよ
勝手すぎるだろ?



俺の部屋の鍵をおまえが閉めて
マンションの廊下をあんな自然に俺と一緒に並んで歩いて、自然にエレベーターに乗ってさ



初めての事だったっていうのに
普段の日常生活のひとコマみたいに、自然に俺の隣に居たじゃんかよ…



何でいきなり居なくなるんだよ…



俺…何かおまえが傷つくことをしちゃったかな
俺さ、恥ずかしいんだけどけっこう鈍感なところがあるからさ



気づかないうちに、おまえを悲しませたかも知れないな



ごめん
ごめんな、MAX



そんな俺も
なんだか胸が苦しいんだ



おまえを
泣かせちゃった罰なのかな



胸が…痛いんだ






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耽溺 25
2016-01-18 Mon 18:00


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side MAX




僕は
大好きな人から逃げた



好きすぎて…怖くなったんだ



彼を本気で愛しちゃったみたいで
彼の目の前で逃げてしまった



散々振り回されていたっていうのに
逃げ出した僕を追いかけてくれたユノ
その姿は、僕の涙で見えなくなって…



自分の家に帰り
ベッドで突っ伏して泣いた



こんなに泣いたのは
小学校の時に飼っていた僕の大事な弟分だった愛犬が、天国に行って以来かもしれない



ユノ…ユノ…
どうしてあんなに僕に優しくするの?



僕のことを迷惑がっているのに
どうして…



でも、もう
きっとユノは本気で
僕を嫌いになったと思う



あんな風に何の前触れもなく
いきなり帰るなんて言い出したんだ



ワガママなMAX…シム・チャンミンに
辟易しただろう



ユノの匂いのするスウェット
それにダウンジャケット
借りたまんま、逃げてきちゃった



僕の服も
ユノヒョンの家のバスルームに置いたまんま



迷惑かけられた…って
きっとすごく怒ってるだろうな



どれくらい泣き続けたんだろう



あんまり泣きすぎたから、頭が痛くなってきた
僕はヨロヨロとキッチンに行き、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して一気に飲み干す



