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情火《特別篇-4-》
2016-02-21 Sun 18:00


このお話はフィクションです

軍隊、及び軍内部につきましては実在の物とは一切関係ありません。ご了承ください

CPはミンホです
R18表現を含みます
ご注意ください




side Y




シム准将によってもたらされる快楽を望んでいる俺と



シム准将をただひたすら愛している俺…



その両方が、彼の分身へ奉仕する俺を作り上げている



だからこそ



俺自身には何の刺激もないというのに
彼の分身に尽くしているだけで
すでに自分のそれも芯を持ちはじめていた



シム准将は
もういい、というふうに俺の頬を指でたたく



はち切れそうなほど漲ったものをそのままにして、彼は俺の身体に残っていた泡をきれいにシャワーで流す



そして俺の手を引いて、広いバスタブに一緒に身体を沈めた



彼の方が細くて軽いから
それまでの立場がすっかり逆転して、俺が准将を抱え込む体勢になり



俺に咥えろ、という勢いだった彼が
今度は俺に耳朶を甘噛みされて頬を染める



〈シム准将〉という男を彼が演じて、強がって生きていると感じた事もあったけれど



それは、大きな誤解だったのかもしれない



シム准将は
軍人である彼の生き様そのものだ



多くの者が平伏すだけの支配力が
彼には備わっている気がする



祖父から父へと受け継がれ、そして彼自身へと受け継がれる、軍をまとめ上げる力を持つ血筋のなせる業だろうか



彼の中で眠っていた
シム・チャンミンという、ただの男としての一面



それが、俺に身体を凭れさせて頬を赤らめる彼なのかもしれない



男としてチェスで勝負を挑み、勝利を勝ち取って
男として彼を抱いた



その時に、彼の中で眠っていたもう1人の男が目を開けたのだったら、それはそれで嬉しいけれど…



俺は
シム・チャンミン准将を愛した
だから、今はまだ
シム准将に与えられる快楽を享受したい



兵役が終わった時
21ヶ月の〈時〉が、どう変えるか今はまだわからないけれど



彼の元から去る時に
その時にもう一度、今度はシム・チャンミンという1人の男と出会いたい



きっとその時、俺は
再び彼に惹かれるはずだ



准将は、もしかしたら
俺が兵役を終える時に俺たちの関係が終わると思っているかもしれないけれど



彼が俺の兵役期間中、自分のそばに置く配置をして俺を手放さない様にしたのと同じく



今度は俺が、准将を離さないと誓おう



訓練所では射撃場の冷たい床に引き倒されて、勢いのままに抱かれ
厳しい暑さの中ランニングする同期を見下ろす様な体勢で真昼間から抱かれた



禁断の愛に溺れてゆく自分のことを
神に懺悔したのは、ついこの間のことだったが



それが今夜は
まるで全てのものに赦され、祝福されている様な甘い2人になって



薔薇の香りのするピンク色の湯が張られたバスタブに身体を沈めただけでなく



今度は、薔薇の花びらが敷き詰められたベッドに身体を沈められた



優雅な動作でベッドに上がったシム准将が、湯上りに着ていたバスローブを脱いで膝立ちで跨がる



俺の体重とシム准将の2人の重みで、薔薇の花びらと共にマットレスが沈みこんで



「こんな柔らかい物の上で、貴様を抱くのは初めてだ…」



