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華筏《祝宴篇》
2016-04-28 Thu 20:00


大好きな2人をモチーフにしたお話です





「ユノにお願いがあります」



夕食を済ませた後
チャンミンの好きなワインで杯を重ねていた時に突然言われた



優雅という言葉はこの男のためにあるのでは…
そう思わせるほどの美しい仕草でグラスを置き、俺の手を握る



彼と一緒に暮らし始めて半年が経とうというのに
そんな彼の動きに、まだ俺の心臓は鼓動を速める



「明日の休みなんですけど…一日僕にくれませんか?」



…何を言うのかと思ったら
改まって言うようなことか?



俺の全てはもう、おまえのものだっていうのに



すでに底が見えてきたワインの瓶
その酔いのせいか、いつもの穏やかな微笑みが少しずつ妖艶さを纏い出す



そんな表情で小首を傾げられたら
たとえ予定がびっしりだったとしても、その予定を全部キャンセルするだろう



俺はそれくらい
おまえの全てに支配されているんだ



ほんのり色づいた目のふちに堪らず唇をつける
チャンミンは目を閉じて俺の口づけを静かに受け、その長い腕を俺の首に絡ませた



チャンミンの顔を挟み込み、目のふちだけでなく鼻の頭や頬、そして髪を撫であげて額に唇を落とす



『明日の俺の一日だけじゃなく、365日間全てチャンミンのものだってば』



自分でもちょっとクサイかなと思いつつも
彼へ捧げる愛の言葉はこれでも足りないくらいだ



「ユノ…ありがとう…。僕も同じですよ、と言いたいところですが僕は364日にしておきます」



『…その一日は誰のものだよ』



たった一日でも他の誰かに…そう思うと胸がざわつく



「ふふふ…そんな風にヤキモチを妬かれるのも悪くないですね」



チャンミンは口元に手を添え優雅に笑ってから、尖らせていた俺の唇にその手を移した



「実は明日、姉の誕生日なんです」



お姉さん…ユキさんの誕生日…



ユキさんは母親が違う年の離れたチャンミンの姉で、母親を亡くしたチャンミンの良き理解者となり彼を支えてきた



チャンミンに恋をした俺を応援してくれて、背中を押してくれた人でもある
以前は画廊のオーナーをしていたが、今は父親が設立した財団法人の理事をしている



愛情をかけられなかったチャンミンと彼の母親への償いは、いまやソウル最大の美術館とそこに飾られる美術品となって



ユキさんはそこの館長を務めている



そう、そしてチャンミンとの事を彼の父親に認めてもらった俺もその財団法人で働いているんだ



『ユキさんの誕生日か…明日がそうなのか?』


「ええ。ですから明日ここに招待して姉のお祝いをしたいと思ってるんです」


『365日のうちの一日は、俺じゃなくユキさんのものか…じゃあ仕方ないな』



俺はそう言ってソファーに倒れこむ
ユキさんのためだ…俺のチャンミンだけど、その一日は譲らなきゃいけないな



「ユノ…ありがとう。明日は従兄弟も招いて、僕も一緒に料理の腕を振るいますから、ね?」



チャンミンはそう言ってソファーにもたれる俺に重なりゆっくりと口づけた



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



翌日



レストランをやっているチャンミンの従兄弟のイトゥクと朝から買出しに出かけた
彼もまた、画家なのに色を失ってしまったチャンミンを死ぬ気で支えた一人だ



案の定俺は二人の荷物持ちにさせられる
ぶつぶつ文句を言いながら二人の後を歩く



「ごめんね、ユノ…今日のお礼はユノの大好きな苺のデザートをヒョンに頼むから」



そんなことで思い切り笑顔になる俺は、やっぱりチャンミンの思うツボなのかな
まあ、旦那が奥さんに尻に敷かれる家の方が上手くいくってよくいうし、それでいいんだ



家に戻るとチャンミンとイトゥクは料理の準備でキッチンに入りっぱなしになって、俺は部屋の準備を任された



誕生日パーティーなんて久しぶりだな
ユキさんへの感謝の思いを飾り付けで表したいと思って、俺はチャンミンたちが材料を選んでいる時に一人でバラエティショップに行ってきたんだ