そうだ…
キュヒョンに…マネージャーに昼過ぎに迎えに来てって言っておいたんだった



3時からドラマの顔合わせがあるって言ってたな



時計は11時をさしていて
僕はスマホを取り出す



キュヒョンからメッセージが入ってた



〈今日の顔合わせは監督の都合で延期、完全オフ〉



そっか…よかった



僕は顔を洗おうと洗面所に来て、鏡に映る泣き腫らした自分の顔に…プロとしての意識の無さを後悔していたところだったから



シム・チャンミン…
鏡の中の僕は、プロ意識も忘れて泣きじゃくった
意気地なしの僕だ



超一流スターともてはやされて
美味しいものを食べ、高級車に乗り
高級マンションのワンフロアに住み



努力の賜物だとはいえ
人から羨まれる生活をしてると思う



その僕が
たった一人の男を本気で愛して
そして、嫌われるのが怖くて逃げただなんて



きっと誰も信じてくれないだろうな



テレビでも雑誌でもネットでも
僕の名前の前に付けられる形容詞は決まって
〈超カッコいい〉というものだけど



実際の僕は…



恋に傷つくのが怖くて逃げた
〈超カッコ悪い〉シム・チャンミンだ



あの夜
いつものBARに立ち寄らなければ…
そのまま家に帰っていれば…



こんな思いはしなくて済んだのに



なぜ僕はあの時
突っ伏していたテーブルから顔を上げたあの人に吸い寄せられてしまったんだろう



なぜ僕はあの日
あの人の瞳に、唇に、指に
こんなにも惹かれてしまったんだろう



ユノ…
これだけ僕の中を占拠してしまったあなたを
追い出すことなんて出来るんだろうか



好きになることがこんなにも苦しいなんて
生まれてはじめて知ったよ



恋に苦しむ役は随分演じたけれど
僕の演技は、きっと上辺だけのものだったに違いない



今の僕にそんな役をやらせたら
最高の演技が出来るって…自虐的に思った



インターフォンが鳴る
モニターに目をやると、さっきメッセージを入れてくれてたキュヒョンだった



そっか
僕、ユノヒョンの家に迎えに来てって言ってたまんまだったから、そこに行って僕が居ないから家に来たんだな



「今開けるよ」と言い鍵を解除する



〈チャンミナ!!どうしたんだよその顔!〉



ドタドタと部屋に入ってきたキュヒョンは僕の腫ぼったい顔を見て大声を出した



人間って
辛いときに家族や親友の顔を見ると
自然と涙が出てきちゃうものなのかな



さっき出し尽くしたはずの僕の涙が
再び溢れ出す



「ごめん、キュヒョナ…僕…」



キュヒョンは黙って隣に腰をおろした



〈チョンさん…怒ってたよ〉



キュヒョンはただ、そう言った
やっぱり…ユノヒョン…
そりゃそうだよね



〈それと、これ。あいつ何も食ってないだろうから、って。つい買っちゃったMAXの分の朝メシだってさ〉



キュヒョンはそう言いながら、コンビニの袋を僕の膝に乗せた



ユノヒョン…バカだよ、ほんとに



僕…あなたの前から走って逃げたじゃない
あなたも、それを追って僕がタクシーに乗り込んだの見たじゃない



それなのに…
僕の分の朝ごはん買うなんて…



サンドウィッチって
こんなにしょっぱかった?



ユノ…ユノ…
あなたがせっかく買ってくれた〈具材たっぷり三種の贅沢サンド〉は



全部、僕の涙味になっちゃったよ






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耽溺 24
2016-01-17 Sun 18:00


このお話はフィクションです

二人のキャラが若干崩壊しています
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side MAX




『おまえ一人じゃ行かせられないから俺も行く』



僕のキスマークだらけになった白い胸はファスナーを閉じたパーカーの下に隠され



ユノはそう言いながらコートを引っ掛ける



そして僕にも
ユノの匂いの付いたダウンジャケットを羽織らせてくれたんだ



だから…
ダメだっていうのに



あなたのそんな優しさが
僕にはむしろ毒になっているのかもしれない



もうこれ以上ないくらい
あなたに夢中になってるのに



そんなことされちゃうと
もっともっと限界まで好きになっちゃうよ



ダメじゃん、ユノ
僕に捕まって『ひどい目』にあったんでしょう?



優しくするんじゃなくて
もっと突き放さなきゃ…ダメじゃん…



僕はそんなことを考えながら
羽織らせてくれたダウンジャケットに袖を通す



ユノヒョンは財布を持ちながら、僕を振り返り
ダウンジャケットのフードを僕に被せた



『おまえこれ被っとけよ、顔少しでも隠せるから』



ヤメテ
なんだよ、もう…



なんかもう…すごく悔しくなってきた



今までユノヒョンと付き合った女の子は
この人のこんな優しさを受け続けたの?