手のひらで掬いとった薔薇の花びらを俺の身体に降らせながら、低い声で囁くシム准将



こわいくらい濃い色香を放つ、そんな艶かしい微笑みに見つめられただけで背筋がぞくりとして



恋人になったのだから〈貴様〉はやめろよと自分で言った事も忘れて、胸を高鳴らせて彼の次の動作を待つ俺がいた



「あの時は…場所が場所だったからな。今夜はたっぷり時間をかけて、貴様を抱く」



シム准将はゆっくりと唇を合わせてきた



彼の舌が強引に歯列を割ってきて
俺の舌がそれを自ら迎え入れ、絡めとる



荒々しく口腔内で動き回ったと思えば今度は
唇で俺のそれを弄ぶように甘く挟み込んできて



シム准将の猛々しさと
シム・チャンミンの甘美さの両方を、唇だけで与えられている気持ちになる



彼の舌と、しなやかな指によって
俺の全身に施される愛撫も同じで



胸の突起を指で挟みぐりぐりと捻られたと思えば今度は、柔らかい舌にたっぷりの唾液を含ませながら転がされ



シム准将から直接触られていないのに
はしたなくも、俺の中心は先端が腹につく勢いに反り返り、ふるふると蜜液をこぼし始めていた



彼は指で蜜を絡めとり、隠微な笑みを浮かべながら、飴と鞭という表現が的確に当てはまる様な愛撫を施す



彼が初めに宣言した様に



シム准将は頭の先から足の指の先まで、甘くゆっくりと時間をかけて愛してくれた



訓練所で味わった未知の官能は、まだ入口にしか過ぎなかったようで
それよりもさらに深く濃厚な快楽を与えられる



「貴様を支配しているのが誰なのか、身体中に刻んでやる…」



そんな不遜な台詞すら、俺の耳には媚薬のように作用して



俺の身体に重なったシム准将の角度が変わるごとに俺の全身に電流にも似た刺激が走る



すでに数回欲を吐き出しているにもかかわらず
俺のそこからは色のつかない液が絶え間なく滴り落ちていた



いつの間にか身体を起こされて



見上げていたはずのシム准将の美しい顔が
今度は下から俺を見つめ、俺の身体を突き上げながら言う



「私の全てを…ユノに吸い取られそうだ……」



「貴様」と呼んでいたと思ったら今度は
「ユノ」といきなり名前を呼ぶ



そのことへの恥ずかしさからか
眉間にしわを寄せたシム准将が猛烈に愛おしくて



俺の身体は自然と、彼を快楽へ誘なう様に動いた



シム准将の動きと俺の動きが複雑に重なり
俺の中にいる彼の質感が増したと感じた瞬間



シム准将は、今まで以上にゆっくりと時間をかけて精を吐き出した



『シム准将……』



彼の胸に倒れ込み囁くと



「名前を…呼んでくれないか…?」



と、消え入る様な声で言う愛しい人



「チャンミン……愛してる……」



真紅の薔薇に囲まれて
満足そうに微笑むシム准将は



その薔薇以上に美しい色で
頬を染めていた……




情火 特別篇 -完-



最後までお付き合い下さり
ありがとうございました


ゆんちゃすみ


オ***様

特別篇は楽しんで頂けたでしょうか
情火のふたりを愛してくださり、本当にありがとうございます
本篇連載時に頂いたコメントがとても励みになりました
また、機会があればその後も書きたいなと思っております





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情火《特別篇-3-》
2016-02-20 Sat 18:00