慣れない掃除をやり終え、俺は黙々と部屋を飾り付けていく



『はぁー!終わった、完成完成!!』



部屋に座り込んでそう言ったところに、チャンミンたちが料理を運んできて何故か二人で固まっている



部屋を見渡して目が点になるチャンミン
そして笑い出したイトゥク



『なんだよ?』



俺がそう言うとチャンミンも吹き出した
どうにもこうにも何故二人に笑われるのかわかんない



「ユノ…こんなすごい事になってるとは思いませんでしたよ。賑やかでいいですね」



くすくす笑いながら言うチャンミン
…そっか、俺は誕生日パーティーっていうことばっかり考えてて、ユキさんの雰囲気も年齢も気にしてなかったな



物腰が柔らかく落ち着いた雰囲気のユキさんの誕生日パーティーなのに、俺はでかでかとしたバルーンをあちこちに飾っちゃった



《いや~むしろ喜ぶぞ、こんな風に祝われたこと無いだろうからな!》



そう言ったイトゥクが、駅に着いたというユキさんを迎えに出る



俺はその間、バラエティショップで買ってきたコーンハットをチャンミンに手渡した



「こういうのかぶるのは始めてですよ…」
チャンミンは苦笑しながらも、俺と色違いのハットをかぶってくれた



イトゥクにエスコートされてリビングに入ってくるユキさん



あまりにも派手な飾り付けに目を白黒させて、俺たちの「Happy Birthday!!」という掛け声とともに放たれたクラッカーの音にさらにびっくりしていた



それでも、すぐに満面の笑みを浮かべてくれる



美術館で顔を合わすユキさんはいつも物静かで
チャンミンとよく似た穏やかな微笑みを浮かべているけれど、仕事で重大な職務に就いている彼女が笑っている姿を見た事がない



だから、こんな風に思い切り笑顔になる彼女を見られて良かった



「姉さん…おめでとう。これからもずっと、僕の最愛の人でいてくださいね」



そう言って大きな花束を渡すチャンミン
抱えきれない大きさの花束に埋もれながらユキさんは言った



〈あなたの最愛の人はこの人でしょう?私はその次でいいわ〉



花束の中の一本を抜き出してユキさんは俺に渡し、ウインクをした



頬を赤らめるチャンミンと俺



《今日の主役はおまえたちじゃないんだぞ》
とイトゥクが笑いながらユキさんを席に案内する



俺も赤くなった顔を隠しながらチャンミンをその隣にエスコートして座らせた



「誕生日おめでとう!」
シャンパングラスをユキさんに掲げて
俺たちの賑やかな宴は始まった





紫苑様

お誕生日おめでとうございます
貴女のこれからの毎日が幸多きことをお祈りいたします





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華筏《特別篇 -後-》
2016-02-25 Thu 18:00