見たことも聞いたこともないユノヒョンの過去に
僕は猛烈に嫉妬した



玄関でしゃがんでスニーカーの紐を結ぶユノ



『あ、キーケース置いてきちゃった。MAX、そこにさ予備の鍵が置いてあるから取って』



ユノヒョンの顎先で示された場所から指示通り鍵を持ち、玄関を出たユノヒョンに続き僕が鍵をかけ、彼に手渡す



ふふ
なんかすっかり阿吽の呼吸って感じ



黙ってエレベーターに乗りこみ壁にもたれた



次の階で他の人が乗ってきた時
横で壁にもたれていたユノヒョンは右手で僕の頭を下げさせ、僕の斜め前に自分の体をずらした



そう
まるで僕の壁になるように…



ヤメテ
なんなの、それ…



そんなかっこいいコトするなんてズルイ



僕…本気で勘違いしちゃいそうだよ



だって
それじゃあまるっきり
僕を守ってくれてる仕草にしか見えないよ…



ダメだ…



僕…



ダメだ……



エレベーターが1階に着く
同乗してた人が降りたあと、ユノヒョンが降りる



「ごめん…僕…帰る!」



そう言い捨てて、僕は猛烈な勢いでダッシュする
向かおうとしてたコンビニと、とにかく逆に走って運よくタクシーを見つけた



ユノヒョンが…



僕を追いかけてきてくれた姿が



タクシーのサイドミラーに映る



その姿は
どんどんぼやけていって
僕の目からは…涙がこぼれ落ちた



ごめん



ごめんなさい、ユノヒョン



僕は
あなたを好きになり過ぎちゃったみたい



ダメなんだ
こんなのはダメだ



僕は
これ以上ないくらいユノに本気みたい



だから…怖いんだ
あなたに夢中になり過ぎて…



あなたに嫌われるのが
怖いんだ



ごめんなさい



ズルイのは
僕の方だったんだ





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耽溺 23
2016-01-16 Sat 18:00


このお話はフィクションです

二人のキャラが若干崩壊しています
ご承知おきください




side MAX




うふふ



ユノヒョンったら
なんだかんだ言いつつも



すっかり僕のペースに馴染んじゃってる



キュヒョンがあの同僚の人に聞いたところによると、ユノって生真面目なだけで面白い事があっても滅多に騒がないって言ってたのに



朝っぱらから
ベッドの上で僕とはしゃいでる



僕としては
はしゃいでる、じゃなくて
いちゃいちゃしてる、と言いたいところだけどね



僕にキスされて
びっくりしてまん丸になるその漆黒の瞳が



僕にアレを咥えられて慌ててキックする筋肉のついた脚が



『ヤメロってば!!』って叫ぶその唇が



まだそこに、何の感情が入っていなくても
僕のために動いてるって思うだけでけっこう嬉しい



僕って…案外マゾだったりする?



こんな早い時間に起きてることなんて
いつ以来かすら思い出せないくらい、久々だけど



昨夜もバラエティ番組の収録が押して
ほとんど睡眠時間を取れなかったけれど



ユノと同じ匂いに包まれ
ユノと迎えたこんな朝が
すごく心地いい



『あーークソ!!もう疲れた!!』



僕と組んず解れつの闘いを繰り広げていたユノヒョンは、そう言ってベッドに大の字になる



僕もそれにならい、隣に大の字になるも



部屋目一杯の大きさのベッドでも、僕も大きいし彼も大きいから僕の手足はユノの上に重なって



ユノヒョンの口から『グェッ』という声が聞こえ、続けて『腹減ったなー』という声がした



僕はユノヒョンの方に体を向けて尋ねる



「朝ごはん食べる?」


『食べたいけど夕べ冷蔵庫見たら何もねーんだよ』


「じゃあダメじゃない」


『そもそも先週の休みにお前に捕まってひどい目にあったから買い物行けなかったんだって!』



ひどいなぁ
僕はユノを『ひどい目』になんか合わせたつもりないのに…



まだまだユノヒョンにとって僕の行動は
迷惑以外の何物でもないのかな…



ユノヒョンに関しては、ずっとポジティブになれていた僕だけど



寝不足のせいか、ちょっとマイナス思考に戻る



はぁ…やっぱりユノヒョンは僕のこと…



って、ダメだって
まだ始まったばかりなんだから



僕は急いで起き上がり、気持ちを入れ替えるため髪をくしゃくしゃってする
…いつもの僕にならなきゃ



「ユノヒョン!!昨夜車から降ろしてもらったところにコンビニあったから僕なんか買ってくるよ!」



僕は起き上がり、ユノヒョンに言う
ユノは慌てて『ダメだってばっ!』と言った



「なんで?」


『なんでもくそもないって、おまえを外に一人で出せないってば』



うふふ



何だかそのセリフ、僕のテンションが落ちたのを見計らって言ってくれたみたいに感じちゃう



僕が芸能人だからっていう理由で、そう言ってくれてるんだろうけど



何だか心配されてる感じで…グッときちゃう



やっぱり僕
ユノが好き



ベッドに起き上がってるユノに、もう一度飛びついていっぱいキスしたいけど今はガマンするよ



「平気だよ。だって見て?こんなスウェット上下で髪はボサボサで、ちょっとヒゲ伸びててさ。僕だってわかんないでしょ?」


『おまえ!!こんなスウェットって、それ俺が貸してやったやつだぞ!しかもヨダレまで拭きやがって!』



僕の肩を掴んで、ガクガクと揺する
そんなことでぷりぷり怒る姿も何だか可愛い



ユノはベッドから起き上がって、僕がベッドに潜り込んだ時に全開にしちゃったパーカーのファスナーを閉めようとする



『おまえ!なんだコレは!!どんだけキスマークつけたんだ!』



バレちゃった…



「それくらいいいじゃない!寝込み襲うどころか、大人しく一緒に寝ただけなんだから」



僕も負けじと言い返す
僕なりの理屈で、ユノにキスマークを付けていいっていう理由にはちっともなってないんだけど



『それもそうだな…じゃあ仕方ない』



うふふ
ユノったら



僕にキスマークだらけにされたのに『仕方ない』だって…



もう…なんなんだよ、ホント
ただの天然?それとも意図的?



僕がユノヒョンを振り回してるつもりだったけど



そんな純粋なあなたの方に
実は僕の方が振り回されてるのかもしれないって



何だか、そう思ったんだ



ユノヒョン
どんだけ僕を夢中にさせたら気がすむの?