このお話はフィクションです

軍隊、及び軍内部につきましては実在の物とは一切関係ありません。ご了承ください

CPはミンホです
性的表現を含みます
ご注意ください




side C



ボーダーのカットソーに紺色のハーフパンツを着てリビングに入る



私が来る時間を見計らって準備を滞りなく進めてくれたヘオクさんは、さすがだと思った



クーラーが程よく効いたリビングはすぐ食事が出来るようになっていて、私の好きなシャンパンもテーブルの上で冷やされていた



テーブルの上にもオレンジ色の薔薇が活けられていたのは、やはりヘオクさんのロマンチックな気配りだろうか



扉が開いた音がして振り返る
見慣れていた迷彩柄の通常勤務服ではない、普段着を着た彼を初めて見た



いつかパソコンで調べた時に、たくさん出てきた画像を思い出す



少し伸びかけた坊主頭だというだけで
私服姿の彼はただのシンプルなシャツ姿でも、華やかな世界で生きている俳優チョン・ユンホそのもので



自分の知らない、恋人の本当の姿を見た気持ちになり、少しだけ寂しさを覚えた



私は思わず俯いてしまい、自分の気持ちを隠そうとテーブルに着くため彼に背を向ける



『シム准将…なぜ俺の目を見てくれないんですか』



チョン訓練兵に後ろからいきなり抱きしめられた
離そうとしても、彼の腕は余計にきつくなる



『俺にも准将の普段の顔を見せてください。今までずっと、堅い軍服姿しか見られなかったんだから…普段のシム准将が見たいんです』



彼はそう言って、私を無理矢理振り向かせる
服を着ているのに、裸を見られているくらい恥ずかしい



軍人ではない自分の姿を
こうして誰かに見せるのは初めてだから…



『シム准将……』


「何だ、そんな顔で見るな。いいから座るぞ、せっかくの夕食が冷めてしまう」



相変わらず熱の籠った声で私に囁きかけるチョン訓練兵から離れようとして、内側から足を払う



彼の知らない護身術を使って、馬鹿力からようやく逃れた



どうもいけない
彼と居ると、自分のいつものペースが保てないのはなぜか?



私は准将だ…あいつはただの訓練兵だというのに



恋人だからなのか?
それとも私が恋に疎いウブで、あいつが恋愛経験が豊富だからなのか?



癪に触る…



イライラを払拭するべく、冷えたシャンパンの栓を抜く。私の好みを知り尽くしたヘオクさんの最適なチョイスに、少しだけイライラが落ち着いた



私にならい席に着いた彼にもシャンパンを注いでやる



「基礎訓練修了おめでとう。来週からいよいよチョン二等兵だな。儀仗隊でしごいてやるから覚悟しておけ」



精一杯優位に立とうと思い、そう言って杯を掲げる



チョン訓練兵はその杯に自分のグラスを合わせて



『ありがとうございます。あなたの職権乱用によって連れて行かれるのですから…精一杯俺を可愛がってください、准将』



……全然優位に立てないし、この男も全く可愛げがない



私という男が、完全に彼のペースに飲み込まれていく様が急に可笑しく思えてきて



素直になろう…そう思った



久しぶりに食べるヘオクさんの料理に舌鼓をうつ
美食に慣れているであろうチョン訓練兵も、美味しいと絶賛している



料理を作ったヘオクさんの話から私の幼い頃の話になり、さらには彼の芸能界での話を聞いたりして食事の時間は楽しく過ぎていった



夜も更けて
私は後片付けをするから先に入れと、彼をバスルームに押しやる



私はキッチンで片付けをしながら、たった数週間で起きた彼との記憶を辿ってゆく



訓練所の射撃場で銃を撃たせた後に彼を抱き
汗だくになってグラウンドを走る訓練兵達を見下ろしながら、訓練兵の居室で抱いた



その後
チェスの勝負で敗れて、無念にも私が彼に抱かれるという初めての経験をしたのだが…次はあってはならない



あの男は、私のものだ
チョン・ユンホは、私が…シム・チャンミンが抱く



私がいくら恋に疎いウブだとしても
彼の未知の領域を開けたのは、この私なのだから



片付けを終えて、もう一杯シャンパンを呷ってからバスルームに行く



一気に服を脱ぎ捨てて、バスルームのドアを開けた



シャワーを浴びていたチョン訓練兵が驚いて『どうしたんですか?』と問いかける
頭を洗っていたのか、顔に滴る水滴が艶めかしい



「チョン訓練兵…跪け。いや、違うな」



彼の問いかけには答えず、続けた



「ユノ…昼間からずっと私を見ていたのは…私が欲しかったからではないのか?」



そう言って、チョン訓練兵を抱きしめた
彼を名前で呼ぶだけで、甘酸っぱい感覚に脳が麻痺してくる



チョン訓練兵は黙って頷いた
そして、ゆっくりと身体を落としていき私の分身を咥えた



私が彼に植えつけた禁断の快楽がどういうものだったのか…チョン訓練兵の行動が示している



私のものによって
もたらされるはずの快楽を望むが故に…



舌を使い、口で頬張り、指を美しく揃えて
私のものを一心に愛してくる



奉仕させているという気持ちは無い
それは決して慢心ではない



私の心にあるのは



この男に
こんなにも愛されているという思いだけだから





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情火《特別篇-2-》
2016-02-19 Fri 18:00