大好きな2人をモチーフにしたお話です





どれくらい時間が経ったのだろうか



コンコン…



コンコン…



チャンミンが来てるのは分かってるけど
布団を頭から思い切り被って無視を決め込む



俺だって怒る時もあるんだ



今まではチャンミンが何をしたって頭にくることなんか無かったけれど



いや…
確か前にも



『チャンミンはいつも澄ました顔してさ、俺ばっかり好きみたいでイヤだ』



なんて言ったことがあった



その時も今日も
チャンミンのことを好きだっていう想いが空回りして、1人で勝手に怒ってるだけなんだ



俺の方が年上だっていうのに
ちょっと恥ずかしいな…



「ユノ…入りますよ?」



そう言ってドアが開いた音が聞こえる



「すぐに追いかけようと思ったのですが…せっかくあなたが淹れてくれたコーヒーを無駄にするのが嫌だったので」



チャンミンはまたそんな余裕を見せ、俺が寝ている方に腰掛けた



彼の体重がかかって軋む反対の方へ、俺は寝返りをうってチャンミンに背を向ける



「ユノ…僕が嫌いになりましたか?僕が細かいことを言うから?それとも……」



チャンミンはそう言いかけて
布団をめくり、目をぎゅっと閉じている俺に顔を近づけてきた



チャンミンの体温が
触れていないのに伝わってくる……



そう思った瞬間
コーヒーの香りを残した唇が落ちてきた



「おはようのキスを僕がしなかったから怒った?」



俺の頬を温かい両手で挟んで…そのまま指で穏やかに撫でる



きっとチャンミンは今
俺の好きなあの美しい微笑を浮かべているのだろう



何をしても何を言っても
そんな余裕がある雰囲気に…
ちょっとムカッとしてしまう俺



何だか俺の方が
ずっとずっと、彼よりも幼稚だ



結局俺…どうしたいんだろうな



チャンミンが好きで堪らないんだ
それは紛いもない事実で



チャンミンみたいに余裕がなくて
1人で焦ってるだけなのは百も承知だけど



そういえば…
学生時代の性格調査で〈奉仕の心〉が異様に低かった事を、ふと思い出す



そのくせボランティア委員会に属してたっていうオチがあるんだけど



一方的に尽くしてる感じが嫌なんだろうか



そんなことはないな
俺は、チャンミンに自分の生涯を捧げるとあの時誓った



その気持ちに何ら変わりはないんだし



結局のところ
チャンミンが言ったように



俺のせっかくの休みの日だっていうのに
朝起きて、おはようのキスもしないでチャンミンがアトリエに向かったことに小さく怒ってただけ



チャンミンの役に立ちたいのに
こんな子供じみた我儘で邪魔してる自分が情けない



「ユノ…僕はあなたが居なかったら生きていけないとわかっていますか?」



俺がさっき思ってた様な事と同じ事を言うチャンミン



おまえが居なかったら生きていけないのは俺の方だよ



「もう…休みの日は一日中パジャマ姿で居ても怒りませんから…ね?」



え?いいの?
そう思った俺は、ようやく彼の方に身体を向ける



チャンミン…



なんだよ…そんなのずるい



アトリエで見た彼はトレーナーにジーンズを履いて、作業用のエプロンをしてたはずなのに



いつの間にか
お揃いのシルクのパジャマ姿になっていた



俺がむくれたことに合わせて
…わざわざ着替えて来たんだろう



「ユノ…僕もあなたの休みには、こうしてパジャマ姿で居ますから…ね?」



チャンミン…チャンミン…
やっぱり俺は、おまえの手のひらの上で転がされてるのかもしれないな



チャンミンの膝の上に頭を動かす



黙ったまま
チャンミンの腿に顔を擦り付ける俺は



子供じみた、というよりも
丸っきり我儘な子供だ



俺の頭を優しく撫で続けるチャンミン
その手のひらから伝わる彼の想いに…



些細なことで
彼の手を休ませてしまった自分を悔いる



でも
今日は、このままチャンミンに甘えよう
ずるいけど…たまには許してもらえるよな



「ユノ…まだ怒っていますか?」



そう言って、俺の顔を覗き込むチャンミンの手をそのまま引っ張り、自分の胸に引き込む



『怒ってないけど…今日はチャンミンに甘えようって決めたから。もう一回朝起きるところからやり直し』



我儘な子供になったまま自分勝手に取り決めて
布団の中でチャンミンを抱きしめた



「ふふ……仕方ないですね。僕にいきなり大きな赤ちゃんが出来たみたいです」



身体は俺が
腕の中にしっかりと抱きしめているけれど



気持ちは俺の方が
そんなチャンミンの愛にしっかり抱きしめられてるんだ



自分の我儘で始まったこの時間を
ゆっくりと満喫しようと思った



もう一度
ふたりで眠って



もう一度
ふたりで目覚めよう



……たまにはチャンミンに
こんな感じでワガママ言っちゃおうと



彼には内緒で、こっそり決意した俺だった






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華筏《特別篇 -前-》
2016-02-24 Wed 18:00


大好きな2人をモチーフにしたお話です






大きな窓から差し込む朝日が
自然の目覚まし時計となって、俺を眠りから覚まさせる



今日は休みだから
無機質な機械の目覚めから逃れたくて、アラームを昨夜のうちに切っておいたんだ



まだ雪が残りつつも、陽のあたる場所の穏やかな温もりに春の訪れを感じる様になったこの頃は
朝日が昇るのも早くなった様で



時計に目をやると、まだ6時を少し回ったところだった



いつものように、隣に手を伸ばす
そこに居るはずの温もりがなくて、俺の手が空を切った



チャンミン?