けっこうヤバいかも





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耽溺 22
2016-01-15 Fri 18:00


このお話はフィクションです

二人のキャラが若干崩壊しています
ご承知おきください





何日ぶりだろう



無機質な目覚まし時計の音ではなく、窓から射し込む柔らかい光で目が覚めた



俺の…ゆっくり覚醒してくる脳が
いつまで経っても目の前の現実を受け入れられずにいた



俺の腕の中で眠るのは



俺のスウェットを着て
俺のシャンプーの匂いをさせた
MAXだった



そして俺は…
そのMAXをしっかり抱きしめた姿だったんだ



パッと頭に血が巡り、現実が頭に入ってくる
でもこれで俺が急に動いたら、こいつも目を覚ましちゃうだろう



枕元の時計は、まだ6時だ



芸能人の生活スタイルは知らないけど、おそらくこいつにとってはまだまだ起きる時間じゃないはず



と言いつつ俺も休みだし、ゆっくり寝ていてもいいんだけど



ちょっと…この体勢に抵抗が…



だってさ、俺ったらまるで愛おしいものを包み込むような感じで、MAXをしっかり抱きしめてるんだ



それに合わせるかのように
腕を丸めている事で出来た俺の胸のくぼみに、ちょうどよく収まっているこいつの顔があって



何ていうか…



ちょっと…ラブラブすぎる雰囲気で
俺にはどうにもこうにも受け入れられない寝姿なんだもん



とりあえずまずはMAXの下敷きになっている右腕を抜こう



俺は数ミリずつ自分の腕を動かすという地道な作業を繰り返す。しかし、少しずつ動いたせいか急に腕が痺れて全く動かせなくなった



「う…ん」



はっ!MAXが起きちゃう?
俺の胸のところで顔が動いた



昨夜風呂上がりにこいつの突撃をくらったせいで素肌にパーカーを羽織っただけだったから、結局そのまま前を閉めて過ごしてた



MAXが開けたんだな…
閉めたはずのファスナーが全開になってる



その素肌に顔を押し付けていて動くから
ものすごくくすぐったい



腕は痺れてるし
胸はくすぐったいし…なんという拷問だろう



でも…なんだろう



なんか不思議な気持ちがした



MAXの体温だけじゃない温もりが
俺の胸に伝わってきて…心がふわふわした



俺…もしかしたらこいつのコト…






「ジュルッ…」



ジュルッ?



うおーーー!!こいつったら!!
よだれ垂らしやがったぁぁ



『起きろ!!このヤロウ!俺にヨダレなんか垂らしやがって!!』



寝かせておいてやろうという俺の優しさは
超イケメンスーパースターMAXの
ありえないヨダレによって吹き飛んだ



「ん~~ …あ、ユノぉ。おはよ♡」



MAXは俺にガクガクと揺すられ目を覚ます
そして朝っぱらからハートマークを飛ばしながら、俺にキスしてきやがった



『バカ!ヤメロって!おまえヨダレ垂らしながら俺にキスなんかすんなよ!!』


「えぇ~、ヨダレ?あ、ほんとだゴメン」



おい…
俺のスウェットの袖で拭きやがったな



「よーし拭いたよ、ちゃんと。じゃあ改めて」



うギャァぁ!!
拭けばいいっていう、そういう問題じゃないってのに!



右腕が痺れて動かず、俺は左手だけで防戦するも
細そうに見えてかなり見事な筋肉がついたMAXは意外にも力が強く



俺はあえなくMAXの下敷きになり
やつのキスの餌食となった



「ハイ、朝の挨拶が終了しました。じゃあこっちにも朝の挨拶を」



俺の想像のはるか右斜め上をいくMAXは、素早い身のこなしで布団に潜っていく



そしてあろうことか
朝の生理現象で半勃ち状態だった俺の息子に



しっかりと朝の挨拶をしやがった



幸い俺の両足はしっかり動くから、MAXを足で遠ざけることに無事成功する



俺に蹴飛ばされてベッドから転がり落ちるMAX
それなのにやつは全くめげることなく、再びベッドに飛び込んできた



何やってんだ俺ったら
…っていうか俺達ったら!



せっかくの休みだっていうのに
なんで早朝からベッドの上で組んず解れつの闘いを繰り広げてるんだってば!!