このお話はフィクションです

軍隊、及び軍内部につきましては実在の物とは一切関係ありません。ご了承ください

CPはミンホです
ご注意ください




side C



一途に意思を表すあの目…



初めて会った日から私の心をかき乱したあの目が
さっきからずっと私を見つめている



私にとってかけがえのない存在を得る事となった今期の訓練兵を送り出す式典で



私の事を見る強い視線を感じた



私の視線も、自然と1人の男に向けられる



チョン・ユンホ訓練兵…



数十名いる訓練兵の中で頭一つ抜け出し
その上、顔が小さいために恐ろしいくらいの頭身バランスで一際目立っている



ふたりの視線が交差して私は自然と口元が綻ぶ



そう
彼は私の恋人だ
〈恋人〉という響きは、何だか面映ゆいのだが…



私は
生まれながらにして軍人になる宿命だった



祖父は先の戦争において国の英雄として名を馳せ
父は軍の最高位である元帥である
そんな血筋の中に私は生を受けた



物心ついた時から、軍人になる事が当たり前という状況下で育った私に、この様な存在が出来るとは露ほども思わなかったが……



はじめに彼の身体を手にしたのは私だというのに
彼はいとも容易く、私の心を奪っていった



私は初めて恋をして、初めて恋人を得たのだ



日陰でじっと座っているだけだというのに、正装である軍服のせいで余計に汗が出てくる



テントの中で式典が早く終わる事をひたすら願う私は、責任者失格かもしれない



茹だるような暑さのせいで訓辞の内容も全く頭に入ってこないが、愛しい男の視線はそれだけで私の身体を疼かせる



式典を締め括る表彰式がようやく始まり、彼も数人いる優秀訓練兵として壇上に呼ばれた



目の前に立つ私の恋人…
初めて会ったその日から、この男を手にすると誓ったあの日から、ひと月が経った



兵役で私の元に来たチョン・ユンホ
彼は21ヶ月の兵役期間を終えれば、私の元から去ってゆくことになるのだ…



だから…チョン訓練兵の本配属先は私の権限を最大限に使って、私が異動する儀仗隊に決定した



いずれ私の元から去ってゆく男…



生まれながらにして軍人である私と彼は
住む世界があまりにも違いすぎる
彼は、華やかな世界にいる男だ



せめて兵役期間だけでも私のそばに置いておきたかった



そんな感傷的な事を思う自分にも驚愕する



基礎訓練修了の証書と賞状を渡して、彼に祝辞を述べた



間近で見たチョン訓練兵のその瞳には
私までも燃えさせるほどの、情火が灯っていた



視線を絡めただけだというのに…それだけで情欲の炎を燃やすとは



彼にそうさせたのが、私が与えた官能によるものだと思うと何とも言えない征服感を覚える



式典が終わり、私は部下のトン中尉に言伝を頼み司令官室で帰り支度をする



修了式を終えた彼を…ささやかに祝いたいと思っていた



軍服のまま兵舎に戻りバッグに荷物を詰め込んでから、久しぶりに愛車の鍵を持ち車へと向かった



車を師団の裏口に回す
この裏口はパク大尉の管理下に置かれていて、しっかりと施錠されている