シーツを這う手に伝わる冷たさが
そこに居るはずだった人が、かなり前からいない事を教えてくれて



俺は慌ててベッドから抜け出した



俺の愛しい人は、絵を描いている



彼の作品は
水の美しい碧さに浮かぶ色鮮やかな花弁達の饗宴を描いた独特なものだ



それは…咲き誇る美しい花々ではなく、散っていったもの達だということを忘れさせるほどの艶やかさで



彼の美しい姿を象徴する様なその絵画に惹かれた俺は、描いた人の虜にもなって



今、こうして一緒に暮らしている



絵を描くときのチャンミンは
自分の描きたくなったタイミングでアトリエに向かうから、今朝もそうだったと直感して



俺は、キッチンで急いでコーヒーを淹れる



「パジャマ姿でうろうろしないでってあれ程言ってるのに、あなたっていう人は…」



そう言って、手を口元に添えて美しく微笑む彼が目に浮かぶ



寝起きで少し靄がかかっていた頭にも
コーヒーの香りがスッと入り込んでくれて



こんな些細なことも、休みの日のこれ以上ない朝のひと時を演出してくれた



アトリエをノックすると
中から「どうぞ」と声がした
やっぱりここに居た…



『おはよう、チャンミン。コーヒー淹れてきたよ』


「もう僕の人生になくてはならない人ですね、あなたは…飲みたいと思ったらあなたと共にコーヒーが現れるんです」



そんなこと…今更言うようなことかよ
もうとっくにそうだと思ってた自分が、ちょっとこっぱずかしい



それにさ
コーヒーと同じ扱いかっていう話だ



「パジャマ姿でうろうろしないでって言ってるのに…ユノは、ほんとに…」



そして、そう言われるのも予想してたけど
なんか、嫌だ…



『何だよ!チャンミンは俺の気持ちも知らないで!!』



急にそんなことを言われて
きっとチャンミンは、何のことやらさっぱりっていう顔をしていたと思うけど



言った本人も何で急に腹が立ったのか、さっぱりわかんないんだけど



俺はコーヒーだけ置いて踵を返し部屋を出た



子供が駄々を捏ねてるみたいだって自分でも思う
ほんと…情けないな



俺はさ…俺なりにチャンミンのことを思って
起きてすぐ着替える間もなくキッチンに直行した



好きでパジャマ姿でうろうろしてたわけじゃないし、コーヒーと同じにされたから
理由は完全にお子様チックだけど…面白くない



俺の気持ちを知らないでさ、チャンミンは……





チャンミンの
見惚れるくらい綺麗な鳶色の瞳は色を映さない



俺は、それを知ってから
彼の〈色〉になった



色の種類や名前も勉強した
彼が絵を描くときは、極力チャンミンの隣に居るようにしている



絵の具を取り出し、彼が頭に思い描いている色を忠実に再現したいと思って努力してる



チャンミンを愛しているから…



彼の描く絵画も愛しているけれど
絵画を見られなくても生きていける



でも、俺は
チャンミンが居なかったら生きていけない



彼が生きてゆく上で絵を描くことに情熱を注いでいるから、それを支えたくてやっていることだ



彼のタイミングを見計らって動くのは難しいけれど、チャンミンの思うような作品を作れる環境を作るように努力してつもりで



なんか
俺ばっかりが



チャンミンをすごくすごく好きで尽くしてるみたいで……子供じみてるけどすごく頭にくる



〈すごく〉ばっかりで相変わらず語彙に乏しい自分にも腹がたつし



チャンミンはなぜかいつも余裕があって…
それもなんか悔しいし



俺は1人勝手に腹を立てたまま
寝室に戻ってベッドに潜り込んだ



せっかくの休みだけど
このまま二度寝することに決めて目を瞑った





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華筏 あとがきと新作のお知らせ
2015-11-12 Thu 18:30



親愛なる皆様


いつもお運び頂き、ありがとうございます

また、温かい励ましのお言葉や拍手、そしてランキングでの応援を頂いて、大変心強く嬉しく思っております

心より御礼申し上げます




この度「華筏」の連載が無事終了いたしました


私にとって初めの事だらけで、お見苦しい点も多々あったと思いますが、最後まで応援して頂き、本当にありがとうございました


華筏というタイトルは、画家モネの描く作品と私のタイトル画をいつも手掛けてくださっているAli様の作品からインスピレーションを得ました


美しく儚くもあり、妖艶な魔性の魅力を持つチャンミンを表現出来ていたでしょうか?
私自身、作中で最も意識して表現したのですが…何分にも文才に乏しく、苦労いたしました


また、チャンミンが作中で描く作品は、モネの「睡蓮」と「モネの家の庭、アイリス」という作品を合わせたイメージで表現しております


色覚を失うという悲劇に見舞われるストーリーで、重要なキーワードである《色》を演出する気持ちで物語中色々なところに日本古来の《色の名前》を使用しております


もしお時間がございましたら、作品内に散りばめた日本古来の美しい色の名前を探してみてくださいね





新作につきまして


作品の舞台を、軍隊にしております
あくまでもフィクションで、実在するものとは一切関係はございません


時節柄、ご気分を害される可能性がございます
苦手だとお感じになられる場合は、回避して頂くことをお勧めいたします


なお、物語はCPミンホでの開始となります
(進行途中で変換期を設ける予定です)