でもけっこう楽しんじゃってる俺もいて



そんな自分の姿が



完全にMAXの思い通りになってきてるって
今更だけど気がついたんだ





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耽溺 21
2016-01-14 Thu 18:00


このお話はフィクションです

二人のキャラが若干崩壊しています
ご承知おきください





とにかく今日も
まず腹を満たすことを優先しよう



食に対してそんな積極的じゃない方なのに
なぜかMAXがいる時は食欲に忠実になる俺



自衛本能が他の〈欲〉へ意識が向かわない様にしてるんじゃないかと思うんだ…特に性欲にな



俺から嬉しそうにビールを受け取り「いただきま~す」とゴクゴク喉を鳴らすMAX



やつがポンポンと示していた場所に素直に腰をおろし俺もビールを開けた



MAXが買ってきてくれたチキンを頬張る
色んな店があるんだけど、俺はここの店のチキンが格段に好物だ



あっという間にビールを空にした様子のやつのために、また仕方なく冷蔵庫に取りに行く俺はもうすっかりこの男に手懐けられてるんだろうか



「うふふ、ユノヒョン優しいな~だから僕はユノが好き~」



チッ…恥ずかしげもなく好きだとか言いやがって
こっちが恥ずかしくなるわ



『そうかよ』



俺はわざと無愛想に言って、再び座る



MAXは嬉々として2本目のビールを開けて、今度はこの間の様に俺の腕と足に自分の腕と足を絡める



今回は俺の左手が空くように、始めからちゃんと自分が右側に座っていやがった…



なんだよ、もう…
そういうのって…俺意識しちゃうんだけど



そりゃあ人間、誰しも
ここまで露骨に愛情を表現されたら多少なりとも情が湧くんじゃないかな



俺の意識も…そういう感じだと思うんだけど
違うのかな



俺は頭をふるふる振って、深く考えたら危険な内容だと思われる事案から逃れようとし、ひたすらチキンを食べる事に専念した



満腹になると
人間っていうのは違う〈欲〉が湧いてくるもんだ



おまけに飲めない俺がビールなんか飲んじゃって、ますますその欲に拍車をかけて



って…こいついつまで居るんだ
もうすっかり夜も更けてきたっていうのに



『あのさ…』


「ユノヒョン、僕シャワー浴びたい」


『はぁぁ?!』


「なんで?ユノはそんなにガマン出来ないの?」



おまえ…どこでどうやったら今の数秒の会話でそこに行き着くんだ



『おまえ帰んないの?』


「なんで?」



その返事もおかしいってば…
どうなってんだ、こいつの頭の中は



『まさか、俺んちに泊まっていく気?』


「そうだけど。ダメ?もうマネージャーに明日の昼迎えに来てって言っちゃったもん」



もん?もんってなんだよっっ!
しかも可愛らしく頬っぺたを膨らますんじゃねえ!



『なんでおまえの予定に俺の予定が組み込まれてんだよっ』


「だってユノヒョン明日お休みでしょう?職場の人に確認したんだけど。ユノの好物も教えてくれたんだよ~あの人いい人だね」



ドンへ……あのヤロウ!!



何に釣られて俺を売り渡したんだ!!
あのマネージャーだな…さては



数年来の友情はMAXとその手下によっていとも簡単に売買成立してしまったらしい



ギリギリと歯嚙みをする俺をよそに、MAXは立ち上がって部屋をうろうろし始める



あいつの家と違って俺んちをうろうろした所で目的の場所などあっさり見つかるだろう



「あ、ココだ~。じゃあユノ、なんか着替え貸してね。下着は新しいのがいい。ユノと同じサイズだから大丈夫」



MAXは勝手に言いたい事を言って、バスルームに消えていく



何が大丈夫なんだよっ!!ホントに!!
俺は全然大丈夫じゃねーんだってば



そう言いつつも、仕方なく動き始めてしまう自分が悲しい。クロゼットからスウェットと新品の下着を用意して持って行ったら



「ユノヒョンも一緒に浴びる~?」



っていう声とともにドアが開いてMAXが顔をのぞかせる



俺は声にならない叫び声をあげながら下着とバスタオルを扉に投げつけてさっさとバスルームを出た



ああ…俺はいったい何でMAXに気に入られちゃったんだろ



そもそもあの夜、あんなことになった事が悪夢の始まりだったんだ



そんな事を考えつつも
猛烈な睡魔が俺に襲いかかり、よろよろと寝室へ向かう



あの夜
結局俺は、MAXと最後までシちゃったんだろうか



……眠い



答えが見つからないものの、猛烈な眠気に負けてベッドに潜り込んだ



ん……



スゴクアッタカイ



イイニオイ



ん……



ナンカシアワセ



……



「ユノ……アイシテル……」



風呂から出てきて、嗅ぎ慣れた俺のボディシャンプーの香りになったMAXに包まれて



俺は…ゆっくりと
深い眠りにおちていった





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