兵役に就いた者の中には、厳しい訓練に耐えられず脱走を図る者も居るからだ



車のクーラーを効かせ、シートを倒して目を閉じた



しばらくして助手席の窓がノックされる
待ち人が来たようだ



身体を起こして助手席のドアを開けると
式典の最中堂々と上官である私を睨みつけていた男がシートに滑り込む



『シム准将……』



声までも熱を帯びている気がして、背筋がゾクッとした



チョン訓練兵を今すぐにでも抱きしめて、そのぽってりとした唇を塞いでしまいたいが…



夕方でもまだかなり明るく人目がある
伸ばしかけた手をぐっと握ってこらえ、黙って車をスタートさせた



30分程で、車は小高い丘に建つ家に着く
私の祖父がこよなく愛した別荘で、私が士官学校をトップの成績で卒業した時の祝いに譲り受けた



「降りろ」



チョン訓練兵にそう言って自分も荷物を持って車を降りる



夕焼けがあたりを染めてゆく中、車から降りたったチョン訓練兵に夕日がきれいに重なり



すっきりとした彼の面ざしを、夕日の朱が染める美しさに見とれ…今度こそ我慢できずに手が伸びた



彼の身体に手を添えて、口づける
目を閉じてしまうのが惜しくて、私の口づけを静かに受ける彼を一番間近で見つめた



彼を初めて抱いた時も
私はなぜかこんな、愛おしむような口づけをしたことを覚えている



今まで手にした獲物には、性欲を吐き出す行為の過程で口づける事はあっても、ただそれだけだったが



彼への口づけは
唇の感触を愛で、息を感じ、温もりを得る
そういうものだと感じていた



ゆっくりと唇を離し、彼の腰に手を回し建物に案内した



前もって実家の家政婦、ヘオクさんに頼み準備をしてもらってあったから、玄関にまで料理の良い匂いが漂っていた



軍人といえども
せっかくの機会に軍服と迷彩柄の勤務服では、幾ら何でも雰囲気が出ない



チョン訓練兵の手を引いて、2階の部屋に入る



背丈は似たり寄ったりだが、チョン訓練兵の身体はがっしりとして厚みがあるから私の服では無理があると思い、別に服を用意しておいた



「趣味が合わなくとも文句は受け付けんからな。着替えて下に降りてくるように」



薄いブルーのシャツと、オフホワイトのハーフパンツを手渡し部屋を出て、自分の部屋に入った



ヘオクさんがきれいにベッドメイキングをしておいてくれたのだが…ベッドの上に敷き詰められた真紅の薔薇の花びらに驚愕した



私の小さい頃から、病弱だった母以上に私の面倒を見てくれた彼女に「大切な人を連れて行くから」とは頼んだものの…



きっと彼女でも連れてくるんだと思ったんだろう。ヘオクさんのそんな気配りに苦笑した



彼女ではない男の恋人だが
私の…初めての恋人で、そして大切な人だ



ヘオクさんのロマンチックな気配りに甘えて



今夜は
この薔薇の海に彼を沈めよう…





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情火《特別篇-1-》
2016-02-18 Thu 18:00