合わせてご注意頂きたく存じます


以上のことをご理解頂いた上で、お付き合い頂ければ幸いでございます





重ね重ね、日頃の応援の感謝を申し上げます


今後ともどうぞよろしくお願いいたします





ゆんちゃすみ







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華筏 37 -最終話-
2015-11-12 Thu 18:00


大好きな2人をモチーフにしたお話です







数日後



俺は会社に辞表を出した
仲間も急な事でびっくりしたが
いち早く動きたいと思ったから



先輩の店で急遽開かれた俺の送別会



先輩には、まずはじめに全てを報告して
話を聞き終えた先輩は、黙って俺の背中を叩いてくれた



〈俺は、ずっとお前とチャンミニを応援するからさ。頑張れよ〉



いつの間にか俺の愛しい人を〈チャンミニ〉なんて呼ぶようになっていたのは癪にさわるが…ソンベはチャンミンの事も可愛がってくれている



俺は
チャンミンの父親が設立した財団法人で働くことになった



ソウル市内に、ひときわ大きい美術館の建設が始まり…理事にはチャンミンの姉、ユキさんが名を連ねた



チャンミンの父親が《私なりの精一杯の愛情をチャンミンに注ぎたい》と言った言葉は



そうした形で実現することになって



チャンミンに生涯を捧げるといった俺にも、財団法人で働く用意をしてくれた



私財を美術品に投じたチャンミンの父親
絵を愛したチャンミンの母親への愛も込められていたんだろう



当然本妻が猛反対したそうだが、チャンミンの父親が自身の愛を犠牲にして築き上げた、絶対的な基盤を揺るがす事は無く



最後は呆気なく引き下がったと、ユキさんに後から聞いた



会社を退職した後
俺はマンション部屋を引き払った



そして、チャンミンの家での新生活をスタートさせたのは、ミレコーポレーションのビル内に新設された財団法人設立準備室に勤務を始めた頃



その間は
有給休暇を使いながら、チャンミンと一緒にアトリエのリフォームをした



チャンミンのイメージした色を聞いて選んだ壁紙を、二人で頑張って張り替えたけれど



不器用な俺が貼った壁紙は、ものの見事に大きくたわんでしまい



結局、絵の具の染み込んだ床の張り替えと合わせて業者を呼ぶ羽目になった



「僕は、こんな壁も嫌いじゃないですけどね」



こんな時まで口元に手を添えて綺麗に笑うチャンミンが悔しくて



糊でベタベタになった手で彼を引き寄せて、生意気な口を塞いでやった



服が糊だらけになったと、叱られたけど



ブツブツ文句を言いながら脱いだのは、鮮やかに色付いた葉が散り、冬へと向かう季節を惜しむかのような鮮やかな紅葉色のセーター



俺は更に怒られるのを覚悟しつつ、そんな彼を抱き上げて寝室に運んだ…




----*----*----*----*----*----*----*----*




『チャンミン、コーヒー淹れたよ』



そう声をかけて、アトリエの扉を開ける



「ちょうど飲みたいなと思っていたんです。ありがとう、ユノ」



振り向いたチャンミンの前には
キャンバスに描かれた、美しい華筏



俺はテーブルにコーヒーを置いて、チャンミンを後ろから抱きしめる



「ユノ…ここの色は、あえて純白にしようと思ってるんです」



彼が筆で指したところに描かれていたのは一艘の小舟で



「今までで初めて、花びら以外の対象を入れました。僕の…これからを象徴する記念すべき作品になりそうです」



そう言いながら、抱きしめる俺の手に口づけた



一艘の小舟には



後ろ姿の男と、その男の膝枕でうたた寝するもう一人の男が揺られて



いつか…



俺が夢で見たあの風景が
そこに描かれていた



チャンミンの膝枕でうたた寝する俺の周りには



彼の言葉を聞いて、俺が合わせた絵の具で綺麗に色を咲かせた華筏が



碧い水面で…静かに揺れていた





華筏 –完–





最後までご愛読いただき
ありがとうございました


この後、あとがきを掲載させていただきます
合わせてご覧頂けると嬉しいです


ゆんちゃすみ




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