このお話はフィクションです

軍隊、及び軍内部につきましては実在の物とは一切関係ありません。ご了承ください

CPはミンホです
ご注意ください




side Y



立っているだけで汗が吹き出る様な暑さの中
5週間に及ぶ基礎訓練を無事に修了した



ギラギラとした太陽に照り返されたグラウンドで修了式が執り行われる



修了式には家族や友人、俳優仲間も駆けつけて
久しぶりに会う面々に励まされた



古くからの俳優仲間だった親友には



〈何かおまえ…男っぷりにぐっと磨きがかかったな。軍隊の水が合ったのか?今のおまえだったら、どんな役柄でも出来そうだわ〉



なんて上から目線で言われる



ヤツは売れてない不遇の時期に兵役を済ませたから、今こうやって俺をからかう事が出来て羨ましい



修了式後に1度仲間と会った後、訓練兵は模範訓練兵の表彰式典に臨む



俺の〈男っぷり〉があがった、か……
地面からの照り返しの暑さに顔をしかめながら
俺は言われた言葉を反芻する



目線は自然と…
テントの下から気怠そうな雰囲気で式典を見ていた男に向けられた



シム・チャンミン准将



この訓練所の総責任者だ



正装である濃緑の軍服に、数々の勲章を付け
小さい顔を覆う様に軍帽を目深く被り
長すぎる脚を持て余すように投げ出すその姿…



軍人でありながらも
その風貌はまるで絵画を切り取ったかの様な美しさを讃えている



父親は軍の最高司令官であり
本人もその血筋さながらいくつもの銃の大会で優秀な成績をおさめ、猛スピードで出世したエリートだ



目深く被った軍帽のせいで、彼の特徴である大きく美しい目はここから見えないが



どうやら彼から俺の方は見えているらしく
自分を見ている俺に対して口元を少しだけ綻ばせた気がして



胸がちくりと疼いた



そう
彼は…俺の恋人だ



恋心を通わせたのはついこの間だったから
2人だけがわかるそんな小さな仕草ですら
初恋のように心がときめいてしまう



【クールな恋人】
なんて形容詞をつけられて



女を冷たくあしらう演技をさせたら右に出る男はいないなんて、妙な褒め言葉をもらう俺が



自分にだけわかる恋人の仕草を見て、にやけている顔など絶対周りには見せられないと思い、慌てて表情を引き締めた



男の恋人を生まれて初めて持った俺は
どうやら彼のおかげで〈男っぷり〉が上がったようだ



親友は、まさか軍隊に入った俺が恋人を手にしたとは、これっぽっちも思っていないだろう



アイドルや共演した女優、はたまた海外のモデル等々…噂になった相手は多くいても特定の恋人はここ数年作っていなかった俺が…



その中の、どの女よりも美しい男に堕ちた
しかも今までにないくらい夢中になってるっていうんだから、人生何があるかわかんないもんだ



顔を引き締め、頬を伝う汗を拭いながら
それでもやっぱり視線はテントにいる美しい人を追ってしまう



俺を見つめる時だけに見せる、情欲の炎…情火が灯されるあの美しい瞳は軍帽に隠されたままだが



暑さで渇いているのか、真一文字に結んだ唇を彼の赤い舌が潤すように舐めたのが見えて、思わず生唾を飲み込んだ



今までのそれが子供騙しだと思える、彼との濃密な口づけを思い出す



彼の舌が口腔内を掻き回すように動き回り、そして俺の舌もそんな彼の舌を追い回して、せわしなく絡みついた深い口づけ…



俺の首筋に噛みつきながら欲を放った時に漏れた彼の吐息…



シム准将の口元を見ているだけで、准将への狂おしい想いが込み上げてくる



パク・ジョンス大尉が優秀訓練兵の名前を呼び上げていて、何人目かに自分の名前を呼ばれ慌てて返事をしテントへ向かって走った



不埒な事を考えながら上官をそんな目で見ている自分が、優秀訓練兵として呼ばれたことに何とも言えない気分になる



同性愛ではあるものの、お互い独身だから何の問題も無いのだが



上官と訓練兵の恋という禁忌を犯すものであり
そんな行為をしているという事実が、さらに背徳感を煽ってくる



数名が整列し、シム准将からそれぞれに修了証と賞状が手渡されていく



一番最後に俺の前へ彼が立つ
遠目で見たときは軍帽に隠れていた彼の美しい瞳が、俺の顔を見つめる



俺に賞状を手渡した後、少しだけ顔を近づけるシム准将



「本配属後もしっかりやるように…いろいろと、な」



ちょっと低くて早口気味なシム准将の声が耳に入り、身体が粟立つ



この男によって俺の身体中に刻みこまれた、麻薬のような快楽の所為で…彼の声だけでそんな反応をしてしまう自分が恐ろしい



初めは、彼が今まで手にしてきた玩具と同じだった



しかし初めからシム准将の美貌にのめり込んでいた俺は、甘んじて彼の玩具になりながら反撃の時を静かに待った



反撃の時、というのは穏やかではないな
想いを告げる時、というべきか



シム准将の秘密の行為を知り、その身を案じ支えていた彼の部下に密かに守られながら、俺は彼と想いを通じさせた



チェスの勝負という機会を借りて見事に彼を射止めた訳だが……



基礎訓練を終えた訓練兵は、それぞれ本配置に振り分けられる



シム准将が自身の権限を使って自らが来月異動する儀仗隊へ俺の配属を決めていた



芸能人は芸能兵の扱いは無くなったものの比較的その身を生かせる広報や軍楽隊等へ行く事が多いのだが



「おまえは私のものだ。除隊まで手放すものか」
…そう耳元で囁かれた事を鮮明に覚えている



式典を終え再び家族と合流し束の間の休息を得る
まずはしっかりと基礎訓練を終えた事に両親も安堵の表情を見せていた



〈儀仗隊って聞いたけど、おまえに務まるんだろうか?〉不安そうに言う父



『大丈夫だよ、きっと。兵長に聞いたけれど儀仗隊は軍の花形だっていうし…俺も自分の経験を生かして頑張るさ』



父の背中を叩き、自分にも言い聞かせた



明日から本格的に約1年8か月の兵役期間を迎える
未知の世界だけど…きっと大丈夫



あの男がいれば…俺はきっと大丈夫だ



家族との楽しい食事時間は訓練の経験談を話しているうちにあっという間に過ぎ、与えられた時間が終わりを告げ両親と抱き合って別れた



次に両親と会えるのはいつになるのだろうか…



各自宿舎に戻る
週末は基本的に休みだから、週明けから本配属先の兵舎へ移る予定になっている



宿舎の自分の部屋…といっても8人部屋の2段ベッドのひと区画だけが自分のスペースだけど、そこに戻り新しい兵舎へ移る準備をする



5週間の間、寝起きしたこの小さなベッドともお別れだ



入営する際に持ち込みが許可された少量の荷物と、支給された迷彩柄の通常勤務服等の衣服を一まとめにしている時、肩を叩かれた



振り返るとパク大尉の部下であるトン中尉が、今日も変わらず無表情で立っていた



〈シム准将より言伝がある。今期訓練兵で特段に根性を見せたチョン訓練兵のみ、シム准将が労って下さるそうだ〉



パク大尉とトン中尉は、過去にシム准将が訓練兵にしていた行為を知り、密かに准将の影となって守ってきた



そして、俺とのことで徐々に変わっていくシム准将のために2人の橋渡しをしてくれた人達なんだ



〈荷物は私に預けておけばいい。私もチョン訓練兵と一緒に儀仗隊に移る予定だ。師団の建物の裏口に車が止まっている。そこに行け〉



トン中尉は他の訓練兵に聞こえないよう小声で言うと俺から荷物を奪い取り、代わりに鍵を寄越した



〈万一、他の兵士に咎められることがあれば、パク大尉の指示だと言えばいい〉



そう言い残し足早に去っていく



俺は呆気にとられるも、トン中尉に言われた通りにしようと思った



同室で過ごした仲間一人一人と固く握手を交わし別れを告げ



俺は軍帽を被り部屋を後にした






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情火《番外編・後》
2015-12-23 Wed 18:00


このお話はフィクションです

軍隊、及び軍内部につきましては実在の物とは一切関係ありません。ご了承ください




side a captain Park



シム准将が再来月から指揮を執ることが決まっている我が師団の儀仗隊



その視察と指導を兼ねてシム准将は朝から留守にしていた



私も…シム元帥からの指示で准将と共に異動が決まっている



私はシム准将の影だ
あの方を守るために、どこへでもついていかなければならない



儀仗隊に移っても
彼のあの行為は続けられるのだろうか…



続けられるのであれば私はまた
それを表に出さない様にせねばならない



師団の儀仗隊からシム准将が戻られた旨の連絡が入り、入口で帰りを待つため足を向けた



途中でチョン訓練兵につけていたトン中尉が報告にくる。どうも初めての射撃訓練で散々だった様だ



シム准将が行為の一環で、銃口でも向けたのであろうか…



戻られたシム准将にさりげなくその旨を伝える
珍しく片方の眉が動いた気がした



私は、訓練兵達の本配属先が書かれた一覧表を手渡し、彼の前を退いた



軍務室に戻ると程なくしてトン中尉が入ってきて、シム准将が射撃場にチョン訓練兵を呼び出したと報告を受ける



シム准将は完璧主義者だ



ご自分が責任者である訓練兵に落伍者を出したくないという思いがある。だから私はあえてチョン訓練兵の射撃訓練が思わしくなかった事を伝えた



あそこは、私の許可がなければ立ち入ることが出来ない。トン中尉が入口にいればなお安心だ



チョン訓練兵と接するようになって以来徐々に感じてきたシム准将の変化を、後押ししたい思いがあった



以前ならばこんなことはしなかったのだが…



初めてシム准将が訓練兵の事を抱いている現場を目撃してしまった時、止めに入れば良かったという後悔に襲われた事を思い出す



かれこれ一時間も経っただろうか
射撃場の入口に立たせていたトン中尉が戻ってきた



《シム准将は司令官室に戻られております。チョン訓練兵が出た後、射撃場の施錠をして参りました》



トン中尉はそれだけ言って敬礼し出ていく



シム准将に抱かれたであろうチョン訓練兵が射撃場を出た瞬間、入口にあの無表情さでトン中尉が立っていたら、彼もさぞかし驚いだだろうと少し可笑しくなった



彼女はシム准将と同じ様に、冷徹が売りだ
職務に忠実で、シム准将が何をしているか分かっていても顔色一つ変えない



だからこそ、彼女が笑みを見せて言ったシム准将の《嫉妬》が余計真実だと感じた



私は彼女が出ていった後、司令官室に向かう



いつもの様に司令官室の椅子に深く腰を下ろして腕を組んでいたシム准将の顔に、今まで見たことのない憂いを感じた



男の私ですら言葉が詰まってしまうほどの
艶めかしいツヤを感じた



チョン訓練兵は
やはり今までのシム准将の相手とは違っている事を、准将の表情が表していたんだ



翌日のシム准将は珍しく気が立っていた
前日チョン訓練兵を手に入れたはずなのに、私も書類を投げつけられ追い出された



程なくしてトン中尉が軍務室に入ってきた



《あの様に声を荒げる准将は初めてでした》



そんな彼女の顔にも珍しく笑みが浮かぶ。シム准将の変化を彼女も感じているんだろう



《その後午前中の訓練を免除されているチョン訓練兵の元に行き、部屋にいた彼と関係しましたが…》



トン中尉はそこでまた含み笑いをする



〈シム准将にそんな顔を見られたら、さすがにお前でも首を切られるぞ〉



彼女はシム准将が今までしてきた事を散々見ていたが、こんな風に私に話すことはなく意外に思った



《すみません…シム准将がチョン訓練兵にシャワーを許可したので…何だか変わられたのが嬉しくてつい…失礼しました》



ほう…たしかにそれは彼女が笑みを浮かべるのもわかる気がする。シム准将の優しさを初めて感じた



シム准将は…
チョン訓練兵に心を動かされたんだ



二人の間に何があったのかわからないが、その事だけは間違いなさそうだと思った



私はトン中尉を部屋に残し、仕上がった書類を持って師団の上官の元に向かったが、そこで思いがけない話を聞いた



シム元帥の体調が優れないらしい…



直ぐにでもお伺いしたいが、まずは御子息が先だと訓練所に急ぎ戻る



こんな時もつい回りくどく言ってしまう私の悪い癖が出てしまい、シム准将が顔色を変えた



胸ぐらを掴まれ詰め寄られたが、私はそんなシム准将の姿に何だか色々な思いが頭の中を巡って心が熱くなってしまう



「すまなかった…パク大尉もゆっくり休みたまえ」



感情的になった事がバツが悪かったのか…伏し目がちにそう言うシム准将に思わず目頭まで熱くなってしまう



准将が私を見ないでくれて助かった…こんなことで目が真っ赤になっている所など見られたくないからな



〈はい〉

とだけ返せばよかったが

〈先ほどの姿を見て、あなたに血が通った様に感じました〉

と感傷めいた事を言ってしまった



びっくりしたように顔を上げたシム准将と目が合う。こんな風に目が潤んでいる所を見せるなんて、軍人失格だと思ったけれど…



それくらい
シム准将、あなたの変化が嬉しかった
凍てついたあなたの心が、ようやく解け出した事に気づけてよかった



どれくらいの時間と
どれくらいの犠牲を払ったのだろうか…



シム准将をあの時止められなかった事をずっと後悔してきたが、その後悔は思いがけずも一人の訓練兵によって救われることになった



これからはシム准将に「影」は要らないだろう
しばらくしたら私も元帥にお会いして「影」の任務を終えた事を報告しようと思った



今夜はトン中尉を連れて
美味い酒でも飲みに行くことにしよう



シム准将の事を酒の肴にするくらい
私たちは許されてもいいはずだからね



情火 番外編 –完–



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